マクドナルド・ドゥービーの始め
ドゥービー・ブラザース。訳して「大麻兄弟」。振り返ってみれば、凄いネーミングのバンドである。1960年代後半から1970年代まで、ウェストコースト・ロックを代表するバンドのひとつ。1982年に一旦、解散したが、1989年、正式に再結成し、今日に至る。
バンド当初の野性味あふれる快活なギター・ロック("オリジナル・ドゥービー"と僕は呼ぶ)から、途中、マイケル・マクドナルドの加入により、R&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いものへと変化("マクドナルド・ドゥービー"と僕は呼ぶ)。硬軟併せ持った、二つの顔を持つ、ウェストコースト・ロックの代表格。
オリジナル・ドゥービー時代からのファンの方々からすると、どうもこの後半のマクドナルド・ドゥービーは許せない変化らしい。が、僕は、オリジナル・ドゥービーも好きだが、マクドナルド・ドゥービーはもっと好きだ。で、マクドナルド・ドゥービーは、どのアルバムから出現したのか。
The Doobie Brothers『Takin' It To the Streets』(写真左)。邦題『ドゥービー・ストリート』。1976年3月のリリース。前作の『Stampede』より、元スティーリー・ダンのジェフ・バクスターとマイケル・マクドナルドが参加したことにより、ドゥービーのサウンドは大きく変化する。明らかにR&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いものへと変化。ギターバンドから、キーボードが効果的に活躍するAORバンドに変身している。
冒頭の「Wheels of Fortune(運命の轍)」、2曲目の「Takin' It to the Streets(ドゥービー・ストリート)」を聴けば、その変身度合いが良く判る。これだけ聴けば、これ誰がやってんの、となる。実は、この『ドゥービー・ストリート』のリリース当時、このアルバムをレコード屋でかかっているのを聴いた時、始めはドゥービーの音とは思わなかった。
曲が進むにつれ、オリジナル・ドゥービーの曲想の曲が流れてきたりするが、マクドナルドのキーボードが絡むと(特にフェンダー・ローズが絡むと)、途端にマクドナルド・ドゥービー色に染まる。これが当時は不思議で堪らなかった。どうして、マクドナルドのキーボードが絡むだけで、音がR&B基調のAOR色の色濃いものになるのか。
もともと、オリジナル・ドゥービー時代から、曲毎にファンキーな要素が織り込まれていて、マクドナルドのキーボードの絡みで、そのファンキー色が増幅されて「R&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いもの」へと変化する、ということが何と無く判ったのは、この盤のリリース後、3〜4年後、大学に入って、ジャズを聴き初めてからである。
マクドナルド・ドゥービーへの転換点のアルバムはこの『ドゥービー・ストリート』。特にタイトル曲の「Takin' It To the Streets」の切れ味の良いファンキーなリズム&ビートとゴスペルチックなコーラス、疾走する爽快感。これがマクドナルド・ドゥービーの真骨頂。今の耳にも、このアルバムは色褪せない。マクドナルド・ドゥービーも無茶苦茶、格好良いのだ。
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