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2018年2月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・116 『The Blues and the Abstract Truth』

Impulse!レーベルって、コマーシャルなアルバムが殆ど無い。どちらかと言えば、硬派なところがあって、メインストリームど真ん中なジャズ盤を結構リリースしている。コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、それは、Impulse!レーベルを部分的にしか見ていないことになる。

Oliver Nelson『The Blues and the Abstract Truth』(写真)。邦題『ブルースの真実』。1961年2月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Oliver Nelson (as, ts), Eric Dolphy (fl, as), George Barrow (bs), Freddie Hubbard (tp), Bill Evans (p), Paul Chambers (b), Roy Haynes (ds)。凄いメンバーで固めた七重奏団である。

このアルバム、それまでのジャズの歴史を総括して、1961年時点でのジャズの一番良いところを取り出して、アルバムに仕立て上げた様な、非常にメインストリーム・ジャズした好盤である。基本はハードバップ。時々、アブストラクトに傾きかけたりするが、そこはグッとこらえて、非常に洗練された、自由度の高い「ハードバップ」な演奏が繰り広げられている。
 

The_blues_and_the_abstract_truth

 
パーソネルを見渡せば、モード・ジャズの申し子的ジャズメン、例えば、ドルフィーとかハバードが名を連ねているが、この盤では決して、アブストラクト&フリーに走ることは無い。自らの技倆の最大限を尽くして、ユニゾン&ハーモニーを、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。どの演奏も上質のハードバップが繰り広げられていて、思わず惹き込まれる。

この盤のハードバップは、音の「質」がちょっと違う。理路整然としていて、アーティスティックな雰囲気漂うもの。これは、リーダーのオリヴァー・ネルソンのアレンジによるもの。タイトル通り、ブルースのムードや構造を探求してはいるが、ブルースにおけるハーモニーのシンプルさ・繊細さにフォーカスを当てていて、単純なブルース集になっていないところが実に「アーティスティック」である。

ソロを取らない、ジョージ・バローのバリサクが演奏全体の雰囲気の鍵を握る。Rudy Van Gelderの録音も良く、インパルスらしい太く芯の入った切れ味の良い音が、この優れたアレンジによるブルースな演奏をさらに惹き立てる。優れたアレンジによるメインストリーム・ジャズの好例である。

 
 

★東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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