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2018年4月 4日 (水曜日)

ECMレーベルの録音の個性

ジャズ・レーベルの中でも、ブルーノートとECMは録音された音の個性がとっても強い。どんな盤でも暫く聴いていると「これって、ブルーノートちゃう?」とか「これってECMでしょ」となるほど、録音された音の個性が強い。これは、レーベルの総帥プロデューサーの明確な音への意向とそれに応える録音エンジニアの成果である。

例えば、Dave Holland Quartet『Conference of the Birds』(写真左)。1972年11月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Holland (b), Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute), Barry Altschul (perc, marimba)。ピアノレスのサックス2管フロントの変則クインテット。しかも、フロント2管がリバースとブラックストン。濃い。めっちゃ濃いフロントである。

冒頭の「Four Winds」を聴けば、恐らく、ジャズ者中級者の方はECMレーベルの音と判るのではないか。それほど、個性的な音である。演奏内容としては、モードジャズを極端に適用して自由度を最大限に増幅した「ニュー・ジャズ」的な演奏と、欧州ジャズお得意のファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が交互に出てくるもの。
 

Conference_of_the_birds

 
欧州的なファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧な自由度の高いインプロビゼーション中心の純ジャズって、他のレーベルでもよくあるもの。それでいて、なぜECMだけが聴き分けられるのか。僕の場合は「演奏に被るエコー」と「ドラムやパーカッションの音の粒立ちと倍音の奥行き」を判断基準としている。つまりは独特の録音環境と、レーベルとして厳格に仕様を定めた「個性的なミックスとマスタリング」にあると睨んでいる。

この盤もフロント2管、リバースとブラックストンのテナーにかかるエコーが独特である。米国ジャズ盤にない、深くて濃いエコー。これがまあトゥーマッチ寸前、絶妙のレベルでのエコー。これ素晴らしい仕事です。そして、アルトシュルのパーカッションの粒立ちの良さと響きの奥行き。これがECMレーベル独特のものなのだ。長年ECMレーベルを聴き親しんでいると必ず判別できる。

そんな音の個性を纏って、ファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が展開されるこの盤。欧州ジャズの美味しいところがギッシリ詰まっていて、初期のECMレーベルの音を明確に表現している好盤として良いかと思う。しかし、その自由度の高い演奏はジャズ者初心者の方々にはちょっと重荷かも。この盤は謹んで、ジャズ者中級者以上の方々にお勧めしたい。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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