ネイチャーな響きは「ECM」盤
「ネイチャー(自然)」な響きを持つジャズと言えば、欧州ジャズ、特に「ECMレーベル」の諸作を思い出す。ECMレーベルには、自由度の高い「ニュー・ジャズ」傾向の、スイング感や4ビート感を強調しない、印象的なフレーズやリズムをメインに、自然の景観や雰囲気を想起させるアルバムが多数存在する。
特に1970年代、1960年代からのメインストリーム・ジャズ、1960年代終わり頃から現れ出でたクロスオーバー・ジャズ、そして、1970年代半ばからのジャズ界最大のブームとなった、フュージョン・ジャズが渦巻く中で、ECMレーベルはそんなジャズ界のトレンドには我関せず、ECMレーベル独特の音世界を有した「ニュー・ジャズ」なアルバムをリリースし続けた。
そんなECMレーベルのアルバムの中に、メインの演奏トレンドとして存在する「ネイチャー(自然)」な響きを持つニュー・ジャズ。スイング感や4ビート感に全く依存しない、欧州独特のジャズの音世界。ECMレーベルの真骨頂とも言うべき音世界で、これに填まると、とことんである。実は私もこのECMレーベルの「ネイチャー(自然)」な響きを持つニュー・ジャズにゾッコンである。
Eberhard Weber『The Colours of Chloë』(写真左)。1974年の作品。ECM1042番。ちなみにパーソネルは、Eberhard Weber (b, cello, ocarina, voice), Rainer Brüninghaus (p, syn), Peter Giger (ds), Ralf Hübner (ds,track 2), Ack van Rooyen (flh), Gisela Schäuble (voice), celli of the Südfunk Orchestra, Stuttgart。完全に欧州系ニュー・ジャズの担い手中心の布陣と見受けられる。ほどんど馴染みの無い名前ばかり。
ECMレーベルらしい音が詰まった好盤である。フォーキーでネイチャーな響きが芳しい、ファンクネス皆無の即興演奏。欧州ジャズ的な響き。ECM独特のエコーが美しい。そして、演奏の底をウェーバーのベースが支える。アルバム全体に、ジャズだけでは無い、ジャズ・ロックやプログレ、ミニマル・ミュージック、果ては環境音楽まで、様々な音の要素が渾然一体となって、独特の音世界を形成している。
「ネイチャー(自然)」な響きを持つジャズは、ECMの十八番。この『The Colours of Chloë』は、その代表的な一枚。ECMレーベルの音を感じるには最適な一枚でしょう。ジャケットもユニーク。ジャズ盤なのか現代音楽盤なのかプログレ盤なのか、一見、判断に苦しむ、絵画風のアート・ワークはウェーバーの妻マイヤによるもの。これも僕は以前より気に入っています。
東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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