ジョーヘンのリーダー作第2弾
初リーダー作『Page One』でのジョーヘンは固かった。吹いている様は「コルトレーン」に似ていた。ジョーヘンの特性である「ちょっと捻れた、素朴でジャジーな」テナーがあまり現れなかった。ピアノのタイナーとの相性が悪かったのだろうか。タイナーがバックでピアノを弾くと、フロントのテナーは「コルトレーン」になってしまうのか。
こぢんまりした素朴でジャジーな「コルトレーン」。これではジョーヘンが、ちょっと可哀相である。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは「これではいけない」と考えたのかどうか、間髪を入れず、ジョーヘンのリーダー作第2弾を録音する。Joe Henderson『Our Thing』(写真左)。1963年9月の録音。ブルーノートの4152番。
ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Kenny Dorham (tp), Andrew Hill (p), Eddie Khan (b), Pete La Roca (ds)。初リーダー作『Page One』の録音が1963年6月。それから僅か3ヶ月後の録音である。ピアノは、若き鬼才アンドリュー・ヒルに交代。ドラムは、初リーダー作で相性の良かったドラムのラロカとフロントのパートナー、トランペットのドーハムは留任。
冒頭の「Teeter Totter」を聴けば、リラックスしたジョーヘンのブロウを感じることが出来る。初リーダー作『Page One』とは全く別人の、自然体のジョーヘンが、肩の力の抜けた、素朴でジャジーな個性的テナーを吹き上げていく。まだ、後の個性である「ちょっと捻れた」ところはまだまだ遠慮がちだが、ところどころ変則でモーダルなアドリブ・フレーズは独特の個性である。
そして、へぇ〜っと感心するのが、ケニー・ドーハムのトランペット。溌剌としていて淀みが無い。拠れるところも無く、端正にブリリアントに吹き切る。素朴で力の抜けたジョーヘンのテナーとは対照的な音の力強さで、逆にジョーヘンのテナーを支え、惹き立たせていく。このフロント二人の相性は抜群。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべしである。
ジャズ盤の紹介本では、マイナー調の佳曲「Blue Bossa」の存在ゆえ、初リーダー作『Page One』が優先されることがほとんど。リーダー作第2弾の『Our Thing』が採り上げられることは、あまり無いのだが、ジョーヘンの初期の個性を確認するのなら、この『Our Thing』の方が適している。
東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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