ECMレーベルの「異色盤」です
欧州ジャズ・レーベルの雄、ECMレーベルは懐の深いレーベルである。硬派なモード・ジャズやフリー・ジャズがメインではあるが、ファンクなエレ・ジャズや耳当たりの良いフュージョン・ジャズもカタログに含まれている。まあ、それらもきっちりと「ECMの音」には仕立て上げられてはいるんだけれど・・・。
Julian Priester『Love, Love』(写真左)。1974年の作品。実にECMレーベルらしいアルバム・ジャケットを見れば、この盤も硬派なモード・ジャズやフリー・ジャズなんだろうなあ、と想像するんだが、これが全く「違う」。しかし、である。38年前、この盤を初めて聴いた時、僕は「Julian Priester」というジャズメンを知らなかった。
Julian Priester=ジュリアン・プリースターは、アンダーレイテッドで、マニアックな人だけが知っているトロンボーン奏者。ハービー・ハンコックのファンク・グループで注目を集め、以降はビッグバンドを中心に活動。80年代以降はデイブ・ホランドのグループで活躍しているとのこと。1935年生まれなので、今年で83歳になる。
さて、この『Love, Love』という盤、長尺の曲が2曲のみの収録。LP時代のA面に「Prologue/Love, Love」、B面に「Images/Eternal Worlds/Epilogue」。その演奏を聴けば思わず「これって、エレ・マイルスやん」と思ってしまう。欧州独特の硬質で透明感のある、しなやかなファンク・ビートに乗りながら、エレクトリックなジャズが展開される。
ここでトランペットが入ると明らかに「エレ・マイルス」の模倣になるのだが、ここは代わりにシンセサイザーを上手く活用して、マイルスのエレクトリック・ファンクの影響を強く感じさせてはいるが、決して模倣に走らない、個性的な「欧州のエレ・ファンク」な音を聴かせてくれます。
時々、フリーキーな展開になるんですが、このフリーキーな雰囲気が欧州独特の雰囲気で、やはりこのエレ・ファンクはECMレーベルの音なんだなあ、と感心してしまいます。 クロスオーバー・ジャズな展開もあって、この盤はECMレーベルの中では、やはり異色盤です。でも、僕はこの「欧州のエレ・マイルス」な盤、お気に入りです。
東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 珍しいドリューのソロ・ピアノ | トップページ | ながら聴きのジャズも良い・29 »
コメント