« ジャケに戸惑うことなく 『Picture This』 | トップページ | ブラジリアン・フュージョンです »

2018年7月 1日 (日曜日)

ジョー・サンプルの隠れ好盤

当時のジャズ雑誌、ジャズ紹介本については、フュージョン・ブームが去った後、フュージョン・ジャズで活躍したミュージシャンに対して、意外と冷たい取り扱いだった様な記憶がある。ADLIB(アドリブ)誌のみが良心的な評論を継続していたが、2010年5月号で休刊になって以来、1980年代後半以降のフュージョン・ジャズの名盤については、結構、取り上げ方が弱い。

Joe Sample『Spellbound』(写真左)。フュージョン・キーボードのレジェンド、ジョー・サンプルの1989年作品。全10曲中、4曲がボーカル入りだが、演奏はメリハリの効いたフュージョン。マーカス・ミラーとオマー・ハキムのリズム隊が「要」。サンプル節満載。聴き心地満点の好盤である。

これが、である。ジャズ雑誌、ジャズ紹介本では、ほとんど採り上げられたところを見たことが無い。ジョー・サンプルと言えば、フュージョン・ジャズ・ブームを牽引したバンド、クルセイダーズのリーダー格で、そのキーボードをメインとしたフュージョン・ジャズは、特にソロ・アルバムにて、その個性を露わにしつつ、その内容のレベルの高さと濃さは、フュージョン・ジャズの最高峰の好例としてもてはやされた。
 

Spellbound_1

 
が、フュージョン・ジャズのブームが去って以降、このジョー・サンプルのリーダー作について、採り上げられることは希である。ジョー・サンプルについては、クルセイダーズの諸作と同時並行してリリースされたソロ盤で終わり、って感じで、どうしてそういった偏った見方になるのか理解に苦しむ。例えば、この1989年作の『Spellbound』を聴けば、それが良く判る。

アーバン系フュージョン・ジャズの好盤の一枚と思う。スムース・ジャズに偏りつつ、演奏の全体の雰囲気はあくまでフュージョン・ジャズ、という風情の内容にグッときます。その風情を支えているのが、マーカス・ミラーとオマー・ハキムのリズム隊。しっかりと上質のフュージョンAORなリズム&ビートを叩きだし、スムース・ジャズに傾くジョーサンプルのキーボードを鼓舞します。

軽快なファンクネスをしっかりと残しつつ、聴き易いライトな、シティ系のフュージョンAORな演奏内容は古さを感じさせません。アル・ジャロウとマイケル・フランクスのヴォーカル曲はスムース・ジャズ調、インスト曲は明らかにフュージョン・ジャズ。とにかく爽やかでキャッチャー。録音もデジタル臭く無くグッド。ジョー・サンプルのキーボード・ワークも見事。好盤です。
 
 
 
★東日本大震災から7年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ジャケに戸惑うことなく 『Picture This』 | トップページ | ブラジリアン・フュージョンです »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジョー・サンプルの隠れ好盤:

« ジャケに戸惑うことなく 『Picture This』 | トップページ | ブラジリアン・フュージョンです »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー