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2018年2月の記事

2018年2月28日 (水曜日)

フリー・ジャズなチック・コリア

チック・コリアには様々な「顔」がある。コンテンポラリーな純ジャズな「顔」もあれば、ハード・フュージョンな「顔」もある、マイルスも認める、先鋭的なエレ・ジャズなキーボード奏者の「顔」もあれば、デュオをやらせれば天下一品な、デュオ上手な「顔」もある。しかも、どの「顔」でも、その演奏ジャンルで超一流の成果を残すのだから素晴らしい。器用貧乏ならぬ「器用なレジェンド」である。

そんな器用なレジェンド、チック・コリアであるが、初期の頃、フリー・ジャズに身を投じている。チック・コリアという名前がジャズ者の間に広まった切っ掛けが、エレ・マイルス・バンドへの参加。あの帝王マイルスがその才能を認め、自らのバンドに参加させ、ツアーにも出ているのだ。これって凄いこと。そして、エレ・マイルス・バンドを辞した後、チックはフリーに身を投じる。

Circle『Paris Concert』(写真左)。1971年2月21日、パリの「Maison de l'O.R.T.F.」での録音。ちなみにパーソネルは、Anthony Braxton (reeds, perc), Chick Corea (p), David Holland (b, cello), Barry Altschul (ds,perc)。バンド名「サークル」とは、チック・コリアが、サックス奏者アンソニー・ブラクストンと出会って結成した「フリー寄りのユニット」である。
 

Paris_concert

 
このフリー寄りのユニット、サークルのライブ盤はECMレーベルからリリースされている。聴けば判るのだが、フリーな演奏の部分は、ECMジャズのフリー、所謂、欧州のフリー・ジャズである。抑制の美が個性、クールな響きが美しいフリー・ジャズ。恐らく、マイルス・バンドから独立したチックの最初の狙いが、この「欧州のフリー・ジャズ」だったのだろう。

このサークルという「フリー寄りのユニット」は、1970年秋から僅か半年だけの活動という超短命。超短命だったが故に、チックの失敗作とされることが多いのですが、どうして、このライブ盤の演奏を聴くと、結構「イケてる」限りなく自由度の高い純ジャズが展開されています。特に、スタンダード曲は、今の耳で聴くと「これってフリー」と思ってしまう、自由度の高いモードジャズ風な演奏に思わずドキッとします。

つまりは、チックの判断は「フリーは欧州ではウケるかもしれないが、メジャーにはなれない。そして、米国では売れない」と判断したんでしょう。チックの良いところは「駄目」と判断したら瞬時に切り捨てるところ。未練など微塵も無い。しかし、このライブ盤など、残されたサークルの音源を聴くと、これはこれでレベルの高いフリー・ジャズに仕上がっているのだから、チックは恐ろしい。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年2月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・30

元来、勉強したり、仕事をしたりする時、音楽が無いと駄目なタイプである。いわゆる「ながら族」である。中学時代から、勉強に音楽とラジオ放送は欠かせない。夜、晩ご飯を食べたら、カセットテレコで音楽を聴きながら勉強。夜11時からは深夜放送タイムに突入。ず〜っと「ながら勉強」。これは大学卒業まで続く。筋金入りの「ながら族」である。

さすがに社会人になって、会社で仕事をする時は音楽は「御法度」。しかし、頭の中では音楽が流れており、ノってくると鼻歌を歌いながら仕事をして、よく上司から怒られた(笑)。で、「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正な純ジャズか、端正なフュージョンが良い。途中、ブレイクしたりフリーに走ったりするやつは駄目だ。気が散る。かっちり端正なやつが良い。

Jim Rotondi『The Move』(写真左)。2009年11月10日の録音。パーソネルは、Jim Rotondi (tp, flh), Ralph Bowen (ts), Mike DeRubbo (as), David Hazeltine (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。なんだか「One For All」に似てるなあ、と思ったら、パーソネルを見たら、Jim Rotondi, David Hazeltine, Joe Farnsworth の3人が「One For All」出身でした。
 

The_move_1

 
実に清々しいほどに端正な純ジャズである。兎にも角にも破綻が全く無い。楽器も素敵に良く鳴っている。特に、リーダーのジム・ロトンディのトランペットが凄く良い音で鳴っている。芳しきブラスの響き。スッと伸びたハイトーン。聴いていて凄く気持ちが良くなる、端正で堅実で素直な伸びのあるハードバップである。リズム・セクションもクールで躍動感溢れる極上なもの。

9曲中5曲がメンバーのオリジナルもなかなか良い出来だが、残り4曲のスタンダード曲及びジャズメン・オリジナル曲の出来が更に良い。アレンジも洗練されていて、淀みの無い流麗なハードバップ。しかし、1950年代のハードバップでは無い。洗練され深化した現代のハードバップである。ビートもしっかりと効いていて、聴いていて、とてもとても心地良い。

午前中から午後、日の高い間の「ながら聴き」のジャズはトランペットがメインのハードバップが良い。サックスであればアルト・サックスだ。夕暮れ時から夜にかけては、やっぱりムーディーなテナー・サックスがメインのハードバップが良い。「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正なハードバップが良い。ジム・ロトンディの『ザ・ムーヴ』。ながら聴きに最適な好盤である。

 
 

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2018年2月26日 (月曜日)

チャーリー・ラウズの白鳥の歌

最近は良い世の中になったなあ、と感じる。ネットを徘徊していると、様々なジャズ盤と出会うことが出来る。ジャズを聴き初めて、早40年。アルバムを聴き込んだ枚数も相当数になるんだが、ジャズの世界は奥が深く、裾野が広い。今でも時々「こんなアルバムあったんや」と感じ入る好盤に出会うことがある。

Charlie Rouse 『Epistrophy - The Last Concert』(写真)も、そんな「こんなアルバムあったんや」と感じ入った好盤の一枚。1988年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Rouse (ts), Don Cherry (tp), Buddy Montgomery (vib), George Cables, Jessica Williams (p), Jeff Chambers (b), Ralph Penland (ds)。

収録曲はセロニアス・モンクの有名曲ばかり。それもそのはずで、サンフランシスコでの「1988 Jazz in the City! Festival」での、セロニアス・モンクのバースデー・トリビュートでのライブ録音。もともと、チャーリー・ラウズは、1959年から1970年まで、セロニアス・モンクのカルテットで活動、その間モンクの側近中の側近の存在で、モンクに一番近いジャズメンである。
 

Epistrophy_last_recording   

 
演奏内容はと言えば、さすがにモンクの側近中の側近の存在、モンクズ・チューンを朗々と吹き上げていく。ラウズの演奏するモンクの曲は説得力があって、本物っぽく聴こえる。やはり、10年以上もモンクと共にしたラウズである。モンクの曲のイメージを誰よりも理解しているのだろう。本当に素晴らしいパフォーマンスだ。

もう一人素晴らしいと感じ入ったのは、このライブ演奏での「モンク役」を担った、ピアノのジョージ・ケイブルスである。多弁なピアニスト・ケイブルスであるが、モンクの楽曲でアドリブ・フレーズを叩き出し、ラウズのテナーやチェリーのトランペットのバッキングをする雰囲気は、かなりのところ「モンク」。良い雰囲気の楽しいピアノである。

あれっと思って調べてみたら、ラウズの命日が1988年11月30日。このライブ盤の録音が1988年10月。ラウズの逝去の約1ヶ月半前の「ラスト・レコーディング」であった。肺がんのため、と聞いているが、このライブ盤のブロウの力強さを聴くと、肺がん末期のブロウとは思えない。このライブ盤は、ラウズの「白鳥の歌」。聴く度に万感の想いがこみ上げる。

 
 

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2018年2月25日 (日曜日)

ゴーゴー・ペンギンのセカンド盤

最近のジャズのアルバムもちょくちょく聴いている。最近のジャズを聴いていると、ジャズってどんどん深化していっているなあ、と実感する。現代のジャズについては、新しい奏法とか、新しい演奏手法とか、何か新しい革新的なものが生まれることはほぼ無くなって来ているが、今までのジャズの資産をさらに掘り下げたり、さらに洗練させたり、いわゆる「深化」はどんどん進んでいると感じる。

「GoGo Penguin」というトリオがある。英マンチェスター出身の「アコースティック・エレクトロニカ・トリオ」というキャッチ・フレーズ。2009年に結成され、地元マンチェスターを拠点に活動をスタート。イギリスの音楽賞「マーキュリー・プライズ」にノミネートされて注目を高め、ドン・ウォズに見初められ、名門Blue Noteよりメジャー・デビュー。そんなゴーゴー・ペンギンが新盤をリリースした。

GoGo Penguin『A Humdrum Star』(写真左)。今年2月のリリース。この『ア・ハムドラム・スター』、メジャー・デビュー盤以来、2年振りのメジャー・セカンド・アルバムになる。ちなみにパーソネルは、Chris Illingworth (p), Nick Blacka (b), Rob Turner (ds)。基本はピアノ・トリオである。
 

A_humdrum_star

 
「新しいジャズのアンサンブル」を標榜しつつ、アコースティック楽器でのエレクトロニック・ミュージックを再現する、という実に面白いアプローチを採用している。メジャー・デビュー・アルバムの『Man Made Object』でも、それは十分に成果を上げていたと思うが、メジャー・セカンド盤では、それがさらに洗練され、拡充されている。

ゴーゴー・ペンギンの演奏の要は「グルーヴ」。このバンドはこの「グルーヴ」の生み出し方から作用・効用までを良く理解しているようだ。このセカンド盤でも、アップビートなグルーヴが持続する。執拗に繰り返される「印象的なリフ」がグルーブを生み、パルスの様な等間隔なビートがグルーヴを増幅する。そのグルーヴがスピリチュアルな感覚を生み出す。新しい感覚の「スピリチュアル・ジャズ」。

最後に、この執拗に繰り返される「印象的なリフ」は、あくまでも生演奏の可能性にこだわっており、打ち込みには一切頼っていない、とのこと。このグルーヴをバックに、ジャズ特有の即興演奏が展開される。そのグルーヴと即興演奏との対比が実に素晴らしい。即興演奏のフレーズがグルーヴをバックに浮き出てくる。独特の浮遊感。まだまだ、この新感覚のバンドから、まだまだ目が離せない。

 
 

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2018年2月24日 (土曜日)

Dr.ロニー・スミスの快ライブ盤

最近のジャズのアルバムもちょくちょく聴いている。新盤の情報収集にネットを徘徊する訳だが、時々「おおっ」と思わず「喝采」の声を上げてしまう新盤リリースの情報もある。今回、この人の新盤リリースの報には、思わず「おおっ」と声を上げた。もともと、前作『Evolution』(2017年1月28日のブログ参照)が快作だった思い出があるので、今回の新盤にも期待が高まる。

この人とは「Dr. Lonnie Smith=Dr.ロニー・スミス」。1942年生まれなので、今年で75歳になる。Hammond B-3 オルガンの使い手である。頭にターバンを巻いたその出で立ちは、どう見てもジャズメンには見えない(笑)。そんな出で立ちで、白熱の指捌きを披露しつつ、エモーショナルで流麗かつファンキーなフレーズを叩き出す。思わず仰け反ってしまいます。

Dr. Lonnie Smith『All in My Mind』(写真左)。昨年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dr. Ronnie Smith (hammond B-3), Jonathan Kreisberg (g), Johnathan Blake (ds)。そんな「Dr.ロニー・スミス」のバリバリのオルガン・トリオである。2017年夏、NYのJazz Standardで行われた生誕75周年記念ライブの音源である。
 

All_in_my_mind_1  

 
正統派ジャズ・オルガンの好盤である。ジャズ・オルガンの個性、特徴、利点がこの盤に溢れている。Dr.ロニー・スミスのオルガンは実にオーソドックス。攻撃的なところも無く、甘くムードに流れることも無い。こってこてのファンクネスを湛えつつ、75歳とは思えないほど端正で正確な指捌きから弾き出される、ソウルフルなフレーズ。そして、何より「音」に芯があって柔らかい。

共演のジョナサン・クライスバーグのギターがこれまた「良い」。もともとロック畑のギタリストである。アドリブ・フレーズの中に、おやっと思うくらいに明確なロックなフレーズがとっても素敵。ジョンナサン・ブレイクのドラミングも味があって秀逸。特にロニー御大のオルガンのリズム&ビートの先導役&扇動役を堅実に決めているところが好印象。

最後にこのライブ盤、選曲も良い。ウェイン・ショーターの1965年ブルーノート盤『Juju』のタイトル曲からスタートするところなど、思わず「渋い」と唸ってしまう。さらにポール・サイモンのヒット曲 「50 Ways to Leave Your Lover」 がオルガン・ジャズ化されているが、これがまた良い内容。他の曲も「捨て曲無し」。オルガン・ジャズの好盤である。

 
 

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2018年2月23日 (金曜日)

コンテンポラリーなピアノ3

最近のジャズのアルバムもちょくちょく聴いている。最近のジャズを聴く時は、Apple Musicを重宝している。For Youの「Chill Mix」や「New Music Mix」のメニューは、こちらの好みの傾向から、様々なアルバムをリコメンドしてくれるのだが、これが非常に助かる。大体はアルバム・ジャケットを見ながら直感で選ぶ。これが意外と楽しい。

Edward Simon『Steel House』(写真左)。2014年12月10〜12日の録音。リリースは昨年。ちなみにパーソナルは、Edward Simon (p, key), Scott Colley (b) Brian Blade (ds, pumb organ) 。現代のメインストリーム・ジャズを代表するメンバーによるピアノ・トリオ作品。ほんと良いメンバーが組んだトリオである。

しなやかで硬質、それでいて時折聴かせるセンシティヴなタッチが個性のエドワード・サイモンをピアノに、ベースにスコット・コリー、そして、ドラムには、最近の僕のお気に入りドラマー、ブライアン・ブレイドが座る。聴けば直ぐに「今までのピアノ・トリオの音とはちょっと違う」と感じる。現代のコンテンポラリーな純ジャズの音。
 

Steel_house_1  

 
ブライアン・ブレイドのドラミングが、このトリオ演奏の雰囲気のベースを形作る。しなやかに力強く波打つようなグルーヴ、間の効いた乾いたポリリズム、リズミックに楔を打ち込むようなオフビート。それに呼応する様に、スコット・コリーが、太く鋼の様に強靱に波打つベースラインを供給する。

そして、そんなリズム隊をバックに、しなやかで硬質な色彩豊かなフレーズを叩き出すエドワード・サイモンのピアノ。フォーキーで抑制された、クールにエモーショナルな、それでいてグルーヴ感豊かなピアノ・トリオの演奏が展開される。決して、感情のおもむくままにラウドにエモーションを吐き出すことは決して無い。

あくまで、クールな熱気を帯びたグルーヴを振り撒きながら、印象的なアドリブ・フレーズを展開する。ピアノ音色も、ドラムのビートもベースの響きも、どれもがとても美しいピアノ・トリオである。現代のコンテンポラリーな純ジャズの音がここにある。ピアノのエドワード・サイモンはベネズエラの出身。今年で49歳の中堅。これからが実に楽しみなピアニストに出会った。

 
  

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2018年2月22日 (木曜日)

奥の深いレーベル「Impulse!」

「Impulse!レーベル」で何を連想する? と問われれば、やはり、中期〜後期〜逝去までのコルトレーンと、そのコルトレーンに影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが真っ先に浮かぶ。いわゆる、当時として先進的で硬派なジャズをリリースしていたレーベルというイメージがある。が、カタログを見渡すと、そうでは無いことが良く判る。

結構、オールド・スタイルな純ジャズのアルバムをリリースしている。例えば、このアルバムなんかは、ちょうどその良い例かと思う。Benny Carter and His Orchestra『Further Definitions』(写真左)。1961年のリリース。ちなみにパーソネルは、Benny Carter (as), Phil Woods (as), Coleman Hawkins (ts), Charlie Rouse (ts), John Collins (g), Dick Katz (p), Jimmy Garrison (b), Jo Jones (ds)。

アルト2本、テナー2本の4管フロントに、ギター+ピアノ+ベース+ドラムのリズム・セクション、計8人の八重奏団構成。冒頭の「Honeysuckle Rose」を聴けば良く判るが、スイング時代の雰囲気がプンプンする、ビッグバンド・アレンジ。それをバックにベニー・カーターのアルトが気持ち良くアドリブ・フレーズを吹き上げる。
 

Further_defenitions_1

 
カーターは、さすが、スイング時代から第一線で活躍しているアルト奏者である。流麗、そして、エモーショナル、とってもアルトがよく鳴るブロウである。決して、先進的なアルトでは無い。逆に安定・安心のアルトである。純ジャズのアルト・サックスって、まずは、この基本に忠実な、堅実確実なアルトであるべきで、この盤のカーターはそのお手本。

1961年の作品でありながら、ハードバップでは無い。スイング時代のビッグバンドな音。それでも、さすがは「Impulse!レーベル」、快適なエコー、厚みと奥行きのある切れ味の良い録音で、とにかく音が良い。この音を聴けば、このビッグバンドな音は、決して1940年代の音では無い、1961年の新しい音だと感じる。

「Impulse!レーベル」って、こういうオールド・スタイルな純ジャズなアルバムもあるんですね。この盤のプロデュースは「ボブ・シール(Bob Thiele)」なので、恐らく、シールが仕掛け人なのかもしれない。ちょっと調べてみる必要がありそうですね。こうやって振り返って聴き返してみると、「Impulse!レーベル」って、奥の深いレーベルです。

 
 

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2018年2月21日 (水曜日)

ながら聴きのジャズも良い・29

Impulse!レーベルって、結構、当時の一流ジャズメンのリーダー作をワンショットで作っている。カタログを見渡してみると、複数枚をリリースする一流ジャズメンは少数派。それでも、なかなか魅力的な一流ジャズメンのリーダー作がワンショットでカタログに載っているので、一度は聴いてみたくなる。

『The Incredible Kai Winding Trombones』(写真左)。1960年11月17日、21日、23日&12月13日の録音。リーダーのカイ・ウィンディングは、1950年代のハードバップの時代、J・J・ジョンソンと組んで(通称J&K)、トロンボーン二重奏による一連の録音で一躍、メジャーな存在となったトロンボーン奏者。

この盤ではパーソネルを見渡せば判るが、カイのトロンボーンをベースに、もう一本トロンボーン、そして、バス・トロンボーンを足して、計トロンボーン3本にて、実に粋で洒落たトロンボーン・アンサンブルを聴かせてくれる。プロデューサーは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人として有名になった「クリード・テイラー」。さすが、聴き心地満点のトロンボーン・ジャズである。
 

The_incredible_kai_winding_trombone

 
収録曲も良い選曲で、「Speak Low」「Lil Darlin」「Love Walked In」「Black Coffee」「Bye Bye Blackbird」など、渋めのスタンダード曲を中心に収録されていて、トロンボーン・アンサンブルを前提としたアレンジも良く、1960年にして、極上の「イージーリスニング・ジャズ」の片鱗を聴かせてくれている。

それにしても、この盤でのカイ・ウィンディングのトロンボーンは実に魅力的な音色をしている。ホンワカ丸くて、包み込む様な優しさに溢れた、それでいて、音の芯はしっかりしていて、聴き心地良く聴き応えの良い「癒し」のトロンボーンな音色である。決して、荒れること無く、耳に優しいトロンボーン。カイのトロンボーンの個性である。

ジャケットもImpulse!レーベルらしい雰囲気が漂っていて良好。アンニュイな雰囲気漂うスローな曲、ブルースフィーリング溢れる曲、ダンサフルなマンボのリズムが楽しい曲。ハードバップのマナーに則ったジャズをベースとした極上のイージーリスニング音楽とも取れる内容。つまり「ながら聴き」に最適。一度聴くと、また最初から聴きたくなる。好盤でである。

 
 

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2018年2月19日 (月曜日)

ECMレーベルの「異色盤」です

欧州ジャズ・レーベルの雄、ECMレーベルは懐の深いレーベルである。硬派なモード・ジャズやフリー・ジャズがメインではあるが、ファンクなエレ・ジャズや耳当たりの良いフュージョン・ジャズもカタログに含まれている。まあ、それらもきっちりと「ECMの音」には仕立て上げられてはいるんだけれど・・・。

Julian Priester『Love, Love』(写真左)。1974年の作品。実にECMレーベルらしいアルバム・ジャケットを見れば、この盤も硬派なモード・ジャズやフリー・ジャズなんだろうなあ、と想像するんだが、これが全く「違う」。しかし、である。38年前、この盤を初めて聴いた時、僕は「Julian Priester」というジャズメンを知らなかった。

Julian Priester=ジュリアン・プリースターは、アンダーレイテッドで、マニアックな人だけが知っているトロンボーン奏者。ハービー・ハンコックのファンク・グループで注目を集め、以降はビッグバンドを中心に活動。80年代以降はデイブ・ホランドのグループで活躍しているとのこと。1935年生まれなので、今年で83歳になる。
 

Lovelove

 
さて、この『Love, Love』という盤、長尺の曲が2曲のみの収録。LP時代のA面に「Prologue/Love, Love」、B面に「Images/Eternal Worlds/Epilogue」。その演奏を聴けば思わず「これって、エレ・マイルスやん」と思ってしまう。欧州独特の硬質で透明感のある、しなやかなファンク・ビートに乗りながら、エレクトリックなジャズが展開される。

ここでトランペットが入ると明らかに「エレ・マイルス」の模倣になるのだが、ここは代わりにシンセサイザーを上手く活用して、マイルスのエレクトリック・ファンクの影響を強く感じさせてはいるが、決して模倣に走らない、個性的な「欧州のエレ・ファンク」な音を聴かせてくれます。

時々、フリーキーな展開になるんですが、このフリーキーな雰囲気が欧州独特の雰囲気で、やはりこのエレ・ファンクはECMレーベルの音なんだなあ、と感心してしまいます。 クロスオーバー・ジャズな展開もあって、この盤はECMレーベルの中では、やはり異色盤です。でも、僕はこの「欧州のエレ・マイルス」な盤、お気に入りです。

 
 

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2018年2月18日 (日曜日)

珍しいドリューのソロ・ピアノ

SteepleChaseレーベルは、欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である。特に、1970年代の欧州の純ジャズをしっかりと押さえている。加えて、ジャズ好きが立ち上げたジャズ・レーベルだけに、コマーシャルに走らず、ジャズ者が「お〜っ」と唸るような、ツボを押さえた好盤が多い。

Kenny Drew『Everything I Love』(写真左)。SCS 1007番。1974年のリリース。デンマークはコペンハーゲンでの録音。この盤、ジャケットを見れば一目瞭然なのだが、ケニー・ドリューのソロ・ピアノ盤である。これ、ケニー・ドリューとして、有りそうで無い、稀少な記録である。

ソロ・ピアノはピアニストの個性が露わになる。ドリューのピアノはバップなピアノ。テクニックに走ること無く、疾走感に走ること無く、どこか典雅で、そこはかとなくファンクネス漂う、切れ味の良いタッチが個性。フレーズは端正が故に、イージーリスニングに流れそうになるが、これがならない。左手にジャジーなビートが仄かに香り、右手の回りがそこはかとないオフビート感覚。
 

Everything_i_love_1

 
それが故に、ソロピアノであっても、イージーリスニングに聴こえない。立派にジャズしているドリューのソロ・ピアノ。大向こうを張る、大掛かりな展開やテクニックがある訳では無い、どちらかと言えば、落ち着いた、ちょっと地味なものではあるが、彼のフレーズは滋味に富んでいる。

展開はいたってシンプル。複雑なアレンジや展開は皆無。自作曲ではなかなか判らないが、スタンダード曲については、そのシンプルな展開が良く判るが、決して飽きることは無い。一度聴いたら、2度3度、また聴きたくなる、「味のある小粋な」シンプルさ。シンプルさの中に、しっかりとアレンジの「技」が隠されているようだ。

この盤を聴くと、ケニー・ドリューというピアニストは隅に置けないなあ、という気持ちになる。キースの心の赴くままに弾きまくるソロ・ピアノとは対極な、ジャズの基本、ジャズの常識をしっかりと踏まえた、堅実確実な純ジャズ基調のソロ・ピアノである。こんなドリューのソロ・ピアノが記録されているとは。SteepleChaseレーベル侮りが足し、である。

 
 

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2018年2月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・116

Impulse!レーベルって、コマーシャルなアルバムが殆ど無い。どちらかと言えば、硬派なところがあって、メインストリームど真ん中なジャズ盤を結構リリースしている。コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、それは、Impulse!レーベルを部分的にしか見ていないことになる。

Oliver Nelson『The Blues and the Abstract Truth』(写真)。邦題『ブルースの真実』。1961年2月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Oliver Nelson (as, ts), Eric Dolphy (fl, as), George Barrow (bs), Freddie Hubbard (tp), Bill Evans (p), Paul Chambers (b), Roy Haynes (ds)。凄いメンバーで固めた七重奏団である。

このアルバム、それまでのジャズの歴史を総括して、1961年時点でのジャズの一番良いところを取り出して、アルバムに仕立て上げた様な、非常にメインストリーム・ジャズした好盤である。基本はハードバップ。時々、アブストラクトに傾きかけたりするが、そこはグッとこらえて、非常に洗練された、自由度の高い「ハードバップ」な演奏が繰り広げられている。
 

The_blues_and_the_abstract_truth  

 
パーソネルを見渡せば、モード・ジャズの申し子的ジャズメン、例えば、ドルフィーとかハバードが名を連ねているが、この盤では決して、アブストラクト&フリーに走ることは無い。自らの技倆の最大限を尽くして、ユニゾン&ハーモニーを、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。どの演奏も上質のハードバップが繰り広げられていて、思わず惹き込まれる。

この盤のハードバップは、音の「質」がちょっと違う。理路整然としていて、アーティスティックな雰囲気漂うもの。これは、リーダーのオリヴァー・ネルソンのアレンジによるもの。タイトル通り、ブルースのムードや構造を探求してはいるが、ブルースにおけるハーモニーのシンプルさ・繊細さにフォーカスを当てていて、単純なブルース集になっていないところが実に「アーティスティック」である。

ソロを取らない、ジョージ・バローのバリサクが演奏全体の雰囲気の鍵を握る。Rudy Van Gelderの録音も良く、インパルスらしい太く芯の入った切れ味の良い音が、この優れたアレンジによるブルースな演奏をさらに惹き立てる。優れたアレンジによるメインストリーム・ジャズの好例である。

 
 

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2018年2月16日 (金曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・44

実は「Impulse!レーベル」のアルバムもカタログ順にコレクションし続けてきて、なんとかカタログ順にずっと聴き続けることが出来るまでになった。インパルス! レーベルは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人と謳われた「クリード・テイラー」が、1960年に設立したジャズレーベルである。

コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ギル・エヴァンスといった、当時のジャズ・レジェンドのアルバムや、アレンジに長けたアルバムなど、正統派な純ジャズの小粋で内容のあるアルバムをリリースした、ジャズの歴史の中で、欠かすことの出来ないレーベルの1つです。

Ray Charles『Genius + Soul = Jazz』(写真左)。Original seriesのカタログ番号2番。1960年12月の録音。「ソウルの神様」Ray Charles(レイ・チャールズの Hammond B-3 オルガンとボーカルをメインに、バックにビッグバンドを従えた、実にゴージャズなアルバムである。
 
Genius_soul_jazz_2
 
ビッグバンドのアレンジは、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)とRalph Burns(ラルフ・バーンズ)とが、ほぼ均等に分担して担当している。特に、Q(クインシー・ジョーンズ)のアレンジ担当の曲は、明らかにQのアレンジと判る、とても個性的なもの。ビッグバンドに参加したメンバーは、それぞれ、名うての名手揃いで、実にパンチのある、メリハリの効いたビッグバンド・サウンドを聴かせてくれる。

そんなビッグバンド・サウンドに負けずに、しっかりバックに従えて、レイのオルガンがうねり歩く。ファンクネスだだ漏れ、こってこてソウルフルなレイのオルガン。これ、聴きものです。むっちゃ格好良いオルガンです。レイのボーカル曲はほとんど無く、この盤はレイのソウルフルなオルガンを聴き倒す盤である。

この盤も、Impulse!レーベルの特徴である見開きのジャケットで、黒とオレンジ色で統一されたデザインが特徴的。良い感じのデザインである。「Impulse!レーベル」は隅に置けないレーベル。他には無い、レイ・チャールズの「オルガン」に着目して、ビッグバンドをバックにした、とてもゴージャスなオルガン・ジャズ盤をものにした。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年2月15日 (木曜日)

SteepleChaseの成せる技

SteepleChaseレーベルとは。マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。

さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である。このSteepleChaseレーベルのアルバムを、ある程度、カタログ番号順に確保できたので、順番に聴き始めている。デンマークのコペンハーゲンにある、ライブハウス・モンマルトルをホームグラウンドにしたライブ音源が貴重。1970年代の欧州ハードバップの状況がとても良く判る。

Jackie Mclean『A Ghetto Lullaby』(写真左)。1973年7月18〜19日、デンマークはコペンハーゲン、ライブハウス・モンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Kenny Drew (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds)。マクリーンのアルト一本、ワンホーン・カルテット編成である。
 

A_ghetto_lullaby_1  

 
SteepleChaseレーベルのライブ録音は、モンマルトルでの一発録りがほとんどで、このモンマルトル、音的にデッドで意外に音が良い。素直でナチュラルな音という感じ。音の分離が良く、ジャズの様な小編成の楽器演奏に向いている。そして、この一発録りのライブ音源をほとんど加工すること無く、アルバムにしているようで、これがとても良い。所謂、当時のライブ演奏そのままをアルバムにしている感じなのだ。

このマクリーンのライブ盤も、ライブ録音そのままの感じで、何の細工も加工も無い感じ、これが良い。1970年代、ジャズはクロスオーバー〜フュージョンの時代で、米国本国では純ジャズが角に追いやられている感じだったが、欧州では、純ジャズがメインだった、そんな当時の状況が、このマクリーンの熱いブロウを聴いていて良く判る。

ドリューのピアノはエモーショナルで典雅、ペデルセンのベースは骨太で躍動感抜群。リールのドラムは堅実。そんなリズム・セクションをバックに、マクリーンは自由度の高いブロウを思う存分繰り広げている。モンマルトルの聴衆の雰囲気も上々。何の装飾も無いライブ盤なんだが、結構、聴き応えのあるところが、さすがは、SteepleChaseレーベルの成せる技である。

 
 

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2018年2月14日 (水曜日)

ごった煮の「アメリカン4」

キースのアメリカン・カルテットを聴き直しているんだが、アメリカン4って、演奏内容がちょっととっちらかっているところがあって、洗練度合いが足らないと言ったら良いのか、決め手に欠けると言ったら良いのか、キースらしいと言えばキースらしい、やりたいことがてんこ盛りなアルバムがほとんど。

もう少し演奏内容を整理して、やりたいことを整理して、アルバム単位の演奏内容を整えたら良いのに、と常々思うのだが、このアメリカン4においては、そうはいかなかったみたいだ。それと、このアメリカン4、テナーのデューイ・レッドマンの存在感というものが良く判らなくて、これはこれで釈然としない感がどうしても残る。

Keith Jarrett『Expectations』(写真)。このアルバムだって、そういう傾向を引き継いでいる。1972年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, conga), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, conga), Dewey Redman (ts), のアメリカン4に加えて、Sam Brown (g), Airto Moreira (perc)。ギターとパーカッションが客演した、キースのアメリカン4である。
  

Expectations

 
内容はと言えば、ギターとパーカッションが加入したことにより、キースの「やりたいことがてんこ盛り」な面が思いっきり出た内容になっている。ピアノの響きが豊かで流麗な正統派なピアノ・トリオな演奏があれば、アフリカン・ネイティブなゴスペル調のフォーキーな演奏あり、アブストラクトな演奏あり、現代音楽風の完全フリーな演奏あり、とにかくごった煮。

やりたいことのそれぞれを単発で聴けば、どれもが優れた内容である。勿体ないなあ。もう少し演奏内容を整理して、やりたいことを整理すれば良いのに、と改めて思ってしまう。そして、どの演奏を聴いても、この盤でも、デューイのテナー、ブラウンのギター、アイアートのパーカションの存在の意味が何と無く良く判らない。

この盤、ジャケットを見て、キース盤として見ると違和感を感じるんだが、キースのアルバムの中で、この盤だけ「Columbiaレーベル」からのリリースになっている。LPだと2枚組、そして曲によってストリングスやブラスが配されていて、さすが大手レーベルって感じなのだが、なんとなく、キースに合わないなあ、というのが僕の本音。そういう意味で、この盤は、キースのアルバムの中でも異色盤として捉えて良いかと思います。

 
 

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2018年2月13日 (火曜日)

『Shades』と『Mysteries』

「キースのアメリカン・カルテット」は、フォーキーでゴスペルチックな「アーシーな演奏」と自由度の高い「フリーキーな演奏」との2面性が個性。その2面性を活かしながら、躍動感に満ちた「動」の演奏と、静的な美しさを追求した「静」の演奏を織り交ぜて、変化を付けている。

アメリカン・カルテットにおける、その「動」と「静」の緩急の付け方が良く判るアルバムがある。Keith Jarrett『Shades』(写真左)と、Keith Jarrett『Mysteries』(写真右)の2枚。キースのアメリカン・カルテットのアルバムとしては地味で目立たないもので、ジャズ盤紹介本やキースの代表盤の紹介には、まず挙がってこないアルバムである。

まず、Keith Jarrett『Shades』。1975年の録音。後にご紹介する『Mysteries』と同時期に録音された演奏集。こちらのアルバムは、本作はバラエティーに富んだ、躍動感にあふれるパフォーマンスが楽しめる。冒頭の「Shades Of Jazz」から、高速4ビートに乗って、モーダルな限りなく自由度の高いインプロビゼーションが展開されます。適度の熱気とテンションが耳に心地良い。
 

Shades_mysteries

 
もう一枚が、Keith Jarrett『Mysteries』。これも1975年の録音。先にご紹介した『Shades』と同時期に録音された演奏集。バラエティーに富んだ、躍動感にあふれる『Shades』に対し、本作は静的な美しさを追求したパフォーマンスが楽しめる。フリーっぽいアプローチの曲や民族音楽的アプローチの曲もあって、バラエティーに富んでいるのは『Shades』と同じ。

どちらのアルバムも聴けば、なかなかの内容やないか〜、と感心するのですが、ヘビロテすることが無いんですよね。何故かなあ、と思い返して見ると、やはり、演奏内容がちょっととっちらかっているところがあって、散漫な印象が残るからかなあ、と思っています。洗練度合いが足らないと言ったら良いのか、決め手に欠けると言ったら良いのか、キースらしいと言えばキースらしい、やりたいことがてんこ盛りな演奏内容です。

改めて「アメリカン・カルテット」。パーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, fl, osi drums, per), Dewey Redman (ts, per), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, per)。キースはピアノだけでなく、ソプラノ・サックスやフルートも吹くし、ドラム&パーカッションも叩いている。メンバーの中にテナーもドラムのいるのにも関わらず、である。何がキースの狙いだったのか。僕にとっては、今でも不明である(笑)。

 
 

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2018年2月12日 (月曜日)

アメリカン・カルテットの初録音

振り返ると、どうも「キースのアメリカン・カルテット」について、しっかりと聴いていないのではないか、と最近思うようになった。ので、このところ、しっかりと「キースのアメリカン・カルテット」のアルバムを聴き直してきた。意外とアメリカン・カルテットはとっちらかっていて、意外とまとまりのないカルテットだった様な気がしている。

さて、この「キースのアメリカン・カルテット」の始まりはこのアルバム2枚に記録されている。Keith Jarrett『The Mourning of a Star』(写真左)と『El Juicio』(写真右)。1971年7月と8月の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, conga), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, conga), Dewey Redman (ts)。

まず、最初は『The Mourning of a Star(邦題:流星)』らしい。この盤のパーソネルは、キース+ヘイデン+モチアンの「アメリカン・トリオ」な編成で、テナーのレッドマンは入っていない。ソプラノ・サックスの音がするが、これはキースが吹いている。フリー・ジャズの影響と、キース特有のリリシズムが不思議なバランスで同居した一枚。キースのフォーキーでゴスペルチックなピアノが懐かしい。初期のキースは、米国ルーツ音楽への傾倒が特徴のひとつだった。
 

The_mourning_of_a_star_el_juicio

 
同じ時期の録音として、『The Mourning of a Star』の4年後にリリースされた盤が『El Juicio(The Judgement)』。邦題は『最後の審判』。こちらは、レッドマンのテナーが参加していて、キース+ヘイデン+モチアン+レッドマンの混じり気無しの「アメリカン・カルテット」な演奏。この盤でも、キースはフォーキーでゴスペルチックなピアノとフリーキーなピアノの2面性が明確である。

レッドマンはこのフリーキーなピアノのキースに反応して、イマージネーション溢れるテナーを吹き上げている。それでも、オーネット・コールマンに捧げられた「Piece for Ornette」では、キースはソプラノ・サックスを吹きまくっている。テナーのレッドマンがいながらのこの振る舞い。まだ、フロントのテナーが必要なのかどうか、迷っていたのかもしれない。

この初期の2枚の録音には、「キースのアメリカン・カルテット」の特徴である、フォーキーでゴスペルチックな「アーシーな演奏」と、自由度の高い「フリーキーな演奏」との2面性がしっかりと記録されている。ただし、収録曲はどれもが少し「とっちらかった印象」で、洗練度が足らない。キースがあまりに閃き中心に演奏を進めていた印象があって、この後どうなるのか、期待と不安が入り交じった内容に留まっている。

 
 

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2018年2月11日 (日曜日)

続・ECMに冬の季節が良く似合う

昨日「ECMに冬の季節が良く似合う」と書いた。演奏内容は、基本的に欧州的なニュー・ジャズの音世界。ECMレーベル独特の深いエコーが、冬の寒い空気にピッタリ合う。ファンクネスは皆無。ハードバップの様な熱気溢れる演奏は基本的に無い。フリーな演奏も怜悧な熱気で覆われる。ECMの音は基本的に冬に良く似合う。

そんなECMレーベルには、レーベルの音を代表する「お抱え」ミュージシャンが何人か存在する。昨日、ご紹介したテナーのヤン・ガルバレク(Jan Garbarek)などは、そんなECMレーベルの「お抱え」ミュージシャンの一人。彼の硬質で切れ味の良い、怜悧でエモーショナルなテナーは、ECM独特の深いエコーに乗って、その個性が増幅されて、確かにECMレーベルの音のイメージにピッタリである。

そんなガルバレクの個性をしっかりと捉えた初期の好盤が、Jan Garbarek『Triptykon』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts, bs, fl), Arild Andersen (b), Edward Vesala (perc)。ピアノレスのサックス・トリオ。ガルバレクのサックスが心ゆくまで堪能できる編成である。
 

Triptykon

 
冒頭の「Rim」から「Selje」「J.E.V.」「Sang」までの4曲は、ノンストップのインタープレイ。明らかに欧州系のニュー・ジャズ的雰囲気の、適度にテンションを張った中、3者3様の自由度の高いインタープレイが展開される。ECMの独特のエコーがかかっていて、音と音との間の静謐な「間」がクッキリと浮かび上がる。故に動と静のメリハリが効いて、インタープレイの躍動感が増幅される。

6曲目の「Etu Hei!」は、ガルバレクとヴェセラのデュオ。サックスとパーカッションのデュオで、ふと「コルトレーンとラシッド・アリのデュオ」を想起する。フリーな演奏であるが、ガルバレクのアドリブ・フレーズは破綻が無く、端正である。実に欧州的なフリーの演奏。ガルバレクが「欧州のコルトレーン」と呼ばれる理由がここにあるが、コルトレーンのテナーとは全く異なる個性ではある。

そして、ラストの「Bruremarsj」は実に興味深い。まず、この曲の タイトルって何て読むんだ、なんて思うのだが、ノルウェー民謡なんだそうだ。この北欧的なフレーズを持った佳曲を題材に、ガルバレクは素朴に土臭くフォーキーに吹き上げていく。これ、なかなかの内容だと思うのだが、如何だろう。とにかく、この盤、ECMらしい好盤だと思う。今の季節にピッタリで、思わず聴き込んでしまう。

 
 

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2018年2月10日 (土曜日)

ECMに冬の季節が良く似合う

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半になるが、純ジャズの世界では従来の老舗レーベルに加えて、欧州系の新興レーベルのアルバムが話題を集めつつあった。欧州系のレーベルとは、ECM、SteepleChase(スティープルチェイス)、Enja(エンヤ)などが代表的なところ。特に、ECMレーベルは日本でも人気のレーベルになっていた。

当時、ECMのLPは高価で、廉価盤などは皆無。雑誌などで採り上げられていないアルバムなどは情報不足で、聴いてみるまでその評価は不明という、新たに購入するには相当にリスキーなレーベルでもあった。しかも、通常のジャズ喫茶ではビ・バップでもハードバップでも無い、ニュー・ジャズと呼ばれるジャンルがメインのECMのアルバムは敬遠気味で、聴くことの出来る機会は少なかった。

そういう面では僕は恵まれていて、大学近くの例の「秘密の喫茶店」では、何故か、ニュー・ジャズと呼ばれる欧州系のレーベルのアルバムが結構キープされていた。ECMレーベルのアルバムは相当数、保有されていた記憶がある。これは有り難かった。特に、冬にはECMのアルバムが良く似合う。冬の季節、珈琲を飲みに行く度に、ECMのアルバムをよくリクエストさせて貰った。
 

Dis

 
ECMに冬の季節が良く似合う。そんなアルバムの一枚が、Jan Garbarek『Dis』(写真左)。1977年のリリース。アルバム・ジャケットを見るからに「冬の季節に合いそうな」面構えをしている。特に、ヤン・ガルバレクのテナーは、硬質で切れ味の良いもので、ECM独特の深いエコーに乗って、怜悧でエモーショナルなテナー。確かに冬の雰囲気によく合ったテナーの音である。

特に、このアルバムは、ガルバレクのテナーと12弦ギターのラルフ・タウナーのデュオが基本なので、ガルバレクの硬質で怜悧なテナーの個性が増幅されている。ファンクネスは皆無。欧州系独特のクリスタルで硬質な音は、ECM独特の音世界を実に良く表現している。ガルバレクのテナーは歌心もあって、聴いていてとても印象的なもの。印象に残る充実の内容。

北欧のコルトレーンと呼ばれるガルバレクではあるが、この盤ではフリーキーに傾くことも無く、アブストラクトに構えることも無い。メロディアスで印象的なフレーズを、硬質で怜悧な伸びのあるテナーで吹き上げていく。印象的なジャケットと相まって、確かに「冬の季節」にピッタリな雰囲気の音世界である。例の「秘密の喫茶店」では昼下がりによく聴いた思い出がある。

 
 

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2018年2月 9日 (金曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・68

1970年代のマッコイ・タイナーは絶好調。次々と壮大な大作をリリースしていった訳だが、僕がジャズを本格的に聴き始めたのが、1978年。マッコイ・タイナーの人気がほぼ一段落し、ジャズの世界はフュージョン・ジャズの大ブーム。当時は、リアルタイムではなかなかマッコイ・タイナーのアルバムを聴き込むことは無かった思い出がある。

僕は21世紀になって、この盤を聴いた。McCoy Tyner『Trident』(写真左)。1975年2月、カルフォルニアのバークレーのファンタジースタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, harpsichord, celeste), Ron Carter (b), Elvin Jones (ds)。待望のトリオ編成。しかも、コルトレーンの「黄金のカルテット」で共にしたエルヴィン・ジョーンズがドラムに据わる。そして、ベースにはロン・カーター。珍しい。

このアルバムでのハープシコードやセレステの使用にはビックリするが、目先を変える意味では、なかなかの工夫。「タイナーのガーン・ゴーンのハンマー奏法はワンパターン」という揶揄を笑い飛ばすには、ちょっとジョークが過ぎるかな(笑)。耳新しさにはちょっとだけ効果はあるかもしれないが、ハープシコードやセレステの使用が、演奏全体に大きな影響を与えているかといえば、そうではない。
 

Trident

 
しかし、このアルバムは、マッコイ・タイナーのピアノ・トリオ盤として秀逸の出来である。フロントの管楽器が無い分、タイナーのピアノが堪能できる。タイナーもそれを心得てか、ガーンゴーンと左手のハンマー奏法をかましつつ、右手のシーツ・オブ・サウンドが疾走する。いつものスタイルなのだが、トリオという編成が功を奏してか、何時にも増して迫力が凄い。火の玉の様なハンマー奏法に思わず仰け反る。

重厚かつスピリチュアルな演奏。コルトレーン・ジャズの継承であるが、ドラムのエルヴィン・ジョーンズはそれを良く心得ていて、限りなく自由度の高いポリリズムを叩き出しつつける。そして、ちょっと驚いたのだが、ロン・カーターのベースが、マッコイ・タイナーのピアノに良く合っている。幅広のロンのベースって、タイナーの右手のシーツ・オブ・サウンドとの相性がとても良い感じなのだ。

タイナーのトリオ編成のアルバムの中でも屈指の出来。地味で見栄えのしないジャケットで損をしているみたいだが、怯まずに手にすべき、ピアノ・トリオの好盤だと思います。トリオ演奏と思えないほどの、重厚かつ壮大な音の展開と音の重なり。ピアノ・トリオの可能性と限界を一度に聴かせてくれる優れものです。

 
 

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2018年2月 8日 (木曜日)

「コルトレーン」の正統な後継

1970年代のタイナーは絶好調。相当数のリーダー作をリリースし、人気も上々。ソロからトリオ、カルテットからクインテット、ジャズ・オーケストラからアコースティック・フュージョン。様々な演奏形態で、優れた演奏力とアレンジ力を武器に、コンスタントに秀作をリリースし続けた。

McCoy Tyner『Atlantis』(写真)。1974年8月31日から9月1日、サンフランシスコのキーストンコーナーでのライブ録音。LP時代は2枚組の重厚な内容。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, perc), Azar Lawrence (ts, ss), Joony Booth (b), Wilby Fletcher (ds), Guilherme Franco (perc)。パーカッション入りのオーソドックスなカルテット構成である。

が、出てくる音が凄い。重厚なのだ。最初、聴いていたら、ビッグバンドの音かしら、と思う位の重厚さ。タイナー独特の壮大なアレンジに加えて、アフロ・ジャズの色濃いフレーズ満載の「コルトレーン・ジャズ」の音世界。このアルバムの演奏は、1970年代、タイナーがコルトレーン・ジャズの正統な後継者であったことを感じさせる。
 

Atlantis

 
呪術的でスピリチュアルなフレーズ、官能的で高揚感が印象的なリフ、躍動感溢れ、疾走感漲るリズムが混在し、合体し、交錯する。オーソドックスなカルテット構成の音とは思えぬ、壮大で拡がりのある、奥行きのある重厚な音世界。圧巻である。圧巻な展開が、発売当時LP2枚組、圧倒的なボリューム感で、アフロなコルトレーン・ジャズを展開している。

そんな重厚なコルトレーン・ジャズの音の洪水の中、タイナーのガーン・ゴーンのハンマー奏法はクッキリと浮かび上がる。左手のハンマー奏法、右手の「シーツ・オブ・サウンド」、目眩く音符の羅列。それに続く高揚感。現代のハードで硬派なスピリチュアルなジャズの「源」のひとつがここにある。

フロントの弱さが玉に瑕ではあるが、逆に、タイナーのピアノは良く聴こえ、タイナーのハンマー奏法を愛でるには格好のライブ盤である。「タイナーのガーン・ゴーンのハンマー奏法はワンパターン」という揶揄はあるが「言わば言え」である。この盤を聴いていて思う。1970年代、コルトレーン・ジャズを継承したタイナーの音世界は、やはり当時、最強であった。

 
 

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2018年2月 7日 (水曜日)

マッコイ・タイナーの隠れ好盤

今週は「ジャズ・レジェンド」の週間。熟々とジャズ・レジェンドの名前を見ていて、この人のリーダー作、そう言えば最近、聴いて無かったなあ、と思い立ったレジェンドがもう一人。マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)である。ガーン・ゴーンのハンマー奏法の元祖。テナーの聖人=コルトレーンの懐刀。コルトレーン・ミュージックの伝道師。

1970年代のタイナーは絶好調。相当数のリーダー作をリリースしている。ソロからトリオ、カルテットからクインテット、ジャズ・オーケストラからアコースティック・フュージョン。様々な演奏形態で、優れたアレンジ能力を武器に、コンスタントに秀作をリリースし続けた。当時、人気もあって、タイナーは絶好調であった。

そんなタイナーがバリバリにピアノを弾きまくったアルバムがある。McCoy Tyner『Song for My Lady』(写真)。1972年9月6日と11月27日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, perc), Sonny Fortune (as, ss, fl), Calvin Hill (b), Alphonse Mouzon (ds), Michael White (vln),  Charles Tolliver (flh), Mtume (congas, perc)。タイナー+フォーチュン+ヒル+ムザーンのカルテットがベース。2曲のみ、バイオリン、フリューゲルホーン、コンガが加わる。
 

Song_for_my_lady

 
一言で言うと「ピアノで自由度溢れるモーダルなコルトレーンをやる」。左手ガーン、右手ガーンと入って疾走するシーツ・オブ・サウンド。ちょうど、インパルス・レーベルに移籍して以降、限りなくフリーな、相当に自由度の高いモード演奏をやりまくっていた頃のコルトレーンのアドリブ・フレーズをピアノに置き換えた様なフレーズの嵐。

どの曲でも、タイナーのピアノでの「シーツ・オブ・サウンド」は疾走感溢れ、爽快感、そして躍動感溢れる必殺技。聴いていて、そして聴き終えてスカッとする。フォーチュンのサックスも良い、フルートも良い。しかし、サックスを吹くフォーチュンがコルトレーンをフォーチュンの個性でアレンジしていて、忠実にフォローしていないのが面白い。

しかし、このアルバムって、タイナーの数あるリーダー作の中でも地味な存在。ジャズ紹介本でも採り上げられることがほとんど無い盤です。でも、僕にとっては「お気に入り盤」。現代ジャズでいう「スピリチュアル・ジャズ」の先駆的内容で、聴いていて心揺さぶられ、聴き終えて、スカッと爽快。タイナーのリーダー作の中での「隠れ好盤」。

 
 

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2018年2月 6日 (火曜日)

最もブルーノートらしい盤

今週は「ジャズ・レジェンド」の週間ということで、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)を聴いている。2014年、85歳で鬼籍に入るまで、ずっとファンキー・ジャズ一直線の「ファンキー・ジャズの職人」である。ファンキー・ジャズの職人だけあって、1950年代終盤から1960年代半ばまで、ファンキー・ジャズのブームの中で、シルヴァーは大活躍。

シルヴァーは、ブルーノート・レーベル一筋でもあり、ブルーノートの看板ジャズメンでもあった。そういう意味で、ブルーノートらしいジャズメンは、と問われれば、確かに「ホレス・シルヴァー」の名前が浮かぶ。しかも、このリーダー作は、どこかのジャズ本で「一番ブルーノートらしい」アルバムとして紹介されていた記憶がある。

Horace Silver『Horace-Scope』(写真左)。1960年7月8〜9日の録音。ブルーノートの4042番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。ブルー・ミッチェルのトランペット、ジュニア・クックのテナーの最強の2管をフロントに配した「鉄壁のクインテット」である。
 

Horacescope

 
冒頭の「Strollin」から、ファンキー・ジャズ全開。2曲目のアップテンポの「Where You at?」の決めフレーズの連発に思わず仰け反る。3曲目の「Without You」のバラード演奏も絶品。ブルーノートの1520番『Horace Silver Trio and Art Blakey-Sabu』に収録された「Horoscope」をアレンジし直し改題した「Horace-Scope」と「Yeah!」の2曲の再収録ナンバーも出来が良い。

そして、極めつけはラストの「Nica's Dream(ニカの夢)」。シルヴァー作のニカ夫人に捧げた曲。ニカ夫人とは、パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター男爵夫人。離婚後、ニューヨークに移住し、数多くのジャズ・ミュージシャンを援助、いわゆる「パトロン」ですね。憂いのあるメロディアスな曲、そして演奏。良い曲、良い演奏です。

「ホーンのような右手、ハンマーのような左手」と表現される、シルヴァーのファンキーなピアノ・スタイルがとても良く判る盤である。ブルーノートよろしく、しっかりとリハーサルを積んだであろう演奏は、高テクニックでありながら、破綻が全く無い。アンサンブルもソロもバッチリ決まった素晴らしい内容です。こういうところも、本当にブルーノートらしい。

 
 

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2018年2月 5日 (月曜日)

シルヴァーのファンキーな好盤

今週は「ジャズ・レジェンド」の週間。熟々とジャズ・レジェンドの名前を見ていて、この人のリーダー作、そう言えば最近、聴いて無かったなあ、と思い立った。ホレス・シルヴァー(Horace Silver)である。ファンキー・ジャズの職人。2014年、85歳で鬼籍に入るまで、ずっとファンキー・ジャズ一直線。

ということで、ホレス・シルヴァーのリーダー作を聴き直し始める。まずは、Horace Silver『Blowin' the Blues Away』(写真左)。1959年8月29〜30日と9月13日の録音。ブルーノートの4017番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Louis Hayes (ds)。ブルー・ミッチェルのトランペット、ジュニア・クックのテナーの最強の2管フロント。

冒頭のタイトル曲から、こってこてのファンキー・ジャズ。ミッチェルのトランペットとクックのテナーのユニゾン&ハーモニーがむっちゃ雰囲気である。シルヴァーのピアノはバッキングしている時からファンキーそのもの。ソロに入れば完璧にファンキー。明確なタッチにファンクネス色濃く漂うアドリブ・フレーズ。ミスター・ファンキーなアコピである。
 

Blowin_the_blues_away

 
あまり話題にならないが、ベースのジーン・テイラー、ドラムのルイス・ヘイズのリズム隊もむっちゃファンキーなリズム&ビートを叩きだしている。クインテットが一丸となって、ファンキー・ジャズを演奏しまくっている。オリジナル盤の収録曲は全て、シルヴァーの作。アレンジも優秀で、シルヴァーの総合力が最大限に発揮されている。

そして、極めつけは、LP時代のB面の1曲目、CDでは5曲目の「Sister Sadie(シスター・セイディ)」。これ、ファンキー・ジャズの屈指の名曲。もう前奏の「コール・アンド・レスポンス」風のユニゾン・ハーモニーを聴くだけで、ファンクネスだだ漏れ。ファンキーで楽しい、気持ちが躍動する。確かに、聴いていると自然と体が動き、遂には踊り出している。

そして、ジャケットがまた素晴らしい。このシルヴァーのアコピを弾く後ろ姿の線画がむっちゃ格好良い。右肩にあしらわれたタイプグラフィーがこれまた格好良い。ブルーノートのジャケットは優れたものが多いが、この『Blowin' the Blues Away』のジャケットは飛び切り格好良い。曲良し、アレンジ良し、演奏良し、ジャケット良し。ファンキー・ジャズの屈指の名盤である。

 
 

東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年2月 4日 (日曜日)

「ベルリン三部作」を聴き通す

冬の寒空の季節、学生時代から、いつの時代にも必ず聴く「70年代ロック盤」が幾枚かある。気温の上がらない下宿の部屋の中で、炬燵に入ったまま、本を読みながら耳を傾けた盤。面白い事にこの冬の時期にしか選盤しないものがほとんど。恐らく、この寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリな雰囲気なんだろう。

で、昨日は、David Bowie『Low』。「ベルリン三部作」の第1弾。この「鬱」がクールなグラム・ロックは、冬の寒空の季節にピッタリ。そして、「ベルリン三部作」と言われるだけあって、『Low』から始まって、あと2枚、寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリな盤に耳を傾けるのが「習わし」。

まずは、David Bowie『Heroes』(写真左)。「ベルリン三部作」の第2弾。前作から僅か10ヶ月後、1977年10月のリリース。邦題は「英雄夢語り」。参加ミュージシャンの多くが共通しており、同じくベルリンで録音され、インスト曲の比率も高く、前作の『Low』とは「姉妹作」と言える内容である。しかし、前作『Low』と比較して、独プログレの影響は残ってはいるが、ポジティブでドラマチック、従来のグラム・ロック色が前面に出てきている。
 

Heroes_lodger  

 
続いて、David Bowie『Lodger』(写真右)。「ベルリン三部作」の第3弾。1979年5月のリリース。邦題は「間借人」。この盤は、スイスのモントルーにあるマウンテン・スタジオでレコーディングされている。但し、引き続いてブライアン・イーノが参加しており、イーノの音楽性がポジティブに作用していることから、「ベルリン三部作」の最終章として認識されている。

この「ベルリン三部作」の第3弾においては、インスト曲は無く、ポップな歌ものに取って代わっている。アルバム全体の雰囲気は、ポップで明るい。「ベルリン三部作」の中で、ブライアン・イーノの影響が一番強く表れている盤でもある。LP時代のA面はその影響が強く表れ実験的な雰囲気の曲が並ぶ。しかし、後半、LP時代のB面は、ボウイらしさが発揮された曲が統一感を持ってズラリと並ぶ。

「ベルリン三部作」は作を重ねる度に、「荒涼とした冷たく暗い雰囲気」と「どこか陰鬱な雰囲気」が緩和され、ポジティブにポップに、徐々に明るい雰囲気になっていく。それでも、独プログレの影響が色濃く感じられ、欧州的なアンビエントかつ実験的なロックの雰囲気は3作共通。「欧州的な雰囲気」がクールなグラム・ロックは、寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリなのだ。

 
 

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2018年2月 3日 (土曜日)

「ベルリン三部作」の第一弾。

ここ千葉県北西部地方、今シーズンの冬は寒い。厳寒な日が際限なく続いている。雪も結構積もった。朝夕の通勤の服装は、通常の冬の一番寒い時に着る服装を12月からずっと着続けている。空もスカッと青空という日が少ない。どんより鉛色の雲が立ちこめる日が多い。寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと音楽に耳を傾けている。

こういう冬の寒空の季節、学生時代から必ず聴く「70年代ロックのアルバム」が幾枚かある。気温の上がらない下宿の部屋の中で、炬燵に入ったまま、本を読みながら聴いたアルバム。選盤するアルバムは、面白い事にこの冬の時期にしか選盤しないものがほとんど。恐らく、この寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリなアルバムなんだろう。

David Bowie『Low』(写真左)。後に「ベルリン三部作」と呼ばれることになる作品群の第1弾。1977年の作品。米国における麻薬浸けの生活からの脱却を目的にベルリン入りしたボウイが、ブライアン・イーノと共に創り上げた傑作。ブラック・ミュージックの影響を感じさせた前2作とは全く異なった、クラフトワークやタンジェリン・ドリームをはじめとした独プログレの影響を強く感じさせる内容になっている。
 

Low

 
独プログレ的な、クールなシンセサイザー・サウンドが、荒涼とした冷たく暗い雰囲気を作り出している。後半のアンビエントな展開には、当時の「壁の街」ベルリンの、どこか陰鬱な雰囲気が漂っている。この「荒涼とした冷たく暗い雰囲気」と「どこか陰鬱な雰囲気」が実にクールなのだ。他のポップな商業ロックを「躁」とするなら、この盤の音世界は「鬱」。この「鬱」がクールなグラム・ロックがこの盤に詰まっている。

アルバム前半でも歌詞は少なく、後半に至ってはインスト曲のみ。当時、明らかに前衛で先進的な内容であり、アーティスティックである。オレンジのバックに、ダッフルコートの襟を立てて髪をオレンジに染めたボウイの横顔が凄く良い。中に詰まっている音世界を十分にイメージさせてくれるジャケットの雰囲気も凄くクール。

躁状態の調子っぱずれなギターのリフ、いきなり出てくるフリージャズの様なアブストラクトなフレーズ、浮遊感溢れるシンセの音。ブライアン・イーノの個性も、この盤では良い方向に作用している。しかし、このアルバムを最終的に「決め」ているのは、ボウイのプロデュースの力。「鬱」がクールなグラム・ロックは、寒々とした鉛色の空を窓に見ながら、部屋の中でジッと耳を傾けるのにピッタリなのだ。

 
 

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2018年2月 2日 (金曜日)

彼の個性は「ハイテクニック」

マイルスは怒っていた。「テクニックばかりを追求する奴は駄目だ」。それでも、テクニックをひけらかせて吹きまくる。マイルスは さじを投げる。「あいつは駄目だ」。1958年のニューヨーク進出から、ずっと目をかけてきた若手トランペッターだけに、マイルスも忸怩たるものがあったろう。確かにこのトランペッターの若い頃のリーダー作を聴けば、マイルスの気持ちが良く判る。

その若きトランペッターとは「フレディー・ハバード(Freddie Hubbard)」。当時、最高のテクニックを誇るトランペッター。あまりのハイテクニックなトランペッター故、様々なジャズメンと共演していて、一体どれがハバードなんだ、と考え込んでしまうほど。ハバードの個性とは「ハイテクニック」。これは個性とは言えんだろう、というのがマイルス御大のお言葉。

Freddie Hubbard『Hub Cap』(写真左)。1961年4月9日の録音。ブルーノートの4073番。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Julian Priester (tb), Jimmy Heath (ts), Cedar Walton (p), Larry Ridley (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのハバードのトランペット、ヒースのテナー、プリースターのトロンボーンの3管フロントのセクステット構成。
 

Hub_cap

 
初リーダー作『Open Sesame』、2枚目のリーダー作『Goin' Up』では、先輩ジャズメンに十分過ぎる程の気遣いを見せたハバード。この3枚目のリーダー作は3管フロント。よって、自分以外のヒースのテナーにも、プリースターのトロンボーンにも、十分なソロ・スペースを与える、先輩ジャズメンに気遣いのハバードか、と思いきや、ヒースもプリースターもほったらかしにして、ハバードは吹きに吹きまくる。

さすがにリーダー作3枚目。もう共演する先輩ジャズメンに気を遣うこともないだろう、って感じでバリバリに吹きまくる。さすがに、この頃のハバードのテクニックは凄い。ペラペラ、早口言葉の様な、流れる様なフレーズを連発する。凄いなあ、とは思う。でも、それだけなんだが、でも「それだけ」でも凄いテクニックなのだ。確かに、この頃のハバードの個性は「ハイテクニック」。それだけです(笑)。

マイルス御大は怒っていたが、これはこれで「若気の至り」で許してあげたいなあ。それほどまでに凄まじいテクニックなのだ。この盤では、セクステット構成なのだが、聴き終えて印象に残るのは「ハバード」ひとり。聴き直して、やっと、この盤は上質のハードバップ盤だということが判る。ハバードのテクニックを体感するのに手っ取り早いハードバップ盤である。

 
 

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2018年2月 1日 (木曜日)

安心安定なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。

そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。

ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
 

Let_em_roll

 
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。

そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。

徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。

 
 

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