スワンプ・ロックの始まりです
「ジャズの合間の耳休め」盤には、あまりジャズからかけ離れた音楽を聴くのはちょっと憚られる。ジャズの合間の耳休めに聴く盤としては、米国ルーツ・ミュージック系のアルバムが良い、と書いた。ここ「バーチャル音楽喫茶・松和」では、1970年代ロックも守備範囲になっているのだが、1970年代のロックの中で、米国ルーツ・ロックと呼ばれるものは何か。
いの一番に浮かぶのは、1960年代末期に発生し、1970年代中盤まで流行した「スワンプ・ロック(Swamp Rock)」だろう。そもそも「スワンプ」とは「アメリカ南部の湿地帯」を指す言葉。さまざまな南部の音楽をミックスしたロックが「スワンプ」。ゴスペルやブルース、それにカントリーやリズム&ブルースといった南部産の音楽をロックに取り込んだものが「スワンプ」。
このスワンプ・ロックは、ブルース・ロックやサイケデリック・ロックに相対するように、1960年代末期に出現した。このスワンプ・ロックを真っ先に体現したバンドが「デラニー&ボニー」。この「デラニー&ボニー」の演奏は、当時、英国のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えた。例えば、エリック・クラプトンやジョージ・ハリスンがスワンプ・ロックに鞍替えしている位である。
そんな「デラニー&ボニー」の代表的な好盤が、Delaney & Bonnie『Accept No Substitute』(写真)。1969年5月のリリース。邦題は「オリジナル・デラニー&ボニー」。ゴスペルやソウル、R&B、カントリーなどの音楽要素を柔軟に取り込んだ、南部ロックの傑作として名高いアルバム。加えて、ソング・ライティングとアレンジに長けており、捨て曲なしの好盤である。
バックバンドのメンバーを見ていくと、レオン・ラッセル、カール・レイドル、ボビー・ウィットロック、ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、ジム・プライス、ジェリー・マギー、リタ・クーリッジとお決まりのメンバー。このメンバーでツアーに出たら、そこにエリック・クラプトン、ディブ・メイスン、はてはジョージ・ハリスンまでが参加するという、夢の様な話。
特に、ボニーのソウルフルな歌唱は特筆すべきもので、とても白人の歌声とは思えない、ファンクネス溢れ、シンプルでソウルフルな歌唱である。コーラス・アレンジも秀逸で、ゴスペルの要素を非常に巧く取り込んでいる。この1969年作の『Accept No Substitute』が実質的にスワンプ・ロックの始まりだと言えます。有名な家族写真風のジャケも秀逸で、アルバムの中の音の雰囲気をダイレクトに聴き手に伝えてくれます。
東日本大震災から7年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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