CTI All-Starsの傑作ライブ盤
1970年代前半のクロスオーバー・ジャズについては、聴き直してみると、とても面白い。ロックの影響からか、電化楽器と8ビートの積極活用がメインなんだが、演奏そのものはハードバップだったり、モード・ジャズだったりで、温故知新というか、旧来の純ジャズの演奏を、電化楽器と8ビートでリニューアルした様な、そんな「新装開店」な雰囲気が実に味わい深い。
電化楽器と8ビートでリニューアルした様な「クロスオーバー・ジャズ」については、CTIレーベルを探ると結構出てくる。さすが、クロスオーバー・ジャズの老舗レーベルである。そんな中で、これはイチ押し、CTIオールスターズの演奏の中で、電化楽器と8ビートの積極活用を心ゆくまで楽しめるライブ盤がある。
CTI All-Stars『CTI Summer Jazz At The Hollywood Bowl』(写真)。1972年7月30日、ハリウッド・ボウルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Deodato (key), Jonny Hammond (key), Bob James (key), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds), George Benson (g), Airto (Perc), Hank Crawford (sax), Joe Farrell (sax), Stanley Turrentine (sax), Grover Washington, Jr. (sax), Freddie Hubbard (tp), Hubert Laws (fl), Milt Jackson (vib), Ester Phillips (vo)。
とにかく、CTIレーベルを聴き込んだ耳からすると、懐かしいやら嬉しいやら。まず、確実に耳につくのが、ボブ・ジェームスとデオダートのキーボード演奏。この2人のキーボードの音は個性に溢れ、アドリブ・フレーズを聴くと直ぐに判ります。特にデオダートのキーボードは懐かしい音です。CTIレーベルの諸作を聴き込んだあの頃が脳裏に浮かびます。ベンソンのギターも聴きもの。唄う画如くのフレーズ、メリハリの効いたソロの構成力、ギタリスト=ベンソンの面目躍如です。
ブヨンブヨンのベースは明らかにロンですし、フロントのサックス隊、クロフォード、ファレル、タレンタイン、ワシントン・ジュニアも大活躍。電化楽器と8ビートに良く合った音色とフレーズでガンガンに飛ばします。リズム隊はデジョネットとアイアートの独壇場。音のアクセントに、ハバードのトランペット、ロウズのフルート、ミルトのヴァイブが小粋に響きます。いや〜、今の耳で聴いても、ほんとエキサイティングで格好良い演奏の数々。
CTIがもっとも充実していた時代、CTI All-Starsの1972年のライブ音源。CD2枚組(LP時代は3枚ばら売りだったかと)にコッテコテのCTIサウンドがてんこ盛り。これでもか、と言わんばかりの、CTIレーベルのフル・オール・キャスト、豪華メンバーで繰り広げられるライブ演奏。しかも、時代の勢いがそうさせるのか、いずれのメンバーの演奏するフレーズには、かなり気合いが入っているのが判ります。適当な顔見世興行で無いことが良く判ります。好盤です。
★東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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