こんなアルバムあったんや・99
クロスオーバー〜フュージョン・ジャズは意外と奥が深い。当時、正統とされる「純ジャズ」については、ジャズの紹介本や雑誌で、リリースされたアルバムが体系化されて紹介されていたが、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズについては「キワモノ」扱いであったが故、情報不足からリリースされた重要作を見過ごし、正しく評価出来なかった時代が続いた。
21世紀に入って、やっとこさ、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズのアルバムについて、特別にアルバム紹介本が発刊されたり、ジャズ雑誌で特集が組まれることが出てきて、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズを正しく評価する環境が整ってきた。これは、このクロスオーバー〜フュージョン・ジャズをリアルタイムに体験してきた我々にとっては、実に喜ばしいことである。
Afrique『Soul Makossa』(写真)。1973年のリリース。デヴィッド・T.ウォーカー、チャック・レイニーらジャズ・ファンク系のスゴ腕メンバーによるユニットの代表作。まさにレア・グルーヴ、こってこてファンキーな内容。Afrique=アフリーク、と読む。総勢13名によるソウルジャズ・ファンク・ユニット「アフリーク」。1970年代後半、フュージョン・ジャズ全盛の頃、僕はこのアルバムの存在を全く知らなかった。
今の目で見て、このユニットのメンバーは凄い。デヴィッド・T・ウォーカーのエレギがファンキーにかっ飛び、チャック・レイニーのベースがファンキーに弾け飛び、レイ・パウンズのドラムがファンキーに煽る。ソウル・ミュージックのクロスオーバー・ジャズ風味的な演奏の数々。チャールズ・カイナードのキーボードも、ポール・ジェフリーサックスも、明らかにファンキー。それも、ソウルフルなファンクネス。
とりわけ、このアルバムでは、デヴィッド・T.ウォーカーのエレギが大活躍で、デヴィTのリーダー作と言っても差し支えの無い内容。特に、この頃、ワウワウ・プレイに凝っていたらしく、全編に渡ってエレギをワウワウ・ウネウネと鳴らしまくっていて、他のアルバムよりも、デヴィTのファンキー度は高い。
こんなアルバムがあったんやなあ、と感心することしきり。ソウル・ジャズを「キワモノ」と決めつけていた、当時の日本のジャズ・シーンからすると、こんなに「こってこてファンキー」でソウルフルなクロスオーバー・ジャズは着目に値しなかったのだろう。21世紀になって、CDやダウンロードでのリイシューでやっと日の目を見た訳で、僕達フュージョン者としても、このアルバムの内容にはビックリ。ソウルジャズ・ファンクなクロスオーバー・ジャズは聴いていてとても楽しい。
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