教科書の様なオルガン・ジャズ
あまりの「半端ない」蒸し暑さにバテバテである。特に歳を取ると暑さが体に精神に堪える。あまりに暑いと音楽を聴きたくなくなってくる。しかし、暑さでバテバテの精神に刺激を与えて「喝」を入れるには、聴き心地の良い、ノリの良いジャズが良い。そういうジャズといえば、僕にとっては「オルガン・ジャズ」である。
オルガンは、その音の特性、そして、昔から教会音楽で活用されていたということもあり、音の印象は「ファンキー」。ゴスペルの雰囲気を底に偲ばせつつ、その音はファンキーでノリが非常に良い。しかも、音が基本的に真っ直ぐに伸びるので、聴き心地が良い。このファンキー度合いが悪乗りレベルになると、ちょっと下品な音世界になるので、日本の硬派なジャズ者の皆さんからは評判は芳しく無い(笑)。
そんなオルガン・ジャズ。入門盤はどの辺りが良いか。Gene Ludwig『Hands On』(写真左)。2004年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ludwig (org), Ken Karsh (g), Tom Wendt (ds), Eric Defade (sax)。ジーン・ルートヴィヒとは、ピッツバーグ郊外出身のオルガン・プレイヤー。音的には、ジミー・スミス直系の正統なオルガン・ジャズの音をしているが、ハードバップ期のジャズ・オルガンの音と比べると、クールであっさりとしているのが特徴。
さて、この『Hands On』である。テナー、ギター、ドラム、オルガンのカルテット構成。オルガンはベースの担当部分を兼任することが出来るので、オルガン・ジャズには、ベースが入っていないことが多い。逆に、オルガンでベース部を兼任するので、いきおい、そのフレーズが単純化されている。複雑なフレーズは相当に難しい。しかし、その単純化されたベース部のフレーズが、独特のファンキーなグルーヴを生み出している。
これがオルガン・ジャズの肝の部分で、このアルバム、このベース部の音がブンブンと鳴っていて、これが心地良いことこの上無し。テナー、ギターもオルガンに負けずファンキーな味わいを増幅させていて、この盤、オルガン・ジャズのサンプル盤の様な内容で、オルガン・ジャズ好きには、堪えられない内容になっている。そして、そこにルートヴィヒの、クールであっさりとした、正統なハモンド・オルガンが鳴り響く。
全編に渡って、クセの無い、教科書の様なオルガン・ジャズが鳴り響く。教科書の様な、というのは悪い意味では無い。オルガン・ジャズの良い部分、特徴となる部分が全て良い感じで入っている、という意味。シャッフル〜ミディアムなナンバー中心で、大向こう張る派手な弾き回しは無いが、堅実にクールにアドリブを弾きまくり、涼しい音でバッキングを決めてくる。そんなルートヴィヒのオルガンが粋な好盤である。
東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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