ヨーロピアン4の集大成的な盤
キース・ジャレットの「ヨーロピアン・カルテット」を聴いている。ガルバレク、ダニエルソン、クリステンセンという北欧の新進と組んだ「ヨーロピアン・カルテット」。キースのピアノの美意識が最高に映える、硬質でクールでメロディアスな音世界。決して、勢いに任せているのでは無い、クールな熱気を帯びてフリーキーに展開する、自由度の高さ。
Keith Jarrett『Personal Mountains』(写真左)。1979年4月、中野サンプラザでの来日公演のライブ録音。ECMの1382番。改めてパーソネルは、Keith Jarrett (p), Jan Garbarek (ts, ss), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。所謂「ヨーロピアン・カルテット」な4人である。ちなみにこのライブ盤、1989年になってECM創立20周年の企画として、リリースされている。
この盤には、ヨーロピアン・カルテットの全てが詰まっている。ゴスペル基調のアーシーでファンキーな演奏から、自由度の高い、クールで硬質なフリー・ジャズな音世界、そして、ジャズの王道のひとつ、モーダルなジャズの自由な展開。アメリカン・カルテットでも、演奏されるスタイルを、このヨーロピアン・カルテットでも演奏する。
熱気溢れる、時にきまぐれではあるが、熱くフリーキーな展開が得意な「アメリカン・カルテット」。比べて、硬質でクールでメロディアスな、あくまで冷静な「ヨーロピアン・カルテット」。どちらがキースのピアノとの相性が良いのか、どちらがキースのピアノを目立たせることが出来るのか。この答えが、このライブ盤に有るように感じている。
キースはその比較、ヨーロピアン・カルテットとアメリカン・カルテットとの比較をずっとしてきた様な気がするが、この盤を聴くと「ヨーロピアン・カルテット」の方がキースのピアノとの相性が良いように感じる。ECMらしい独創性と前衛性に富んではいるが、決して難解では無い、逆に、アメリカン・カルテットに比べて、ポップで穏やかで聴き易い。
ファンクネスが皆無な分、キースのピアノが持つ独特な旋律が一層映える。演奏全体の雰囲気も、アメリカン・カルテットに比べて、明らかに端正。感情に任せた破綻は全く無い。その内容の良さに、聴くたびに惚れ惚れする。このライブ音源は、録音されてから約10年、お蔵入りになっていた理由が良く判らない。ヨーロピアン・カルテットの集大成的なアルバムである。
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