バードのブルーノート・デビュー
そう言えば、ドナルド・バード(Donald Byrd)の存在をちょっと忘れていた。今から、40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃、ドナルド・バードのアルバム『Fuego』はお気に入りのアルバムだった。特に、ラストの「Amen」は大のお気に入りチューン。このファンキーでゴスペルタッチな名曲&名演は、当時、僕にとっての「ジャズ」だった。
ドナルド・バードはトランペッター。アレンジが巧いとか、作曲が良いとか、トランペッターとは違ったところに評価が集まる、ちょっと気の毒なジャズメンなのだが、実は、トランペッターの実力は超一流なものがある。品良くブリリアントで艶やか、そして堅実。テクニックは優秀、アドリブ・フレーズが小粋で印象的。決して、騒がしくならない。紳士的で真摯なブロウである。
そんなバードのブルノート・レーベルでのデビュー盤が、Donald Byrd『Byrd in Hand』(写真左)。1959年5月31日の録音。BNの4019番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Charlie Rouse (ts), Pepper Adams (bs), Walter Davis, Jr. (p), Sam Jones (b). Art Taylor (ds)。バード、ラウズ、アダムスのフロント3管のセクステット構成。
フロント3管のバード、ラウズ、アダムスの名を確認するだけで、そして、ウォルター・ジュニア、ジョーンズ、テイラーのリズム・セクションのメンバーを見るだけで、この盤はハードバップの好盤では無いのか、という想像を巡らせることが出来る。そして、冒頭の「Witchcraft」を聴くだけで、この盤はハードバップの上質の好盤だと確信する。
バードのトランペットとペッパー・アダムスのバリトン・サックス(略して「バリサク」)とのユニゾン&ハーモニーが良い。これはファンキー・ジャズの典型であり、ハードバップの肝である。アダムスのバリサクは豪快かつ歌心溢れるもので、バードのトランペットと対照的。アダムスのバリサクはバードのトランペットととても相性が良い。
ブルーノート・レーベルは優秀な若手ジャズメンの登竜門。この盤は、バードのブルーノートでのデビュー盤で、僕は最初、初リーダー作と勘違いしていた。しかし、聴けば内容充実、そして上手すぎる。調べれば、バードは、なんとこの盤以前に既に15枚以上のリーダー作をリリースしている、押しも押されぬ中堅ジャズメン。満を持してのブルーノートでのアルバムのリリース。そんな「満を持した」ドナルド・バードの覇気のあるトランペットが実に頼もしい。
★東日本大震災から7年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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