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2017年12月21日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・94

僕の大のお気に入りのエレジャズ・バンド「Weather Report(=略してWR)」。印象的なフレーズや美しい旋律を伴った秀曲が多々あるのだが、徐々にカバーが増えてきている。ジャズって、1950年代からスタンダード曲というものがあるんだが、新しい時代の、いわゆる「ネオ・スタンダード」と呼ばれる曲があまり出てこない。印象的なフレーズや美しい旋律を伴ったWRの曲なんて、カバーに最適だと思うんだがなあ。

と思っていたら、こんなピアノ・トリオ作が出た。クリヤ・マコト, 納浩一, 則竹裕之『Acoustic Weather Report』(写真左)。2015年の作品。改めてパーソネルは、クリヤ・マコト (p), 納浩一 (ac-b), 則竹裕之 (ds)。純日本編成のピアノ・トリオ。WRの音楽を、あえて生楽器、それもピアノ・トリオでリアレンジすることにより、元祖WRの魅力を再発見しようというコンセプトで始ったとのこと。

WRの音世界の魅力は、電気楽器による、サイケデリックかつダイナミックな表現、分厚いユニゾン&ハーモニーなんだが、ピアノ・トリオ化に当たって、この魅力をバッサリ切り捨て、曲の持つ「印象的なフレーズや美しい旋律」を前面に押し出す、なんとも大胆かつ繊細なアレンジが見事である。
 

Acoustic_weather_report_2

 
しかし、よくまあアレンジを「やり切ったなあ」と感心する。もともとWRの曲は構造的に「難曲」が多く、コピーする分になんとかなるのだが、ピアノ・トリオなどでカバーする場合、WRの曲の持つ「複雑な構造」をどうアレンジし、表現するかが鍵になる。実はこの「複雑な構造も持つ」ところが、WRの曲の最大の個性でもあるのだ。これを省略したり、アレンジし損ねると、演奏自体が、何をやっているのか、判らなくなる危険性がある。

とにかく完コピしていないところが潔い。WRの曲が持つ個性的な部分だけを取り出して、シンプルに演奏する。この「潔さ」がこの盤の「キモ」である。トリオ演奏自体のレベルも相当に高い。上質のピアノ・トリオ。演奏を聴いていると、本場米国の有名なピアノ・トリオの演奏なのかと思ってしまうのだが、これがまあ「純日本製」なのだ。思わず口元が綻び、思わず胸を張りたくなる様な素晴らしい演奏。

収録されたどの曲も魅力的な演奏ばかりだが、とりわけ、冒頭の「キャノン・ボール」、2曲目の「エレガント・ピープル」、7曲目の「ヤング・アンド・ファイン」辺りが、かなりの「聴きもの」。アレンジが優秀なので、何度聴いても飽きが来ない。今回の収録曲以外の「他の曲」をカバーした「続編」を期待したい。

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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