ながら聴きのジャズも良い・31
最近の日本ジャズのトレンドのひとつが「クラブ・ジャズ」。いわゆる「クールに踊れるジャズ」、クールに踊れることを前提に創作されたジャズである。ネットで上げられていた「クラブ・ジャズ」の解釈が秀逸なので、ここで引用させていただくと、踊らせること、クラブでDJによってプレイされることを目的として作られた「ダンスミュージック」とある。とても判り易い解釈だ。
H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』(写真左)。今年の3月のリリース。リリースしたてのホヤホヤ、H ZETTORIOの通算4枚目のオリジナル・アルバムである。H ZETTRIO=エイチゼットリオ、と読む。純日本のジャズ・ピアノ・トリオ。メンバー3名は、鼻を青・赤・銀に着色。ちなみにパーソネルは、H ZETT M (p), H ZETT NIRE (b), H ZETT KOU (ds)。リアルな姓名は伏せられている。
H ZETTRIOは「大人も子どもも“笑って踊れる”」をテーマに掲げるピアノトリオ・バンドである。この最新盤でもそのポリシーが踏襲されている。とにかくトリオのメンバーそれぞれのテクニックが秀逸。「笑って踊れる」部分をファンキーなリズム&ビートに頼ったりはしない。H ZETTRIOの演奏は「笑って踊れる」をテーマにしながら、ファンクネスは全く皆無。疾走感溢れる、パルシヴなオフビートがダンサフルを引き出す。
演奏の雰囲気はポップでジャジー。ダンサフルで明朗なサウンド・トーン。シンプルで判り易い。リズム&ビートも判り易いし、メロディー・ラインも判り易い。判り易いということは「ノリ易い」。さらに、メロディー・ラインはポジティヴ。ポジティヴだからこそ「笑って踊れる」。とても良く練られた演奏コンセプトである。
アルバムに収録されている楽曲は、それぞれ、ちょっと「ミステリアス」な雰囲気が加味されていることが、この盤の「ミソ」。一曲一曲、対峙して聴き込むのでは無く、そのシンプルでノリの良い、ハイテクニックでポジティヴな演奏は「ながら聴き」に最適。「大人も子どもも“笑って踊れる”」演奏は「ながら聴き」にも向く。
先週の週末から、いきなり暖かくなった。すっかり春である。春の暖かな晴れた午後。ゆったりホッコリのんびり。こういう時間は聴き流しのジャズが良い。あまり、ガッチガチに相対する様な、聴き込む様なジャズは疲れる。ゆったりと気持ちを休ませるには「聴き流し」のジャズが良い。今の僕にとっては、H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』は、ゆったり「聴き流しのジャズ」。
東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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