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2018年7月 6日 (金曜日)

カマシの『Heaven and Earth』

「スピリチュアル・ジャズ」と聞いて連想するのは、感情のおもむくままに楽器を吹き鳴らし、精神性の部分を強調したフリー・ジャズのバリエーション、ということ。その激しいアブストラクトな吹奏は、時に「馬の嘶き」にも匹敵し、音楽鑑賞という行為の中では、かなりの苦行を強いられる。つまり、一般的には敬遠されがちなジャンルではあった。

が、最近、その「スピリチュアル・ジャズ」の様相が変わってきている。穏やかでモーダルな「印象的フレーズ」を展開しながら、時にフリーに傾くが、それは演奏の中のアクセントとしてアレンジされ、ゴスペルチックなコーラスなどを導入して、音の響きとフレーズから「スピリチュアル」な面を増幅させ、聴く者に訴求する、という、新しいスタイルの「スピリチュアル・ジャズ」が現れ出でている様に感じている。

Kamasi Washington『Heaven and Earth』(写真左)。その代表的存在が「Kamasi Washington(カマシ・ワシントン)」。そのカマシが実に魅力的な新盤をリリースした。「Earth」盤と「Heaven」盤のCD2枚組の大作である。曲名を眺めていると、宗教的な雰囲気が漂うが、アルバムを聴いてみると、意外とそうでも無い。しかし、内容的には、ニュータイプの「スピリチュアル・ジャズ」である。
 

Heaven_and_earth   

 
音楽的にはクワイアも入っているのだが、さり気なくポップにアレンジされていて、宗教的な雰囲気に傾くことは無い。コルトレーンの様に「真理を探究する」という生真面目さは無いし、哲学的な雰囲気はあっても、宗教的な信念のため、真理に到達するためにジャズをやっている、という堅苦しさは全く無い。よって、1960年代後半の「スピリチュアル・ジャズ」の様に、閉塞感が漂うことも無い。

様々な音楽的要素がごった煮に入っている。ジャズの過去のスタイルがさり気なく総動員されていて、バップあり、モードあり、フリーあり、クロスーバーあり、フュージョンあり、と「ジャズのスタイルの万華鏡」の様で、聴いていてとても楽しい。ラップやユーロ・ビート、ノイズ・ミュージックの要素も散りばめられていて、加えて「台詞」の独白もあったりして、これぞ、他の音楽ジャンルとの融合を得意とする「ジャズの究極の姿」って感じが新しい。

誰かが、現代の「ビッチェズ・ブリュー」だ、って言ってたなあ。それは言い過ぎだとは思うが、それに匹敵する位のインパクトのある内容だとは思う。ロバート・グラスパーとはまた違った新世代ジャズへのアプローチ。1960年代後半の「スピリチュアル・ジャズ」が、21世紀も20年程度入ったところで、再構成されるとは思わなかった。音の要素それぞれには目新しさは無いが、音の様々な要素が融合した姿はやはり「新しい」。今後の展開が楽しみである。

 
 

東日本大震災から7年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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