この季節にピッタリの爽快感
1970年代後半、ジャズを聴き始めた訳だが、硬派なジャズ者は「純ジャズ」がメイン。当時、キワモノとされたクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズなど以ての外で、口が滑って「クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが好き」などと言おうものなら、硬派なジャズ者の方々からボッコボコに反論された。しかし、である。
Donald Byrd『Places & Spaces』(写真左)。1975年のリリース。ビ・バップ時代から活躍してきたドナルド・バードが、43歳の時にリリースした、クロスオーバー・ジャズなアルバムである。ビ・バップ〜ハード・バップ時代に活躍してきたトランペッターが、ファンクネス豊かなクロスオーバー・ジャズに大変身。当時は、日和ったとか、寝返ったとか、散々、叩かれた様である。
じっくり聴けば、この盤が俗っぽくて聴くに値しない、軟弱なジャズ盤だという評価は当たらない、ということが良く判る。とても爽やかで躍動感のあるアレンジの下で、活き活きとしたバードのトランペットが響き渡る。ビートは8ビート、ラリー・マイゼルの高揚感たっぷりのサウンドがメイン。“Sky High Production”という形容がピッタリの爽やかファンキーなフュージョン盤。
この盤はブルーノートからのリリース。これまた驚きだった。ブルーノートと言えば、正統な「純ジャズ」がメイン。が、1970年代のブルーノート盤は、後のクラブ・シーンでサンプリングのネタ元として大いに活用される、ファンクネス豊かな、ビートの効いたジャズ・ファンクな内容のものを多くリリースしている。ドナルド・バードはいち早く、このファンクネス豊かな、ビートの効いたジャズ・ファンク〜クロスオーバー・ジャズに鞍替えし、成功を収めている。
日本では「キワモノ」扱いされて、この様なジャズ・ファンクな盤は徹底的に排除されたように記憶している。しかし、聴けば判るのだが、チャック・レイニーとハーヴィー・メイソンのリズム隊がドライブ感抜群にビートを繰り出し、フロントのバードのトランペットが乱舞する。なかなかの内容のクロスオーバー・ファンクなのだ。
聴かず嫌いは良く無い。メロディアスで爽快感抜群、ファンクネス豊かでパンチの効いた8ビート。芳しいメロディと清々しいフレーズ。大人のクロスオーバー・ジャズ。青空に浮かぶ飛行機と雲の動きをコマ落としでとらえたジャケットも爽快で、アルバムの中身の内容を如実に表している。この季節にピッタリの爽快感がとても心地良い。
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