« キースらしからぬ「例外の一枚」 | トップページ | リトナーにフュージョンが良い »

2018年3月 9日 (金曜日)

ウルマーのジャズ・ファンク盤

1970年代後半、僕がジャズを聴き始めた頃は、ジャズの世界は「フュージョン・ブーム」真っ只中。FMのジャズの番組も、かかる演奏は基本的にクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズがメインだった。深夜帯の僅かな番組だけが、純ジャズをかけていたなあ。これがまた、聴く耳にグッとくるんだよなあ。懐かしいなあ。

当時、貧乏学生にとって、FMは貴重な音源で、夜な夜なエアチェックしていて、翌日、小型のカセットテレコをカバンに入れて、小さなヘッドフォンで聴いて歩いていた。そう、まだ「ウォークマン」が出現する前の時代のことである(笑)。そんなFMエアチェック時代の1980年に入ってからのこと。突如、ステレオを通じて、ヘッドフォンに思いっきりジャズ・ファンクなエレ・ジャズが耳に飛び込んで来た。

James Blood Ulmer『Are You Glad to Be In America?』(写真)である。1980年のリリース。オーネット・コールマンのバック・バンド出身の ギタリストで「ハーモロディック理論」に影響されたジャズ・ファンク。ジャズ界のジミヘンと言われるJames Blood Ulmer=ジェームス・ブラッド・ウルマーのジャズ・ファンク盤。
 

Are_you_glad_to_be_in_america  

 
それはそれは凄まじいギターである。ハードではあるが、しっかりとファンクネスがドップリ染み込んでいて、リズム&ビートが効きまくっていて、グルーヴ感が半端無い。 オーネット・コールマンのバック・バンド出身のギタリストではあるが、音の雰囲気は、これって「エレクトリック・マイルス」である。エレクトリック・マイルスから、おどろおどろしい、ダークなファンクネスを差し引いて、あっけらかんとしたファンクネスを残したような音世界。

この「脳天気」なエレ・ジャズなところが、ジェームス・ブラッド・ウルマーの真骨頂。誰かが表現した「鉈で薪をガシガシ割っていくような」エレギは爽快感満点。混沌としたエレ・ジャズだけど、ビートがしっかりしているので、破綻したり拠れたりすることは無い。整然とキッチリとグルーヴする。躍動感溢れ、耳に心地良い。これもジャズ、である。

ウルマーのウネウネしたギターに、アリのブリブリなベース、さらにマレイの官能的なホーンが絡んで来て、呪術的なダブル・ドラムが乱入し渾然一体となり、1980年の頃は、これってフリー・ジャズなのかなんなのか、何となく隔靴掻痒な感があったのですが、これはもう、現代でいう、躍動感溢れスリリングな「スピリチュアル・ジャズ」です。 いや〜、今の耳にも爽快に響きます。

 
 

東日本大震災から7年。決して忘れない。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« キースらしからぬ「例外の一枚」 | トップページ | リトナーにフュージョンが良い »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ウルマーのジャズ・ファンク盤:

« キースらしからぬ「例外の一枚」 | トップページ | リトナーにフュージョンが良い »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー