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2017年12月 7日 (木曜日)

青く燃える様なモーダルな演奏

ウェイン・ショーターは、宇宙と交信しながらアドリブ・インプロビゼーションを展開する。本人がインタビューで度々言及しているので、本当のことなんだろう(笑)。しかし、ショーターのモーダルなアドリブ展開を聴くと、その並外れた変則感と聴いたことの無い音の使い方と重ね方があまりにユニークで、もしかしたら本当に宇宙人と交信しながら演奏しているのか、と思ってしまう。

Wayne Shorter『Et Cetera』(写真)。1965年6月の録音。しかし、録音当時は「お蔵入り」。1980年に初めて陽の目を見た。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Cecil McBee (b), Joe Chambers (ds)。ハービーをピアノに据えたリズム・セクションをバックに、なんと、この盤、ショーターのテナーがワンホーンのカルテット構成。

ショーターのテナーがワン・ホーンなので、ショーターのテナーが心ゆくまで感じ、楽しめる。ショーターのディスコ・グラフィー上では、『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める音源で、黒魔術っぽい怪しげで神秘的な宇宙人モードから、正統派な限りなく自由度の高い宇宙人モードへの移行期の音がここにある。
 
 

Etcetera
 
 
『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める、という意味では、この『Et Cetera』と『The Soothsayer』が、当時「お蔵入り」の兄弟盤の様な位置づけで存在しており、この『Et Cetera』は「静」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。ちなみに『The Soothsayer』は「動」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。

ブルーノートの録音・蓄積の「発掘王」マイケル・カスクーナは本作をショーターの「最高作の一つ」と称え、何故当時発売されなかったか謎だと語っている。この盤では、ショーターの静かに青く燃える炎の様なモード演奏を聴くことが出来る。マクビーのベースは音域広く、かなり個性的。チェンバースの叩き出すドラミングは重力感抜群。ハービーは何かに取り憑かれたかのように、限りなくモーダルな演奏を切れ味良く展開する。確かに僕もカスクーナの意見に激しく同意する。

静謐に展開するモードなアドリブ展開の中に、青く燃える様な熱気を感じるモーダルな演奏。他に無い、ショーターならではの独特の個性。ショーターのアルバム鑑賞の中で、この『Et Cetera』はマスト・アイテム。録音当時「お蔵入り」で、後にリリースされた、ということで、この盤を「訳あり演奏」盤と見切ってはいけない。
 
 
 
東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

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