晩秋の季節の「ユーミン盤」です
秋も深まってきた。日も短くなって、朝は日が昇るのが遅くなったし、夕暮れ時は結構早く陽が落ちる。今年は気温の変動がダイナミックだったが、このところ落ち着いて来て、やっと平年通りの気温に落ち着いて来た。気温が下がって日が短くなると、とにかく「物寂しい」。なんだか内省的になって、何を聴いても「しみじみ」する。
毎年毎年、この季節になると、じっくりと聴き込むユーミン(松任谷由実)のアルバムがある。松任谷由実『紅雀』(写真左)である。1978年3月のリリース。ユーミンが松任谷正隆さんとの結婚後、「荒井由実」改め「松任谷由実」として最初のオリジナルアルバムになる。当時のキャッチコピーが「1年5ヶ月の沈黙をやぶり第5弾ついに登場!! ユーミンの新しい世界がここに!!」。
全編に渡って、実に内省的な内容である。地味というか「しっとり」としている曲が多い。曲ひとつひとつ、実に丁寧に作られていると思う。しかし、印象に残りにくく、コレと言ったキャッチャーな曲に乏しい。シングルカットされた「ハルジョオン・ヒメジョオン」もリズムカルであるが、異国叙情が漂う、優しく穏やかな曲である。
ユーミン自身も語っているが、ユーミンのアルバムの中で一番地味な内容。これだけ地味な印象のあるアルバムである。それではあまり聴き直すことも無いのでは、と思うのだが、意外とこれが、毎年毎年、この季節になると聴きたくなって、必ずライブラリーから取り出してきて聴き込むのだ。不思議な魅力を持ったアルバムである。
アルバム全体のアレンジは、当時、米国で流行っていたフュージョン・ミュージック、特にCTIフュージョンの影響をモロに受けている。例えば「LAUNDRY-GATEの想い出」のアレンジなど、ホーンの使い方、リズムなど、当時のフュージョン・ジャズのリーダー格、ボブ・ジェームスの『Heads』というアルバムに収録されている「We're All Alone」のアレンジを上手く取り入れている。
聴き返してみると、この『紅雀』、フュージョン・ミュージックなユーミンだった様な気がする。とてもきめ細かく丁寧にアレンジされた楽曲が心地良い。当時のフュージョン・ミュージックの特徴を踏まえて聴くと、このアルバム、実に聴き応えがある。一般受けはしないが、フュージョン者にとっては聴き応え十分。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、晩秋の季節の昼下がりに、ゆったりと聴き込むのが通例になっている。
東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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