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2018年4月の記事

2018年4月27日 (金曜日)

5月4日までブログはお休みです

皆さん、おはようございます。バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターです。今日から毎年恒例の「リフレッシュ休暇」に入りました。

以前より毎年GWを活用して「リフレッシュ休暇」を取ってきました。が、特に5年半前、落命の危機に遭遇、大手術にて危うく一命を取りとめて以来、命あるうちに「行きたいところに行こう」という気持ちが強くなりました。

ということで、今年も、命あるうち身体が動くうち、体調の安定しているうち、今年も「行きたいところに行こう」ということで、暫く当ブログをお休みします。暫くといっても、今日から5月4日(金)までの8日間のお休みです。

ちょっと南の遠いところに行って来ます。今年も、昔々、小学生の頃、大阪万博でこの国のパビリオンを訪れて、いつか行ってみたいなあ、と思いましたが、将来訪れることがあるなんて、100%思っていなかった国です。楽しみです。

それでは、皆様、5月5日(土)の夜に、再び、お会いしましょう。
 

Matsuwa

 

2018年4月26日 (木曜日)

新スタンダードへのチャレンジ

ジャズには「スタンダード曲」というのがあって、1930年代や1940年代のミュージカルをメインに、ジャズにアレンジし易い曲をチョイスして、様々なジャズメンがこれを演奏するに至って、スタンダード曲となっている。1950年代は、ミュージシャンズチューン、いわゆる、ジャズメンの作曲した曲が他の多くのジャズメンにも演奏されて、スタンダード曲となっている。

で、この「スタンダード曲」が1950年代から演奏され続けていて、これがまあ、今でも演奏されているのだから凄い。ジャズの場合、演奏の素材になる原曲は何でも良いと言えば何でも良いので、50〜60年の長きの間、演奏され続けるというもの判らない訳では無い。でも、いつもいつも同じ曲ばかりがあちらこちらで演奏されると、ちょっと食傷気味になる。

1960年代後半から1970年代にかけて、ロック&ポップスの世界で、良い旋律を持って、ジャズに合いそうな曲は沢山ある感じなので、この年代の曲で、もっとスタンダード化される曲があってもよいのだが、これがなかなか無い。これが不思議で、ジャズメンって、意外にチャレンジ精神に欠けるのでは、と密かに思ったりもする。
 

Timeless__keiko_lee  

 
KEIKO LEE『TIMELESS - 20th Century Japanese Popular Songs Collection -』。昨年10月のリリース。キャッチフレーズが「日本のジャズ歌姫ケイコ・リーが、20世紀のエヴァーグリーンなJポップの数々を上質なジャズで歌いあげる。日本ジャズのネオ・スタンダードへのチャレンジ」。おお、ネオ・スタンダードへのチャレンジか。僕はこのフレーズにからしき弱い。

収録曲を見渡して、思わずほくそ笑む。いやいや〜渋い渋い。1947年の「胸の振り子」から1991年の「ラブ・ストーリーは突然に」まで、日本の歌謡曲&ポップスの名曲をジャズ・ボーカル曲として、ケイコ・リーが唄い上げている。そう、ケイコ・リーって、以前からチャレンジ精神が旺盛で、そう言えば、クイーンの「ウィ・ウイル・ロック・ユー」をむっちゃ格好良くカバッてたっけ。

アレンジが良い。選曲された日本の歌謡曲&ポップスがしっかりと「ジャズ化」している。唄い上げるケイコ・リーのボーカルの素晴らしさは言うまでも無い。個人的には、懐かしの「我が良き友よ」が気に入っている。とってもジャジーでクール。こういうチャレンジってウェルカム。他のジャズメンも、もっともっとやって欲しい。意外と新しいジャズが現れ出でるかもしれない。

 
 

東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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2018年4月25日 (水曜日)

キースのヨーロピアン4の旗揚げ

さて、いよいよ、キース・ジャレットの「ヨーロピアン・カルテット」を語る時が来た。キースは奇妙なことに、1970年代をメインに、米国系ジャズメンで固めた「アメリカン・カルテット」と、欧州系ジャズメンで固めた「ヨーロピアン・カルテット」という、2つのカルテットを同時進行していた(その合間合間にソロ・ピアノもやっていた)。

どうしてそんな面倒くさいことをしたのか、本人にしか判らないが、僕にとっては今でも謎である。アメリカン4とヨーロピアン4で、演奏する内容が全く違っていれば、それぞれの地域のジャズメンの特質を活かしたものなんだな、ということになるが、これが、まあ、アメリカン4とヨーロピアン4で、意外と同じイメージの曲をやっていたりするのだ。比較して聴いてみると、キースの挑戦と実験、そして、試行錯誤が感じられて面白い。

Keith Jarrett『Belonging』(写真左)。キースの「ヨーロピアン・カルテット」の旗揚げ盤である。1974年4月24ー25日の録音。ECMからのリリース。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Jan Garbarek (ts, ss), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。フロント1管、サックスに、ECMの看板男、テナーのヤン・ガルバレクを擁している。ベースのダニエルソン、ドラムのクリステンセンは、硬質で透明度の高い、明確にヨーロピアンなリズム・セクション。
 

Belonging  

 
冒頭の「Spiral Dance」は、明らかにヨーロピアンなニュー・ジャズ風。それでも、リズム&ビートは実にブルージーでアメリカン。そんなハイブリッドな魅力的な楽曲をキースは、ヨーロピアンな響きを湛えたピアノを弾きまくる。そこに、明らかにヨーロピアンな響きを湛えたガルバレクのテナーが参戦する。この瞬間が実にスリリング。音は硬質で透明度が高い。リズムもエッジが適度に立っている。ヨーロピアンな響き。

続く2曲目の「Blossom」は一転、ヨーロピアンなフリー・ジャズの世界に突入する。フリーキーな演奏については、ガルバレクが強力でピカイチ。ガルバレクのフリーキーなブロウで、曲全体は一気に北欧化する。キースの存在が薄れる中、3曲目の「Long as You Know You're Living Yours」は、アーシーでゴスペルチックな米国ルーツ音楽風の展開。それを欧州系のジャズメンが追従する。

ニュー・ジャズ風の演奏、フリー・ジャズな演奏、アーシーでゴスペルチックな米国ルーツ音楽風な演奏、いずれもアメリカン4でもやっていた演奏。しかし、このヨーロピアン4、ガルバレクのテナーの威力が強力で、ガルバレクのブロウ一発で、演奏は一瞬にしてヨーロピアンな色に染まる。リーダーのキースより目立つガルバレク。この関係が今後どう影響するのか。それが楽しみに感じる、ヨーロピアン4ファースト盤である。

 
 

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2018年4月24日 (火曜日)

黒人の米国ルーツ音楽の融合

ふとしたタイミングで耳にした、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ・愛称「Q」)の『Sounds...and Stuff Like That!!』(アルバム紹介はここをクリック)。時は1978年、僕は当時20歳、大学に入って最初の年。これも、ふとした切っ掛けで見つけた、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った。衝撃的だった。その衝撃は今でもはっきり覚えている。

おおよそ、黒人の「米国ルーツ・ミュージック」、ジャズ、R&B、ゴスペル、ソウル、R&Rなど、それぞれの音楽要素がごった煮に融合されて、ひとつの魅力的な音世界を形成している。いわゆる「フュージョン・ミュージック」の集大成である。ここまで見事に、黒人の「米国ルーツ・ミュージック」を融合し、アレンジし尽くした成果を僕は初めて聴いた気がした。

そして、時は1981年3月。「Q」は新作をリリースする。Quincy Jones『The Dude』(写真左)。前作『Sounds...and Stuff Like That!!』の音世界、いわゆる、黒人の「米国ルーツ・ミュージック」を融合し、アレンジし尽くした「フュージョン・ミュージック」を更に洗練した、いわゆる「フュージョン・ミュージック」の完成形に出会った気がした。よくよく聴けばソフト&メロウなAORの要素も織り交ぜ、1980年当時、ジャズの世界で聴けば「最先端をいく音」であった。
 

The_dude  

 
しかし、正直に言えば、冒頭の「Ai No Corrida」の曲名を見た時、これ何語、と思った。英語では無いよな、なんて思いながら、LPに針を降ろした。格好良い、シャッフルな前奏で始まり、むっちゃR&Bなボーカル、わわっこれは、と思った瞬間、サビが訪れて「アイ ノ コリ〜ダ ・・・・」ときた。そして、ライナーノーツで邦題を確認する。「愛のコリーダ」。うわっ日本語か、よりによって「愛のコリーダ」か。とっても気恥ずかしい思いがした。暫く、苦手だった(笑)。

しかし、米国のリスナーからすると、片言の日本語でサビを歌うのは「クール」な感じなんだろうから仕方が無い。そう、この冒頭の「愛のコリーダ」で気恥ずかしがっている場合では無い。2曲目のタイトル曲以降、ラストの「Turn On the Action」まで、ノンストップで、目眩く「米国ルーツ・ミュージック」の融合の音世界。前作より、ソフト&メロウなAORの要素が効いて、クールでマイルドな雰囲気が加味されているところがニクい。

特に、パティ・オースチンの歌唱がむっちゃ格好良い。さすが「Q」、アレンジは完璧、プロデュースもツボを押さえた音作りが見事。この「Q」の音世界については、当時のフュージョン・ジャズの世界の中では最高峰な内容であり、繰り返し聴くにつけ、思わずひれ伏したくなるような内容であった。さすが「Q」、永遠の僕の「アイドル」である。

 
 

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2018年4月23日 (月曜日)

ロックとジャズとR&Bと

ジャズの合間の耳休めには、あんまりジャズからかけ離れない様にしている。70年代ロックを本格的に聴く時は、初めにジャズは聴かない。いきなり70年代ロックで入る。ジャズを聴いている合間の耳休めは、ジャズからあんまり離れない。クロスオーバー系のロックや、フュージョン系のロックを聴く。

1960年代終わり頃から1970年代にかけて、ブラス・ロックなるジャンルがあった。フロント楽器が金管楽器。3〜4管編成で、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニーが特徴。バックのリズム・セクションがロック系のエレギ、エレベ、そしてドラム。このブラス・ロックをベースにジャズとR&Bの要素を織り交ぜた、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックがあった。Blood, Sweat & Tears(以降、BS&Tと略)である。

Blood, Sweat & Tears『Child Is Father to the Man』(写真)。邦題『子供は人類の父である』。1968年のリリース。ちなみに、当時のBS&Tのメンバーを並べてみると、Randy Brecker (tp, flh), Bobby Colomby (ds, perc), Jim Fielder (b), Dick Halligan (tb), Steve Katz (g), Al Kooper (key), Fred Lipsius (as), Jerry Weiss (tp, flh)。ランディー・ブレッカーがおる。アル・クーパーがおる。フロントのブラスが4管。いわゆる「ブラス・ロック」の編成である。
 

Child_is_father_to_the_man  

 
音の味付けは「R&Bとジャズ」。ブラス・ロックの音の傾向は「クロスオーバー・ジャズ」。しかし、リズム&ビートはロック。このBS&Tの音世界はシカゴと並んで、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックの創始であった。ロック基調な分、ファンクネスは控えめだが、ブルージーな雰囲気は色濃く、フレーズはシンプルで判り易い。ボーカルもクセの無いストレートな歌唱で、これまた判り易い。

1968年のリリースという背景もあって、当時のミュージック・シーンの混沌とした感じやサイケデリックな音が、ところどころ顔を出す。この辺が純粋なジャズと全く異なるところで、ヒッピー・ムーブメントの影響をダイレクトに感じるのだ。アルバム・ジャケットを見てもそれを強く感じる。

アル・クーパーのボーカルが魅力的。明らかにロックのボーカルで、ジャズの様にこってこてファンキーでウェットな歌唱にはならない。しかし、このアルバム、聴くべきは「ブラス・ロック」の真髄の部分。洒落たホーンアレンジ、ジャジーなアドリブ展開、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニー。「ブラス・ロック」は、ジャズの合間の耳休めに最適な音楽ジャンルのひとつである。

 
 

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2018年4月22日 (日曜日)

ハッチャーソンのデビュー盤

ジャズは様々な楽器を受け入れる。クラシック音楽で使用している楽器はほとんど受け入れているし、アコーディオンや尺八など、特定の国でしか使用されない楽器をも受け入れる。この楽器、ヴィブラフォン(略してヴァイブ)も少数派ではあるが、ジャズで使用される楽器として歴史も古い。と言いつつ、ジャズ・ヴァイブ奏者って、かなり数が少ないぞ、と思い直す。

スイング時代はライオネル・ハンプトン、ハードバップ期はミルト・ジャクソン、渋くマイナーなところでエディ・コスタ、ヴィクター・フェルドマンくらいか。その後、新主流派〜ニュー・ジャズと呼ばれる時代では、ボビー・ハッチャーソン、そして、ゲイリー・バートンくらいしか思い浮かばない。

恐らくは、あまりに「ミルト・ジャクソン」の存在が大きく、かつメジャーで、ヴァイブがジャズの中でメジャーな存在であるような印象があるが、意外とその数は少ないのだ。しかも、先に挙げたジャズ・ヴァイブ奏者は全員が逝去している。現存するジャズ・ヴァイブ奏者はメジャーな存在はほとんどいない、つまりヴァイブは、ジャズ界の「絶滅危惧種」的楽器ではあるのだ。さて、そんな中、ボビー・ハッチャーソンの聴き直しを進めている。
 

The_kicker  

 
ハードバップ全盛以降の1963年がリーダー作デビューなので、ハッチャーソンのヴァイブはハードバップなヴァイブでは無い。ハッチャーソンのヴァイブは「新主流派」のヴァイブである。そんなハッチャーソンのデビュー盤が、Bobby Hutcherson『The Kicker』(写真左)。1963年12月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), Joe Henderson (ts), Duke Pearson (p), Grant Green (g,#4-6), Bob Cranshaw (b), Al Harewood (ds)。

しかし、発売は限定盤にて1999年。つまり、ハッチャーソンのデビュー盤は当時、お蔵入りだったのだ。お蔵入り盤と言いつつ、何が良く無いのか判らないが、新主流派のヴァイブの萌芽がしっかり捉えられている。但し、回りをガッチリと優れものの中堅ジャズメンで固められたのがマイナスに作用したのか、ハッチャーソンは小さくまとまってしまった印象はある。前へ出てこない、というか目立たない(笑)。

初リーダー盤としては、この「目立たない」ところが致命的でお蔵入りになったのでは、と睨んでいる。それでも、ハッチャーソンのプレイを注意深く聴くと、紛れもない「新主流派」のヴァイブであることが判る。ハッチャーソンを理解する上ではマストアイテム。

 
 

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2018年4月21日 (土曜日)

ながら聴きのジャズも良い・32

このところ、なんとなく朝夕、ヒンヤリとするなあ、と思っていたら、いきなり25度超えの夏日である。まだ4月の半ば過ぎだというのに夏日とは何事か。それでも、朝はまとまった風が吹いて、ウィンドブレーカーは必要だったので、昼前からの温度の上昇は体にこたえる。案の定、午後からダウン。しばらく伏せっていた。

これだけ、いきなり気温が上がると、音楽鑑賞どころでは無くなる。とにかく、この不意打ち的な気温の上昇で気が散って仕方が無い。難解な純ジャズはどうにもいけない。こういう時は、爽快で明快なフュージョン・ジャズが良い。単純に、難しいことを考えずに、音の躍動感、音の流麗さ、音のメリハリを気軽に楽しむ。フュージョン・ジャズはそういう切り口に良く合う。

Yellowjackets『The Spin』(写真)。1989年のリリース。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Jimmy Haslip (b), Marc Russo (sax), Will Kennedy (ds, perc)。あれ、ギターがいない。もともと、ロベン・フォードのギターとラッセル・フェランテのキーボードの2フロントがウリのバンドだったはずなんだが。
 

The_spin

 
この時代のイエロージャケッツは、キーボードが中心のバンドに変身している。しかも、このアルバムでは、ドラマーが交代したことによって、バンドの音がしなやか、かつジャジーになり、良好なフュージョン・サウンドに立ち返っているのだ。加えて、バンドの音がしなやかになることによって、打ち込みのリズム&ビートも耳につかなくなったのだがら面白い。

ジャジーになったとは言え、サウンドはメインストリームなエレ・ジャズなサウンド。ラッセル・フェランテのキーボードが後ろにドッカリと控えてつつ、マーク・ルッソのサックスやジミー・ハスリップのベースが目だっているところは、ウェザー・リポート後期のサウンドを彷彿とさせる。疾走感溢れ、爽快で明快なフュージョン・サウンドである。

他のバンド共々、1980年代のデジタルの波に翻弄されたイエロージャケッツではあったが、ジャジーなドラマーを据えることで、良い方向でデジタル録音、デジタル楽器の「難点」をクリアした。その最初の成果がこの『The Spin』である。爽快で明快、かつ流麗なフュージョン・ジャズな大人ので、ながら聴きに最適です。実際、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、お勧めの「ながら聴き」盤の一枚です。

 
 

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2018年4月20日 (金曜日)

思いきりアーシーでファンキー

ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)は、ファンキー・ジャズを代表するピアニストの一人。ピアノ・トリオの一番有名な盤として、1965年リリースの『The In Crowd』がある。ファンキー・ジャズの発展形、ソウル・ジャズの好盤と言っても良い内容。メロディーを簡略化し、アフター・ビートを強調したシンプル&ダンサブルな演奏。

では、そんなラムゼイ・ルイス。他にはどんなファンキー・ジャズなピアノ・トリオ盤があるのか。と考えたら、実は良く知らない、ということに突き当たる。そもそも、ジャズ盤紹介本などでは、ファンキー・ジャズの項で、ラムゼイ・ルイス、ピアノ・トリオと来たら『The In Crowd』以上、なのである。『The In Crowd』以外のファンキー・ジャズなトリオ盤を紹介することは殆ど無い。

どうも、ラムゼイ・ルイスは、クロスオーバー〜フュージョンの人という解釈が圧倒的。これはあかんやろ〜、ということで、独自に調べ始める。で、ラムゼイ・ルイスのアルバムをちょいちょい、つまみ食い風に試し聴きする。で、おおっこれは〜、と思ったアルバムがこれ。Ramsey Lewis『Down to Earth (Music from the Soil)』(写真左)。1959年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), El Dee Young (b), Issac "Red" Holt (ds)。
 

Down_to_earth_music_from_the_soil

 
ピアノ・トリオではあるが、ドラムとベースは知らない名前。もともとラムゼイ・ルイスは、メインストリーム・ジャズのジャズメンと組むことがかなり少ない。個人的に良く知ったスタジオ・ミュージシャン系のジャズメンを選ぶようだ。これがたぶん、我が国でメジャーにならない所以だろう。で、この盤であるが、ジャケットに、直訳すると「ラムゼイルイストリオが土から生まれた音楽をプレイする」と書いてある。

収録曲を見渡せば、「黒い瞳」「帰れソレントへ」「グリーンスリーブス」「時には母のない子のように」など、その昔のフォークソングの名曲の名が並ぶ。え〜、これってイージー・リスニングやないの、訝しく思うが、聴いてみて思う。これ、こってこてファンキーなソウル・ジャズやん。思いっきりアーシーでファンキーな演奏に、思わずクラクラする(笑)。

このこってこてファンキーな度合い、思いっきり俗っぽくて、これはやっぱりイージーリスニングなのか、なんて思ったりするが、聴き進めていくと、やっぱり、しっかりしたジャズなのだ。アフタービートを強調してファンキー度合いを増幅して、ゆったりとしたスイング感がソウルフル。ほとんど地味なアルバムではありますが、聴いて見ると、この盤のアーシーさがとても心地良い。意外とお気に入り盤です。

 
 

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2018年4月19日 (木曜日)

独特のうねるようなビート。

ボブ・ジェームスも良いが、ファンクネスたっぷりなフュージョン・ジャズを追求するなら、クルセイダーズ(The Crusaders)は絶対に外せない。クルセイダーズは、Wayne Henderson (tb), Wilton Felder (ts), Joe Sample (p), Stix Hooper (ds) の4人が結成したグループである。

もともと、彼らはジャズ・クルセイダーズとして10年間活動していた。しかし、1971年、グループ名を「クルセイダーズ」に変更。理由は「ジャズの冠がついているとラジオのDJがレコードを敬遠するきらいがあるから」。なるほど。で、クルセイダーズと改名してから、音世界が変わったのか、として聴いてみる。

そこでこの盤を聴く。『Crusaders 1』(写真)。1972年のリリース。改名して1年後、タイトルからして、新生「クルセイダーズ」の第1弾の様に見えるが、実は本作は名義変更後の第2弾のアルバム。リリース当時、LP2枚組の大作。本作は商業的に成功したようで、苦節12年の快挙。継続は力なり、ですね。
 

Crusaders_1  

 
しかし、1972年という時代のリリースである。基本はソウル・ミュージックとジャズのクロスオーバーではあるが、例えば、冒頭の「That's How I Feel」のへヴィーなベースとワウ・ギターなど、サイケデリック・ジャズの面影やスピリチュアル・ジャズの影響が聴かれる。ところどころ、この辺が、ちょっと「垢抜けない感じ」がする所以。

ジョー・サンプルのキーボードとこの盤ではまだ客演しているラリー・カールトンのギターは明らかに、従来のジャズからクロスオーバーへステップアップして、新しい音世界に入っていく。逆に、ウィントン・フェルダーのテナーとウェイン・ヘンダーソンのトロンボーンはまだ「新主流派」のフレーズを継承し、従来の音世界に留まっている。決して悪く無い、この2面性がこの頃のクルセイダーズの面白いところ。

しかし、クルセイダーズ独特のうねるようなビートはもうこの盤にしっかりとある。しばらく聴いていると、確実にクルセイダーズの演奏と判るほどの「うねるビート」。これが「クルセイダーズ者」には堪らない。このジャズには無い「うねるビート」はファンクネス満点で、とても心地良い。これがクルセイダーズの真骨頂。

 
 

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2018年4月18日 (水曜日)

ボブ・ジェームスの一里塚な盤

ボブ・ジェームスを聴き直している。ボブ・ジェームスのアルバムには、それぞれの時代の「節目」を象徴するようなアルバムが幾つかある。クロスオーバーからフュージョンへの転換点、アナログ録音からデジタル録音への転換点、アレンジャーからピアニストへの転換点。それぞれの転換点で、ボブ・ジェームスは「節目」となるようなアルバムをリリースしている様に思える。

さて、時は1984年。時代はアナログ録音からデジタル録音への過渡期。デジタルの録音って、アナログの録音ノウハウとは全く異通用しないらしく、おおよそのジャズメンは相当にデジタル録音に苦戦していた。加えて、シンセサイザーを含めた電子楽器も度合いは違うこそすれ、デジタル化の波が押し寄せ、アナログとは全く異なった音の「質」に適応するのに、これまたかなり苦戦を強いられていた。

Bob James『12』(写真)。そんな1984年のリリース。ボブ・ジェームスは1939年生まれだから、リリース当時45歳。ミュージシャンとして脂ののりきった、そして、丁度、人生の折り返し地点を過ぎた辺り。1974年、クロスオーバー・ジャズから頭角を現し、フュージョン・ジャズの「顔」として活躍したボブ・ジェームスの1つの到達点の様なアルバム。
 

Bob_james_12  

 
クロスオーバーからフュージョン・ジャズまで、それぞれの場面場面でのボブ・ジェームスの音楽的成果をこの『12』という一枚のアルバムに凝縮しているかの様な内容。冒頭の「No Pay, No Play」のファンクネス、ロス五輪の公式テーマ曲にも採用された、エレ・フュージョン感が満載の2曲目の「Courtship」。はたまた、打ち込みやシンセを多用、デジタル時代を象徴したような、3曲目の「Moonbop」。

そして、打って変わって、ボブ・ジェームス節全開、アコギの音が印象的な、ソフト&メロウな名演「Legacy」など、聴きどころ満載である。そして、この盤でもほとほと感心するのは、ボブ・ジェームスのデジタル録音、デジタル楽器への適応度の高さ。仄かにデジタル臭さは残るが、同じ時代の他のアルバムに比べると、アナログ録音との違和感が圧倒的に少ない。音の太さと厚さ、音のエッジの滑らかさ、どれをとっても秀逸。

この盤、ボブ・ジェームスにとって、アナログ録音からデジタル録音への転換点での、節目となるアルバムだと僕は思う。ボブ・ジェームスはこの盤『12』を最後にCBSからワーナーに移籍することになる。この後、暫くはボブ・ジェームスは、アレンジャーがメインのスタンスから、キーボード奏者の立ち位置に徐々に力点を移したアルバムを順次リリースすることになる。

 
 

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2018年4月17日 (火曜日)

コッテコテの「ソフト&メロウ」

フュージョン・ジャズのミュージシャンの中で、一番長く聴き続けているのは誰だろう、とふと思った。そもそも、当時まだ、フュージョン・ジャズというジャンル言葉が無くて、クロスオーバー・ジャズと呼ばれていた頃、FMで流れていたこの人の曲を聴いて、これは、と思って以来、ずっと聴き続けている。

時は1974年、FMで流れていたアルバムは『Bob James One』。ボブ・ジェームスである。フュージョン・ジャズの巨匠、そして「顔」である。そう、ボブ・ジェームスこそが、フュージョン・ジャズの中で、僕が一番長く聴き続けているミュージシャンである。で、ボブ・ジェームスの聴き直しを再開した。

Bob James『The Genie: Themes & Variations From the TV Series Taxi』(写真左)。邦題は『N.Y.メロウ』。1983年2月のリリース。このアルバム、タイトルから、人気TVドラマ「タクシー」のサウンド・トラック盤、と捉えがちだが、ラストの「アンジェラ」が「タクシー」のテーマ曲なだけで、それ以外の曲は全て、番組からインスパイアされたという、書き下ろしの新曲ばかりなのだから凄い。
 

The_genie

 
冒頭の「Brooklyn Heights Boogie」から、ボブ・ジェームスの個性満載である。ボブ・ジェームスのファン、いわゆる「ボブ・ジェームス者」からすると、曲の節回し、ブラスの使い方、アレンジの音の重ね方、どれもが「ボブ・ジェームス」で、とにかく、徐々に口元が緩んでくる。加えて、この盤の演奏は圧倒的に「ソフト&メロウ」。そういう面で、この盤は「フュージョン・ジャズ」のサンプル盤として捉えても良い内容である。

参加ミュージシャンも凄い面々。フュージョン・ジャズを代表するジャズメンばかり。一例を挙げると、Eric Gale, Steve Khan (g), Ralph MacDonald (perc), Peter Erskine, Steve Gadd (ds), Randy Brecker (tp),  Michael Brecker, Tom Scott (sax) 等々。ここに、スタジオ・ミュージシャンの優れものが多数加わるという感じのパーソネル。出てくる音は「超一流」。

この盤のボブ・ジェームスについては「ソフト&メロウ」度が最高。ちょっと甘めのフュージョン・ジャズで、一般のフュージョン者の方々には、ちょっと耳に持たれるかもしれません。でも、このコッテコテ「ソフト&メロウ」なのが、フュージョン・ジャズの真骨頂なので、これはこれで「アリ」かと。最後に、唯一、残念なのがこのアルバム・ジャケットのデザイン。もうちょっとなんとかならなかったんですかねえ(笑)。

 
 

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2018年4月16日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・118

ジャズをずっと聴き続けてきて、時折「これは何だ」と感嘆の声を上げるアルバムに出会うことがある。今から10年ほど前だろうか。フリージャズを聴くコツみたいなものが判る様になって、フリージャズを定期的に聴き、馴れ親しみ始めた頃である。まず、AEC(Art Ensemble of Chicago)に出会う。

そして、そのAECを生んだAACM(The Association for the Advancement of Creative Musicians)を知ることになる。そのAACMの発足メンバーの一人にして初代会長を務めた「ムハル・リチャード・エイブラムス(Muhal Richard Abrams」の名に出会い、その人はジャズ・ピアニストでもあることを知る。

ムハルは1930年生まれ。生きておれば今年88歳。惜しくも昨年10月に逝去している。ビ・バップからハードバップ時代に若き日を過ごした筈なんだが、彼の得意ジャンルは「フリー・ジャズ」。しかし、ムハルのピアノは、安易にフリーに流れることなく、クールな構築美を漂わしつつ、モダン・ジャズ基調なオーソドックスなタッチが個性。
 

Sightsong

 
Muhal Richard Abrams & Malachi Favors『Sightsong』(写真左)。1975年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Muhal Richard Abrams (p,syn), Malachi Favors (b)。デュオ演奏ではあるが、ベースのマラカイ・フェイヴァースも素晴らしいプレイを聴かせてくれるが、この盤はリーダーのムハル・リチャード・エイブラムスのピアノの印象がとても強い。

最終曲「Unitry(dedicated to the Aacm)」、サブタイトルが「AACMに捧ぐ」のこの曲のみが、いかにも1970年代フリージャズといった風情のアブストラクトな演奏。他の曲は、クールな構築美を漂わせたオーソドックスなタッチのピアノがメイン。そのオーソドックスなタッチのピアノが、時にモンクの様に「飛んだり跳ねたり」するフレーズを叩き出したりする。これが面白い。

普通のオーソドックで端正なジャズ・ピアノでは無い。時にモンクの様に、時にマルの様に、飛んだり跳ねたり、叩き続けたりするが、決してフリー・ジャズに流れない。これだけ自由度の高い、オーソドックスなジャズ・ピアノの演奏はなかなか他に無い。こういうピアノ盤が1970年代半ばに録音されていたことにちょっと驚く。メインストリームなジャズはいつの時代にも「生きていた」のだ。

 
 

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2018年4月15日 (日曜日)

カーラ・ブレイのデビュー盤

今まで、なかなかまとめて聴くことが出来なかったミュージシャンに「カーラ・ブレイ(Carla Blay)」がいる。昔から、カーラのアルバムのコレクションがし難かったこともあるし、ビッグバンドがメインのカーラなので、どうしても後回しになってしまう、ということもあった。とにかく、21世紀の今日の至るまで、有名で手に入り易い盤を2〜3枚しか聴いたことが無かった。

しかし、最近、ダウンロード・サイトの充実もあり、カーラの諸作がまとめて入手出来る様になった。いよいよ、カーラ・ブレイの諸作をデビュー盤から順に聴き通すに足る環境が整ったことになる。ということで、今年はカーラ・ブレイの諸作を聴き通すことを目標の1つにしている。しかし、カーラを知ってから約30年。やっとこの日が来たことになる。気の長い話ではある。

Carla Bley & Paul Haines『Escalator Over the Hill』(写真左)。1971年のリリース。リリース当時はLP3枚組の大作である。LPについては、片面が約25分以内という制約があったのと、恐らく、この盤の収録曲には厳格な収録順があったのだろう、曲順を入れ替えて詰めればLP2枚分に収まっただろうに、敢えてそれを避けているところに、カーラ・ブレイのこだわりと頑固さが見て取れる。
 

Escalator_over_the_hill_1  

 
カーラ・ブレイは米国出身のジャズ・ピアニストであり、作編曲家。一言で言うと「鬼才」の作編曲家である。カーラのキャリアの面白いところは、1957年、ポール・ブレイとの結婚以降、個性的な楽曲を作り出すようになったカーラはその音楽を広く認められ、一躍ジャズ界を代表するトップ・コンポーザーの地位を手に入れている。つまりは、夫の伝手を活用して、そのユニークな楽曲をたの大物ジャズメンに採用させ、その才能を広く認めさせたのだ。

さて、この大作、カーラ・ブレイのデビュー盤になる。詩人ポール・ハインズとの共作にしてLP3枚組の大作で、この作品は実験作的色合いが濃厚。それまでのジャズ・ビッグバンドの演奏概念を全く無視しつつ、新しい表現方法を提示、一定レベルの成果を収めている。内容的には、ジャズベースの「ジャズ・オペラ」といった内容で、ポール・ハインズの詩を基にした歌で展開していく。

旧来のジャズを聴く向きには拒絶反応が起きそうな内容なのだが、意外と、1960年代後半から1970年代前半に流行った「プログレッシブ・ロック」を好む耳には意外とフィットする。カーラはフリー・ジャズ、という固定概念があるが、これは当たらない。プログレッシブなニュー・ジャズを基調としている、と捉えた方が、このアルバムを聴くにはしっくりくる。今の耳にも結構ぶっ飛んだ「怪作」ではあるが、一聴の価値は大いにあると思料。

 
 

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2018年4月14日 (土曜日)

クロスオーバー者には堪らない

クロスオーバー・ジャズの面白いところは、ジャズとロックの融合をベースとしているところ。ビートは8ビート、アドリブ展開を旨とするインプロビゼーションのテイストはジャズ志向、エレギやシンセなど、当時の最先端をゆく電気楽器の使用方法や音色はロック志向。このジャズとロックの志向を織り交ぜたところに、独特の音のニュアンスが広がる。

これが、我々「クロスオーバー者」には堪らない。この独特のニュアンスが堪らない。フュージョン・ジャズとは一線を画する「クロスオーバー・ジャズ」独特の響き。この独特の響きのクロスオーバー・ジャズは、1960年代の終わりから、1970年代中盤の間に集中している。我々「クロスオーバー者」は、これらを聴くのが至上の喜びである。

George Duke『The Aura Will Prevail』(写真左)。1975年の作品。このアルバムも聴けば明確に「クロスオーバー・ジャズ」。冒頭のシンセサイザーの音色とフレーズが、実にクロスオーバーっぽい。シンセの使い方はロックなんだけど、フレーズはジャズ。そして、出てくる演奏が8ビート。電気楽器中心。うほ〜、コッテコテのクロスオーバー・テイスト。
 

The_aura_will_prevail

 
そう、この盤の1曲目は「Dawn」。懐かしい響き、音が太くてウネウネしたアナログ・シンセの音。この神秘的なアナログ・シンセの響きとうねりまくるエレベの音、スペイシーな雰囲気が心地良い。演奏のメインでは、エレピ、シンセ、エレベの絡みが絶妙で官能的。これぞクロスオーバー・ジャズ、って感じの演奏にご満悦。

思いっきりテンポを落として、タメの聴いたビートがとってもクールな、3曲目の「Foosh」も聴きもの。思いっきりテンポを落としてバラードか、と思いきや、ファンクネス溢れるR&Bな演奏に思わずハッとする。それでも、後のフュージョン・ジャズの様にソフト&メロウに傾かず、しっかりと「エレ・ジャズ」に軸足を残しているところが、クロスオーバー・ジャズたる所以。

そして、最後を飾るのは亜アルフォンス・ジョンソンのベースがうねりまくる、デュークお得意のブラジル・チューン「The Aura」。無茶苦茶、格好良い。ということで、この『The Aura Will Prevail』、魅力的なイラスト・ジャケットも併せて、クロスオーバー・ジャズの好盤である。

 
 

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2018年4月13日 (金曜日)

Jean-Luc Pontyって誰?

バイオリンと言えば「クラシック」を連想する。しかし、ジャズは吸収力が大変高い音楽ジャンル。クラシックの代表楽器である「バイオリン」もジャズに活用する。クラシックの代表楽器だから、結構、ムーディーでメロディアスなジャズを奏でるのであろう、と思うのだが、これが違う。バイオリンはメロディアスな楽器ではあるが、結構、エモーショナルな音も出るし、結構、アグレッシブで激しい音も出る。

基本的に弦楽器なので、エレギの出来る表現の殆どがバイオリンで出来る。つまりは、バイオリンでジャズをやる場合、意外と先進的なフリージャズやモードジャズが主流となるケースが多いのだ。そうなれば、数が少ないとはいえ、バイオリンのジャズでの活用は、意外と先進的なシーンが多い。時代は、1960年代末、クロスオーバー・ジャズがトレンドになり始めた頃。数少ないジャズ・バイオリンの名手が一人、現れ出でる。フランス出身のJean-Luc Ponty=ジャン・リュック・ポンディである。

『King Kong : Jean-Luc Ponty Plays the Music of Frank Zappa』(写真左)。1969年10月の録音。パーソネルについては、曲によって、様々なゲスト・ミュージシャンを呼んでの録音であったが、主だったところでは、George Duke (p, key), iano, Ernie Watts (sax), Wilton Felder (b) 等々。録音時期のジャズの最先端のトレンドは「クロスオーバー・ジャズ」。
 

King_kong_jeanluc_ponty_plays_the_m

 
この盤、明らかに「クロスオーバー・ジャズ」である。ジャズとロックとクラシックの融合と表現したら良いのか、ビートは「エイト・ビート」がメイン。電気楽器の活用やバイオリンの音へのイコライジングなど、明らかにエレクトリックなジャズであり、アプローチと音の音色は、クロスオーバー・ジャズ。聴きようによっては「プログレッシブ・ロック」の様でもある。

ポンティのバイオリンは、限りなくアグレッシブでプログレッシブ。テクニックも優秀、攻撃的なフレーズもあれば、メロディアスなフレーズもある。バイオリンという楽器の出せる音色、テクニックのほぼ全てを総動員して、ポンティはバイオリンをとっても気持ちよさそうに弾きまくっている。

クロスオーバー・ジャズの初期の傑作の一枚です。リズム&ビートも明確に「クロスオーバー」していて、これを聴くだけで懐かしい。電気楽器の音がちょっと時代がかっていますが、これは仕方が無い。しかし、この発展途上のエレジャズの電気楽器の音って、何か人間っぽくてとっても良い感じです。アナログ時代の手作りな「プログレッシブなクロスオーバー」。好盤です。

 
 

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2018年4月12日 (木曜日)

パーランというピアニスト

この人のピアノは、ジャズ者初心者の頃からずっと気になっていた。聴いてみると判るんだが、何か右手のフレーズの紡ぎ方がユニーク。三連符の積み重ねというか、スイング感とスピード感を増幅させる短い指回し。指を3本だけ使った様なローリング。加えて、独特の間。決して長いフレーズを弾きまくることは無い。パッと短いフレーズを弾き、独特の間があって、またパッと短いフレーズが続く。「行間を読む」様な独特な「間」。

そのピアニストとは「ホレス・パーラン(Horace Parlan)」。少年時代にポリオを患い、そのために部分的に右手が変形。そのリハビリのために始めたというピアノが高じてジャズ・ピアニストへの道を歩んだ、という異色のジャズ・ピアニスト。左手のブロック・コード弾きでグイグイ押しまくる。そこに、右手の指2本が使えない状態で、右手のスイング感とスピード感を増幅させる指回し。

左手のブロック・コードがアーシーでジャジー。右手のスイング感とスピード感を増幅させる短い指回しが、粘らないスッキリとしたファンクネスを醸し出す。そして、左手も右手も、独特の個性的な「間」があって、この「間」が、ジャジーな雰囲気を強調する。そんなホレス・パーランのピアノって、クラシックの世界では絶対にあり得ない。ジャズだからこそ光る、ホレス・パーランの個性。
 

Movin_groovin

 
Horace Parlan『Movin' & Groovin'』(写真左)。1960年2月29日の録音。ホレス・パーランの初リーダー作。ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Sam Jones (b), Al Harewood (ds)。ブルーノート・レーベルでは珍しいピアノ・トリオ。このピアニストの個性をしっかり聴かせたい、と思う時に、総帥のアルフレッド・ライオンはピアノ・トリオを選択するのだろうか。

ジャズにおいては、初リーダー作ほど、そのジャズメンの個性を正確に表したものはない。というが、確かに、この初リーダー作は、ピアノ・トリオというフォーマットも相まって、ホレス・パーランのピアノの個性を最大限に表している。しかも、パーランの個性が他のピアニストとどう違うのか、それがとても良く判る選曲もこの盤の良さ。渋いスタンダード曲を選んでいる。曲選びの巧みさ。この盤の特徴でもある。

初リーダー作ということもあってか、相当気合いが入って弾き回している。録音した時点で、弱冠29歳の若さ。その若さ故、オーバードライブ気味に危うい部分もあるが、破綻ギリギリのスリリングなアドリブ・フレーズが、これまた揺るぎの無い個性だったりする。良い初リーダー作だ。一聴の価値あり。ちなみに2017年2月23日、ホレス・パーランは永眠している。86歳だった。

 
 

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2018年4月11日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・69

デューク・ピアソンはブルーノート・レーベルで重要な役割を担ったジャズメン。いわゆる「A&R」=Artists and Repertoire(アーティスト・アンド・レパートリー)である。ジャズメンの発掘・契約・育成とそのジャズメンに合った楽曲の発掘・契約・制作を担当する役割。スカウトマンとセッション・リーダー、プロデューサーを併せ持った役割と言ったら良いだろう。

ブルーノート設立以降、その役割を担っていたアイク・ケベックが1963年に亡くなって以降、このデューク・ピアソンがケベックに取って代わった。ブルーノート後期の中で、ピアソンは重要人物であった。しかし、ここではピアソンのピアニストとしての資質にスポットを当てる。

ピアソンのピアノは「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」。そんな素敵な個性がこの盤に溢れている。その盤とは、Duke Pearson『Tender Feelin's』(写真左)。1959年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Gene Taylor (b), Lex Humphries (ds)。ブルーノート・レーベルでは珍しいピアノ・トリオ盤である。
 

Tender_feelins

 
デューク・ピアソンのピアノは軽快。流れる様に転がる様に弾く。しかも端正。その素敵な個性が、この盤の収録曲それぞれで最大限に発揮されるのだ。そう、この『Tender Feelin's』という盤、収録曲がどれもが魅力的なものばかり。冒頭の「Bluebird of Happiness」で、なんと可愛いと思い、次の「I'm a Fool to Want You」で、渋いなあと思う。そして、3曲目の「I Love You」で、やっぱコール・ポーターはええなあと感心する。

そして、何と言っても、この盤のハイライトは、5曲目、ジョン・ルイス作の美しいリリカルな名曲「The Golden Striker」と、僕の大好きなスタンダード曲「On Green Dolphin Street」。この僕の大好きなスタンダード曲の2曲において、ピアソンは、流れる様に転がる様にピアノを弾く。シンプルで端正なんだが、そこにしっかりジャジーさを偲ばせていて、正統派ハードバップなピアノとして「聴く価値あり」な、素敵なピアノである。

特に「On Green Dolphin Street」は絶品。このちょっと捻れたエキゾチックな響きを持つスタンダード曲で、テーマはシンプルに軽快に弾き進め、アドリブでは、小粋でインテリジェンス漂う、小洒落たフレーズを軽快に弾き、そのタッチは明確に「リリカル」。メジャーな存在では無いが、その個性は愛すべきもの。このピアソンの『Tender Feelin's』、ジャズ・マニア向けとも言われるが、どうして、僕はジャズ者初心者の方々にも絶対のお勧め盤である。

 
 

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2018年4月10日 (火曜日)

ピアソンというピアニスト

ジャズの老舗レーベルである「ブルーノート」。ブルーノート・レーベルには、意外とピアノ・トリオ盤が少ない。ピアノ・トリオかな、と思ったらコンガが入っていたり、フロントにテナーやトランペットの管が入っている。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが「管入りカルテットやクインテット」が好きだったんやないかなあ、と想像している。

また、ブルーノート・レーベルのピアノの録音された音には、独特の「響きと音像」がある。デッド寄りで、ちょっとモコっとしている「音の塊」って感じの音。決して、切れ味の良い、音のエッジが立ったピアノの音では無い。だから、ブルーノート・レーベルの盤のピアノの音って意外と良く判るのだ。

このアルバムのピアノの音もそうだった。初めて聴いた時、ああ、これはブルーノートのピアノの音だ、と思った。でも、誰のピアノだか判らない。アドリブでは、インテリジェンス溢れる粋なフレーズを紡ぎ上げ、タッチのリリカルな響きがとても洒落ている。しかし、その底にはしっかりとブルージーな雰囲気が漂っていて、とってもジャジー、加えて、素朴にスインギー。
 

Profile  

 
誰のピアノなんだ。思わず、ママさんのいるカウンターまでジャケットを見に行った。そのアルバムとは、Duke Pearson『Profile』(写真左)である。1959年10月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Pearson (p), Gene Taylor (b), Lex Humphries (ds)。ブルーノートには珍しいピアノ・トリオである。だからこそ、僕はこだわった。何なんだ、このピアニストは。

デューク・ピアソンのピアノは軽快。流れる様に転がる様に弾く。しかも端正。端正だけれど耳につかない。心地良い端正さ。全編に渡って破綻が無い。とても聴き易い。これだけ聴き易いと「イージーリスニング・ピアノ」では無いのか、とも思うのだが、そうはならないところが、ピアソンのピアノの面白いところ。

先にも書いたが「インテリジェンス溢れる粋なフレーズ、タッチのリリカルな響き」と、タッチの底にあるブルージーな雰囲気が、このピアソンの聴き易いピアノを聴き易いだけで終わらせない、小粋で流麗なハードバップ・ピアノに昇華させている。これだけ端正なピアノで、思いっきりジャズを感じさせてくれるピアノはなかなか他に無いものです。好盤。

 
 

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2018年4月 9日 (月曜日)

1990年代フュージョンの好盤

もともと、ここバーチャル音楽喫茶『松和』では、フュージョン・ジャズも得意ジャンルとしている。フュージョン・ジャズが流行った時期は、1970年代後半から1980年代前半。僕は、ちょうど大学生、リアルタイムで、このフュージョン・ジャズの流行をリアルタイムで体験してきた。行きつけの喫茶店で、毎日のように流させてもらったなあ。

1980年代半ばの「純ジャズ復古」のムーブメントに押されて、一気に衰退したが、どうして、フュージョン・ジャズはしっかりと生き残っている。聴き心地を追求したものは「スムース・ジャズ」と呼ばれるが、バカテクを駆使しつつ、米国ルーツ・ミュージックを融合したエレクトリック・ジャズは、今でも「フュージョン・ジャズ」と呼びたい。

例えば、この盤を聴くと、フュージョン・ジャズって、しっかりと生き残っているんやなあ、と強く感じる。その盤とは、Brian Culbertson『Secrets』(写真左)。1997年のリリース。ちなみに参加ミュージシャンは、主だったところでは、Ricky Peterson (key), Gerald Albright (sax), Dwight Sills (g), Paul Brown; Jeff Golub (g), Paul Jackson, Jr. (g) 等々。
 

Brian_culbertson_secrets  

 
参加メンバーを見渡すと、スムース・ジャズをメインとするよりは、フュージョン・ジャズを得意とする面々。その面々を統率する理リーダーのBrian Culbertson(ブライアン・カルバートソン)は、米国出身のジャズ・ピアニスト&作曲家・編曲家。スムース・ジャズにも手を染めるが、この盤は明らかにフュージョン・ジャズの音が詰まっている。もともと、カルバートソンのプレイは、リリカルにて流麗、そこに融合するファンクネス。

基本は、ファンク・フュージョン。しかし、ディスコ・ミュージックの様なメリハリの効いたファンクネスでは無い。流れる様な、爽快感溢れるファンクネス。テクニックは優秀。しかも、この盤の特徴は、リズムに関して「打ち込みと生の収録」が混在して、独特のグルーブ感を生み出しているところ。この独特のグルーブ感がこの盤の特徴であり、1990年代のフュージョン・ジャズやなあ、と強く感じさせてくれるところ。

そんな独特のグルーブ感に乗って、名うてのフュージョン系ミュージシャンが流麗でバイタルなフレーズを噛ましまくる。最初は「打ち込みかあ」と思って、盤を変えよかな、と思うんだが、聴き進めて行くとグイグイ惹き込まれて、ついつい最後まで聴いてしまう。フュージョン・ジャズの良いところがギッシリ詰まった好盤である。

 
 

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2018年4月 8日 (日曜日)

エバンスの評価基準の厳しさ

ジャズ・ピアノのレジェンドの代表の一人、ビル・エバンス。ビル・エバンスは生前、自分のパフォーマンスの評価には厳しかった人だったみたいで、アルバム一枚分のスタジオ録音の音源丸々、発売NGを出したり、特にライブ音源の評価には厳しかった。故に、生前に残した未発表音源は結構な数だったみたいで、1980年9月15日に逝去して以来、現在に至るまで、様々な種類の未発表音源がリリースされ続けている。

BIll Evans『Eloquence』(写真)。邦題『ビル エヴァンスの肖像』。録音時期は1973年11月〜1975年12月に渡る。4回の録音を集めた、いわゆる未発表音源集である。リリースは1982年。エバンスの死後、2年経ってのリリースである。しかし、パーソネルは固定されているところがエバンスの未発表音源らしい。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b)。

この盤、全て未発表音源なのだが、演奏内容は、前半の1〜4曲目まで、エバンスとゴメスのデュオ演奏。エバンスの演奏史上、最高のパートナーでありベーシストであるゴメスとのデュオ。発表されている音源だけでも、その充実した内容については、このエバンスとゴメスのデュオは最高レベルのものであったが、この未発表音源についても、そのレベルは変わらない。
 

Evans_eloquence

 
変わらないどころか、この未発表音源の方が出来が良いのではないか、と思われる演奏もあって、ビル・エバンスの録音音源に関する評価基準の厳しさを改めて感じる。このデュオ演奏では、エバンスはエレピにも手を染めている。November 7-10, 1974年11月の録音分の「Gone With The Wind」「Saudade Do Brasil」の2曲なんだが、改めて聴くと、やはりエバンスのエレピって内容があると僕は思う。

そして、後半の5〜8曲目が、エバンスのソロ。特に、2種類のメドレーが素晴らしい。1973年11月録音の「When In Rome 〜 It Amazes Me」のメドレー。そして、1975年12月録音の「But Not For Me 〜 Isn't It Romantic 〜 The Opener」。エバンスのピアノ・ソロ、それもメドレー演奏は素晴らしい。このメドレーが未発表音源だったなんて信じられない。

この未発表音源集の『Eloquence』、収録された未発表音源の内容はとてもレベルが高いものばかり。恐らく、LP時代のアルバムの収録時間の関係で、アルバムに収録出来なかった演奏ばかりを集めたものでは無いかと推測している。でも、エバンスの中の何かの基準を持って、収録の可否を判断している訳で、この未発表音源の出来を改めて体験してみて、やっぱりエバンスの自分のパフォーマンスの評価の厳しさを再認識した次第。

 
 

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2018年4月 7日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・117

ジャズ・ボーカリストは星の数ほどいるが、ジャズ・コーラス・グループは数が少ない。メジャーな存在になって、ジャズの歴史に名を残したジャズ・コーラス・グループは両手の数ほどである。そんなジャズ・コーラス・グループの中で、僕が愛して止まないのが、「マンハッタン・トランスファー(Manhattan Transfer)」。長いグループ名なので以下「マントラ」と略しますね。

マントラは米国のジャズ・コーラス・グループ。男性2名+女性2名の4名構成。卓越したボーカル技術とハーモニーで、フュージョン・ジャズ系のボーカル・コーラスを展開する。純ジャズ系でないところが、僕にとっての最大の「愛すべきポイント」で、様々な音楽ジャンルの楽曲をジャズ・コーラスに変えて、素敵なフュージョン・ジャズとして、小粋にクールに聴かせてくれる。

今日聴いたマントラは、Manhattan Transfer『Swing』(写真左)。1997年の作品。モダンジャズのスタンダード曲でも無く、米国ポップスのヒット曲でも無く、1920〜30年代に流行したジャズのスタイルである「スイング・ジャズ」の楽曲をチョイスして、ジャズ・コーラスとしてアレンジして聴かせてくれる。これが、とっても良い出来なのだ。
 

Mantra_swing  

 
まず、スイング時代の楽曲をチョイスしたところがミソ。ダンス・ミュージックの起源とも評されるスイング・ジャズ、その名の通り、スイング感が抜群なのだ。つまり、スイング時代の楽曲って、ジャズ・コーラスに不可欠のスイング感が既に備わっている。そして、この盤の収録に選ばれたスイング時代の楽曲の旋律がとっても良い。どれもが、ダンサフルでポップでメロディアス。

加えて、スイング時代の楽曲は、カウント・ベイシーやベニー・グッドマン、グレン・ミラーなど、ジャズ・オーケストラでの演奏を前提としていて、ユニゾン&ハーモニーを取りやすいアレンジがなされている。このジャズ・オーケストラの演奏をジャズ・コーラスにしっかりと置き換えて、ユニゾン&ハーモニーの響きを最大限の増幅させている。

とにかく聴いて楽しいマントラのジャズ・コーラス。しっかりジャジーな要素も踏まえていて、極上のフュージョン系のジャズ・コーラスがとにかく素晴らしい。内容がシッカリとしていて濃いので、聴き始めたら一気に聴き切ってしまう。マントラのジャズ・コーラスの良い面が全て出た傑作盤。僕にとってのマントラ好盤のベスト3に入るお勧め盤である。

 
 

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2018年4月 6日 (金曜日)

エバンス異色のクインテット盤

ジャズ・ピアノの最大のレジェンドの一人「ビル・エバンス(Bill Evans)」。エバンスの場合、初リーダー作から、まずは「リヴァーサイド・レーベル」の諸作、続いて「ヴァーヴ・レーベル」の諸作。この辺までが人気の高い盤。次の「ファンタジー・レーベル」以降の盤については、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で、取り上けられることが少ないように感じる。

何故かなあ。エバンスの晩年、1974年から1977年の3年間、コンスタントにリーダー作をリリースしたファンタジー・レーベル。晩年の演奏だから初期〜中期に比べると衰えが見える気がするからなのか、はたまた、今でも一部で評判の悪いエレピの採用がいけないのか、どうにもファンタジー・レーベルの諸作は分が悪い。

でも、ですね。ファンタジー・レーベルの諸作って、粒が揃っていて、どの盤を聴いてもなかなかの出来なんですよ。ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌であまり紹介されない、若しくは評判がイマイチな感じだからと言って、聴かず嫌いは良くありません。僕は、逆に、ファンタジー・レーベルの諸作は意外と好きです。エバンスのピアノは安定しているし、ゴメスのベースも成熟の域。悪かろう筈が無いんですけど・・・。
 

Quintessence

 
例えば、Bill Evans『Quintessence』(写真)。1976年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Harold Land (ts), Kenny Burrell (g), Ray Brown (b), Philly Joe Jones (ds)。エバンスには珍しい、フロントにランドのテナー、そしてバレルのギターを擁してのクインテット構成。しかも、ベースには大ベテランのレイ・ブラウン、ドラムにはこれまた大ベテランのフィリージョー。このメンバーで大丈夫なのか。

その不安は杞憂でした。エバンスのピアノがしっかり鳴り渡って、独特の耽美的でリリカルな雰囲気を反映した、質の良いクインテット演奏が繰り広げられています。ベースがブラウン、ドラムがフィリージョーと聴いただけで、目立ちたがり屋合戦が繰り広げられて、ドタバタ収集のつかないハードバップ演奏になっているかと思っていたのですが意外でした。

特に、フロントにテナーとギターが配されていて、テナーのバックの時、ギターのバックの時、それぞれちょっと異なる伴奏の雰囲気を感じることが出来て、伴奏上手のエバンスのその妙技が堪能できます。エバンスのディスコグラフィーの中では異色盤ですが、なかなか内容のある盤で、エバンス者の方々だけで無く、一般のジャズ者の方々にもお勧めの好盤です。とにかく、エバンスのピアノの響きが心地良し。

 
 

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2018年4月 5日 (木曜日)

クロスオーバーは奥が深い。

1970年前半から中盤にかけて、ジャズの最先端のトレンドは「ジャズとロックの融合」。誰が名付けたか「クロスオーバー・ジャズ」。リズムの基本は「8ビート」。ギターはエレギ、キーボードはエレピ、ベースはエレベ。つまりは電気楽器がメインの、ロックの手法を前面に押し出したジャズ。どこがジャズなのか。即興演奏の存在が「ジャズ」。

The Eleventh House featuaring Larry Coryell『Aspects』(写真左)。クロスオーバー・ジャズの典型的な演奏例がギッシリ詰まった好盤である。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Terumasa Hino (tp, flh), Mike Mandel (key), John Lee (b), Gerry Brown (ds)。おお、日本が誇るトランペッター、日野皓正が参加している。

冒頭の「Kowloon Jag」のイントロのエレギのフレーズを聴いたら、この盤ってハードロックの盤だっけ、と思わず、ジャケットを再確認する。イントロのエレギの歪んだハードで硬質なエレギの音は紛れもなく「ロック」のエレギの音そのもの。これが、高速8ビートに乗って、超絶技巧なテクニックを駆使して、ラリー・コリエルがエレギを弾きまくる。
 

Aspects_1

 
うかっと聴いていると、この盤、ハードロックやん、と思うんだが、聴き込み出すと明らかにロックとは違うことに気付く。まず、コードが複雑。そして、ビートが複雑。ロックをシンプルとすると、ジャズはコンプレックス。そして、必ず、即興演奏的なインプロビゼーションが展開される。これはロックには無いもの。勢い演奏時間は長くなる。大体5〜8分位が平均だろうか。

ゲストとして、ブレッカー兄弟や泣きのサンボーン、パーカッションのムトゥーメなどが参加して、演奏の底にそこはかとなく、濃厚なファンクネスが横たわる。なんとなくブルージーでなんとなくファンキーな要素が見え隠れする。この辺がこの盤の演奏が「ジャズ」である所以。そして、それをバックで支えるジョン・リーのベースとゲイリー・ブラウンのドラムの「超絶技巧な高速8ビート」がとても素晴らしい。

何の戸惑いもなく、ハードロック風のプレイに真摯に取り組むコリエルのエレギが最大の聴きもの。そして、超絶技巧な高速8ビート。これが「クロスオーバー・ジャズ」。優れたクロスオーバー・ジャズは今の耳で聴いても新鮮に響き、聴き込めば聴き込むほど、様々な仕掛けや音色に気がつく。クロスオーバー・ジャズって意外と奥が深いのだ。

 
 

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2018年4月 4日 (水曜日)

ECMレーベルの録音の個性

ジャズ・レーベルの中でも、ブルーノートとECMは録音された音の個性がとっても強い。どんな盤でも暫く聴いていると「これって、ブルーノートちゃう?」とか「これってECMでしょ」となるほど、録音された音の個性が強い。これは、レーベルの総帥プロデューサーの明確な音への意向とそれに応える録音エンジニアの成果である。

例えば、Dave Holland Quartet『Conference of the Birds』(写真左)。1972年11月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Holland (b), Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute), Barry Altschul (perc, marimba)。ピアノレスのサックス2管フロントの変則クインテット。しかも、フロント2管がリバースとブラックストン。濃い。めっちゃ濃いフロントである。

冒頭の「Four Winds」を聴けば、恐らく、ジャズ者中級者の方はECMレーベルの音と判るのではないか。それほど、個性的な音である。演奏内容としては、モードジャズを極端に適用して自由度を最大限に増幅した「ニュー・ジャズ」的な演奏と、欧州ジャズお得意のファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が交互に出てくるもの。
 

Conference_of_the_birds

 
欧州的なファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧な自由度の高いインプロビゼーション中心の純ジャズって、他のレーベルでもよくあるもの。それでいて、なぜECMだけが聴き分けられるのか。僕の場合は「演奏に被るエコー」と「ドラムやパーカッションの音の粒立ちと倍音の奥行き」を判断基準としている。つまりは独特の録音環境と、レーベルとして厳格に仕様を定めた「個性的なミックスとマスタリング」にあると睨んでいる。

この盤もフロント2管、リバースとブラックストンのテナーにかかるエコーが独特である。米国ジャズ盤にない、深くて濃いエコー。これがまあトゥーマッチ寸前、絶妙のレベルでのエコー。これ素晴らしい仕事です。そして、アルトシュルのパーカッションの粒立ちの良さと響きの奥行き。これがECMレーベル独特のものなのだ。長年ECMレーベルを聴き親しんでいると必ず判別できる。

そんな音の個性を纏って、ファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が展開されるこの盤。欧州ジャズの美味しいところがギッシリ詰まっていて、初期のECMレーベルの音を明確に表現している好盤として良いかと思う。しかし、その自由度の高い演奏はジャズ者初心者の方々にはちょっと重荷かも。この盤は謹んで、ジャズ者中級者以上の方々にお勧めしたい。

 
 

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2018年4月 3日 (火曜日)

ネオ・ハードバップの良い一例

ハードバップが流行したのは1950年代。1960年代前半には、ハードバップが分岐して、アーティスティックなモード奏法や、ポップなファンキー・ジャズやソウル・ジャズに発展。その後、一旦は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズに席巻されたが、1980年代後半、純ジャズ復古の大号令と共に、ハードバップが復権。

1980年代後半、マイルスは、若手ミュージシャンの一部が「ハードバップ」の焼き直しに熱中する様を見て、「昔、自分たちがやり尽くしたハードバップを焼き直して何が面白いのか」とその保守性を揶揄した。確かに純ジャズ復古の初期の頃は、ハードバップのコピー、焼き直しな演奏が多く、今の耳で聴けば、確かに保守的やなあ、と感じるものが多かった。

しかし、21世紀に入って、純ジャズ復古でハードバップを知った世代が、若手ジャズメンとして活躍する環境になって、その「ハードバップ」は深化する様になった。アプローチや展開、アレンジ、奏法などに工夫を施し、ハードバップではあるが、新しい「何か」を宿した「ネオ・ハードバップ」な演奏がコンスタントにリリースされる様になった。
 

Walk_the_walk  

 
Eric Siereveld's Organic Quintet『Walk the Walk』(写真左)。2018年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、Eric Siereveld (tp), Tony Barba (ts), Jonathan Kreisberg (g), Steve Snyder (hammond b3 organ), Mitch Shiner (ds)。 アルバム・タイトルを見ると、ギターのJonathan Kreisbergをフィーチャーしている。冒頭の「The Last Innovator」から、立派な内容のハードバップな演奏である。

リーダーのトランペッター Eric Siereveldは端正で明朗なブロウで魅了する。本当に素敵に鳴るトランペットだ。演奏のスタイルは明らかに「ハードバップ」。しかし、1950年代のハードバップでは無い。明らかに深化した「ハードバップ」な響きに耳を奪われる。効果的に織り込まれる Jonathan KreisbergのギターとSteve Snyder のオルガン。

ギターとオルガンが織り込まれたからといって、演奏の雰囲気は決して「ファンキー・ジャズ」にならないところが、この盤の演奏の理知的なところ。そんな理知的なハードバップは、21世紀の新しいジャズの響きに満ちている。対峙して聴き込むも良し、何かしながらの「ながら聴き」にも良し。この盤の演奏こそが「ネオ・ハードバップ」の良い一例だろう。

 
 

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2018年4月 1日 (日曜日)

エバンス=ゴメスのライブ好盤

ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイを可能にした、最初のピアノ・トリオが「ビル・エバンス・トリオ」。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、加えてリズムも十分供給出来る、という力量を持つベーシストが存在すること。これが、エバンス・トリオで「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を可能にするキーワードの1つ。

初代のベーシストは「スコット・ラファロ」。しかし、1961年7月6日、ニューヨーク州ジェニヴァ近郊のフリントで交通事故にて死去。その後、チャック・イスラエルが担当するが、「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を完璧に展開するには至らなかった。しかし、1966年から、エディ・ゴメスがベースを担当することになり、この「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を可能にするキーワードの1つ、を充足する。

エディ・ゴメスというベーシストを得ることにより、ビル・エバンス・トリオは、再び「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を完璧に展開することが可能になった。どころか、ゴメスの骨太で強靱な、それでいて多弁で流麗なベースによって、スコット・ラファロ時代よりも充実かつ高度なインタープレイを実現した。
 

Montreux

 
そして、そんなゴメスのベースは、ドラムの役割をも肩代わりすることが出来、エバンスとの充実のデュオをも可能にした。そんなエバンスとの充実のデュオの記録が、Bill Evans『Montreux III』(写真左)。1975年7月20日、モントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。改めてパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gomez (b)。エバンスとゴメスのデュオ。

ゴメスのベースが実に多弁。ドラムがいなくても、ビートの空間を埋める必要が無いくらいで、ゴメスのベース・ラインが独特のグルーヴを生んでいる。そんなゴメスの生み出すビートとグルーヴをバックに、とても気持ちよさそうに、エバンスはアコピとエレピを弾きまくっている。もともとエバンスは、特にライブで「バッパーなピアノ」を弾くのだが、エバンスが音符を沢山重ねても、ゴメスのベースは、そんなエバンスのピアノにピッタリと追従し、台頭に渡り合う。

ピアノとベースとのディオの濃密なインタープレイが見事である。二人のコール&レスポンスもバッチリ合って、ピアノ+ベースのデュオとしては優れた内容のライブ盤である。独特のグルーヴを生み出すゴメスのベース・ラインがどの曲にも効いていて、このライブ音源でのスイング感は半端ない。ジャズのデュオ好盤の一枚。

 
 

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