アンサンブルの良さが際立つ
リターン・トゥー・フォーエヴァー(Return to Forever=以降RTF)のオリジナル・メンバーであり、チック・コリアの盟友である「スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)。エレベとアコベ、両刀使い。エレベのブンブン唸りとチョッパー、そして、ギターの様に旋律を奏でる弾き回しは、エレベのイノベーターの一人として差し支えないだろう。
アコベも上手い。弦と胴をブンブン唸らせながら、低音から高音まで、フルスケールでアドリブ・ソロを弾く様は、これはこれで素晴らしいもの。そんな両刀使いのベースを堪能出来る、スタンリー・クラークのソロ・サード盤がこれ。Stanley Clarke『Journey to Love』(写真)。 1975年の作品。パーソネルからチック・コリアの名前がアコピのみに後退し、キーボードには、ジョージ・デュークの名前がフィーチャーされている。
冒頭から「ファンキー・フュージョン」なエレ・ジャズが展開される。クラークのファンキーなエレベが心地良い。音の雰囲気は、チックがいないにも関わらず、第2期RTFのファンキー・フュージョンの雰囲気を踏襲しているようだ。不思議なんですが、スタンリー・クラークだって、RTFのオリジナル・メンバーであり、作曲だってする。当然、アレンジにも参加するだろう。
そういう意味で、クラークのソロ盤に第2期RTFの音の雰囲気が漂うって、当たり前のことだと思うんだが、如何だろう。このクラークのソロ第3弾は、上質のファンキー・フュージョンなエレ・ジャズがギッシリと詰まっているのだ。本家の第2期RTFの演奏と比較しても遜色は無い。逆に、クラークのベース・ソロがフューチャーされているので、クラークのベースを感じるには打って付けのアルバムである。
パーソネルを見渡していると、ジャズの世界ではちょっと異質のギタリストの名前があるのに気が付く。あの三大ロック・ギタリストの一人「Jeff Beck(ジェフ・ベック)」がタイトル曲と「Hello Jeff」に客演している。ベックは自身のライヴでクラークの曲「Power」を演奏したことがあり、その後クラークの自宅を訪れて共演を希望したという。
ふむふむ。ジェフ・ベックのストラトが響き渡ってますね。さすが、ロック・インストって感じで弾きまくっています。トーンの特異さで聴かせてしまう独特の演奏は聴きものです。そして、全編に渡ってアレンジが実に上手い。演奏全体のアンサンブルの良さが際立つ好盤です。フュージョン・ジャズの傑作の一枚として、もっと採り上げられても良い好盤だと思います。
東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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日本において「スラップ」のことを俗に「チョッパー」と呼ぶのはこの曲「チョッパーズ・ブギ」(ベースは後藤次利)が起源です。
投稿: | 2017年12月21日 (木曜日) 15時09分