Bill Evans『Intuition』を聴く。
ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、ビル・エバンス。後のジャズ・ピアニストの演奏スタイルに大きな影響を与えた、ジャズ・ジャイアントの一人でもあって、エバンスの影響下にあるジャズ・ピアニストは「エバンス派」と呼ばれる。そんな偉大なジャズ・ピアニストであるエヴァンスは、生涯、ピアノ・トリオを中心に活動を続けたことでも知られる。
ピアノ・トリオと言えば、ピアノ=ベース=ドラムの構成が基本になる。1940年代後半から1950年代前半までのオールド・スタイルのピアノ・トリオは、ピアノ=ベース=ギターであるが、1950年代後半、ハードバップ全盛期以降、ピアノ・トリオといえば、前者の構成が基本となる。そうなれば、リーダーのピアニストとしては、パートナーであるベーシスト、そしてドラマーとの相性が鍵になる。
エバンスの生涯に渡っての「最適なベーシスト」は、エディ・ゴメス(Eddie Gomez)になるだろう。1966年から1977年の間、11年間、エバンス・トリオに在籍した。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、というベーシストの力量。これが、エバンスが、ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイを可能にする「キーワード」。
そういう点では、ゴメスはエバンスにとって申し分の無いベーシストであった。エバンスのアドリブを支える「強靱で躍動感溢れるビート」を供給し、エバンスのイメージを受けて、ベースで「唄う様な旋律」を展開する。ゴメスはベースラインで「リズム」も供給することが出来るベーシストで、このアルバムではエバンス=ゴメスのデュオだが、演奏の雰囲気はピアノ・トリオそのものと変わらない。
Bill Evans『Intuition』(写真左)。1974年11月の録音。Fantasyレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gomez (b)。マーサー・エリントン作の美しいバラード「Blue Serge」や、スティーヴ・スワロウ作の「Falling Grace」など、素晴らしいデュオの展開。そして、クラウス・オガーマン作の「A Face Without A Name」での、ゴメスのベースをバックに、エバンスの紡ぎ出す美旋律が素晴らしい。
エバンス=ゴメスの「二人の世界」にもはやドラマーは存在しない。ドラマーが存在しない分、リズムがシンプルに整理されて、エバンスの繊細なフレーズがよりクッキリと浮かび上がる。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、という「エバンスのベーシスト」としての条件を十分にクリアしたエディ・ゴメス。エバンスの生涯の中で「最適なベーシスト」である。
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