デレク&ドミノスの隠れライブ盤
「クリーム」での演奏バトルとバンド内の人間関係に疲れ、当時のスーパーバンド「ブラインド・フェイス」では、何と無く乗りきれないまま、1枚のアルバムを残したまま、半年でバンドを解散。新天地を求め米国に渡り、デラニー&ボニーのツアーに客演として参加、その音楽性に痛く感じ入り、スワンプ・ロックに走ったクラプトン。
そして、その世話になったデラニー&ボニーのバンドから主要メンバーをごっそり引き抜いて「デレク&ドミノス」を結成。スワンプ&米国ルーツ・ロックの名盤『Layla and Other Assorted Love Songs』(1970年)をものにした。しかし、ジョージ・ハリソンの嫁はん、パティ・ボイドへの横恋慕が昂じて、麻薬と酒に溺れ、一旦、引退状態に陥る。
そんな中でリリースされたライブ盤が『Derek & the Dominos In Concert』(写真)。1970年10月23&24日、Fillmore Eastでのライブ公演の様子を記録したライブ音源。しかし、発売は1973年1月。クラプトンが麻薬と酒に溺れ、引退状態となっていた頃のことである。『Layla』の後、長い期間、アルバムのリリースが無いので、その穴埋めとしてりりーすされた感が強い。
そういうリリースの背景なのであれば、内容的にはイマイチなのでは、という懸念が頭をもたげる。実際、リアルタイムでは、このライブ盤を手にすることは無かった。手にしたのは1990年代後半。で、内容的に問題があるかと言えば、長時間に渡るドラムソロに閉口する以外は、当時のデレク&ドミノスについては、スワンプ&米国ルーツ・ロックを代表するバンドであったことが良く判る。
クラプトンが充実している。ものこの頃は麻薬と酒で結構問題があった時期だと思われるが、そんなことは微塵も感じさえ無いプレイは見事である。バンド全体のサウンドもしっかりと統率され整っており、先に述べた「長時間のドラムソロ」を除けば、結構、聴き応えのあるライブ盤である。選曲もなかなか粋で、メンバーそれぞれの力量とグループ・サウンドのレベルの高さが十分に窺い知れる。
残念なのは『Layla』をレコーディングしたときの客演メンバーであり、かつ重要メンバーの一人であったデュアン・オールマンがこのライブには参加していないこと。『Layla』を聴き込んだ耳には、このライブ盤はちょっと音が淋しい。ちなみにこのライブ時点のパーソネルは、Eric Clapton (g)、Carl Radle (b)、Bobby Whitlock (key)、Jim Gordon (ds) の4人。逆に4人でこの迫力のあるパフォーマンスを引き出しているのだから、これはこれで充実のライブ盤である。
1994年には『Live at the Fillmore』と題して、「Why Does Love Got to Be So Sad」「Let It Rain」「Tell the Truth」「Nobody Knows You When You're Down and Out」「Little Wing」「Key to the Highway」「Crossroads」 の7曲を追加して、リニューアル、リイシューされている。
しかし、アルバム全体の所要時間が2時間とかなりの長さになった。聴くのに骨が折れる。それに比べて、この「In Concert」は所要時間1時間半。LP2枚組の鑑賞時間。じっとして聴くにはちょうど良い長さである。実際に僕は、この『In Concert』の方を愛聴している。
東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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