ながら聴きのジャズも良い・29
Impulse!レーベルって、結構、当時の一流ジャズメンのリーダー作をワンショットで作っている。カタログを見渡してみると、複数枚をリリースする一流ジャズメンは少数派。それでも、なかなか魅力的な一流ジャズメンのリーダー作がワンショットでカタログに載っているので、一度は聴いてみたくなる。
『The Incredible Kai Winding Trombones』(写真左)。1960年11月17日、21日、23日&12月13日の録音。リーダーのカイ・ウィンディングは、1950年代のハードバップの時代、J・J・ジョンソンと組んで(通称J&K)、トロンボーン二重奏による一連の録音で一躍、メジャーな存在となったトロンボーン奏者。
この盤ではパーソネルを見渡せば判るが、カイのトロンボーンをベースに、もう一本トロンボーン、そして、バス・トロンボーンを足して、計トロンボーン3本にて、実に粋で洒落たトロンボーン・アンサンブルを聴かせてくれる。プロデューサーは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人として有名になった「クリード・テイラー」。さすが、聴き心地満点のトロンボーン・ジャズである。
収録曲も良い選曲で、「Speak Low」「Lil Darlin」「Love Walked In」「Black Coffee」「Bye Bye Blackbird」など、渋めのスタンダード曲を中心に収録されていて、トロンボーン・アンサンブルを前提としたアレンジも良く、1960年にして、極上の「イージーリスニング・ジャズ」の片鱗を聴かせてくれている。
それにしても、この盤でのカイ・ウィンディングのトロンボーンは実に魅力的な音色をしている。ホンワカ丸くて、包み込む様な優しさに溢れた、それでいて、音の芯はしっかりしていて、聴き心地良く聴き応えの良い「癒し」のトロンボーンな音色である。決して、荒れること無く、耳に優しいトロンボーン。カイのトロンボーンの個性である。
ジャケットもImpulse!レーベルらしい雰囲気が漂っていて良好。アンニュイな雰囲気漂うスローな曲、ブルースフィーリング溢れる曲、ダンサフルなマンボのリズムが楽しい曲。ハードバップのマナーに則ったジャズをベースとした極上のイージーリスニング音楽とも取れる内容。つまり「ながら聴き」に最適。一度聴くと、また最初から聴きたくなる。好盤でである。
東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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