ファンキー・ジャズの隠れ好盤
ファンキー・ジャズは、ハードバップからの派生したサブ・ジャンル、若しくは、ハードバップ後継の演奏スタイルである。1950年代終盤から1960年代前半に、そのスタイルはほぼ確立されている。ブルースや教会音楽(ゴスペル)を基本にした展開が主で、ファンクネス溢れ、アーシーでブルージー、ややスピリチュアルな要素も見え隠れする音世界。
1960年代中盤にはファンキー・ジャズは成熟、1960年代後半には、R&Bとの融合が行われ「ソウル・ジャズ」とも呼ばれた。ソウル・ジャズになると、後続の「クロスオーバー・ジャズ」な要素が強く出てきて、純ジャズな要素は希薄になっていくのだが、ファンキー・ジャズの場合は、まだまだ純ジャズな要素もしっかりと残っていて、意外と聴き応えのある演奏が多い。
例えば、この盤などが好例だと思う。Johnny Griffin & Matthew Gee『Soul Groove』(写真左)。1963年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Matthew Gee (tb), "Big" John Patton (org - tracks 1, 5 & 8), Hank Jones (p, org - tracks 2-4, 6 & 7), Aaron Bell (b, tuba), Art Taylor (ds), Carlos "Patato" Valdes (cong, bong)。
リトル・ジャイアント・テナー、ジョニー・グリフィン(写真右)とマシュー・ジーのトロンボーン、2管フロントの好盤。グリフィンのテナーはもともとファンクネス濃厚なテナーなので、ファンキー・ジャズにしっかりとフィットする。マシューはテキサス出身の隠れ名手。テキサス・テナーならぬ「テキサス・トロンボーン」である(笑)。音感は力強く、ユーモラスな部分はほどほど、音色の基本は暖かく、じっくり和み系。
このグリフィンのファンクネス溢れる豪放磊落なテナーと力強くはあるが、基本的に暖かくジックリ和み系のマシューのトロンボーンの対比がこの盤の「ミソ」。そして、もう一つ、ハンク・ジョーンズの端正で暖かく和み系のオルガンと、ジョン・パットンの攻撃的で切れ味の良いオルガンとの対比もこの盤の「ミソ」。この2つの対比が、程良くブレンドされて、なかなか聴き応えのあるファンキージャズに仕上がっている。
ファンキー・ジャズの好盤とは言え、こってこてファンキーな演奏では無い。ちょっとサラッとした爽やかな雰囲気が漂うファンキー・ジャズに仕上がっていて、聴いていて実に聴き心地が良い。ジャズ盤紹介本などではほとんど見かけない盤なのだが、これがなかなかの雰囲気で、思わず、ニンマリとしてしまう。ファンキー・ジャズの隠れ好盤ですね。
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