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2018年3月の記事

2018年3月31日 (土曜日)

エバンスの最適なベーシスト

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、ビル・エバンス。後のジャズ・ピアニストの演奏スタイルに大きな影響を与えた、ジャズ・ジャイアントの一人でもあって、エバンスの影響下にあるジャズ・ピアニストは「エバンス派」と呼ばれる。そんな偉大なジャズ・ピアニストであるエヴァンスは、生涯、ピアノ・トリオを中心に活動を続けたことでも知られる。

ピアノ・トリオと言えば、ピアノ=ベース=ドラムの構成が基本になる。1940年代後半から1950年代前半までのオールド・スタイルのピアノ・トリオは、ピアノ=ベース=ギターであるが、1950年代後半、ハードバップ全盛期以降、ピアノ・トリオといえば、前者の構成が基本となる。そうなれば、リーダーのピアニストとしては、パートナーであるベーシスト、そしてドラマーとの相性が鍵になる。

エバンスの生涯に渡っての「最適なベーシスト」は、エディ・ゴメス(Eddie Gomez)になるだろう。1966年から1977年の間、11年間、エバンス・トリオに在籍した。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、というベーシストの力量。これが、エバンスが、ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイを可能にする「キーワード」。
 

Intuition

 
そういう点では、ゴメスはエバンスにとって申し分の無いベーシストであった。エバンスのアドリブを支える「強靱で躍動感溢れるビート」を供給し、エバンスのイメージを受けて、ベースで「唄う様な旋律」を展開する。ゴメスはベースラインで「リズム」も供給することが出来るベーシストで、このアルバムではエバンス=ゴメスのデュオだが、演奏の雰囲気はピアノ・トリオそのものと変わらない。

Bill Evans『Intuition』(写真左)。1974年11月の録音。Fantasyレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gomez (b)。マーサー・エリントン作の美しいバラード「Blue Serge」や、スティーヴ・スワロウ作の「Falling Grace」など、素晴らしいデュオの展開。そして、クラウス・オガーマン作の「A Face Without A Name」での、ゴメスのベースをバックに、エバンスの紡ぎ出す美旋律が素晴らしい。

エバンス=ゴメスの「二人の世界」にもはやドラマーは存在しない。ドラマーが存在しない分、リズムがシンプルに整理されて、エバンスの繊細なフレーズがよりクッキリと浮かび上がる。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、という「エバンスのベーシスト」としての条件を十分にクリアしたエディ・ゴメス。エバンスの生涯の中で「最適なベーシスト」である。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年3月30日 (金曜日)

ECMの「困ったチャン」な盤

ECMレーベルは、欧州のジャズ・レーベルなんだが、1969年の設立なので、ニュー・ジャズと呼ばれる類の内容のアルバムが多くある。中には「これ、どう聴いても、現代クラシックでしょう」な内容のアルバムもあって、こうなるともはやジャズ盤としては扱えない。困ったものである。それでも、ECMレーベルのカタログにはしっかりと存在している。ECMレーベルの音を理解する為にも、一聴する必要はある。

例えば、Keith Jarrett & Jan Garbarek『Luminessence』(写真左)。1974年4月29, 30日の録音。ECM1049番。パーソネルを見渡すと、Jan Garbarek (sax), Südfunk Symphony Orchestra Stuttgart とだけ。シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏をバックに、ガルバレクのサックス・ソロという内容である。あれ、アルバムのジャケットにあるのは「Keith Jarrett と Jan Garbarek」。キースは何処にいった。

回答、キースは作曲だけで、ピアノを弾いていないので注意! である。シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏は、全てキースの作曲によるもの。看板に偽りあり、という感じだが、意外と内容は良い。このアルバム、ガルバレクのフリー・インプロビゼーションがメインで、ガルバレクのサックスが、キース作の美しい弦楽の中で印象的に響いている。ガルバレクのフリー・インプロがメインということで、辛うじて、この盤は「ジャズ盤」として愛でている。
 

Keith_jan_in_the_light

 
次に、Keith Jarrett『In The LIght』(写真右)。1973年2月の録音。ECM 1033/34番。LP時代、2枚組の大作。ちなみにパーソネルは、一応、Keith Jarrett (p), Willi Freivogel (fl), Ralph Towner (g) と名を連ねてはいるが、ここでも、Südfunk Symphony Orchestra Stuttgart, The Fritz Sonnleitner Quartet(弦楽四重奏), The American Brass Quintet の名前が挙がっている。

そう、この盤も、基本的には、キース作曲の楽曲が、シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏をメインに、弦楽四重奏や金管四重奏の演奏によって繰り広げられるユニークなもの。キースのピアノが入るものもあるが、その時のキースのピアノはクラシックもしくは現代音楽的なタッチ。さすがに僕は、この盤は「ジャズ盤」としては扱えない。といって、クラシックもしくは現代音楽としては、ちょっと「過剰」な内容で、繰り返し聴くにはちょっと辛い。

但し、さすがにキースの作曲なる楽曲は、それぞれ、しっかりとキースの音の個性、節回しが反映されている。ピアノ・インプロビゼーションに置き換えたら、さぞかし映えるだろうなあ、という曲がズラリと並ぶ。ECMの総帥、マンフレート・アイヒャーはちょっと変わり者。そして、キース・ジャレットも音楽家としてちょっと変わり者。変わり者同士が意気投合してジャズ・レーベルに残した「不思議な困ったチャン」な盤。キース者として、キースを深く知るには一聴の価値あり。

 
 

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2018年3月29日 (木曜日)

春にキューンのピアノが映える

いきなり暖かくなった我が千葉県北西部地方。21日の春分の日には、寒の戻りで寒い寒い、と嘆いていたのだが、今日はその8日後の29日。約1週間で、一日の最高気温は3ヶ月ほど先に進んだことになる。昨日今日の日中については、季節はもう初夏である。冷静に考えると、まだ3月末なんですけどね(笑)。

春の暖かな気候には、ピアノ・トリオがピッタリだ。印象的で流麗、それでいて少しセンチメンタルになる。ピアノ・トリオのオーソドックスな演奏は春の暖かな気候に合う。そんなピアノは、正統派なリリカルで流麗なピアノが良い。しかも、ファンクネスが希薄な方がセンチメンタルになる度合いが大きい。

Steve Kuhn『Mostly Coltrane』(写真左)。2008年12月の録音。ECMの2099番。ちなみにパーソネルは、Steve Kuhn (p), Joe Lovano (ts, tarogato), David Finck (b), Joey Baron (ds)。今年80歳になる、大ベテランのピアニスト、スティーヴ・キューンがリーダーのカルテット構成。フロントのテナーは、ジョー・ロバーノ。
 

Mostly_coltrane  

 
キューンのピアノは端正でリリカル、ダイナミックで流麗。一聴した時、「キース・ジャレットか?」と思う時がままあるんだが、キースよりもシンプルで切れ味が良い。キースの場合、アドリブ・フレーズの場合、ちょっと捻りを入れたり、フェイクを入れたり、小難しい展開がよく出てくるのだが、キューンの場合、シンプルでストレート。響きも硬質でシンプル。これがキースと全く異なる部分。

このキューンのピアノは、明らかにECMレーベルの音にバッチリと合う。この端正でリリカル、ダイナミックで流麗なキューンのピアノをバックに、野太いがジェントルなテナーをロバーノが吹き上げていく。キューンのピアノとロバーノのテナーとのコントラストが実に美しい。ECMレーベル独特の深いエコーに実に映える。

バックのフリンクのベース、バロンのドラムも好サポート。しかし、この盤は圧倒的にキューンのピアノを愛でる盤である。端正でリリカル、ダイナミックで流麗な、ファンクネス希薄なピアノは如何にも欧州的な響き。そんなキューンは、実はニューヨークはブルックリンの生まれなのだから、ジャズって面白い。

 
 

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2018年3月28日 (水曜日)

山崎千裕のソロ・セカンド盤

ここ2〜3年の、最近の日本のジャズを聴いている。ジャズって、マイナーな音楽ジャンルだと思っているので、毎月毎月、日本のジャズの世界で、新人が出てくるのにはちょっと当惑する。その新人ジャズメンが食べていけるだけの需要が、今の日本にあるのか、と思わず心配になる。CDの売上やライブの売上、そんなにあるのかなあ。

加えて、このマイナーな音楽ジャンルで、かつ、ほとんどが男性で占められるマニアな音楽ジャンルなのに、数年に一人は「かわい子ちゃん」なミュージシャンがデビューする。これがとっても不思議で、男性で占められるマニアな世界だから、アイドルっぽい女性ジャズ・ミュージシャンはウケる、とレコード会社は考えているのだろうか。

山崎千裕『Sweet thing』(写真左)。2017年の作品になる。アルバム・ジャケットを見てみるとお判りの様に、ピンク地の背景をバックに、これは完全にアイドル路線まっしぐら、である(笑)。これは硬派なジャズ者に方々、特に年配の方々がCDショップで直接購入するにはハードルが高い。僕もそうで、ダウンロードサイトがあって良かったなあ、とつくづく思ったものである(笑)。
 

Sweet_thing  

 
この盤は、山崎千裕のソロセカンドアルバムになる。山崎千裕はトランペッター。東京芸大卒。2010年、自身のバンド山崎千裕+ROUTE14bandを立ち上げ、本格デビュー。女性トランペッターではあるが、音はしっかりしている。当然、音の大きさについては割り引いても、無理をしない演奏テクニックとふらつきの無いブロウは聴き易く、好感が持てる。ん〜、なかなかやるやん、って感じかな。

スタンダード曲を持って来て、従来のモードやコードの純ジャズをやって、ハードバップって良いですね、なんて演奏をせず、自作曲を中心に、演奏全体のアレンジも、ありきたりのハードバップ基調ではない、どちらかといえば、パット・メセニーなどの、ファンクネス皆無のフォーキーでネーチャーな、米国ルーツ・ミュージック的な雰囲気。これが今までにありそうで無い、なかなかユニークなもの。

演奏全体のアレンジと雰囲気が今までに無い、個性豊かなもので、それが故に、インストものが実に聴きやすく印象的に響く。爽快感と暖かみのある音作りは聴き心地が良く、意外と飽きずに全編を聴き通してしまう。春のジャズ喫茶の昼下がりにさりげなく流す、なんてシチュエーションが思い浮かぶ様な、ながら聴きに好適な盤である。

 
 

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2018年3月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・31

最近の日本ジャズのトレンドのひとつが「クラブ・ジャズ」。いわゆる「クールに踊れるジャズ」、クールに踊れることを前提に創作されたジャズである。ネットで上げられていた「クラブ・ジャズ」の解釈が秀逸なので、ここで引用させていただくと、踊らせること、クラブでDJによってプレイされることを目的として作られた「ダンスミュージック」とある。とても判り易い解釈だ。

H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』(写真左)。今年の3月のリリース。リリースしたてのホヤホヤ、H ZETTORIOの通算4枚目のオリジナル・アルバムである。H ZETTRIO=エイチゼットリオ、と読む。純日本のジャズ・ピアノ・トリオ。メンバー3名は、鼻を青・赤・銀に着色。ちなみにパーソネルは、H ZETT M (p), H ZETT NIRE (b), H ZETT KOU (ds)。リアルな姓名は伏せられている。

H ZETTRIOは「大人も子どもも“笑って踊れる”」をテーマに掲げるピアノトリオ・バンドである。この最新盤でもそのポリシーが踏襲されている。とにかくトリオのメンバーそれぞれのテクニックが秀逸。「笑って踊れる」部分をファンキーなリズム&ビートに頼ったりはしない。H ZETTRIOの演奏は「笑って踊れる」をテーマにしながら、ファンクネスは全く皆無。疾走感溢れる、パルシヴなオフビートがダンサフルを引き出す。
 

Mysterious_superheroe  

 
演奏の雰囲気はポップでジャジー。ダンサフルで明朗なサウンド・トーン。シンプルで判り易い。リズム&ビートも判り易いし、メロディー・ラインも判り易い。判り易いということは「ノリ易い」。さらに、メロディー・ラインはポジティヴ。ポジティヴだからこそ「笑って踊れる」。とても良く練られた演奏コンセプトである。

アルバムに収録されている楽曲は、それぞれ、ちょっと「ミステリアス」な雰囲気が加味されていることが、この盤の「ミソ」。一曲一曲、対峙して聴き込むのでは無く、そのシンプルでノリの良い、ハイテクニックでポジティヴな演奏は「ながら聴き」に最適。「大人も子どもも“笑って踊れる”」演奏は「ながら聴き」にも向く。

先週の週末から、いきなり暖かくなった。すっかり春である。春の暖かな晴れた午後。ゆったりホッコリのんびり。こういう時間は聴き流しのジャズが良い。あまり、ガッチガチに相対する様な、聴き込む様なジャズは疲れる。ゆったりと気持ちを休ませるには「聴き流し」のジャズが良い。今の僕にとっては、H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』は、ゆったり「聴き流しのジャズ」。

 
 

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2018年3月26日 (月曜日)

日本人による「ジャズで踊る盤」

元来、1960年代から、日本のジャズはなかなかの線を行っている。穐吉敏子や渡辺貞夫らがいち早く、バークリー音楽院に留学し、ジャズ演奏のノウハウを日本に持ち帰ったことが一番大きい理由だが、その頃、日本では戦後、あこがれの米国の環境に追いつくべく、クラシック中心に楽器演奏についての環境が急速に整いつつあったこともある。

今でも、ジャズの演奏については、日本の水準は西洋諸国と比肩するレベルを維持しており、毎月、なかなかの内容のジャズ盤がコンスタントにリリースされている。逆に、こんなに多くのジャズ盤がリリースされていて、はたして今の日本にそれだけの需要はあるのかしらん、と不安になるくらいである。

松浦俊夫グループ『LOVEPLAYDANCE』(写真左)。2018年3月のリリース。発売ホヤホヤのアルバムである。世界規模での活躍を続けるDJ松浦俊夫(写真右)、初の自己名義作品。 宣伝の触れ込みは「自身のDJキャリアにおけるマイルストーン的ナンバーをカバーしたアルバム」。ん〜? 松浦俊夫の役割と言えば、そうか、コンダクター、もしくはプロデューサーなのか、なるほど。
 

Love_play_dance  

 
立ち上がりから暫くは「エレ・マイルス」の様な音が続く。これが良い。エレ・マイルスというと、ノスタルジックな雰囲気が漂うのだが、この盤での演奏はそうはならない。しっかりと今の音を紡いでいる。とにかくリズム&ビートの響きが新しい。音の展開も決して1970年代では無い。明確に「ジャズでクールに踊る」という音作り。クラブ・ジャズの真骨頂である。

5曲目「KITTY BEY」の様に、サイケデリックの様なアブストラクトな展開がユニークなエレ・ジャズもある。8曲目の「AT LES」の様に、ユーロリズミックなエレ・ジャズもある。いづれも「ジャズでクールに踊る」ということを前提とした演奏で、さすが、DJ松浦俊夫のコンダクト&プロデュースである。

今回の楽曲はすべてロンドン録音で、英国のミュージシャンを起用している。録音された音の響きや楽器の音が米国でもなければ欧州でも無い。不思議な音やなあ、と思っていたが、なるほど英国のミュージシャンでロンドン録音なのね。妙に納得しました。スウィンギン・ロンドンの聖地で、明確に「ジャズでクールに踊る」という盤をコンダクト&プロデュース。これが日本人の手によるジャズ盤なのか、と思い切り感心した次第。日本のジャズのレベルは明らかに高い。

 
 

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2018年3月25日 (日曜日)

ECMの「音の迷宮」の奥は深い

ジャズ盤を聴くのに、ガイド役として、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌を活用することは大変大切なことではある。しかし、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介される盤は、それぞれ結構似通っている。記事を担当した評論家の手抜きなのか、はたまた、編集に携わった編集者の陰謀なのか、確かにジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介されるジャズ盤は「聴く価値あり」だが、「聴く価値あり」のジャズ盤はそれだけではない。

ジャズ盤を聴き進めて行くと、このジャズ盤紹介本やジャズ雑誌を活用する方法がどこかで行き詰まる。すると、自分で聴く価値のある盤を探すことが必要なのに気付く。やはり、ジャズ盤は自分の耳で聴いて、自分の耳で、自分にとっての「良し悪し」を判断することが一番大切なことに気付く。

Mal Waldron『The Call』(写真左)。1971年2月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (el-p), Jimmy Jackson (org), Eberhard Weber (el-b), Fred Braceful (ds, perc)。ECM傘下のレーベル JAPOからのリリース。さすがECM系の録音。これは珍しい。骨太硬派のピアニスト、マル・ウォルドロンが全編エレピを弾いた作品である。
 

The_call_2

 
僕はこの盤の存在については、ECMレーベルのカタログを紐解いていて発見した。この盤について、その評論や感想が書かれたジャズ盤紹介本やジャズ雑誌を見たことが無い。しかも、あの硬派で骨太な硬質ピアニスト、マル・ウォルドロンである。そんなマルが、こともあろうにエレピを全編に渡って弾きまくるのだ。許せない、と硬派のジャズ者の方々が憤慨して、この盤を亡きものにした感覚も判らなくは無い。

内容的には録音当時、ジャズ界の先端のトレンドのひとつだった「エレジャズ」。いわゆるジャズロックの雰囲気が大勢を占め、後半の途中あたりから、アブストラクト〜フリーな演奏が展開される。後半のアブストラクト〜フリーな演奏は納得できるが、欧州ジャズの環境下でのジャズロックはちょっとした驚き。しかし、それなりにまとまっていて今の耳にも十分に耐えます。特にマルのエレピについては合格点。エレピの特徴をよく掴んでいて、聴き応えがあります。

現代のスピリチュアル・ジャズファンクに直結するマルのエレピ。バックのオルガン=エレベ=ドラムのリズム・セクションも良好で、こんなアルバムあったんや〜感が強い。アルバム・ジャケットも当時のデザイン・センスからすると突出していて、こういうアルバムをリリースするって、ECM恐るべし、である。実はECMレーベルには、こういう異端なジャズ盤がゴロゴロしている。ECMの「音の迷宮」の奥は深い。

 
 

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2018年3月24日 (土曜日)

後のスムース・ジャズの先駆盤

「まつ農業」の為、ここ千葉県北西部地方を離れていました。基本的に農業中心の生活の為、音楽とは一切触れあうこと無し。よって、22、23日のブログをお休みしました。先ほど帰還、ブログを再開です。昨日辺りからいきなり暖かくなって、体がついていきません。でも、これだけ暖かくなったら、音楽を聴く気持ちもウキウキです。

僕の場合、音楽を聴く気持ちがウキウキしている時は、フュージョン・ジャズが定番。フュージョン・ジャズって、1970年代後半〜1980年代前半に一世を風靡した「フュージョン・ジャズ」。約10年間ほどブームが続いた訳ですから、意外と奥が深い。こんな盤もあったなあ、とか、こんな盤あったんや、なんて今更、ビックリするやら感心するやら。

John Klemmer『Magnificent Madness』(写真左)。1980年のリリース。ジョン・クレマーは、米国イリノイ州シカゴ生まれ。1946年の生まれなので、今年で72歳。この『Magnificent Madness』をリリースした頃は、34歳のまだまだ若手バリバリのサックス奏者であった。もともと、若かりし頃はニュージャズ系の太く豪快なテナーを吹くタイプ。しかし、フュージョン・ジャズ全盛期には、時代の波に乗って、ソフト&メロウな、後の「スムース・ジャズ」な雰囲気の好盤を幾枚かリリースしている。
 

Magnificent_madness  

 
この『Magnificent Madness』は、スタジオ・ミュージシャン達を中心とした、秀逸なテクニックを前面に押しだした、いわゆる「バカテク・フュージョン」とは一線を画する。それは冒頭のタイトル曲の雰囲気を聴けば良く判る。ゴスペル・シンガー、ビル・セットフォードをゲストに展開する、ソフト&メロウで心地良いミッドテンポの演奏は、それまでのフュージョン・ジャズには無い雰囲気。 

このソフト&メロウで心地良い雰囲気の演奏は、3曲目の「Don't Take Your Love Away」にも顕著で、フュージョンというよりは、後の「スムース・ジャズ」の雰囲気を先取りしている印象。逆にラストの「Adventures In Paradise」は、ミニー・リパートンの名曲のカヴァーなんですが、ファンキー&グルーヴィンなアレンジがライトなブラコン風に響いて、その音世界は明らかに1980年代のジャズの主要なトレンドのひとつを彷彿とさせるものです。

そんな雰囲気の中、主役のジョン・クレマーのテナーな骨太で力強く豪快なもの。この硬派なクレマーのテナーと、演奏全体を覆う、後の「スムース・ジャズ」的な、ソフト&メロウで心地良い雰囲気とのコントラストがとても印象的で、この盤をユニークな存在にさせています。フュージョン・ジャズとしてより、後の「スムース・ジャズ」の先駆として捉えた方がスッキリ腹落ちすると思います。好盤です。

 
 

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2018年3月21日 (水曜日)

総合力勝負のチェスナット

長年、耳を傾けてきて、ジャズ・ピアニストには、その個性的なスタイルや奏法を「ウリ」にするピアニストと、演奏全体の総合力を「ウリ」にするピアニストの2種類に分かれると感じている。前者は、聴けば「あ〜あの人や」と判る位の強烈な個性で、例えば、バド・パウエルやビル・エヴァンス、マッコイ・タイナーなど、1950年代のレジェンド級のピアニストは皆、強烈な個性の持ち主である。

後者は古くはハードバップ後期、1960年代前半からポツポツ出始めて、最近ではこの手のピアニストが結構いる。一聴すれば直ぐ判る様な強烈な個性が無い分、ピアニスト個人の判別は難しい。しかし、テクニック、歌心、バッキングなど、ピアニストの総合力で勝負するタイプなので、安心してその演奏に身を委ねることができ、ながら聴きにも最適である。

『Cyrus Chestnut』(写真左)。名前ズバリのタイトルなので、初リーダー作かと思いきや、1998年リリースの自身9枚目のリーダー作である。ちなみにパーソネルは、Cyrus Chestnut (p), Ron Carter (b), Billy Higgins (ds), James Carter (as), Joe Lovano (ts), Anita Baker (vo)。サイラス・チェスナットのトリオに、アルトのジェームス・カーターとテナーのジョー・ロバーノ、そして、ボーカルのアニタ・ベーカーそれぞれが客演した内容。
 

Cyrus_chestnut  

 
チェスナット=カーター=ヒギンスのトリオ演奏を始めとして、カーターのアルト、またはロバーノのテナーをフロントに据えたカルテット演奏、チェスナット=カーター=ヒギンスのトリオをバックにベーカーのボーカルをフィーチャーした演奏、そして、チェスナット=カーター=ヒギンスのトリオ演奏にカーターのアルトとロバーノのテナーの2管フロントのクインテット演奏。そうそう、チェスナットのソロも2曲ほどある。

このバリエーション豊かな演奏形態ではあるが、いずれの形態でもチェスナットのピアノは安定している。テクニック申し分無く、ソロを取らせればダイナミック、歌心溢れ、オーソドックスではあるが、その溌剌とした弾きっぷりは実に魅力的。ボーカルのバッキングに回っても、その総合力的な個性は安定・堅実。

特に、バックに回った伴奏の中で、チェスナットの個性はより輝く。ソロ・ピアノを聴けば、間合いの取り方とアドリブの弾き回し方にそこはかとない個性があって、やはり一流のジャズ・ピアニストの一人だということを再認識する。ケニー・バロンやケニー・カークランド、マルグリュー・ミラーと同じ「総合力で勝負するタイプ」として、僕のお気に入りのピアニストである。

 
 

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2018年3月20日 (火曜日)

グレゴリー・プリヴァに出会う

冒頭の1曲目を聴いただけで、グイッと惹き込まれるジャズ盤に時々出会う。このピアノ・トリオの音を初めて聴いた時、凄く綺麗な音やな〜と感心して、聴き進めるにつけ、グイグイと惹き込まれた。流麗なピアノの音、低音豊かにタイトに響くベース、切れ味良く硬質なビートを叩き出すドラム。冒頭の「Le Bonheur」を聴いて、これはなかなか良いピアノ・トリオだと直感した。

Grégory Privat『Family Tree』(写真左)。2016年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Grégory Privat (p), Linley Marthe (b), Tilo Bertholo (ds)。音を聴けば、ファンクネス希薄でリリカルな、欧州系ピアノ・トリオ。ベースの音はゴリゴリと正統派。ドラムは切れ味良く、硬質に響く。正統派のメインストリームなピアノ・トリオである。

リーダーのピアニストについて。Grégory Privat=グレゴリー・プリヴァ、と読むらしい。1984年、仏領マルティニーク島生まれ。マルティニークは、カリブ海に浮かぶ西インド諸島のなかのウィンドワード諸島に属する一島。つまり、プリヴァはカリビアン。しかし、彼の奏でるピアノの音は、とても「北欧的」。僕は最初、北欧ジャズのピアノ・トリオと思い込んだくらいだ。
 

Family_tree  

 
このグレゴリー・プリヴァは、フランス・ジャズの若手有望株なピアニストである。今年で34祭。ジャズの世界ではまだまだ若手。この盤では、そんな若手の溌剌とした、切れ味の良い、リリカルで流麗なピアノを聴くことが出来る。一聴すれば「北欧のジャズ・ピアノか」と思うのだが、プリヴァのピアノには、光の様にキラキラした明るさがある。そして、リズミカルなアドリブ・フレーズが特徴で、これは北欧ジャズには無い個性。

プリヴァのトリオは精緻で流麗。ラフな面が全く無いところがフランス・ジャズらしくない。この精緻で流麗なところは「北欧ジャズ」の個性。そういう意味では、このトリオ盤の演奏は新しいフランス・ジャズの成果を聴かせてくれているとも言える。8曲目の「Ladja」を聴けば、このトリオ、ダイナミズムも兼ね備えていることが良く判る。

とても魅力的なピアノ・トリオである。今までリリースされた他のアルバムも聴いてみたい。そんな気にさせるに十分な魅力的な内容である。そして、次のアルバムを早く聴きたい。そんな思いを強く持たせてくれる。どの曲の演奏を聴いても、内容のある正統派のメインストリームなピアノ・トリオ。偶然になかなかの好盤に出会ったと思わず嬉しくなった。

 
 

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2018年3月19日 (月曜日)

クラプトンの武道館ライヴ盤

ジャズの合間の耳休め・・・。クラプトンのギターを愛でるにはライヴ音源が良い。スタジオ録音では、これはこれで良いんだが、スタジオ録音という環境上、確実・堅実なプレイが優先されて迫力に欠ける。ライヴ音源は、大観衆を相手に、そのライヴ・パフォーマンスの流れの中でアドリブを展開するので、荒々しさはあるが迫力がある。

70年代クラプトンのエレギの魅力は「ブラッキー」。複数本のストラトをばらして、良い部品だけをピックアップして再作成された手作り特性ストラト。その漆黒のボディーから「ブラッキー」と呼ばれる。この「ブラッキー」の音が最大の魅力。この魅力的な音を心ゆくまで堪能するにはやはりライヴ音源が良い。

そういうライヴ盤と言えば、イチ押しは、Eric Clapton『Crossroads 2: Live In The Seventies』(紹介記事はここをクリック)。70年代の未発表ライヴ音源を中心とした4枚組CDボックス盤である。これがまあ、絶品のライブアルバムなのだ。70年代クラプトンが好きな方は必聴。あの名盤ライブ盤『E.C. Was Here』と収録曲がほぼ被っているので、他の演奏を含めて、この4枚組盤がベストチョイスだ。
 

Just_one_night

 
しかし、CD4枚組はいかにも「トゥーマッチ」である、という向きもあろう。この4枚組は選曲的には渋くて、クラプトンのヒット曲や人気曲を選曲している訳では無い。クラプトンのライヴなら「ベスト盤」的な選曲を望む向きもあろう。そういう向きには、このライヴ盤が良い。Eric Clapton『Just One Night』(写真左)。1979年12月3日、東京の日本武道館でのライヴ音源。1980年のリリース当時はLP2枚組。ちなみにCDも2枚組。

まず音が良い。ブラッキーの音が生々しく聴こえる。クラプトンのボーカルも生々しい。バックの音の分離も良い。もともと武道館は音があまり良く無いという印象なんだが、このライヴ盤はとても音が良い。選曲も「ベスト盤」的な選曲で、人気曲「Wonderful Tonight」や「Blues Power」「Cocaine」なども収録され、クラプトン者で無くても楽しめる。

70年代クラプトンを心ゆくまで愛でることの出来るライヴ盤は、まずは絶対に『Crossroads 2: Live In The Seventies』、そして、一歩譲って、この武道館ライヴ音源の『Just One Night』。それでも「トゥーマッチ」な場合は『E.C. Was Here』。この3つのライヴ盤を聴くことで、70年代クラプトンの本質をしっかりと感じることができるのだ。

 
 

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2018年3月18日 (日曜日)

米国ルーツ・ロックなクラプトン

高校時代から、エリック・クラプトン(Eric Clapton)が好きである。もうかれこれ、40年以上、付かず離れず、彼のアルバムを聴き続けていることになる。で、10年位前から、クラプトンのアルバムを聴き直しては、このブログにその紹介記事をアップしている。で、そろそろ70年代クラプトンを抜けて、80年代クラプトンに行かないと、こちらの寿命が問題になってくる(笑)。

ということで、70年代クラプトンの聴き直し、ラストスパートである。毎年、この季節になると、必ず聴きたくなるアルバムがある。Eric Clapton『Another Ticket』(写真)。1981年2月のリリース。大学最終年度を迎えんとする、大学時代で、一番、充実していた時期。このアルバムについては、リリース即ゲットで、かなり聴きまくった思い出がある。

70年代のクラプトンは「米国ルーツ・ロック」のクラプトン。この盤は、1981年のリリースではあるが、米国ルーツ・ロックがメインの、成熟したクラプトンのプレイがふんだんに聴ける。冒頭の「Something Special」などは、ザ・バンド丸出しのクラプトンの自作曲。アルバム全体の雰囲気は、70年代クラプトンの代名詞のひとつである「レイドバック」。
 

Another_ticket

 
この盤は、久し振りにトム・ダウドがプロデュースを担当しているので、演奏はレイドバックしているが、タイトでメリハリの効いた演奏に仕上がっていて、純粋にロック盤として楽しめる。タイトル曲などは「70年代クラプトン」の癒やしの名演である。メインのエレギも、ここぞ、という時の「決めの一発フレーズ」が素晴らしい。

ボーカルも成熟の極み。70年代初頭はクラプトン自身、全く自信の無かったボーカルであるが、この『Another Ticket』に至っては、成熟の極み。当時、重度のアルコール中毒だったというが、そんなことは微塵も感じさせない、渋く味のあるブルージーなボーカル。70年代のクラプトンを聴き進めてきて、クラプトンのボーカルは、この盤にて完成した様な感じがする。

この『Another Ticket』、ジャケットが地味だと揶揄されることもあるが、僕は好きですね。クラプトンの歴史を語る上で、なかなかその名前が挙がらない盤ですが、僕はこの盤はクラプトンの「隠れ好盤」である、と思います。また、この盤、70年代の作品をリリースしてきたポリドールからのスタジオ作としては最後の作品となった。70年代クラプトンは、やはり「ポリドール」ですね。

 
 

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2018年3月17日 (土曜日)

久し振り「天文ジャケ」ジャズ盤

ネットのダウンロード・サイトを徘徊していると、とても素敵なジャズ盤に出会うことがある。それも、全く出会ったことの無い、全くその存在すら知らないジャズ盤である。ダウンロード・サイトの試聴とジャケットの様子を見て、思い切って全編聴いてみる。こういうやり方で「失敗盤」に出会うことは殆ど無い。

つい先日、出会ったジャズ盤がこれ。Maxime Bender『Universal Sky』(写真左)。2018年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、Maxime Bender (ts, ss), Manu Codjia (g), Jean-Yves Jung (org), Jérôme Klein (ds)。としたり顔でご説明しているが、実はこの盤のことは全く知らなかった。ほんと、たまたまネットのダウンロードサイトでジャケットを見て、「これは」と思ってゲットした。

というのも、僕の趣味の1つに「天文」がある。もう50年近くになるかなあ。かなり息の長い趣味である。そういうこともあって、ジャズ盤にしろ、ロック盤にしろ、天文に関するジャケットは即ゲット状態に近い。この盤のジャケットは「星」。試聴をして、これはいいなあ、と思いつつ、ついついゲットしてしまいました(笑)。
 

Universal_sky  

 
Maxime Bender=マキシム・ベンダー。1982年生まれルクセンブルク出身の若手サックス奏者。サックスの腕前だけで無く、作曲の能力も高く評価されているようだ。自身のビッグバンドでの作品もあり、マルチなタレントの持ち主である。2015年には来日経験もあるらしい。知らなかったなあ。

さて、本作はこのベンダーがリーダーのバンド「Maxime Bender Universal Sky」によるもの。サックス、ギター、ハモンド・オルガン、ドラムのカルテット構成。アルバム全体の雰囲気はスムース・ジャズっぽいが、意外と硬派な「今」の米国コンテンポラリーな純ジャズ。拍子の変化やユニゾン&ハーモニーの雰囲気が実にクール。ギタリスト、マヌ・コジャの音色や空間的エフェクトも「粋」。

米国のコンテンポラリーな純ジャズではあるが、どこか冷たい熱気を帯び、ファンクネスが極めて希薄な面もあって、どこか欧州ジャズ的雰囲気が漂うところが実にニクい。まことに趣味の良いコンテンポラリーな純ジャズで、演奏もなかなかに奥が深く飽きが来ない。我が国では全く知られていない盤だとは思うが好盤です。我がバーチャル音楽喫茶でのローテ盤になってます。

 
 

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2018年3月16日 (金曜日)

ジャズの「最新の音」のひとつ

ブルーノート・レーベルは、ジャズ界最高のジャズ・レーベル。その充実したカタログ、アルバムの内容、そして歴史。ジャズ・レーベルの総合力第一位である。1970年代後半、一旦活動を停止したが、1980年代後半、純ジャズ復古のムーヴメントを受けて復活。以降、安定した活動を継続し、今に至る。

ブルーノート・レーベルの特徴は、ジャズのその時代その時代の演奏のスタイルやトレンドをいち早く察知し採用、それをしっかりと音に残す。そして、ジャズのその時代その時代の代表的ミュージシャンをいち早く発掘し、その若き時代の演奏をいち早く記録する。しかも、音が良い。伝説の録音技師・ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音がメインで、ブルーノート独特の音がある。これが、また良い。

そんなブルーノート、現在でも活発に活動していて、ジャズ界で重要な位置を占める演奏のトレンドの採用と録音、新しい才能のいち早い発掘と録音が得意中の得意。ブルーノートの昔ながらの特徴・個性を21世紀になった今でも保持しているのだ。これって素晴らしいことだ。復活後の社長にブルース・ランドヴァルを迎え入れ、現在の社長はドン・ウォズ。
 

Parking_lot_symphony

 
Trombone Shorty『Parking Lot Symphony』(写真左)。2017年5月のリリース。トロンボーンが主役、トロンボーン・ショーティーのリーダー作。トロンボーン・ショーティー、本名はトロイ・アンドリュース。ニューオーリンズ出身の新世代トロンボーン奏者。トロンボーンの腕前は天下一品。名前の通りトロンボーンをメインに、トランペット、ヴォーカル、ラップもこなす。

この盤はとても魅力的。基本はジャズ・ファンク。トロンボーンをメインとしたブラスのユニゾン&ハーモニーは、とっても良くアレンジされたファンキー・ジャズの響き。ボーカルは明らかにソウル。トランペットをメインに据えたアドリブ展開は従来からの純ジャズ。これが実に新しい響きを宿していて感心する。ゆったりとしたテンポのバラード調な曲は意外にロック・テイスト。要所要所に配される女性コーラスはスピリチュアルな響き。

つまりは今までのジャズの歴史を振り返って、その時代その時代のジャズの要素をしっかりと解釈して、今のジャズに応用している。見事だ。一言で言うと「R&B、ソウル、ファンク、ロック、ヒップホップなどさまざまなジャンルを融合したブラス・サウンド」。そして、ジャズの「今」を反映したアレンジと演奏内容。

 
 

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2018年3月15日 (木曜日)

これも「逆・ジャケ買い」な盤

ジャズ盤には「これは」と目を見張るほどの格好良いジャケットがある。しかし、逆に「このジャケットはな〜、買えんな〜」という劣悪なジャケットもある。これは得てして、かなりの確率で内容も悪い。しかし、劣悪では無い、デザイン的にも「アリ」なんだが、あまりに奇抜なデザインで、これはな〜、という盤もある。

僕はこういう盤を「逆・ジャケ買い」と呼んでいる。この「逆ジャケ買い」盤については、購入に至るまでに相当の努力を必要とする(笑)。そういう「逆・ジャケ買い」盤を、昨日、Ramsey Lewis『Salongo』をご紹介した。ん?ラムゼイ・ルイス? そう言えば、ラムゼイ・ルイスと言えば、まだあるぞ。あるある。凄いのが・・・(笑)。

これである。Ramsey Lewis『Sun Goddess』(写真)。1974年のリリース。邦題『太陽の女神』。内容は明らかにエレクトリックがメインのジャズ・ファンクである。冒頭のタイトル曲は、Earth, Wind & Fire(いわゆる「アース」)との共演。ラムゼイ・ルイスのアースのリーダー、モーリス・ホワイトとは同じバンドで行動を共にした仲。思い切り、ファンクな内容に思わず、体が動く。
 

Sun_goddess_3

 
この盤でのジャズ・ファンクは、決して、重量級のファンクネスが鳴り響く訳ではない。この盤に響き渡るのは、趣味の良い、ちょっとライトなファンクネス。そして、トコトンまでジャズ・ファンクせずに、アドリブ展開の時のキーボードが、一昔前の「ファンキー・ジャズ」の雰囲気を湛えたフレーズを弾きまくったりするところが、絶妙にマッチする。

バンドの面々の演奏力を凄まじいものがある。ハットが疾走するグルーヴィーなリズム。限りなく爽快感溢れるカッティングギター。浮遊感ハンパない、ファンクネス溢れるシンセ。ファンキーで柔らかいコーラスが絡む、極上のメロウ感溢れるグルーヴ。そう、この盤のリズム&ビートは、明確に「グルーヴィー」。この流麗でライトなグルーヴ感が心地良い。

しかし、この盤のジャケットは凄い。どうやったら、こういうデザインになるのか。少なくともインパクトはでかい。このジャケットでは、内容が「ジャズ・ファンク」だとは思わないだろう。しかし、この盤、当時のビルボードのブラックチャートで1位、ポップチャートでも12位というヒットを記録したのだがら、「逆・ジャケ買い」盤は恐ろしい(笑)。

 
 

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2018年3月14日 (水曜日)

そんな「逆・ジャケ買い」な盤

「ジャケ買い」という言葉がジャズの世界にはある。アルバムのリーダーや評判を知ること無く、ジャケットを見て、その優れたジャケット・デザインにインスピレーションを得て、つい手に入れてしまう行為のこと。「ジャケ買い」は得てして、かなりの確率で、好盤に当たることが多い、とされる。

しかし、逆に「このジャケットはな〜、買えんな〜」という劣悪なジャケットもある。これは得てして、かなりの確率で内容も悪い。しかし、劣悪では無い、デザイン的にも「アリ」なんだが、あまりに奇抜なデザインで、これはな〜、という盤もある。僕はこういう盤を「逆・ジャケ買い」と呼んでいる。購入に至るまでに相当の努力を必要とする(笑)。

そんな「逆・ジャケ買い」な盤が、Ramsey Lewis『Salongo』(写真)。1976年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Bryant (clavinet), Steve Cobb (ds, vo), Byron Gregory (g), Ron Harris (el-b), Ramsey Lewis (ac-p. el-p), Derf Reklaw Raheem (fl, perc, vo), Tang (vo)。う〜ん、リーダーのラムゼイ・ルイス以外、皆、知らん(笑)。1970年代後半のジャズ・ファンクのスタジオ・ミュージシャンは全く判らない(笑)。
 

Salongo

 
冒頭の「Slick」から、趣味の良いジャズ・ファンク全開。全編に渡って言えることだが、ブラスのユニゾン&ハーモニーの響きがとても「ジャズ・ファンク」している。後ろ打ちのオフビートがドカッと効いていて、そのファンクネスを湛えたグルーブ感と言えば、いやはやとても素晴らしい。特に、この盤のグルーブ感は適度に軽妙で小粋なところが魅力的。

リーダーのラムゼイ・ルイスのピアノはアコもエレも「ファンキー・ジャズ」なもの。これが面白い。バックのリズム・セクションは明らかに「エレ・ファンク」なんだが、エレ・ファンクのグルーブに乗っかるピアノのフレーズはファンキー・ジャズ。これが、恐らく、軽妙で小粋に響くところなのだろう。この軽妙さがこの盤では特に填まる。

1970年代後半に差し掛かる頃のジャズ・ファンク盤なんだが、内容的には決して大雑把ではなく、はしたなくもない。逆に、趣味が良く、アレンジが良く、流麗なグルーヴ感が良い。流麗ではあるが、甘きに流れない、しっかりとメリハリの効いたジャズ・ファンクのビートを叩きだして、その上にラムゼイ・ルイスのファンキーなピアノが乱舞する。1970年代ジャズ・ファンクの好盤です。

 
 

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2018年3月13日 (火曜日)

今まで無いジャズ・エレギである

ジャズの楽器の中で、ギターが一番苦手だった。というか、ジャズ盤を聴き込んでいく際に、楽器別に攻めていった訳だが、何故かギターが一番最後になった。それと、昔ながらのジャズ・ギターの線の細い一本弾きが、どうにも苦手で、攻め口をエレギ中心に持ってくるという発想を得るまで、昔ながらのジャズ・ギターが苦手だった。今は違うけどね〜。

最近のギタリストで、僕のイチ押しは「ジュリアン・レイジ(Julian Lage)」。10代の頃からミュージシャンとして活動し、ブルースやブルーグラス、カントリーのシーンに足を突っ込んできたかと思えば、ゲイリー・バートンのバンドに15歳の若さで加入。とくれば、これって一流ジャズ・ギタリストやん。ゲイリー・バートンのバンドに加入したギタリストと言えば、パット・メセニーやカート・ローゼンウィンケル等々、錚々たる面々なのだ。

20歳のときに録音した初リーダー作『Sounding Point』(2009年)をエマーシーから発表してメジャー・デビュー。そのスタイルは、今まで無い唯一無二なもの。聴けば、これってレイジやん、と判るほどの音の個性。といって、奇をてらっているスタイルでは無い。あくまで正統派ジャズ・エレギの系統で、そのくすんだ音、それでいて流麗で、音の雰囲気はジャズに留まらない。米国ルーツ音楽の要素をそれぞれ取り込んで、ジャズ・エレギに応用した、そんな音作り。
 

Sounding_point_2

 
Julian Lage『Modern Lore』(写真左)。2017年12月のリリース。そんなレイジの最新作。ちなみにパーソネルは、Scott Colley (b), Kenny Wollesen (ds), Julian Lage (g) のトリオ編成。米国ルーツ音楽の要素を偲ばせながら、メリハリの効いたロック風味のエレギが実に格好良く、実に「粋」である。とても、聴き心地が良い。特に、1970年代のロックに親しんで来た耳にかなり訴求する音。ちょっとノイズが乗った様なザラッとしたくすんだ音がとても素敵である。

バックのリズム&ビートを供給するベースとドラムも味がある。決して、派手に目立ったりすることはないのだが、ベースはちょっとゴリっとした骨太のベースで、しっかりとビートの底を支えている。ドラムも一言で言うと「堅実」。変に捻ったり変にポリリズムに走ったりしない。シンプルに堅実にリズムを刻む。これが、レイジのエレギにぴったりと合う。

ジャズ・エレギ盤として、とても良い出来のアルバムだと思います。これまでのフュージョン・ジャズのエレギとは全く異なる、当然、昔のモダンなジャズ・ギターとは全く似ても似つかない、現代のジャズならではの新しいスタイルと響きが個性のジャズ・エレギである。聴いていて心地良いのが一番。もう次作が楽しみになる、ジュリアン・レイジの好盤である。

 
 

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2018年3月12日 (月曜日)

クロスオーバー・ジャズの深化形

ジャズはどんどん深化している。今から30〜40年前に流行ったクロスオーバー・ジャズやジャズ・ファンクが、今の感覚と今のテクノロジーを駆使して、新しく生まれ変わったりする。こういうのを聴くと、ジャズは深化してるな〜、って感じるし、ジャズって裾野が広いなあ、と改めて思ったりする。

Todd Clouser, John Medeski, JT Bates『You the Brave : Live at Icehouse』(写真左)。これが、凄いライブ盤なんですよ。2017年7月24日、ミネソタ州ミネアポリスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Todd Clouser (g, vo), John Medeski (key), JT Bates (ds)。ギター+キーボード+ドラムのトリオ編成。

冒頭の「Whereas Her Money From」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ヘビーなギター、うねるオルガン、強烈なファンク・ビート。テンポはゆったりしているが、ヘビーなエレ・ファンク。これって、マイルスやん。1970年代前半の強烈なファンク・ビートをベースにしたエレ・マイルスをゆったりとしたテンポに落とした様な音。僕達にとっては「どこかで聴いた音」。思わず、聴き込み体勢に入る。
 

You_the_brave  

 
すると、5曲目の「You Call When You Want Something」の様に、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏もある。8曲目には「Amazing Grace」のカヴァーまでしている。こんな情緒的で印象的なエレギとキーボードの演奏を聴いていると、まるで、1970年代のプログレッシブ・ロックを聴いている様だ。

ジャズとプログレとの共存。有りそうで今まで無かった、ジャズとプログレとの「融合」。新しい感覚、新しい音世界。クロスオーバー・ジャズの深化形であり、新たな「フュージョン・ジャズ」の拡がりである。そうそう、クルーザーのボーカルは、まさに「今」である。ラップの様でもあり、語りの様でもあり、明らかに新しいジャズ・ボーカルの形である。

とにかく、1970年代のエレ・ファンク、クロスオーバー・ジャズ、プログレッシブ・ロックな要素が混ざり合った、今までに無い音世界である。リズム&ビートも重量級で、ジャズの軽快なスイング感など全く無い、あるのは重量級のファンクネス。反面、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏をアンチテーゼにして、このライブ盤は全く飽きが来ない。隠れ好盤。

 
 

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2018年3月11日 (日曜日)

カールトンもフュージョンが良い

21世紀になった今でも「フュージョン・ジャズ」の音の雰囲気をしっかり残したジャズメンやグループが幾つか存在している。さすがに生き残りである、かなりレベルの高いフュージョン・ジャズなアルバムをコンスタントにリリースし続けているのだ。昨日、ご紹介したリー・リトナーもそうだが、このラリー・カールトン(Larry Carlton)も、フュージョン・ジャズのレジェンドだ。

リトナーもそうだったのだが、21世紀に入ってからのカールトンのアルバムも、あまり真剣に聴き込んだことが無かった。実は、リトナーの時と同じタイミングで、カールトンのこの盤に出会って、早速、聴き直している。聴き直してみて、やっぱり、カールトンって、フュージョン・ジャズの人やなあ、と改めて感心。その盤とはこれ。

Larry Carlton『Deep Into It』(写真左)。2001年の作品。パーソネルを見渡すと、カールトン以外は、昔のフュージョン・ジャズで活躍していたメンバーはほとんどいない。それでも、出てくる音は、しっかりとフュージョン・ジャズしていて、昔からのフュージョン者である僕としては、懐かしさと嬉しさがこみ上げてきて、思わず何度かリピート聴きした。
 

Deep_into_it  

 
どういう心境の変化があったのか判らないが、この盤では、ギブソンES-355のギター・サウンドがタップリと堪能できる好盤に仕上がってます。従来からのカールトンの泣きのギターが満載。硬派で渋いクールなカールトンのフュージョン・ギターが戻って来た。そんな嬉しい思いがするアルバムです。偶然出会ったが故に喜びは倍増。

収録曲はどれもが良い楽曲ばかりなのですが、クルセイダーズの『Put It Where You Want It』を冒頭に持って来ているのもらしいし、「Roll With It」など、フィラデルフィア・ソウル好きなカールトンらしい。そして、イーグルスの名曲「I Can't Tell You Why」をさりげなくカヴァーしているところなんかは実にニクい。

「Don't Break My Heart」のアコギも実に良い味出しているし、フュージョン・ジャズには、演奏する楽曲の良し悪しに左右されるところがあるんですが、この盤はそこが実に良く出来ている。じっくり聴き込むのに良し、曲によってはダンサフルに足踏みをして聴くも良し。あまり話題にならない盤みたいですが、21世紀に入ってのカールトンの好盤として、お勧めの内容です。

 
 

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2018年3月10日 (土曜日)

リトナーにフュージョンが良い

1970年代半ば辺りから流行始めた「フュージョン・ジャズ」。1970年代後半から1980年前半にかけて大流行。1980年代後半、純ジャズ復古のムーブメントに呼応する様に、一気に衰退、というか、スムース・ジャズという、電気楽器の音の特性を活かして、ムーディーな要素を強調したものに変化していった。

しかし、21世紀になった今でも「フュージョン・ジャズ」の音の雰囲気をしっかり残したジャズメンやグループが幾つか存在していて、さすがに生き残りである、かなりレベルの高いフュージョン・ジャズなアルバムをコンスタントにリリースし続けているのだ。そんなジャズメンの一人が「リー・リトナー(Lee Ritenour)」。フュージョン・ジャズ創始の頃から、ギタリストとして第一線で活躍し続けている、フュージョン界のレジェンドである。

Lee Ritenour『Smoke 'n' Mirrors』(写真左)。2006年のリリース。ネットを徘徊していて、このアルバムに出会った。そう言えば、2000年以降のリー・リトナーって、あまり熱心に聴いたことが無いなあ、と反省しつつ、このアルバムに耳を傾ける。冒頭のタイトル曲から、演奏全体の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。
 

Smoke_n_mirrors

 
このアルバム全体から感じる印象は「収録された曲がどれも良い」ということ。フュージョン・ジャズの良し悪しを決める大事な要素が、収録された曲の出来。電気楽器が中心の演奏なだけに「流麗で滑らか」という特性があって、演奏曲の中にキャッチャーで聴き応えのあるフレーズを持っていないと、印象に引っ掛かるものが無くて、聴いていると飽きる。

しかし、このリトナーのアルバムについては、収録曲それぞれの出来がとても良くて、聴いていて飽きることは無い。加えて、リズム・セクションの出来がとても良い。パーソネルを見ると、ドラムに「ビニー・カリウタ(Vinnie Colaiuta)」がメインに座り、「アレックス・アクーナ(Alex Acuna)」がコンガを担当している。他のドラマーも含め、リズム系が充実している。

フュージョン全盛時代にジャズを聴き始めた、フュージョン・ジャズに限りない愛着のある自分にとっては、こういう内容充実のフュージョン盤に出会うと、なんだか気持ちがウキウキします。いや〜、この盤にはフュージョン・ジャズ純正の音が詰まっています。前年にフュージョン原点回帰したリトナー。やっぱりリトナーにはフュージョン・ジャズが似合いますね。

 
 

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2018年3月 9日 (金曜日)

ウルマーのジャズ・ファンク盤

1970年代後半、僕がジャズを聴き始めた頃は、ジャズの世界は「フュージョン・ブーム」真っ只中。FMのジャズの番組も、かかる演奏は基本的にクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズがメインだった。深夜帯の僅かな番組だけが、純ジャズをかけていたなあ。これがまた、聴く耳にグッとくるんだよなあ。懐かしいなあ。

当時、貧乏学生にとって、FMは貴重な音源で、夜な夜なエアチェックしていて、翌日、小型のカセットテレコをカバンに入れて、小さなヘッドフォンで聴いて歩いていた。そう、まだ「ウォークマン」が出現する前の時代のことである(笑)。そんなFMエアチェック時代の1980年に入ってからのこと。突如、ステレオを通じて、ヘッドフォンに思いっきりジャズ・ファンクなエレ・ジャズが耳に飛び込んで来た。

James Blood Ulmer『Are You Glad to Be In America?』(写真)である。1980年のリリース。オーネット・コールマンのバック・バンド出身の ギタリストで「ハーモロディック理論」に影響されたジャズ・ファンク。ジャズ界のジミヘンと言われるJames Blood Ulmer=ジェームス・ブラッド・ウルマーのジャズ・ファンク盤。
 

Are_you_glad_to_be_in_america  

 
それはそれは凄まじいギターである。ハードではあるが、しっかりとファンクネスがドップリ染み込んでいて、リズム&ビートが効きまくっていて、グルーヴ感が半端無い。 オーネット・コールマンのバック・バンド出身のギタリストではあるが、音の雰囲気は、これって「エレクトリック・マイルス」である。エレクトリック・マイルスから、おどろおどろしい、ダークなファンクネスを差し引いて、あっけらかんとしたファンクネスを残したような音世界。

この「脳天気」なエレ・ジャズなところが、ジェームス・ブラッド・ウルマーの真骨頂。誰かが表現した「鉈で薪をガシガシ割っていくような」エレギは爽快感満点。混沌としたエレ・ジャズだけど、ビートがしっかりしているので、破綻したり拠れたりすることは無い。整然とキッチリとグルーヴする。躍動感溢れ、耳に心地良い。これもジャズ、である。

ウルマーのウネウネしたギターに、アリのブリブリなベース、さらにマレイの官能的なホーンが絡んで来て、呪術的なダブル・ドラムが乱入し渾然一体となり、1980年の頃は、これってフリー・ジャズなのかなんなのか、何となく隔靴掻痒な感があったのですが、これはもう、現代でいう、躍動感溢れスリリングな「スピリチュアル・ジャズ」です。 いや〜、今の耳にも爽快に響きます。

 
 

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2018年3月 8日 (木曜日)

キースらしからぬ「例外の一枚」

キース・ジャレットの「スタンダーズ」の新盤がリリースされた。慢性疲労症候群という難病に冒され、1996年のソロ・ツアー以降、休養状態に、このまま、引退かとも思われた。しかし、1998年に復帰。その復帰後初となった1998年の「スタンダーズ」でのライヴ・レコーディングが、今回、リリースされた。

が、この盤のお話しは後日に譲るとして、休養前、唯一枚、聴き直しを漏らしていた、スタンダーズのライブ盤について、ここで語っておこうと思う。Keith Jarrett『Tokyo '96』(写真左)。1996年3月30日、東京渋谷のBunkamura・オーチャードホールでのライブ録音。改めて、パーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。いわゆる「スタンダーズ」の3人である。

休養に入った年が1996年なので、この東京でのライブは、休養直前、キースとしては体調はほぼ最悪であったと思われる。確かにそうやな、と思われる「ふし」が幾つかある。まず、演奏全体、特にキースのソロが落ち着いている。落ち着いているが故に判り易い。あまりに判り易い。そして、あのキースの「唸り声」がかなり小さめで発生も少ない。
 

Tokyo_96  

 
むむ、で、この盤の評判を見てみると、評判は上々。キースの演奏は「落ち着いていて、判り易い」。キースのピアノを理解するには最適である、という、このライブ盤は「スタンダーズ」のベスト盤という感想まである。そう言えば、例のキースのソロ盤『ケルン・コンサート』も似たような状況だったような。確かあの時もキースは体調が最悪だったはず。キースってちょっと可哀相。体調の悪い時の演奏ほど、評判が上々だったりするのだ。

で、僕の感想は、やはり、このライブ盤のキースは「いつものキースでは無い」。いつもは、もっとアグレッシブでメリハリが効いていて、ところどころフレーズが捻れていて複雑なところがあって、唸り声が絶好調なはず。僕にとってそんなキースが絶好調なキースであって、この盤でのキースはどこか「いつものキースと違うという違和感」が色濃く漂っていて、楽しんで聴くことは出来るんだが、聴き終えてから、なんだかちょっと違うなあ、という思いに駆られるのだ。

そして、このライブ盤、いつになく、ジャック・デジョネットのドラムが大きくフューチャーされている。ポリリズミックなデジョネットのドラムは素晴らしいのだが、スタンダーズはキースのピアノが一番目立たなければならない筈なんだが、これも違和感。この違和感が色濃く漂うライブ盤、振り返れば、この後、難病に取り憑かれ休養を余儀なくされる、そんな厳しい状況下で録音された、キースらしからぬ「例外の一枚」である。

 
 

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2018年3月 7日 (水曜日)

キースのアメリカン4の決定盤

ずっと、キースのアメリカン・カルテットの諸作を聴き直して来て、つまるところ「キースのアメリカン・カルテット」って何やったんや、という思いが強い。Impulse!レーベルの諸作を順番に聴き直してみて、これは、と思う素晴らしい部分もあるんだが、あれれ、とちょっとズッこける部分もあって雑然としている。全体を通して、まんべんなく充実しているアルバムが無いのだ。

それが「アメリカン・カルテット」の面白さと言えば面白さ。きちっとまとまっていない、ちょっと雑然として、ちょっと散漫とした部分が味と言えば味なのだ。音楽性としても、フォーキーでアーシーなフォービートの曲想もあれば、フリーキーでアブストラクトな曲想もあれば、思いっきりモーダルな自由度の高い曲想もあれば、瞑想的な幽玄でスピリチュアルな曲想もある。とにかく、キースのやりたいことがごった煮。

雑然、ごった煮のアメリカン・カルテットが、なんと欧州の純ジャズ・レーベルの雄、ECMレーベルに2枚のアルバムを残している。1枚はスタジオ録音、もう1枚はライブ録音。アメリカン・カルテットって、その名の通り、米国っぽいカルテットで、大雑把で雑然としていてごった煮。これが、欧州のレーベル、それも現代ジャズの宝庫、ECMレーベルにアルバムを残しているのだ。
 

The_survivors_suite_2  

 
Keith Jarrett『The Survivors' Suite』(写真左)。邦題『残氓』。1976年4月の録音。アメリカン・カルテットなのにドイツでの録音である。ここからしてユニーク(笑)。ちなみに改めて、パーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, celeste, ds), Dewey Redman (ts, per), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, per)。キースはピアノだけでなく、ソプラノ・サックスを吹いたり、ドラムを叩いたり。やりたい放題である(笑)。

ちなみに、このECMの『残氓』、アメリカン・カルテットの諸作のなかで、一番カッチリとまんべんなく充実してまとまっているアルバムなのだ。キースの大好きな「フォーキーでアーシーなフォービートの曲想」だけを省いて、フリーキーでアブストラクトな曲想と、思いっきりモーダルな自由度の高い曲想と、瞑想的な幽玄でスピリチュアルな曲想がバランス良く、織り込まれていて、素晴らしいパフォーマンスとして記録されている。

ECMの総帥、マンフレッド・アイヒャーのプロデュースの成せる技なのか、あの雑然、ごった煮のアメリカン・カルテットの音世界が、実にアーティスティックにきっちりとまとまっている。メンバーのパフォーマンスもバランスが良く、キースだけが目立つことも無い。この『残氓』こそが、キースのアメリカン・カルテットのスタジオ録音の決定盤だと僕は思う。アメリカン・カルテットについて、やっと溜飲が下がった思いだ。

 
 

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2018年3月 6日 (火曜日)

現代のジャズ・ファンク・バンド

ジャズ・オルガンと聞くと、その代表的存在、ジミー・スミスの存在とイメージが強く浮かんで、「ファンキー・ソウル・ムーディー」と音世界が頭の中をよぎる。こってこてファンキーなアドリブ・フレーズ。唸りを上げるレスリー・スピーカー。そして、ジャズ・オルガンと言えば、ハモンド・オルガン。

と、まあ、ジャズ・オルガンに対する先入観はこんな感じなのだが、1980年代以降、21世紀になる頃には、このジャズ・オルガンの先入観をガラッと変える、ソリッドでストイックでアグレッシブな、限りなく硬派でプログレッシブなジャズ・オルガンが出現している。これがまた実に良いのだ。まだまだ、ジャズ・オルガンには深化の「のりしろ」があった、ということ。

Medeski Martin & Wood『Uninvisible』(写真左)。2002年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、John Medeski (key), Billy Martin (ds), Chris Wood (b)。オルガン・トリオ。3人の姓をとって、 「メデスキ、マーティン・アンド・ウッド」というバンド名で活躍している。
 

Mmw_uninvisible

 
メデスキ、マーティン・アンド・ウッド(略称:MMW)は、米国のジャズ・ファンク・バンド。ジャズ・ファンクとヒップ・ホップを融合し、即興演奏の妙と前衛音楽のアブストラクトな面を織り交ぜ、先取的でコンテンポラリーなジャズがメイン。この『Uninvisible』では、ジャズ・ファンクがメインの音世界に、仄かにクロスオーバーなサウンドを織り交ぜた、ソリッドなグルーブ感が堪らない。

クールなオルガン・ファンク。そんなキャッチフレーズがピッタリ。ゴリゴリとソリッドなベースも硬派で格好良く、ポリリズミックでビシッと決まるドラミングも実に「鯔背」である。そうそう、メデスキって色々なキーボードにも手を染めていて、なんとメロトロンを弾いているんですよね。もうまるで、1970年代のプログレッシブ・ロックの雰囲気です。

現代のジャズ・ファンク。1960年代後半から1970年代にかけてのジャズ・ファンクの要素を様々なキーボードの音に置き換えて、リズム&ビートを最先端のものに置き換えて、21世紀の時代、独特のグルーヴ感が素晴らしい。そして、これだけ先進的なジャズ・ファンク・バンドは、ジャズの名門レーベル、ブルーノートからリリースされている。ブルーノート恐るべしである。

 
 

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2018年3月 5日 (月曜日)

ECMのジョン・アバ再び

ジョン・アバークロンビー(略して「ジョンアバ」)。その素敵に捻れたフレーズとサスティーンが効いたロングトーンが特徴で、聴けば直ぐに判る。音の雰囲気は明らかに欧州的で、ファンクネスは全く感じない。トーンは丸いが芯は硬質。速弾きで突っ走るよりは、ロングトーンを活かして、耽美的に雰囲気で聴かせる。

ジョンアバは、ECMレーベルに好盤を沢山残している。マンフレート・アイヒャーの美意識が、ジョンアバのギターのトーンにピッタリである。例えば、John Abercrombie『Gateway 2』(写真左)。ECMを代表する知性派ギタリスト、ジョン・アバークロンビーによる1978年の作品。密度の濃い交感、スリリングなバトルが堪能できるトリオ・ミュージック。

ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (el-g, ac-g, el-mandolin), Jack DeJohnette (ds, p), Dave Holland (b)。ギター・トリオである。ドラムがデジョネット、ベースがホランド。いかにもECMらしい取り合わせ。限りなく自由度の高いフリーに近い演奏もOK、フォーキーで耽美的なメロディアスな展開もOK。非常に柔軟度の高いギター・トリオである。
 

Gateway2  

 
実は同じパーソネルで、この『Gateway 2』の全編である『Gateway』(左をクリック)を1975年3月に録音している。その前作は激しいフリー・インプロヴィゼーションを繰り広げた作品で圧巻だったが、この『Gateway 2』では、自由度の高い即興演奏を基本としながらも、幻想的、耽美的な美しさを前面に押し出したトリオ・ミュージックに仕上がっている。

よって、こちらの『Gateway 2』の方が親しみ易く、聴き易い。ジョンアバのギターもエレギとアコギを使い分けていて、欧州的な耽美的な美しい音の響きを聴かせてくれる。ジャジーなビートとは全く相容れ無いロングトーンが特徴なので、デジョネットのフリーでポリリズミックなドラミングと前衛的で良く歌うホランドのベースとの相性が良い。

この三位一体の即興演奏はエモーショナルであり、アーティスティックである。独特の深いエコーも効果的で、いかにもECMレーベルの音世界がこの盤に詰まっている。これまたECMレーベルらしい、アーティスティックなジャケットと相まって、聴いていてとても楽しい。4ビートだけがジャズでは無い。これもジャズ。いわゆる欧州ジャズである。

 
 

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2018年3月 4日 (日曜日)

粋なモーガンのジャズ・ロック

ジャズ・レーベルの正統派、ジャズ・レーベルの老舗「ブルーノート・レーベル」。ジャズのその時代時代のトレンドをいち早く察知し録音し、後のジャズ・ジャイアンツ達の若かりし頃、その才能をいち早く発掘し録音する。今、残されている音源はジャズの歴史そのものである。

そんなジャズのメインストリーム、老舗レーベルのブルーノートであるが、ファンキー・ジャズやジャズ・ロック、そして、ジャズ・ファンクの宝庫でもあるのだ。ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンからすると「コーニー(corny)だ」とする、いわゆる「俗っぽい」ジャズについてもなかなかに造詣が深いレーベルなのだ。

Lee Morgan『The Gigolo』(写真左)。1965年6月25日、7月1日の録音。ブルーノートの4212番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Harold Mabern (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。1963年録音の『The Sidewinder』からのジャズ・ロックな雰囲気を引き継いだ、とてもグルーヴィーでファンキーな内容が特徴。
 

The_gigolo

 
まず、リーダーのリー・モーガンのトランペットが絶好調。音に覇気が漲り、スーッと良く伸びたトーン。音はキラキラ、ブリリアントに輝き、速いフレーズは切れ味抜群。この頃のモーガンは絶好調。というか、モーガンのトランペットはジャズ・ロックにピッタリと合うのだ。音の溜めとフレーズが基本的に鯔背にオフビートで、人より速いアドリブ展開が8ビートにシックリ合う。

バックのリズム・セクションは、当時の新鋭ジャズメンがメイン。基本的には、硬派なハードバップやモーダルな演奏が出来るテクニックを持ったリズム・セクションが8ビートなジャズ・ロックのリズム&ビートを供給する。ドッシリとした重心の低い、安定感溢れるジャズ・ロックなリズム&ビートがこの盤の特徴。

弱冠18歳でリーダー作を発表した若き天才トランペッター。若さに似合わぬ、鯔背で粋なトランペットが素敵なリー・モーガン。そんなモーガンのトランペットが一番輝くのが「ジャズ・ロック」。この『The Gigolo』は、モーガンのジャズ・ロック盤のイチ押し。タイトルの「ジゴロ」も言い得て妙。「モテ男」モーガンの面目躍如な盤である。

 
 

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2018年3月 3日 (土曜日)

こってこてのソウル・ジャズ

ソウル・ジャズ。1960年代、ブルースや教会音楽を基本にした曲を元にしたジャズの流行の演奏スタイル。ブルースのフィーリングが強く、ゴスペルの要素を折り込んで、黒人音楽的要素を前面に押しだしたところが特徴。ポップで大衆的な雰囲気で、高揚感が漂い、今の耳で聴くと、スピリチュアルな側面が見え隠れする、ファンキーなジャズという雰囲気。

僕がジャズを聴き始めた1970年代後半では、ソウル・ジャズは異端であり、俗っぽく、本気で聴くジャズでは無い、とされた。僕の印象としては、演奏自体はソウル・ミュージックからR&B基調の音なので、違和感は無い、というか大好きなのだが、ボーカルが入るところがどうにも気恥ずかしくて、ステレオやカセットテレコから音を出しながら聴くということが出来なかった。

全く、許容量の少ないことであった(笑)。でも、である。50歳を過ぎることから、このソウル・ジャズについては、全く拘ること無く聴くことが出来ようになった。恐らく、年齢がそうさせたのだろう。もともと子供のころから、ソウル・ミュージック、特にモータウン系が好きだったので、ソウル・ジャズのボーカルについても実は全く抵抗が無かった。
 

Talk_to_the_people  

 
Les McCann『Talk to the People』(写真左)。ソウル・ジャズの中核的存在、キーボード奏者レス・マッキャンの好盤。1972年3月30日の録音。もう米国の最大のポップ・ミュージック・ジャンルは「ロック」の時代である。そこにこの「こってこてのソウル・ジャズ」。この盤、聴けば判るが、徹頭徹尾、こってこてのソウル・ミュージックである。バックの演奏は確かにファンキー・ジャズではあるが、ボーカルが入ると、これはもう「ソウル」でしょう。

演奏を聴いていると、思わず足でリズムを取り始め、体が動き始め、遂には踊り出してしまう。そして、このソウル・ジャズ盤、聴きどころは、レス・マッキャンのフェンダー・ローズ。ローズ独特の丸く揺れる鋭角な音が実にソウルフル。ゴスペル的な和音を重ねつつ、徐々にクレッシェンドしている様は、まさに「高揚感溢れるスピリチュアル」なもの。リズム&ビートはダンサフル。

若い頃は自らの耳で確かめること無く、つまりはジャズ雑誌の硬派な評論に左右されていたんだなあ、と今になって苦笑している。ということで、この盤である。これが実に良い雰囲気の、ポップでブルージー、ゴスペルチックでスピリチュアル。聴いて楽しいソウル・ジャズ。週末の晴れた朝、ゆったりと気持ちを高めたい朝。このソウル・ジャズは最適のBGMである。

 
 

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2018年3月 2日 (金曜日)

ウェブスターの「白鳥の歌」

SteepleChaseレーベルは、欧州の「ブルーノート」と呼ばれる。確かにそう思う。欧州発のハードバップの宝庫でもあり、様々なジャンルのジャズ、ジャズメンのレコーディングも行っている。レーベルのカタログを見ると「え〜っ、こんなジャズメンのライブ、録ってるんや」と感心するアルバムがあって、ついつい深入りしてしまう。SteepleChaseの深い森、である。

Ben Webster『My Man : Live at Montmartre 1973』(写真左)。1973年1月と4月の録音。SteepleChaseレーベルの本拠地である、デンマークはコペンハーゲンのジャズハウス「モンマルトル」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Ole Kock Hansen (p), Bo Stief (b), Alex Riel (ds)。

リーダーのベン・ウェブスターはエリントン・オーケストラの最初のテナーのソリスト。スイング時代からの伝説のテナーマン。1909年生まれだから、もう生誕100年以上になる。ジャズ史上の伝説のテナーマンの一人。コールマン・ホーキンス、レスター・ヤングとともにスウィング期の3大テナーの一人と考えられている。
 

My_man  

 
この『My Man』は、そんなウェブスターがコペンハーゲンの地元のリズムセクションをバックに吹きまくった、実に魅力満点のライブ盤である。ウェブスターの音はとにかくでかい。そして、豪快で荒々しい。アドリブは意外と単調だが迫力満点。バラードでは一転して、サブトーンを使ってムードテナー的。情感を込めて歌い上げるバラード「Willow Weep For Me」などは絶品。

バックの地元出身者で固めたリズム・セクションも良好。特に、オーレ・コク・ハンセンのピアノは、実に北欧的で美しい。「Old Folks」でのピアノ・ソロなど絶品である。そんな優秀なリズム・セクションをバックに、ウェブスターは自然体で、魅力的なテナーを吹き上げる。淡々と朗々と悠然と豪快にテナーを歌わせる。

1964年、ウェブスターは渡欧、1969年にコペンハーゲンに移住。以降、気が向いた時に演奏するというスタイルで、人生最後の時を過ごしていたという。その一時を捉えたライブ盤『My Man』。1973年9月20日がウェブスターの命日。この『My Man』は、1973年1月と4月の録音。このライブ盤はウェブスターの「白鳥の歌」、ラスト・レコーディングと言われている。

 
 

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2018年3月 1日 (木曜日)

ダウケレン、侮り難しである。

ジャズは「深化」している。「進化」はなかなか難しくなったが、「深化」は確実に進んでいる。今回、このアルバムを聴いて、その感覚を再確認した。Jan Van Duikeren『Jan Van Duikeren's Fingerprint』(写真左)。「ヤン・ヴァン・ダウケレンズ・フィンガープリント」と読む。2011年2月のリリース。

紹介記事を読んでみると、キャンディー・ダルファー、トレインチャ、ザ・ジャズインヴェーダーズ、ニュー・クール・コレクティヴ・ビッグバンド、ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ、それら全てに参加するオランダ・ジャズ・シーンのファースト・コール・トランペッター「ヤン・ヴァン・ダウケレン」初のリーダー作だそうだ。

確かに「良い」。トランペットの音がとてもポジティヴに、躍動感溢れ、響きまくる。素直ではあるが、ちょっとだけ捻れた「鯔背な」トランペット。現代の「鯔背な」トランペットである。なるほど、このヤン・ヴァン・ダウケレンが、和蘭でファースト・コール・トランペッターだと言われるのが、とても良く判る。
 

Jan_van_duikerens_fingerprint

 
こんなポジティヴなトランペット、確かに欲しいし、一緒にやってみたくなるよな〜。アルバム全体の雰囲気は「現代のファンキー・ジャズ」。これまでのファンキー・フュージョンやジャズ・ファンク、ソウル・ジャズの要素を取り込みながら、全体の雰囲気は、コンテンポラリーでクールな「ファンキー・ジャズ」。

ファンキー・ジャズでありながら、ファンクネスはあっさり目。こってこてなファンクネスとは全く無縁。さすがは欧州は和蘭のジャズである。爽快感抜群、ポジティブで鯔背な「ファンキー・ジャズ」。そして、ずっとダウケレンのトランペットを聴いていて、どこか温和な雰囲気が漂っているところがユニーク。ほど良く抑制が効いている、というか、ポジティヴに「温和」なのだ。

ハードバップなジャズに定盤な雰囲気、所謂「熱気溢れ、汗が飛び散る熱いブロウ」というところが無く、力感はしっかりあるが、どこか温和なトランペットの音が実に面白い。他のトランペッターにはちょっと見当たらない「温和で鯔背な」トランペット。これが以外と癖になり、何度も繰り返し聴くハメに陥っている。ダウケレン、侮り難しである。

 
 

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