ピアソンというピアニスト
ジャズの老舗レーベルである「ブルーノート」。ブルーノート・レーベルには、意外とピアノ・トリオ盤が少ない。ピアノ・トリオかな、と思ったらコンガが入っていたり、フロントにテナーやトランペットの管が入っている。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが「管入りカルテットやクインテット」が好きだったんやないかなあ、と想像している。
また、ブルーノート・レーベルのピアノの録音された音には、独特の「響きと音像」がある。デッド寄りで、ちょっとモコっとしている「音の塊」って感じの音。決して、切れ味の良い、音のエッジが立ったピアノの音では無い。だから、ブルーノート・レーベルの盤のピアノの音って意外と良く判るのだ。
このアルバムのピアノの音もそうだった。初めて聴いた時、ああ、これはブルーノートのピアノの音だ、と思った。でも、誰のピアノだか判らない。アドリブでは、インテリジェンス溢れる粋なフレーズを紡ぎ上げ、タッチのリリカルな響きがとても洒落ている。しかし、その底にはしっかりとブルージーな雰囲気が漂っていて、とってもジャジー、加えて、素朴にスインギー。
誰のピアノなんだ。思わず、ママさんのいるカウンターまでジャケットを見に行った。そのアルバムとは、Duke Pearson『Profile』(写真左)である。1959年10月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Gene Taylor (b), Lex Humphries (ds)。ブルーノートには珍しいピアノ・トリオである。だからこそ、僕はこだわった。何なんだ、このピアニストは。
デューク・ピアソンのピアノは軽快。流れる様に転がる様に弾く。しかも端正。端正だけれど耳につかない。心地良い端正さ。全編に渡って破綻が無い。とても聴き易い。これだけ聴き易いと「イージーリスニング・ピアノ」では無いのか、とも思うのだが、そうはならないところが、ピアソンのピアノの面白いところ。
先にも書いたが「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」と、タッチの底にあるブルージーな雰囲気が、このピアソンの聴き易いピアノを聴き易いだけで終わらせない、小粋で流麗なハードバップ・ピアノに昇華させている。これだけ端正なピアノで、思いっきりジャズを感じさせてくれるピアノはなかなか他に無いものです。好盤。
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