春にキューンのピアノが映える
いきなり暖かくなった我が千葉県北西部地方。21日の春分の日には、寒の戻りで寒い寒い、と嘆いていたのだが、今日はその8日後の29日。約1週間で、一日の最高気温は3ヶ月ほど先に進んだことになる。昨日今日の日中については、季節はもう初夏である。冷静に考えると、まだ3月末なんですけどね(笑)。
春の暖かな気候には、ピアノ・トリオがピッタリだ。印象的で流麗、それでいて少しセンチメンタルになる。ピアノ・トリオのオーソドックスな演奏は春の暖かな気候に合う。そんなピアノは、正統派なリリカルで流麗なピアノが良い。しかも、ファンクネスが希薄な方がセンチメンタルになる度合いが大きい。
Steve Kuhn『Mostly Coltrane』(写真左)。2008年12月の録音。ECMの2099番。ちなみにパーソネルは、Steve Kuhn (p), Joe Lovano (ts, tarogato), David Finck (b), Joey Baron (ds)。今年80歳になる、大ベテランのピアニスト、スティーヴ・キューンがリーダーのカルテット構成。フロントのテナーは、ジョー・ロバーノ。
キューンのピアノは端正でリリカル、ダイナミックで流麗。一聴した時、「キース・ジャレットか?」と思う時がままあるんだが、キースよりもシンプルで切れ味が良い。キースの場合、アドリブ・フレーズの場合、ちょっと捻りを入れたり、フェイクを入れたり、小難しい展開がよく出てくるのだが、キューンの場合、シンプルでストレート。響きも硬質でシンプル。これがキースと全く異なる部分。
このキューンのピアノは、明らかにECMレーベルの音にバッチリと合う。この端正でリリカル、ダイナミックで流麗なキューンのピアノをバックに、野太いがジェントルなテナーをロバーノが吹き上げていく。キューンのピアノとロバーノのテナーとのコントラストが実に美しい。ECMレーベル独特の深いエコーに実に映える。
バックのフリンクのベース、バロンのドラムも好サポート。しかし、この盤は圧倒的にキューンのピアノを愛でる盤である。端正でリリカル、ダイナミックで流麗な、ファンクネス希薄なピアノは如何にも欧州的な響き。そんなキューンは、実はニューヨークはブルックリンの生まれなのだから、ジャズって面白い。
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