硬派でジャジーなフュージョン
学生時代、ジャズを聴き始めて、まだ2〜3年しか経っていない頃、リアルタイムで聴いたフュージョン・ジャズが無性に聴きたくなる時がある。1970年代後半から1980年代前半、当時はフュージョン全盛期、基本的に良質なフュージョン・ジャズのアルバムが多数、リリースされていた記憶がある。たまには「あれぇ」と首を傾げたくなるような内容のアルバムもあったが、時が経つにつれ、そういう駄盤はすっかり忘れてしまった。
人って良い思い出しか覚えていないと言うが、自分にとっては、音楽については「良い音楽」しか覚えていない様な気がする。自分にとっての「悪い音楽」って、全く覚えていないんですよね。僕だけかなあ。だから、思い出に残っているアルバムについては、是非とも入手したくなる。しかし、タイムリーにリイシューされれば幸せなんだが、時々、強く思い出に残っているのに、なかなかリイシューされない盤があったりして、狼狽えたりする。
また、昔、突如いきなりリイシューされた時に思い切って入手した後、全く音沙汰無く、再リイシューされない盤も沢山ある。特に、フュージョン・ジャズの好盤にこの傾向を強く感じる。そう、この盤についても、以前、リイシューされた時、思い切って入手しておいて「良かったなあ」とつくづく思う好盤である。フュージョン・ジャズのアルバム紹介にもあんまりその名前が挙がらないんだが、これ、好盤です。
Rainbow Featuring Will Boulware『Crystal Green』(写真左)。1976年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Will Boulware (p, key, syn), Michael Brecker (ts), Cornell Dupree, Eric Gale (g), Gordon Edwards (el-b), Steve Gadd (ds), Ralph MacDonald (perc)。ギター・ベース・ドラムが伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」のメンバーである。そこに、趣味の良い端正なキーボードのブールウェア、パーカッションにラルフが担当。
このリズム・セクション系のメンバーを見渡しただけでも、この盤、凄えなあ、と思うんだが、このリズム・セクションをバックに、凄く印象的なテナーが鳴り響く。そう、このフュージョン盤、このアートで理知的なコルトレーンっぽい、端正で正統派なテナーが聴きものなのだ。このテナーが凄く良い。当時、誰かなあ、と思ってパーソネルを確認したら、若き日のマイケル・ブレッカーでしたとさ。このフュージョン盤でのマイケルのテナー、凄く良い。
この盤、実は日本のジャズ・レーベル「East Wind」からのリリース。当時、流行だったソフト&メロウなフュージョン盤とは一線を画する、メインストリーム基調の硬派でジャジーなフュージョンは、決して甘さに流れない、メリハリ効いた切れ味の良い演奏。時代を越えて「今の耳」にも十分に訴求する内容だ。
東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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