ECMのジョン・アバ再び
ジョン・アバークロンビー(略して「ジョンアバ」)。その素敵に捻れたフレーズとサスティーンが効いたロングトーンが特徴で、聴けば直ぐに判る。音の雰囲気は明らかに欧州的で、ファンクネスは全く感じない。トーンは丸いが芯は硬質。速弾きで突っ走るよりは、ロングトーンを活かして、耽美的に雰囲気で聴かせる。
ジョンアバは、ECMレーベルに好盤を沢山残している。マンフレート・アイヒャーの美意識が、ジョンアバのギターのトーンにピッタリである。例えば、John Abercrombie『Gateway 2』(写真左)。ECMを代表する知性派ギタリスト、ジョン・アバークロンビーによる1978年の作品。密度の濃い交感、スリリングなバトルが堪能できるトリオ・ミュージック。
ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (el-g, ac-g, el-mandolin), Jack DeJohnette (ds, p), Dave Holland (b)。ギター・トリオである。ドラムがデジョネット、ベースがホランド。いかにもECMらしい取り合わせ。限りなく自由度の高いフリーに近い演奏もOK、フォーキーで耽美的なメロディアスな展開もOK。非常に柔軟度の高いギター・トリオである。
実は同じパーソネルで、この『Gateway 2』の全編である『Gateway』(左をクリック)を1975年3月に録音している。その前作は激しいフリー・インプロヴィゼーションを繰り広げた作品で圧巻だったが、この『Gateway 2』では、自由度の高い即興演奏を基本としながらも、幻想的、耽美的な美しさを前面に押し出したトリオ・ミュージックに仕上がっている。
よって、こちらの『Gateway 2』の方が親しみ易く、聴き易い。ジョンアバのギターもエレギとアコギを使い分けていて、欧州的な耽美的な美しい音の響きを聴かせてくれる。ジャジーなビートとは全く相容れ無いロングトーンが特徴なので、デジョネットのフリーでポリリズミックなドラミングと前衛的で良く歌うホランドのベースとの相性が良い。
この三位一体の即興演奏はエモーショナルであり、アーティスティックである。独特の深いエコーも効果的で、いかにもECMレーベルの音世界がこの盤に詰まっている。これまたECMレーベルらしい、アーティスティックなジャケットと相まって、聴いていてとても楽しい。4ビートだけがジャズでは無い。これもジャズ。いわゆる欧州ジャズである。
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