ハッチャーソンのデビュー盤
ジャズは様々な楽器を受け入れる。クラシック音楽で使用している楽器はほとんど受け入れているし、アコーディオンや尺八など、特定の国でしか使用されない楽器をも受け入れる。この楽器、ヴィブラフォン(略してヴァイブ)も少数派ではあるが、ジャズで使用される楽器として歴史も古い。と言いつつ、ジャズ・ヴァイブ奏者って、かなり数が少ないぞ、と思い直す。
スイング時代はライオネル・ハンプトン、ハードバップ期はミルト・ジャクソン、渋くマイナーなところでエディ・コスタ、ヴィクター・フェルドマンくらいか。その後、新主流派〜ニュー・ジャズと呼ばれる時代では、ボビー・ハッチャーソン、そして、ゲイリー・バートンくらいしか思い浮かばない。
恐らくは、あまりに「ミルト・ジャクソン」の存在が大きく、かつメジャーで、ヴァイブがジャズの中でメジャーな存在であるような印象があるが、意外とその数は少ないのだ。しかも、先に挙げたジャズ・ヴァイブ奏者は全員が逝去している。現存するジャズ・ヴァイブ奏者はメジャーな存在はほとんどいない、つまりヴァイブは、ジャズ界の「絶滅危惧種」的楽器ではあるのだ。さて、そんな中、ボビー・ハッチャーソンの聴き直しを進めている。
ハードバップ全盛以降の1963年がリーダー作デビューなので、ハッチャーソンのヴァイブはハードバップなヴァイブでは無い。ハッチャーソンのヴァイブは「新主流派」のヴァイブである。そんなハッチャーソンのデビュー盤が、Bobby Hutcherson『The Kicker』(写真左)。1963年12月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), Joe Henderson (ts), Duke Pearson (p), Grant Green (g,#4-6), Bob Cranshaw (b), Al Harewood (ds)。
しかし、発売は限定盤にて1999年。つまり、ハッチャーソンのデビュー盤は当時、お蔵入りだったのだ。お蔵入り盤と言いつつ、何が良く無いのか判らないが、新主流派のヴァイブの萌芽がしっかり捉えられている。但し、回りをガッチリと優れものの中堅ジャズメンで固められたのがマイナスに作用したのか、ハッチャーソンは小さくまとまってしまった印象はある。前へ出てこない、というか目立たない(笑)。
初リーダー盤としては、この「目立たない」ところが致命的でお蔵入りになったのでは、と睨んでいる。それでも、ハッチャーソンのプレイを注意深く聴くと、紛れもない「新主流派」のヴァイブであることが判る。ハッチャーソンを理解する上ではマストアイテム。
東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ながら聴きのジャズも良い・32 『The Spin』 | トップページ | ロックとジャズとR&Bと »
コメント