ベテランの魅力的なフロント2管
最近のジャズの新作を見ていると、ベテラン陣の活躍が目に付く。大ベテランが相次いで鬼籍に入る中、50歳〜60歳辺りのベテランのリーダー作が結構出てきている。若手のニュー・ジャズも聴いていて楽しいが、ベテラン陣のモーダルなジャズやネオ・ハードバップな演奏を聴くのも楽しい。
Joe Lovano & Dave Douglas Sound Prints『Scandal』(写真左)。今年2018年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Lovano (sax), (tp), Lawrence Fields (p), Linda May Han Oh (b), Joey Baron (ds)。ベテランと中堅がガッチリ組んだ、魅力的なクインテット構成。聴けば判るが、中堅中心のリズム・セクションは結構強力。
ジョー・ロヴァーノとデイヴ・ダグラスによるグループ、サウンド・プリンツによる初のスタジオ・アルバム。「サウンド・プリントの特徴は、フロントラインの絡まったクロストークにある」の評価の通り、ベテラン二人のサックスとトランペット、フロント2管の多彩なパフォーマンスが、とても良い効果を生み出している。
ウェイン・ショーターにインスパイアされ生まれた作品とされる。バンド名もショーターの楽曲「Footprints」に由来している。硬軟自在、変幻自在の硬派でバイタルなモード・ジャズが展開される。21世紀の新しい響きのする、「ネオ・モード・ジャズ」とでも名付けたい、現代の先端を行く先進的な展開である。
我が国において、知名度の割に人気が低いロバーノ、知名度自体が低いダグラス。しかし、この新作での演奏は特筆に値する。何故この二人について、我が国で人気が出ないのか、不思議でならない。豪放磊落、武骨で骨太なテナーとピリッとドライで渋いトランペットとの絡み、ユニゾン&ハーモニーは、他に無いのでは、と思う。
しかし、このジャケット・デザインは無いよな。余りに手間をかけなさすぎる。これでは内容のあるこの盤の演奏が可哀相。reenleaf Musicというレーベルらしいが、ジャズメンと演奏に関して、リスペクトがなさ過ぎ。ただ、このチープなジャケット・デザインに惑わされてはならない。聴けば判る。なかなかの内容の聴き応えのある好盤です。
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