最悪のオリジナル・ジャケだけど
ジャズ・ギタリストの好みについては、よく他のジャズ者の方々から「ちょっと変わっている」と言われる。確かに、あまりレジェンド級のギタリストのアルバムを選盤することは少ない。どちらかと言えば、70年代に頭角を現した「ニュー・ジャズ世代」のギタリスト中心に好みが偏っているので、「ちょっと変わっている」と言われても仕方が無い。
それでも、ジョー・パスなども聴くんですよ。パスはとにかくテクニックが超絶技巧、それも飛び抜けていて、聴いていて、惚れ惚れするというか、聴き終えた後で、爽快感を感じるというか、それほど、スカッとするほどのテクニックの素晴らしさなのだ。若い頃、麻薬中毒で苦しんだそうで、相当な弾き手にもかかわらず、リーダー作はさほど多く無い。
1970年代に入って、1年に1作のペースで、コンスタントにリーダー作をリリースする。これって、意外と凄いことで、1970年代って、ジャズはクロスオーバー〜フュージョン・ジャズ全盛。純ジャズはその存在が無くなるといった事態は避けられてはいたが、苦しい立場に追い込まれてはいた。そんな中、ジョー・パスは飄々と内容のあるリーダー作をリリースし続けた。
そんな中の異色の一枚。Joe Pass『Better Days』(写真)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、Joe Pass (g), Joe Sample (p), Tom Scott (ts), Ray Brown (b), Carol Kaye (b) , Paul Humphrey (ds), Earl Palmer (ds), Milt Holland, Conte Candoli, J.J.Jphnson (horns)。米国西海岸ジャズ・シーンからのメンバー選定である。
内容が面白い。1971年の作品にもかかわらず、内容的には「フュージョン・ジャズ」なのだ。当時、ジャズとロックの融合という触れ込みの「クロスオーバー・ジャズ」が流行っていたが、この盤の内容はクロスオーバーでは無い。1970年代中盤〜後半に一世を風靡する「フュージョン・ジャズ」なのだ。もちろん、パスはそれを意識して、この盤を作った訳ではないだろう。リラックスして聴き易い、ムーディーなジャズをやったらこうなった、って感じかな。
ジャケットが凄い。「最悪のオリジナル・ジャケ」(写真左)と呼ばれている。2006年だったか、この盤がこの「最悪のオリジナル・ジャケ」でリイシューされて、ちょっと話題になった。確かに凄い、確かに間抜けなジャケットで、これでは触手が伸びないだろう(笑)。内容が素晴らしいと知っているからこそ、この「最悪のオリジナル・ジャケ」でも手が伸びる。確かに内容は素晴らしい。パスの代表的好盤の一枚だと言って良い。
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