程良く抑制されたハバードです
フュージョン・ジャズ系のアルバムが続いた。もともと、日本ではフュージョン・ジャズは1970年代後半から1980年代前半に咲いた「あだ花」的扱いを受けていて、ベテランの評論家の方々からは「あれは悪い夢だった」なんて言われる。なんとも無責任な話である。当時は皆さん「純ジャズはもう古い」だったのだが・・・。
と言う訳では無いのだが、メインストリーム・ジャズに戻る。最近、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)のアルバム、それもブルーノート時代のアルバムを聴き直している。それというのも、ブルーノート時代のハバードのアルバムと言えば、ジャズ盤紹介本の扱いが大体が初ソロ盤の『Open Sesame』以上、なのだ。そうだったかしら、と思いながらの聴き直しなのである。
う〜ん、確かにそうかも。ソロ・デビュー以降、ブルーノート時代のハバードは、他のジャズ者の大多数の皆さんが指摘している通り、テクニックはとびきり優秀なのに「吹きすぎる」「目立ちすぎる」トランペットである。ハバードのトランペット1本がフロントだと「とにかく吹きまくる」。他の管を入れると、負けじと「吹きまくり、目立ちまくる」。グループ・サウンドとしてのバランスに著しく欠け、耳に五月蠅い。
ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンも苦労したと見えて、如何にハバードの暴走トランペットを落ち着けるか、に腐心した苦労の跡がブルーノートのハバードの諸作に現れている。そんな諸作の中でも、1961年8月録音の『Ready for Freddie』(写真左)は、思わず、その思惑と苦心の跡にニンマリしてしまうパーソネルであり、内容なのだ。
まずパーソネルを見ると、Freddie Hubbard (tp), Bernard McKinney (euphonium), Wayne Shorter (ts), McCoy Tyner (p), Art Davis (b), Elvin Jones (ds)。珍しい楽器ユーホニウムが入っている。ホンワカした柔らかく丸みのある音色。このユーホニウムを暴走トランペットのハバードと娶せて、ハバードの暴走を抑止し、落ち着かせる作戦、とみた。
これが、意外と成功している。ハバードはユーホニウムの音色に対比する様に、上手くユニゾン&ハーモニーを奏で、程良く抑制の効いたトランペットを聴かせてくれる。加えて、程良く抑制されたハバードのトランペットは、ウェイン・ショーターのテナーにピッタリ合う。ユーホニウム効果で、この『Ready for Freddie』では、ブルーノートの諸作の中で、唯一、少しだけ抑制が効いている。なかなかの聴きものである。
東日本大震災から7年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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