何から何までぶっ飛んだ盤
その直前のリーダー作は、演奏の雰囲気はモードを基調としたジャズ・ロック。モードを基調としているので、ジャズ・ロック的雰囲気とは言え、俗っぽくなく、判り易くは無い。思いっきりモーダルな演奏が8ビートを採用している、といった雰囲気。捻れに捻れるモーダルなアドリブ・フレーズは、ショーターならでは、であった。
が、しかし、この盤でパーソネルも曲想もガラッと変化させた。いきなり、である。Wayne Shorter『Super Nova』(写真左)。1969年8月29日、9月2日の2回に渡るセッションの記録。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ss), John McLaughlin (g), Sonny Sharrock (el-g), Chick Corea (ds, vib), Miroslav Vitous (b), Jack DeJohnette (ds, kalimba), Airto Moreira (perc), Walter Booker (ac-g), Maria Booker (vo), Niels Jakobsen (claves)。
エレ・マイルスのメンバーからのチョイスが基本。この盤は、エレ・マイルスの傑作『Bitches Brew』と同じ年に録音された作品である。このエレ・マイルスの『Bitches Brew』と『Super Nova』の関連性については、大いにあり、と睨んでいる。『Bitches Brew』の録音は、1969年8月19日〜8月21日。もちろん、ショーターも参加している。この『Super Nova』は、その8日後の録音。どうしても影響されるだろう。
『Bitches Brew』は重厚でファンキーなビート。『Super Nova』は軽快でフォーキーなビート。そんな軽快でフォーキーなビートをベースに、モード、フリー、ボサノバといった、当時の先進的なジャズの要素が渾然一体となって入り乱れる。限りなく自由度の高いモーダルなジャズ。1970年代に向けた、それまでのジャズのスタンダードとの関係を断ち切った「新主流派ジャズ」。
とにかく何から何までぶっ飛んだ内容。エレ・マイルスの『Bitches Brew』は、限りなく自由度が高い演奏だが、圧倒的な「構築美」が素晴らしい。逆に『Super Nova』は、限りなく自由度の高い演奏だが、直感的で即興的で場当たり的ですらある。しかし、両アルバムの共通点は、おどろおどろしい「闇」の雰囲気、そして、異様なほどのテンションの高さ。
この『Super Nova』、ショーターからして、WR結成前夜の唯一無二の傑作です。この盤のぶっ飛び具合からして、宇宙と交信しながら演奏する、というがそれも納得。あまたあるジャズ盤の中でも、突出してぶっ飛んだ内容の盤です。初めて聴くジャズ者の方は、心して聴いて下さい。そう、余談ですが、この盤では、何故か、チック・コリアがドラムとヴァイブで参加している(ピアノでは参加では無い)。不思議です(笑)。
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