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2018年8月31日 (金曜日)

オールド・スタイルなウィントン

ウィントン・マルサリスの考えるジャズは基本的に判り難い。聴き手に迎合することは一切無い、どころか、聴き手を教育する、というか、聴き手を教え導く様なアプローチが見え隠れする。選曲だって、アレンジだって、それまでの通常のジャズとは異なるアプローチをするのだから、何というのか、とても「取っ付き難い」のだ。

Wynton Marsalis『Standard Time, Vol. 2: Intimacy Calling』(写真左)。1991年3月のリリース。録音は1987年9月と1990年8月の2回に分かれる。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Wessell Anderson (as), Todd Williams (ts), Marcus Roberts (p), Robert Hurst, Reginald Veal (b), Jeff "Tain" Watts, Herlin Riley (ds)。ウィントンの「スタンダード曲集」の第2弾である。 

選曲からして、ちょっと変わっていて、全編、スローからミッドテンポの曲ばかりで占められている。オールド・スタイルなディキシーランド・ジャズの雰囲気が色濃い演奏から、クールでニュー・ジャズな音の響きが芳しい演奏まで、幅広な展開になっているのが特徴。選曲はアルバム・タイトルからも判る様に「スタンダード曲」ばかりであるが、有名どころから、知る人ぞ知る、までバリエーションに富んでいる。
 

Standard_time_vol2

 
この盤では「オールド・スタイル」なジャズの演奏を再現している。ニューオリンズ・ジャズからスイング・ジャズ辺り。この盤では、ビ・バップは全く無縁。ハードバップもゆったりしたテンポで、決して速いフレーズを吹き回したり、ハイノートを吹き上げたりはしない。静的で理知的で、ハイテクニックなトランペットが響き渡っている。

ピアノのマーカス・ロバーツが良い音を出している。ちょっとウィントンには悪いが、ウィントン抜きのピアノ・トリオの演奏「East of The Sun」が絶品。ロバーツのピアノは理知的でちょっと捻れている。この理知的なところがウィントンのトランペットと実に良く合う。逆に、捻れているところは、絶対にウィントンにはぶつけない。ロバーツのソロで、ロバーツはその「捻れ」をモードに変えて変幻自在に弾きまくる。

静的で理知的で、ハイテクニックな「スタンダード曲集」である。アルバム全体の雰囲気は実にアーティスティック。逆に、ジャズの持つエモーショナルで熱い展開は全く無くて、聴いていて不完全燃焼に陥り兼ねない部分はあるにはあるんですが、アルバム全体の出来も抜群で、これはこれで、トランペットの「スタンダード曲集」として大いに評価出来る盤です。

 
 

東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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