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2017年11月の記事

2017年11月29日 (水曜日)

リトル・フィートのファースト盤

米国西海岸のいわゆる「ウエストコースト・ロック」は奥が深くて面白い。イーグルスなどに代表されるような「カルフォルニアの爽やか青い空」を想起させる、爽やか系のフォーク・ロックや、カントリー・ロックばかりと思いきや、「なんでこれが西海岸で」と悩んでしまうようなジャンルもあったりする。

米国南部の泥臭くワイルドなサザン・ロック風の「リトル・フィート」や「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」など、アメリカン・ルーツ・ミュージックをベースにしたロックも、また、ここ西海岸を拠点にしていたのだから面白い。リトル・フィートは、ロサンジェルスを拠点にしながら、ニューオーリンズR&B、ブルース、カントリー、ジャズなど、アメリカン・ルーツ・ミュージックの影響を色濃く押し出しているサウンドが特長。

そして、セカンドアルバム以降に採用された「ネオン・パーク」の個性的なイラストを採用したジャケット・デザインが印象的。商業的に恵まれませんでしたが、僕にとっては大のお気に入りバンドです。1969年に結成されて以来、1979年、ローウェル・ジョージの死と共に一旦、活動を停止しましたが、1988年、突如復活。幾度かのメンバー・チェンジを経て、未だ現役バンドなのは驚きです。
 

Little_feat

 
そんなリトル・フィートのデビュー盤が『Little Feat』(写真左)。リトル・フィートは、ロサンジェルスでフランク・ザッパのマザーズ・オブ・インヴェンションのメンバーだったローウェル・ジョージ(スライド・ギターとヴォーカルを担当)、ロイ・エストラーダ(ベース)を中心に結成された。このファースト盤は、1971年のリリースになる。

ジャケットを見ていただいてお判りのとおり、シンプルな手触りのするファーストアルバムである。米国南部のルーツ・ミュージックの要素、1960年代後半、米国西海岸で流行だったサイケデリック・ミュージックの要素など、様々なジャンルの音楽のエッセンスを取り込み、得意のロックンロール仕様に仕立て上げた、と言う感じの、ごった煮感満載の、ちょっと荒っぽい感じのするアルバム。

リトル・フィートのファンの間の評価は真っ二つ、賛否両論みたいですが、僕は好きですね〜。リトル・フィートのルーツとなっている音楽ジャンルがはっきりと判るし、荒っぽく、完成度の低い楽曲の中にも、後のリトル・フィートの個性が確認出来て、実に楽しい。商業的には全く不振だったようだが、そりゃそうだろう、このアルバムの内容だったらね。渋すぎるし、時代が早すぎた。

 
 

東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年11月28日 (火曜日)

ECMレーベルらしい音・5

そのレーベルの名は「ECM(Edition of Contemporary Music)」。創立者はマンフレート・アイヒャー。演奏家としての素養と録音技術の経験を基に、自らが選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問うべく、自らのレーベルを1969年に立ち上げる。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。

Jan Garbarek『Sart』(写真)。1971年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ts, bs, fl), Bobo Stenson (p, el-p), Terje Rypdal (g), Arild Andersen (b), Jon Christensen (per)。北欧中心の欧州ジャズ軍団の面々である。そして、担当楽器にドラムが無い。そう「ドラムが無い」ところがミソ。

この盤は典型的なECMの音作りをしている。欧州ジャズにおける「フリー・ジャズ」もしくは「アブストラクト・ジャズ」は、こういう音世界を言う。ジャズの本場、米国で展開された、必要最低限のルールの下、心のおもむくままに、熱気溢れる咆哮の様なスピリチュアルなブロウでは無い。
 

Jan_garbarek_sart

 
ファンクネスと熱気は皆無。怜悧で透明度が高く、静謐で音数を厳選しつつ間を活かした、まるで現代音楽の様な自由度の限りなく高いパフォーマンス。ヤン・ガルバレクのテナーが怜悧で熱い。切れ味良く端正に響き、格調高くアブストラクトに崩れる。ECM独特のエコーと相まって、本当に良い音を出している。

リピダルのギター・エフェクトについてはさすがに古さを感じるが、気にするほどのことでは無い。逆に「時代の音」として楽しめるので、さほど気にならない。ステンソンのピアノがなかなか隅に置けない。ステンソンのピアノが、この欧州スタイルのフリー・ジャズの音世界の中で、とってもよいアクセントになっている。

ECMレーベルにあって、他のレーベルに無い音世界が、この「ファンクネスと熱気は皆無。怜悧で透明度が高く、静謐で音数を厳選しつつ間を活かした、まるで現代音楽の様な自由度の限りなく高いパフォーマンス」。このECM独特の音世界を受け入れてこそ、ECMレーベルの「ECMの考える欧州ジャズ」を身近にすることが出来る。

 
 

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2017年11月27日 (月曜日)

ECMレーベルらしい音・4

僕はこのアルバムで、パット・メセニーに出会った。大学の友人宅で聴かせて貰った。当時、ロックしか知らない音楽野郎で、ジャズは全く知らなかった。そして、その友人は「お前のキャラからするとECMやなあ」とブツブツ良いながら、このアルバムをかけてくれた。スピーカーから出てきた音は、今までの音楽体験の中で、全く、聴いたことの音世界だった。

Pat Metheny『Watercolors』(写真左)。1977年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, 12-string g, 15-string harp-g), Lyle Mays (p), Eberhard Weber (b), Danny Gottlieb (ds)。Pat Metheny Group(PMGと略)で盟友となるピアノのライル・メイズとの初共演盤になる。

こんなジャズがあったんや、と感動した。それまでのジャズの印象とは全く違う、というか、全く新しいジャズの形だと思った。ファンクネスは皆無。黒さは全く感じられず、逆に米国ルーツ・ミュージックの1つである「フォーク、カントリー、ポップス」の要素を取り込み、自然の風景や気候を感じさせる、フォーキーでメロディアスなフレーズが特徴。僕は勝手に「ネーチャー・ジャズ」と形容している。
 

Watercolors

 
タイトルが「色とりどりの水」なので、全編聴き通すと「水」にまつわる様々な景色、模様が浮かんできます。面白いです。印象画の様なコンテンポラリー・ジャズとでも言いましょうか、穏やかではあるが、濃密かつ親密な音世界がとても魅力的です。音で情景を紡ぎ上げていく。そして、適度に豊かなエコー。典型的な「ECMレーベル」の音世界です。

ゴットリーブのドラムが印象画の様な音世界に適した「躍動感」を与えている。ウェーバーの柔軟で流麗なアコベとエレベが、パットのギターのベース・ラインに寄り添って、パットのギターをグッと浮き立たせ、グッと惹き立たせている。そして、ライル・メイズのピアノは「言わずもがな」、パットのギターに最適なピアノの音を止めども無く供給し続ける。とにかくリラックス出来る好盤。

フォーキーでメロディアスなフレーズが爽やかで優しい。パットの切れ味良く、やや捻れ気味にウォームなエレギの音は一度聴いたら忘れられないほど「個性的」。このパットのギターの音色とひねり出すフレーズが気に入るか、気に入らないかで、パットの評価は正反対に二分されるだろう。で、僕はパットのギターが大好きです。ジャズを聴き始めた頃に、この『Watercolors』に出会ったことは、僕にとって実に幸運な出来事でした。

 
 

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2017年11月26日 (日曜日)

「ハッピーな演奏」が実に良い

ジャズはコンスタントに新作をリリースし続けている。我が国では、ジャズはマイナーな音楽ジャンルと言われて久しい。しかも難解な音楽で苦手だ、聴く気にならない、という人が多い。それなのに我が国でも、なぜ一定数、毎月毎月、コンスタントに新作がリリースされ続けているのか。不思議と言えば不思議である。

ジャズは年齢がいけばいくほど、奥が深く渋みが出て、味わいの深いものになる。これは演奏する方も聴く方も同じで、ジャズにおいては、ベテランの役割は重要である。60歳以上のベテランの新作も、かなりの割合でリリースされ続けている。これは実に喜ばしいことである。ベテランのプレイは滋味に富んでいる。聴き心地が良く、聴き応えがあるものが大多数である。

Vincent Herring『Hard Times』(写真左)。先月の下旬のリリース。ちなみにパーソネルは、Vincent Herring (as, ss), Cyrus Chestnut (p, fender rhodes), Yasushi Nakamura (b), Carl Allen (ds)。special guests : Nicolas Bearde (vo), Russell Malone (g), Steve Turre (tb), Brad Mason (tp), Sam Dillon (ts)。サイラス・チェスナットのピアノをベースにしたリズム・セクションに、ヴィンセント・ハーリングのサックスのワンホーン・カルテットがメイン。
 

Vincent_herring_hard_times

 
現代ジャズ・アルトのレジェンド、ハーリングが溌剌としたプレイを繰り広げている。バックは、長年の盟友、チェスナットのピアノ・トリオ。これがまた、実に具合が良い。極上のハードバップ演奏が実に心地良い。この盤の演奏を聴いていると、難しい理屈などいらないよ、と言われているみたいな「ハッピーな演奏」が実に良い。

「音楽は常に私にとってポジティブなものでした。音楽によって私はいつも気分を持ち直すことができたのです」とはハーリングの弁。よって「少なくとも1時間くらいは、現代生活の混乱を和らげられるような作品にしたい、と願って制作」された、とのこと。良い話である。確かに、この作品は「ハッピーな内容」で埋め尽くされている。

聴いていて、心から「ジャズって良いなあ」と思える、素敵な盤である。ネオ・ハードバップの良いところがギッシリと詰まっている。こういう盤が、今、この時代にリリースされることを頼もしく思う。ジャズを聴いてきてよかったなあ、と思える瞬間である。

 
 

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2017年11月25日 (土曜日)

従来の純ジャズに無い響きが新鮮

僕はこの人のドラミングが気に入っている。Brian Blade(ブライアン・ブレイド)。1970年7月25日生まれ。今年で47歳になる。中堅ドラマー。ポリリズミックなドラミング、理知的なハイハット、切れ味の良いバスドラ。今までのジャズ・ドラマーに無い「佇まい」を感じる。

そんなブライアン・ブレイドがデビュー以降、現在まで活動を続けているフェローシップ・バンド。このアルバムは、このフェローシップ・バンドを率いての約3年ぶり新作。Brian Blade & The Fellowship Band『Body and Shadow』(写真左)。今年の10月のリリース。

ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), Jon Cowherd (p, harmonium, mellotron), Chris Thomas (b), Melvin Butler (ts), Myron Walden (as, b-cl), Dave Devine (g)。コンテンポラリー・ジャズな響きをしっかりと宿した演奏で、従来の純ジャズに無い音の響きが新鮮。ハーモニウム、メロトロンなど、珍しい鍵盤楽器の存在が面白い。
 

Body_and_shadow

 
音作りの根底に、ジャズを始めとして、ロック・カントリーなどの音の要素が取り込まれている様で、意外とポップ。ファンクネスは適度に抑えられていて、流麗で耳当たりの良い音は、ちょっと聴いていると「スムース・ジャズか」と感じる。全編抑え気味というか、全体的に静謐な感じ。しかし、しっかりと適度なテンションが張っていて、全編聴き通して飽きることは無い。

しかし、ブレイドのドラムとクリス・トーマスのベースが、しっかりとメンストリーム・ジャズなリズム&ビートを供給するので、この流麗で耳当たりの良い音は「純ジャズ」の範疇にしっかりと留まっている。ゆったり目の演奏が多い中、リズム・セクションの「引き締め」と「鼓舞」は重要な役割を果たすのだが、ブレイドのドラムとトーマスのベースは素晴らしいの一言。

ジャケットを見れば、これは「スムース・ジャズ」ですね。とても、コンテンポラリーな純ジャズな盤だとは思えない。これだけがマイナス点かな(笑)。実に知的で流麗、それでいて適度に張ったテンションが心地良い、なかなかの好盤だと思います。聴けば聴くほど味が出る、そんな盤です。

 
 

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2017年11月24日 (金曜日)

キースだけの「長時間即興演奏」

僕は最初、このライブ盤のパフォーマンスの良さが全く判らなかった。というか、パフォーマンスの内容が理解出来なかった、と言った方か良い。この延々と続く即興のパフォーマンス。LPにして3枚組のボリューム。しかも楽器はピアノのみ。

1970年代半ばから、ジャズの世界で暫くの間続いた「ソロ・ピアノ」ブーム。その中心にいたピアニストが「Keith Jarrett(キース・ジャレット)」。そのキースのソロ・ピアノのアルバムの中で、1979年当時、一番有名だったのが、このアルバムだった。Keith Jarrett『Solo Concerts: Bremen/Lausanne』(写真左)。1973年3月20日がLausanne(ローザンヌ)で、1973年7月12日がBremen(ブレーメン)でのライブ録音。

アルバムはブレーメンのライブから始まる。最初の15〜6分辺りまでは、クラシックをポップに崩したような、クラシック・ピアノで、即興の軽音楽を弾いているような、なんだかはっきりしない、手探りのような演奏が続く。僕は最初の頃、この始まりから15〜6分辺りまでのパフォーマンスが退屈で我慢できなかった。これがいかんかった。始まりから16分辺りからライブの音世界は一変する。左手のブロック・コード、右手のアドリブ・フレーズの節回しがジャジーなオフビートを叩き始める。

そうなったらしめたもので、キースのソロ・ピアノの世界は明らかに「ジャズ」一色に染まる。ジャジーなビートから、ゴスペルチックなビートまで、米国ルーツ・ミュージックを彷彿とさせるオフビート。印象的なアドリブ・フレーズのイメージが湧き出てくるまでは、パーカッションなビート演奏で乗り切る。イメージ湧き出てくると、途端にキャッチャーで流麗なアドリブ・フレーズが疾走する。そして、延々45分以上、ブレーメンの演奏が終わるまで続く。
 

Solo_concerts_bremenlausanne

 
ローザンヌの演奏は難物だ。こちらの前半部は、クラシックの即興演奏も出来るのですよ、な感じの、クラシックをポップに崩したような、クラシック・ピアノで即興の軽音楽を弾いているような自己顕示欲の強い演奏が続く。これが辛い。が、時々、思い出した様に、ジャジーなビートから、ゴスペルチックなビートが顔を出し、いきなり「ジャズ」な展開になる。しかし、今度は現代音楽的なフリーでアブストラクトな展開に陥り、途端に我慢を強いられる。そして、リリカルで耽美的な展開に転身して、いきなり終焉を迎える。

キースの即興演奏の個性は、突如として現れるジャジーなビートから、ゴスペルチックなビートに乗った印象的なアドリブ・フレーズがある程度長い時間続く「カタルシス」である。このある程度長い時間続く「カタルシス」が、一種のスピリチュアル・ジャズ的な効果を生み出している。このスピリチュアルな要素、これがキースの即興演奏の「ミソ」であると理解した。これが判るまでに僕は20年かかった。やっと、このLP3枚組ライブ盤の内容を理解出来たことになる。

キースの即興演奏はフォロワーを生まない。ジャズの即興演奏は「ビ・バップ」の3〜4分の演奏の中での、一発勝負的な瞬間芸の様なアドリブ演奏が理想とされる。それでは短い、とハードバップでは数分のアドリブ演奏が良しとされた。他のジャズメンにはこれが基準。キースの即興演奏は数十分から長い時は1時間にも及ぶ。他のジャズメンには必要の無い演奏時間の長さ。キースの即興演奏に必要となるのは、長時間の演奏に絶え得る「体力」というよりは、飽きることが無い、強い「精神力」。

キースのみにしか為し得ない、キースにしか必要の無い長時間の即興演奏。その記録がこのLP3枚組のボックス盤に詰まっている。この盤を皮切りに、キースはこの、ある程度長い時間続く「カタルシス」をトコトン追求することを選択する。そして、現在まで、10枚以上のソロ・ピアノ盤をリリースする。完成形・最終形の無い即興演奏の世界。この追求は何時まで、何処まで続くのだろうか。トコトン付き合うつもりである。

 
 

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2017年11月23日 (木曜日)

デレク&ドミノスの隠れライブ盤

「クリーム」での演奏バトルとバンド内の人間関係に疲れ、当時のスーパーバンド「ブラインド・フェイス」では、何と無く乗りきれないまま、1枚のアルバムを残したまま、半年でバンドを解散。新天地を求め米国に渡り、デラニー&ボニーのツアーに客演として参加、その音楽性に痛く感じ入り、スワンプ・ロックに走ったクラプトン。

そして、その世話になったデラニー&ボニーのバンドから主要メンバーをごっそり引き抜いて「デレク&ドミノス」を結成。スワンプ&米国ルーツ・ロックの名盤『Layla and Other Assorted Love Songs』(1970年)をものにした。しかし、ジョージ・ハリソンの嫁はん、パティ・ボイドへの横恋慕が昂じて、麻薬と酒に溺れ、一旦、引退状態に陥る。

そんな中でリリースされたライブ盤が『Derek & the Dominos In Concert』(写真)。1970年10月23&24日、Fillmore Eastでのライブ公演の様子を記録したライブ音源。しかし、発売は1973年1月。クラプトンが麻薬と酒に溺れ、引退状態となっていた頃のことである。『Layla』の後、長い期間、アルバムのリリースが無いので、その穴埋めとしてりりーすされた感が強い。

そういうリリースの背景なのであれば、内容的にはイマイチなのでは、という懸念が頭をもたげる。実際、リアルタイムでは、このライブ盤を手にすることは無かった。手にしたのは1990年代後半。で、内容的に問題があるかと言えば、長時間に渡るドラムソロに閉口する以外は、当時のデレク&ドミノスについては、スワンプ&米国ルーツ・ロックを代表するバンドであったことが良く判る。
 

Derek_the_dominos_in_concert

 
クラプトンが充実している。ものこの頃は麻薬と酒で結構問題があった時期だと思われるが、そんなことは微塵も感じさえ無いプレイは見事である。バンド全体のサウンドもしっかりと統率され整っており、先に述べた「長時間のドラムソロ」を除けば、結構、聴き応えのあるライブ盤である。選曲もなかなか粋で、メンバーそれぞれの力量とグループ・サウンドのレベルの高さが十分に窺い知れる。

残念なのは『Layla』をレコーディングしたときの客演メンバーであり、かつ重要メンバーの一人であったデュアン・オールマンがこのライブには参加していないこと。『Layla』を聴き込んだ耳には、このライブ盤はちょっと音が淋しい。ちなみにこのライブ時点のパーソネルは、Eric Clapton (g)、Carl Radle (b)、Bobby Whitlock (key)、Jim Gordon (ds) の4人。逆に4人でこの迫力のあるパフォーマンスを引き出しているのだから、これはこれで充実のライブ盤である。

1994年には『Live at the Fillmore』と題して、「Why Does Love Got to Be So Sad」「Let It Rain」「Tell the Truth」「Nobody Knows You When You're Down and Out」「Little Wing」「Key to the Highway」「Crossroads」 の7曲を追加して、リニューアル、リイシューされている。

しかし、アルバム全体の所要時間が2時間とかなりの長さになった。聴くのに骨が折れる。それに比べて、この「In Concert」は所要時間1時間半。LP2枚組の鑑賞時間。じっとして聴くにはちょうど良い長さである。実際に僕は、この『In Concert』の方を愛聴している。

 
 

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2017年11月22日 (水曜日)

モード奏法の最終結論のひとつ

爽やかに捻れ、悠然とモーダルに吹き上げる「テナーの怪人」ウェイン・ショーター。真顔で「自分は宇宙と交信しながらテナーを吹いている」とカミングアウトし、どこでどうしたらそういうフレーズになるか、全く、凡人の我々には判らないのだが、他のテナーには絶対に無い、爽やかに捻れた「正統派」テナーのアドリブ・フレーズを聴かせてくれる。

そんなショーターの面目躍如的なアルバムが、Wayne Shorter『Schizophrenia』(写真左)。1967年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Curtis Fuller (tb), James Spaulding (fl, as), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Joe Chambers (ds)。タイトルの『Schizophrenia』とは「統合失調症」、いわゆる分裂した精神状態の意。おおよそ、ジャズのアルバムのタイトルではない(笑)。

こんなにモーダルで捻れた、当時最先端のモード・ジャズなのに、フロントにばりばりハードバッパーのカーティス・フラーがトロンボーンを担当しているところが面白い。目新しいところとしては、アルトにジェームス・スポルディングが参加、健闘している。そして、意外と、ハービー×ロン×ジョーチェンのリズム・セクションがカッ飛んでいる。
 

Schizophrenia

 
前作の『Adam's Apple』は捻れに捻れ、思いっきりモーダルしていると思ったのだが、なんと、この盤ではその度合いが更に増している。もうハードバップ時代のストレートでシンプルなアドリブ・フレーズは存在しない。全てが捻れ、全てがモードしている。もはやコードという概念は存在しない。そういう意味で、モード・ジャズの最先端をいく演奏がギッシリ詰まっている盤、と言える。

演奏の雰囲気はモードを基調としたジャズ・ロック。モードを基調としているので、ジャズ・ロック的雰囲気とは言え、俗っぽくなく、判り易くは無い。思いっきりモーダルな演奏が8ビートを採用している、という形容の方が判り易いのでは無いか。この盤では、ハービーのピアノが異様に格好良い。躍動的であり、美しくもあり、硬軟自在、伸縮自在の完璧モーダルなアドリブ・ソロを聴かせてくれる。これがまた良い。

僕は、旧来のモーダルな演奏がメインの純ジャズ系のショーターのアルバムの中では、この盤が一番好きなのだが、日本では意外にマイナーな存在に甘んじている。1990年代、日本では廃盤状態。僕は、1999年米国はサンフランシスコのタワレコでリマスター再発CDを入手して狂喜乱舞。ホテルに帰って、パソコンで聴いた『Schizophrenia』の音は忘れられない。 

 
 

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2017年11月21日 (火曜日)

ファンキーなドナルドソンを聴け

ファンキー・ジャズに凝っている。ファンキー・ジャズの特徴のひとつが、ファンキー・ジャズに欠かせない「ギターやらオルガンやら」が入っていること。僕はこの「オルガン」の存在が大のお気に入りで、ファンキー・ジャズに入っているオルガンは特に良い。こってこてにファンキーなオルガン、欠かせないよな〜。

こってこてにファンキーなオルガン、と言う言葉からこの盤が浮かんだ。Lou Donaldson『The Natural Soul』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Tommy Turrentine (tp), Grant Green (g), Big John Patton (org), Ben Dixon (ds)。ファンキー・ジャズに必須のアイテムである「ギターやらオルガンやら」がしっかり入っている、典型的な「ファンキー・ジャズ」盤。

アルト・サックスのレジェンド、1962年当時でベテランの域に達しつつあった「ルー・ドナルドソン」。当時36歳。若手の頃はチャーリー・パーカーから大きな影響を受けた「ビ・バップ」なアルト・サックスがメイン。これがまあ、1960年代に入って、ファンキー・ジャズが流行りだしたら大変身。ビ・バップなアルトが、ファンキーなアルトに大変身。それでも、このルーさんのファンキー・アルトが実に良い感じだから「許せる」。
 

The_natural_soul

 
バックのオルガンが切れ味良く思いっきりファンキー。ジョン・パットンである。当時、ほぼ新人だったというから驚き。これだけ、こってこての骨太なファンキー・オルガンを弾き倒すなんて、新人とは思えない。加えて切れ味が良い。ズバッと切れ込むようにアドリブに差し掛かる瞬間が実に良い。そうそう、トミタレ(トミー・タレンタイン)のトランペットもファンクネスだだ漏れ。

そして、この盤で大活躍なのが、ギターのグラント・グリーン。パッキパキのコッテコテな、シングル・トーンでソロにバッキングに大活躍。ファンキー・ジャズはこってこてファンキーな音の塊なので、ちょっともたれる感じになる時があるのだが、そんなところに切れ込むグラント・グリーンのシングル・トーンは爽快。

ジャケットもブルーノート・レーベルらしからぬ、俗っぽさ満載の「ふぁんき〜」なジャケット。でも、これが良い。タイポグラフィーもばっちり決まって、なんだか、こってこてなファンクネスが滴り落ちるような、そんなファンキーなジャズが聴こえてきそうなジャケットもまた良し。ファンキー・ジャズって楽しいなあ。 

 
 

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2017年11月20日 (月曜日)

ファンキーなタレンタインを聴け

ファンキー・ジャズに凝っている。判り易くて、簡単に「のれる」。沈みがちな心がパッと明るくなる。寒い冬にはピッタリ。暖かい部屋の中で、ファンキー・ジャズに聴き入り「のる」。足で手でリズムを取って「のる」。少し体がポカポカする。ファンキー・ジャズを聴く季節は「冬」が良い。

今日は、Stanley Turrentine『That's Where It's At』(写真左)。1962年1月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Les McCann (p), Herbie Lewis (b), Otis Finch (ds)。バックのリズム・セクションの面子を見ると、完璧な「ファンキー仕様」。このパーソネルを見るだけで、この盤は「ファンキー・ジャズ」盤と推察出来る。

スタンリー・タレンタインのテナーは「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が特徴。吹き方は、オールド・スタイルとコルトレーン・スタイルの間をいくもの。レトロでも無く、最先端でも無い。流行のスタイルに対して「我関せず」と言わんばかりのオリジナリティー。
 

Thats_where_its_at_1

 
この盤の面白いところは、ファンキー・ジャズに必須のアイテムである「ギターやらオルガンやら」が一切入っていないところ。タレンタインのテナー1本がフロント。まずこれだけでかなりファンキー。加えて、バックにアコピ・ベースのピアノ・トリオがあるのみ。それでもこってこてファンキーなジャズをやるのに不足は無いところがこのメンバーの凄いところ。

レス・マッキャンのアコピがパワフル。勢い余ってリズムを乱すところはご愛嬌(笑)。ブルージーでアーシーなサウンドがファンキー・ジャズにピッタリ。ベースのハービー・ルイス、ドラムのオーティス・フィンチのリズム隊もアーシーでファンキー。よくよく聴けば、ファンキー一色のリズム・セクションである。

ゆったりした演奏なんだが、音はパワフル。音に芯がグッと入っていて、しなやかでソウルフル。しかし、ブルーノート・レーベルって凄く柔軟なレーベルなんだなあ、と改めて感心する。さすがはブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオン。ハード・バップのみに固執せず、どんどん新しいトレンドを取り入れ、ミュージシャンに録音の機会を提供し続けた、そのセンスと手腕に脱帽である。

 
 

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2017年11月19日 (日曜日)

ユニークで多彩な個性的ロック

高校時代から大学時代、リアルタイムで体験していた。その音世界が気になって、その都度その都度、チャレンジするんだが、なかなか体に入らない。聴く度に「敗退」していたロック・バンドがある。グレイトフル・デッド(Grateful Dead)。1965年、米国西海岸で結成されたロック・バンド。スタイルはユニークで多彩。他のロック・バンドとは一線を画する存在。

1970年代後半、グレイトフル・デッドを聴く度に「ん〜、良く判らん」。それでも、その音をFMで耳にする度になぜか聴きたくなる。それで再びチャレンジするのだが「ん〜、良く判らん」の繰り返し。1980年代に入って、一旦はグレイトフル・デッドを諦めることになる。

さて、2001年だったと記憶する。グレイトフル・デッドのボックス盤がリリースされる。その名は『Golden Road』。rグレイトフル・デッドワーナー時代の全オリジナル・アルバムにDeadの真骨頂であるライヴ音源、未発表音源などをCD12枚に収めたボックス・セットである。このボックス盤を入手し、グレイトフル・デッドに再チャレンジ。今では、グレイトフル・デッドは、僕のお気に入りバンドのひとつになった。

僕はデッドを、大学時代最終年の1981年のアルバムから遡って聴くことが「マナー」である。1981年の作品、Grateful Dead『Reckoning』(写真)から遡って聴きなおすと、デッドの「ユニークで多彩」という個性が良く判るのだ(恐らく僕だけだけど)。1981年のロック&ポップスは「AOR」の時代。そんな中で、この盤はなかなかユニークな内容に仕上がっている。
 

Reckoning

 
バンド結成15周年を記念したライヴが収録されたライブ盤である。1980年の秋に行われたライヴを収録したもの。アコースティック・セットとエレクトリック・セットから構成され、サンフランシスコとニューヨークで計21回に渡って行われた。そのアコースティック・セットが収録されたのがこの『Reckoning』。

ライブ音源は「その時のデッドの個性」をダイレクトに体験できる。このアコースティック・セットの基本は米国ルーツ・ミュージック。カントリーやジャズ、ブルースなどの要素を取り込み、散りばめられている。主にブルーグラスやカントリー、ブルースなど米国ルーツ・ミュージックのカヴァーが演奏されていて、デッドの個性の基本が良く判る。

デッドの演奏の特徴は「暖かみがあり、ゆるくて心地良い」。演奏は精緻にカッチリ整った演奏では無い。逆に適度に緩くて心地良い。ジャズのアドリブ展開の様に、心地良い自由と緩く大らかな規律の中で、ほんわかソウルフルな歌唱と演奏が繰り広げられる。

このデッドの演奏の特徴である「暖かみがあり、ゆるくて心地良い」が、若き日には理解出来なかったのだ。聴く心に余裕と寛容さが無かったのだろう。2001年、ボックス盤を入手した時が43歳。人生も半ばを過ぎ、やっと聴く心に余裕と寛容さが備わって、やっとこさ、グレイトフル・デッドの個性が理解出来た次第。テンション高く尖っているばかりが人生では無いとデッドは教えてくれた。

 
 

東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年11月17日 (金曜日)

爽やかに捻れ、悠然とモーダル

ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は実にユニークなテナー・マン。インタビューなんかでは、真顔で「自分は宇宙と交信しながらテナーを吹いている」。宇宙との交信の成果が、ショーターの個性的なアドリブ・フレーズを生むということだ。彼のテナーは唯一無二。捻れたテナーなのだが、そのフレーズは、メインストリーム・ジャズど真ん中。モダン・ジャズの王道を行くテナーである。

確かに、初めて聴いた時、この人のテナーは唯一無二だと思った。テナーと言えば「コルトレーン」。コルトレーンは自由度を求めれば求めるほど、フリー・ジャズに、アバンギャルド・ジャズに傾倒し、一般のジャズ・ファンを失っていった。しかし、ショーターは違う。ショーターは自由度を求めれば求めるほど、爽やかに捻れ、悠然とモーダルに変化する。そして、一般のジャズ・ファンを惹き付ける。

Wayne Shorter『Adam's Apple』(写真左)。1966年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Reggie Workman (b), Joe Chambers (ds)。ジャズ界は「多様化」の時代。ショーターは新主流派と呼ばれる、新しい響きを宿したモーダルがメインの自由度の高いジャズ。
 

Adams_apple

 
ショーターのテナーのアドリブ・フレーズって、ほんとに「ユニーク」。他を寄せ付けない、フォローを許さない、思いっきり個性的な捻れ方。真似出来ない、予測が出来ない捻れ方をする。しかも、テナーの音色が豊か。太くてシャープで流麗。しかも余裕を噛ました悠然としたロングなアドリブも得意で、このショーターのテナーって、他のテナー・マンには決して真似が出来無い。

ピアノは、若き日のハービー・ハンコック。ワンフレーズ聴けば直ぐに「ハービーやなあ」と判るくらいに個性的なフレーズを叩き出している。本当に、この頃のハービーのピアノは「イカしている」。理知的で幾何学的、ほど良く抑制された、意外と高速なパッセージ。左手のブロックコード、右手の自由度の高い弾き回し。この頃のハービーって輝いている。 

レジー・ワークマンのベースが面白い。モーダルなフロントのアドリブ・フレーズには、こういうモーダルなベースと当てろ、というような、新主流派にとっての「教科書」の様なウォーキング・ベースに惚れ惚れする。このリズム隊が、アルバム全体を統制し、アルバム全体をコントロールする)。

純ジャズなショーターのテナーを愛でるに最適な一枚。ジャケットもブルーノート・レーベル独特のデザイン性の溢れた素晴らしいもの。内容も決して難しく無く、取っ付き易い。ジャズ者初心者の方々にも安心してお勧め出来る好盤です。

 
 

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2017年11月16日 (木曜日)

円熟のロイ・ハーグローブである

ネットのジャズ盤紹介を読み直して「これは聴いてないぞ」盤の聴き直し。ネットのジャズ盤紹介のブログは、ジャズ評論家の方々が扱わない、本当に内容の良い「隠れ好盤」について語ってくれているので助かる。自分の耳でしっかり聴いて、自分の感じたことを赤裸々に書いてくれているので、本当に参考になる。

例えば、この盤などはネットのジャズ盤紹介のブログから教えて貰った。Roy Hargrove『Earfood』(写真左)。2008年の作品。レギュラー・クインテットでの純ジャズ盤。聴き込むうちにその素晴らしさがじわじわと沁みる。ちなみにパーソネルは、Justin Robinson (as, fl), Danton Boller (b), Montez Coleman (ds), Gerald Clayton (p), Roy Hargrove (tp,fgh)。

ロイ・ハーグローヴ(以降、略して「ロイハー」)のEmarcy移籍第一弾作品。このクインテット盤は「純ジャズ」追求盤。ロイハーのストレートなブロウ、精巧なフィンガリングを駆使して、流麗で歌心のあるトランペットが飛翔する。ちょっと抑え気味のブロウなので、最初聴いた時は「なんか地味やなあ」と思うんだが、聴き込む毎にその素晴らしさがじわじわジワジワ沁みてくる。ブリリアントで滑らかなトランペット。
 

Roy_hargroveearfood

 
ピアノのジェラルド・クレイトンが良い。聴いていて惚れ惚れする様な、艶があって音の抜けが良く、切れ味抜群なピアノは個性的。クレイトンは和蘭生まれ、南カリフォルニアア育ちで、ベーシストのジョン・クレイトンの息子。素性確かなジャズ・ピアノである。アドリブ・ソロに感心する。良く練れているというか、直感的な反応が良いというか、センスを感じる、理知的なフレーズを感じる。以降「要注目」ピアニストである。

アルト・サックスのジャスティン・ロビンソンは、ロイハーのトランペットと相性が良い。ユニゾン&ハーモニーなど、アンサンブルの響きが抜群である。前作からメンバーは一新されているのだが、アルトのロビンソンだけ残ったというのも頷ける。作り込み過ぎない、吹きすぎないシンプルなアドリブ・フレーズは印象に残る。また聴きたくなる。

ロイハーは、この盤をリリースした時が39歳。中堅トランペッターとして、ロイハーの円熟度合いをしっかり確認出来る、バリバリのハードバップ盤である。聴き込み度にじわじわ沁みてくる、噛めば噛むほど味が出る「スルメの様な」好盤である。ジャズ者の皆さん全般にお勧め。

 
 

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2017年11月15日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・92

昔のジャズ盤紹介本を読み返してみると、「この盤は聴いたことが無い」というものに出会う時がある。そもそも、縁が無かったのか、もともとジャズ盤紹介本に挙がることが殆ど無いのか、大体が「こんなアルバムあったんや」と感心する盤が大多数である。そして、聴いてみるとなかなかの内容の盤がほとんど。

3ヶ月ほど前に、このブログでご紹介した盤なんだが、例えばこの盤なんか、ジャズ盤紹介本に挙がっているのを見た時、「こんなアルバム見たこと無い」が最初の印象。内容の紹介文を読んで「こんなアルバムあったんや」と思わず唸る。

Stéphane Grappelli『Live In San Francisco』(写真左)。ジャズ・バイオリンの名手、ステファン・グラッペリの1982年7月7日、サンフランシスコでのライブ音源。

ステファン・グラッペリは、フランスのジャズ・ヴァイオリニスト。ジャズ・ヴァイオリニストの第一人者として、長年に渡って晩年まで第一線で活躍した。1908年生まれ、1997年に89歳にて逝去。このサンフランシスコでのライブ音源は1982年のものなので、グラッペリが74歳、晩年の演奏になる。
 

Stephane_grappelli_live_in_san_fran

 
選曲はスタンダード曲がメイン、これが良い。グラッペリのジャズ・ヴァイオリンの素性の良さとテクニックの確かさがグッと浮き出てくるのだ。まるで鼻歌を歌うが如く、軽快に爽快にアドリブを展開する。緩急自在、抑揚が効いていて、グラッペリのテクニックは「神業」である。74歳の演奏とは思えない。

ギターはグラッペリ・バンドで一躍有名になったギター・マン、若きマーティン・テイラーである。テイラーは1956年生まれなので、このライブの時点で弱冠26歳の若さ。26歳の若さなのに、意外と小粋なバッキングを繰り出すのだから、これまたビックリする。グラッペリとは48歳の差があるのだが、全く違和感が無い。優れたジャズメンの組合せとはそういうものなんだろう。

ジャズ・ヴァイオリンとは如何なるものか、この盤を聴けばその極上なパフォーマンスを体験することが出来る。素晴らしいライブ盤である。ちなみに、LPでの初出の時の盤(写真左)と、現在、CDでリイシューされている盤(写真右)とジャケットが大きく異なる。LP時代のジャケットの方がシンプルでジャズ盤らしい雰囲気。

 
 

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2017年11月14日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・66

今週は、昔のジャズ盤紹介本を読み直して「これは最近聴いてないぞ」盤の聴き直し。ジャズ本を読み返していると、僅かではありますが、好盤ではありながら暫く聴いていない盤を発掘します。これを聴き直すのが意外と面白い。しかし、コレクションに無い盤になると、意外と探すのが大変だったりする。でも、それが楽しかったりするのだ。

今日の「これは最近聴いてないぞ」盤は、John Hicks『Inc.1』(写真左)。1985年4月の録音。ちなみにパーソネルは、John Hicks (p), Walter Booker (b), Idris Muhanmmad (ds)。日本のDIWレーベルからリリースされた一枚。DIWって、あれっ、と思わず思ってしまう位にユニークな盤をリリースしたりしているので要注意レーベルである。

ジョン・ヒックスのピアノは、一言で言うと「疾走する木訥さと精悍さ」。モンクの様な独特の幾何学的なフレーズとマッコイの様なドライブ感溢れる弾き回しを足して2で割った様な個性。但し、テクニックには危うさが付きまとう。それでも、「疾走する木訥さと精悍さ」は唯一無二の個性で、聴き込むに付け、どんどん癖になる。
 

John_hicks_inc1

 
ヒックスのピアノはポジティブ。ワクワク、ウキウキ、楽しいな、って感じのアドリブ・フレーズ。とにかく軽快なのだ。「快速(快い速さ)」と表現するのがピッタリ。この軽さに懸念を示すジャズ者の方もいるが、この軽快さをどう捉えるかで、ヒックスのピアノに対する評価は変わるのだろう。

このトリオ盤、ベースとドラムのプッシュがこれまた心地良い。特に、ムハマッドのドラムが良好。要所要所でビシッと決まるシンバルが心地良い。ブッカーのベースも重心が低くて堅実。このベースとドラムの存在が、ヒックスの軽快なピアノを支え惹き立たせている。実に良好なピアノ・トリオである。

ジョン・ヒックスのピアノは「ありそうでない」唯一の個性。もう少し、日本で人気が出ても良いのだが、コアなファンはいるのだが、一般ウケが悪い。でも、この『Inc.1』を聴いていただいたら判るのだが、ジャズ者初心者の方々にも十分に楽しめる判り易さがある。そういう意味で、もっと広く聴いて欲しい「隠れ好盤」である。

なお、ジョン・ヒックスは、残念ながら、2006年5月に65歳という若さで鬼籍に入った。合掌。

 
 

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2017年11月12日 (日曜日)

リゾート志向の冬のユーミン盤

僕にとってのユーミン盤は、それぞれに季節感がついてくる。僕が感じるには、ユーミンの盤にはそれぞれ、独特の季節感が流れていて、その季節毎に聴くユーミン盤が変わる。ただし、この季節感を感じるユーミン盤は、1989年リリースの『LOVE WARS』までに限定される。なぜか、1990年代以降のユーミン盤には、この「季節感」が感じられなくなっている。

さて、今年もそろそろ「冬」である。冬の季節を感じると、必ず聴きたくなるユーミン盤が何枚かある。その筆頭が、松任谷由実『SURF & SNOW』(写真)。1980年12月のリリース。キャッチコピーは「忘れないで、ときめくホリディを!」。僕はリアルタイムで、リリース日当日にこの盤を入手している。

もともと発売日が12月1日だったこともあり、収録曲の「恋人がサンタクロース」と「雪だより」をとても印象的だったこともあって、僕の頭の中では、この盤は「冬のユーミン盤」になった。加えて、1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」のオープニングに印象的に使われた「サーフ天国、スキー天国」のイメージが加わって、この盤は「冬のユーミン盤」として”確定”された。
 

Surfsnow_2

 
タイトルが『SURF & SNOW』なので、「灼けたアイドル」や「人魚になりたい」など夏の曲もある。「サーフ天国、スキー天国」だって、曲の半分はサーフィンの情景なので「夏」である。しかし、この盤がリゾート志向の曲作りになっている為、僕の頭の中では、夏の部分は、日本の冬での「夏」の地域。南半球もしくは常夏の島の話として解釈している。

他の曲、「まぶしい草野球」は春まだ浅い冬の終わりの季節設定だし、「シーズン・オフの心には」や「恋人と来ないで」も冬の季節がピッタリだと感じる。「彼から手をひいて」や「ワゴンに乗ってでかけよう」はオールシーズン・タイプの曲なんで、どの季節にも、つまりは「冬」にも合う。

よって、僕の中では、この『SURF & SNOW』は「リゾート志向の冬のユーミン盤」。それぞれの曲のアレンジも良好、当時のニューミュージックと呼ばれる曲の中でも、そのポップス感は突出している。当時としては、新しい感覚のポップ・ロックとして先端を行く存在だった。今でも、この木枯らし吹く季節になると、この盤が聴きたくなる。今年もそろそろ本格的な冬である。

 
 

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2017年11月11日 (土曜日)

晩秋の季節の「ユーミン盤」です

秋も深まってきた。日も短くなって、朝は日が昇るのが遅くなったし、夕暮れ時は結構早く陽が落ちる。今年は気温の変動がダイナミックだったが、このところ落ち着いて来て、やっと平年通りの気温に落ち着いて来た。気温が下がって日が短くなると、とにかく「物寂しい」。なんだか内省的になって、何を聴いても「しみじみ」する。

毎年毎年、この季節になると、じっくりと聴き込むユーミン(松任谷由実)のアルバムがある。松任谷由実『紅雀』(写真左)である。1978年3月のリリース。ユーミンが松任谷正隆さんとの結婚後、「荒井由実」改め「松任谷由実」として最初のオリジナルアルバムになる。当時のキャッチコピーが「1年5ヶ月の沈黙をやぶり第5弾ついに登場!! ユーミンの新しい世界がここに!!」。

全編に渡って、実に内省的な内容である。地味というか「しっとり」としている曲が多い。曲ひとつひとつ、実に丁寧に作られていると思う。しかし、印象に残りにくく、コレと言ったキャッチャーな曲に乏しい。シングルカットされた「ハルジョオン・ヒメジョオン」もリズムカルであるが、異国叙情が漂う、優しく穏やかな曲である。
 

Benisuzume

 
ユーミン自身も語っているが、ユーミンのアルバムの中で一番地味な内容。これだけ地味な印象のあるアルバムである。それではあまり聴き直すことも無いのでは、と思うのだが、意外とこれが、毎年毎年、この季節になると聴きたくなって、必ずライブラリーから取り出してきて聴き込むのだ。不思議な魅力を持ったアルバムである。

アルバム全体のアレンジは、当時、米国で流行っていたフュージョン・ミュージック、特にCTIフュージョンの影響をモロに受けている。例えば「LAUNDRY-GATEの想い出」のアレンジなど、ホーンの使い方、リズムなど、当時のフュージョン・ジャズのリーダー格、ボブ・ジェームスの『Heads』というアルバムに収録されている「We're All Alone」のアレンジを上手く取り入れている。

聴き返してみると、この『紅雀』、フュージョン・ミュージックなユーミンだった様な気がする。とてもきめ細かく丁寧にアレンジされた楽曲が心地良い。当時のフュージョン・ミュージックの特徴を踏まえて聴くと、このアルバム、実に聴き応えがある。一般受けはしないが、フュージョン者にとっては聴き応え十分。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、晩秋の季節の昼下がりに、ゆったりと聴き込むのが通例になっている。

 
 

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2017年11月10日 (金曜日)

これぞ、ファンキー・ジャズな盤

ファンキー・ジャズは、1950年代終盤から1960年代中盤にかけて流行ったジャズの演奏トレンドのひとつで、ハードバップのサブカテゴリー、若しくは後継のトレンドとされる。演奏の基本はメインストリーム・ジャズ。電気楽器はエレクトリック・ピアノ、若しくはオルガンのみ。ゴスペル的な要素が大幅に取り入れられ、これがファンクネスを強調する。

そんなファンキー・ジャズの代表盤の一枚が、Cannonball Adderley『Mercy, Mercy, Mercy(Live at 'the Club')』(写真左)。1966年10月、ロスのキャピトルでのスタジオ・ライブの音源。Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Joe Zawinul (ac-p, el-p), Victor Gaskin (b), Roy McCurdy (ds)。アダレイ兄弟がフロントに座ったクインテット構成。

後に、Weather Reportを結成するジョー・ザヴィヌルがキーボード担当と音楽監督を兼任している。このザヴィヌルの存在が「キモ」で、このザヴィヌルの書いた曲がすべからく「こってこてのファンキー」。その代表作がタイトル曲の「Mercy, Mercy, Mercy」。もう、これでもか〜、という位の「オーバー・ファンク」な演奏。
 

Mercy_mercy_mercy

 
この「Mercy, Mercy, Mercy」の存在が、音が、このアルバムの雰囲気を決定付けている。教会の賛美歌の様な響き、ゴスペルのようなフレーズの「畳みかけるような繰り返し」。そこに、スタジオ・ライブならではの、タイミングの良い観客の掛け声と口笛。徐々に高揚していく繰り返しフレーズに、どんどん高まっていくファンクネス。

この徐々に高揚していくリフの繰り返しがファンキー・ジャズの「ミソ」で、この繰り返すリフがブルージーなコードであれば、その時点で「ファンクネス抜群」ってな感じになる。ビートはロックなビートの「エイト・ビート」。これがファンキー・ジャズ特有の粘りを伴って、まるで「うねり」のように耳に迫ってくる。迫力も満点である。

他の人達から「ファンキー・ジャズ」ってどんな音なのか、と問われた時、取り出すアルバムの一枚がこの『Mercy, Mercy, Mercy』。ファンキー・ジャズって、「純ジャズが全て」という様なシリアスなジャズ者の方々からすると、あまり評価の良くないジャンルですが、聴いていてノリが良く、聴いていて楽しいので、僕にとっては結構お気に入りです。音が楽しい、だから「音楽」。お後がよろしいようで(笑)。

 
 

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2017年11月 9日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・91

1970年代のジャズは意外と面白い。ハードバップ期を生き抜いた一流ジャズメン達が「えっ、こんな演奏していたん」と感心してしまう様なアルバムが結構ある。1970年代のジャズ、電気楽器の活用が当たり前になった時代。電気楽器を活かして、クロスオーバーからフュージョン・ジャズが流行る。

しかし、面白いのはクロスオーバーやフュージョン・ジャズでは無い。1970年代のメインストリーム・ジャズが面白い。当時、ジャズと言えば、クロスオーバーからフュージョン・ジャズがメイン。それでも、メンストリーム・ジャズは生き残る。ハードバップ時代を生き抜いて来た、今ではレジェンドと呼ばれる一流ジャズメンの中で、メインストリーム・ジャズに留まったジャズメンの沢山いる。

例えば、トミー・フラナガン(Tommy Franagan)。燻し銀ピアニスト、名盤請負人、などと呼ばれた、レジェンド級のピアニストである。フラナガンは、クロスオーバーからフュージョン・ジャズの時代にも、頑なにメインストリーム・ジャズを貫き通した。そんなフラナガン、面白い内容の盤がある。
 

Something_borrowed_something_blue

 
Tommy Franagan『Something Borrowed, Something Blue』(写真左)。1978年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p, el-p), Keter Betts (b), Jimmie Smith (ds)。演奏フォーマットは「ピアノ・トリオ」。フラナガンの十八番。フラナガンがメインの場合は「ピアノ・トリオ」に限る。フラガナンのピアノが映える。フロント楽器があると駄目だ。フラナガンは極上の伴奏に回ってしまう。

この盤の面白いところは、フラガナンが電気ピアノを弾いているところ。フラガナンがローズを弾いている。これが意外と「イケる」。2曲目「Good Bait」を聴けば判る。フラガナンの「間」でエレピを弾く。フラナガンならでは、のエレピに仕上がっているのが面白い。一流と呼ばれるジャズメンは何を弾いても一流なんですね。

勿論、残りの曲はアコピのトリオ演奏なんですが、これがまた素晴らしい。もともとフラガナンはバリバリのバップ・ピアノなんですが、この盤でのアコピは完璧に「バップ・ピアノ」。確かなタッチでバンバン弾いてます。よって、この盤、フラナガンがエレピとアコピを弾きまくっている、意外と珍しい盤です。好盤です。

 
 

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2017年11月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズには、一流ジャズメン達がリーダーになって、気合いを入れて創作するアルバムもあるが、気心知れたジャズメン達が、ちょっと集まって、ジャムセッション風に録音して制作するアルバムもある。そして、意外に、この気心知れたジャズメン達がちょっと集まって録音したアルバムが、実に滋味に富んだ、実に心地良いモダン・ジャズなアルバムになっていたりするから面白い。

例えば、Paul Desmond『First Place Again』(写真)。1959年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。ピアノの代わりにギターが入ったカルテット構成。この構成とこのパーソネルを見るだけで、この盤に詰まっている音が期待出来る。

ポール・デスモンドは、デイブ・ブルーベックのカルテットに参加して人気のアルト奏者。そこに、ジャズ・ギターの名手ジム・ホールが加わり、ベースとドラムは、モダン・ジャズ・カルテットから、パーシー・ヒースとコニー・ケイが参加。いや〜、当時、人気の一流ジャズメンばかり、しかもバリバリの中堅。粋で渋い、聴くからにジャズらしい音を出す4人である。
 

First_place_again

 
選曲も渋くて、スタンダード曲かトラディショナル曲で占められる(CD再発の時にデスモンド作が入るがオリジナルLPには無い)。冒頭のコール・ポーター作の「I Get a Kick Out of You」や、ジョン・ルイス作の「Two Degrees East, Three Degrees West(2度東3度西)」など、聴いていて惚れ惚れする。典型的なモダン・ジャズ、典型的なハードバップである。

ここまで来ると、もう理屈やないなあ、と思ってしまう。優秀な一流ジャズメン達が、ちょっと集まって録音すると、きっと適度にリラックスした演奏になるんだろう、本当に和やかで優れた内容である。聴く側も適度にリラックスして、微笑みを湛えながら、ちょっと足でリズムを取りながら、首は左右に微かに触れてスイングする。そんな雰囲気の演奏が実に心地良い。

ポール・デスモンドのアルトが興味深い。ブルーベック・カルテットの時には、丸くて和やかで温和なアルトを吹いているのだが、ブルーベック・カルテットを離れて、一人で他流試合に参加した時には、結構、力強いアルトを吹く。どちらが彼の本質なのか、聴いていてとても興味深い。最初から最後まで、心地良いモダン・ジャズがてんこ盛り。隠れ好盤です。

 
 

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2017年11月 7日 (火曜日)

ザ・プレイヤーズの4thアルバム

「ザ・プレイヤーズ」という伝説のフュージョン・バンドがあった。このバンドは純日本のメンバー構成。ピアニスト兼作編曲家の鈴木宏昌のバンド「コルゲン・バンド」を前身とし、和製ウェザー・リポートの異名をと持つ。まあ、この異名はさておき、オリジナルのパーソネルは、鈴木宏昌 (key), 松木恒秀 (g), 岡沢章 (b), 渡嘉敷祐一 (ds), 穴井忠臣 (per), 山口真文 (ss, ts)。

そのザ・プレイヤーズの4thアルバムが、The Players『Space Travel』(写真)。1982年のリリース。サックスが、山口真文より、ボブ斎藤にメンバーチェンジ。数原 普(tp)と西山健治(tb)がホーンセクションとして参加し、音の厚みが増している。テクニック優秀、音は厚いが流麗。リズム・セクションは、メインストリーム・ジャズ寄りの切れ味の良いフュージョン風。

ウェイン・ショーターからの影響が顕著な山口真文のサックスが、フュージョン〜スムース・ジャズ系のボブ斎藤のサックスに変わっただけで、ザ・プレイヤーズの音世界はガラッと変わる。
 

Space_travel

 
ザビヌル主導のウェザー・リポートからコマーシャルな要素を差し引いた、硬派で実直でジャジーなウェザー・リポートな音、これがこの「ザ・プレイヤーズ」の音世界だったが、この『Space Travel』では、アーバンなフュージョン・ジャズな、硬派なスムース・ジャズな雰囲気の音世界にガラッと変わっている。

その確かな演奏力、演奏の構築力、そして、アドリブ・フレーズの爽快感。とにかく、硬派で実直真面目な、ファンクネス皆無な日本人のフュージョン・ジャズの特徴は変わらない。これだけ、ハイ・レベルのフュージョン・ジャズが日本人の手によって創作されたことに誇りを感じる。本場米国のフュージョン・ジャズのレベルに全くひけを取らない。

そんな好盤なのですが、2016年まで全くCD化されませんでした。理由がよく判らない。現在ではタワーレコードまたはソニー・ミュージック・ショップ限定で細々と販売されているみたいです。しかも価格は3,000円弱。高い。どうにもこうにも、いつ無くなるか、いつ廃盤になるか判りませんね。これだけの好盤が勿体ないことです。

 
 

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2017年11月 6日 (月曜日)

ファンキー・ジャズの隠れ好盤

ファンキー・ジャズは、ハードバップからの派生したサブ・ジャンル、若しくは、ハードバップ後継の演奏スタイルである。1950年代終盤から1960年代前半に、そのスタイルはほぼ確立されている。ブルースや教会音楽(ゴスペル)を基本にした展開が主で、ファンクネス溢れ、アーシーでブルージー、ややスピリチュアルな要素も見え隠れする音世界。

1960年代中盤にはファンキー・ジャズは成熟、1960年代後半には、R&Bとの融合が行われ「ソウル・ジャズ」とも呼ばれた。ソウル・ジャズになると、後続の「クロスオーバー・ジャズ」な要素が強く出てきて、純ジャズな要素は希薄になっていくのだが、ファンキー・ジャズの場合は、まだまだ純ジャズな要素もしっかりと残っていて、意外と聴き応えのある演奏が多い。

例えば、この盤などが好例だと思う。Johnny Griffin & Matthew Gee『Soul Groove』(写真左)。1963年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Matthew Gee (tb), "Big" John Patton (org - tracks 1, 5 & 8), Hank Jones (p, org - tracks 2-4, 6 & 7), Aaron Bell (b, tuba), Art Taylor (ds), Carlos "Patato" Valdes (cong, bong)。
 

Soul_groove1

 
リトル・ジャイアント・テナー、ジョニー・グリフィン(写真右)とマシュー・ジーのトロンボーン、2管フロントの好盤。グリフィンのテナーはもともとファンクネス濃厚なテナーなので、ファンキー・ジャズにしっかりとフィットする。マシューはテキサス出身の隠れ名手。テキサス・テナーならぬ「テキサス・トロンボーン」である(笑)。音感は力強く、ユーモラスな部分はほどほど、音色の基本は暖かく、じっくり和み系。

このグリフィンのファンクネス溢れる豪放磊落なテナーと力強くはあるが、基本的に暖かくジックリ和み系のマシューのトロンボーンの対比がこの盤の「ミソ」。そして、もう一つ、ハンク・ジョーンズの端正で暖かく和み系のオルガンと、ジョン・パットンの攻撃的で切れ味の良いオルガンとの対比もこの盤の「ミソ」。この2つの対比が、程良くブレンドされて、なかなか聴き応えのあるファンキージャズに仕上がっている。

ファンキー・ジャズの好盤とは言え、こってこてファンキーな演奏では無い。ちょっとサラッとした爽やかな雰囲気が漂うファンキー・ジャズに仕上がっていて、聴いていて実に聴き心地が良い。ジャズ盤紹介本などではほとんど見かけない盤なのだが、これがなかなかの雰囲気で、思わず、ニンマリとしてしまう。ファンキー・ジャズの隠れ好盤ですね。

 
 

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2017年11月 5日 (日曜日)

サイケデリック・ジャズの好盤

1960年代後半は、ジャズにとって激動の時代。ビートルズを筆頭としたロックの波に押され、ジャズはポピュラー音楽の中での人気に翳りが見え始め、多様化が進んで演奏スタイルは迷走状態。加えて、メインストリーム・ジャズの牽引者の一人、精神的支柱的存在のジョン・コルトレーンが逝去するという、ハプニングにも見舞われた。

そんな中、ポピュラー音楽の中での地位を確保し続けるべく、ジャズとロックの融合、いわゆる「クロスオーバー・ジャズ」へのシフトが始まりだしたのが、1960年代の終わり。当時、ロック界の演奏トレンドであった「サイケディック」な要素を取り込んで、サイケデリックなジャズ演奏も目立ってきた。今の穏健な「スピリチュアル・ジャズ」にも通じる、観念的で幻想的な音世界が特徴。

ジャズを聴きだした頃、ジャズ者初心者の頃は「何ていい加減なアプローチなんだ」なんて思ったりしたが、今の耳で聴くと、意外とテクニックもしっかりしていて、アレンジも工夫がみられ、意外と鑑賞に十分に耐えるアルバムが一定数あることに気がついた次第。ハードでシリアスなジャズの合間に聴く「サイケデリック・ジャズ」は意外と耳休めに丁度良い塩梅なのだ。

そんな「サイケデリック・ジャズ」の好盤の一枚が、Steve Marcus『Tomorrow Never Knows』(写真)。1968年のリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Marcus (sax), Mike Nock (p), Larry Coryell (g), Bob Moses (ds), hris Hills (b)。 ラリー・コリエルがギターで参加、ドラムがボブ・モーゼス。当時のクロスオーバー・ジャズ寄りのメンバー構成。
 

Steve_marcus_tomorrow_never_knows

 
その昔、ジャズのプレーヤーがビートルズを演奏するということで話題になった盤らしい。そのビートルズの曲の1曲が、なんとジョンのサイケデリック・ロックの代表曲「Tomorrow Never Knows」である。聴く前は「え〜っ」と思ったんだが、聴いてみると、スティーブ・マーカスのサックスが適度にサイケデリックしていて、意外と「Tomorrow Never Knows」のジャズ化に成功している。

他の曲も同様で、恐らくテクニックがしっかりしているのだろう、サイケデリックなアドリブ展開にも破綻すること無く、なかなか聴き応えのある展開に持ち込んでいて立派である。少なくとも耳触りにはならない。十分に鑑賞に耐える、クロスオーバー・ジャズの先駆的な演奏内容に感心する。

バーズの「Eight Miles High」、ドノバンの「Mellow Yellow」、ハーマンズ・ハーミッツの「Listen People」、そしてビートルズの「Rain」と、当時のロックの人気曲をクロスオーバー・ジャズとしてアレンジし、まずまずの成果を収めている。サイケデリック・ジャズだからといって、敬遠するのは勿体ない。意外とリラックスして聴けるクロスオーバーなジャズ盤として楽しめます。

 
 

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2017年11月 4日 (土曜日)

「クラプトンのスワンプ」の確立

半年で解散してしまった「Blind Faith(ブラインド・フェイス)」。クラプトンは、デラニー&ボニーのツアーに帯同。当時、デラニー&ボニーの演奏するスワンプ・ロックにいたく感動。デラニー・ブラムレットをプロデューサーに起用して、初のソロ盤の制作に踏み切る。

『Eric Clapton』、邦題『エリック・クラプトン・ソロ』。1970年のリリース。参加メンバーは、Stephen Stills (g), Leon Russell (p), Bobby Whitlock (org), Carl Radle (b), Jim Gordon (ds), Jim Price (tp), Bobby Keys (sax), Tex Johnson (per), Rita Coolidge, Sonny Curtis, Jerry Allison (backing vocals)。当時、スワンプ・ロックに手を染めたロック・ミュージシャンがズラリと参加している。

このソロ盤で、クラプトンは初めて、リード・ボーカルを本格的に担当している。プロデューサーのデラニー・ブラムレットに強く進められたのが切っ掛け、とのこと。しかし、このソロ盤では、クラプトンのボーカルは、まだ自信が持てていないのか、とても頼りない。ただし、内容は良い。以後のクラプトンのスタイルを彷彿とさせるレイドバックした雰囲気が、この盤でほぼ確立されている。
 

Eric_clapton_solo  

 
スワンプでな軽快なインスト曲「Slunky」。米国ルーツ・ミュージック風のホーン・アレンジとゴスペル風のコーラスが効いた「Lonesome and a Long Way from Home」。アコギのカッティングが粋でコーラスが美しい「Easy Now」。のどかな雰囲気が漂う、メロディアスな「Lovin' You Lovin' Me」。クラプトンのボーカルはイマイチでも、スワンプの香りがプンプンする。

そして、秀逸なナンバーが以下の3曲。クラプトンのボーカルのこの3曲については、なかなか健闘している。アップ・テンポのクラプトンらしさが漂う秀曲「After Midnight」。ソウルフルなボーカルが印象的な「Blues Power」。そして、この盤のラストを飾る名曲「Let It Rain」。クラプトンのボーカルも申し分無く、クラプトンとしてのスワンプ・ロックが、この3曲から聞いて取れる。

クラプトンのボーカルは発展途上ではあるが、後の優れたボーカルが期待出来る、ボーカリストとしての才能の萌芽は十分に確認出来る。そして、クラプトンのスワンプ・ロックの個性が確立し、次の展開が期待出来る内容になっている。次の展開とは、デレク&ザ・ドミノスの結成。この盤に参加したデラニー&ボニーのバック・バンドをごっそり引き抜いて、新バンドを結成する。クラプトンは意外と「悪」である(笑)。

 
 

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2017年11月 3日 (金曜日)

「Blind Faith」というバンド

クリーム(Cream)で、ブルース・ロックを基本としながらも、エレギ、ベース、ドラムの3者対等のアドリブ合戦をやり過ぎたお陰で、グループとしての発展の方向性を見失い、袋小路に追い込まれたエリック・クラプトン(Eric Clapton)。当然のごとく、クリームはほどなく解散する。1968年のことであった。ここから、クラプトンの一人旅が始まる。時にグループは結成するもののどれもが短命に終わった。

その短命グループの1つが「ブラインド・フェイス(Blind Faith)」クリームを解散して直ぐに結成した。ちなみにメンバーは、Steve Winwood (vo,key), Eric Clapton (g), Ric Grech (b), Ginger Baker (ds)。クリームからクラプトン、ベイカーがクリームから横滑り参加。このブラインド・フェイスは、有名バンド出身の大物ミュージシャンが集まった「スーパーグループ」で、音楽性としては、クリームと並んで、ブルースとロックを融合させた先駆とされる。

そんな「スーパーバンド」が残したアルバムは、デビュー盤であり最終盤である一枚だけである。『Blind Faith』(写真左)がその唯一のアルバムである。邦題『スーパー・ジャイアンツ』。リリースは1969年。スーパーグループにありがちな「勤勉さに欠ける」部分があって、LPにするだけの新曲が書けなかった様で、ラストの「Do What You Like(君の好きなように)」は、15分を超えるジャム・セッションで埋め合わせた様である。

他のメンバーが何とか書き上げた曲も、アレンジが弱くて作り込みに課題が残る感じがするものばかりだが、ウィンウッドの「Can't Find My Way Home」と、クラプトンの「Presence of the Lord」はヒットしたようだ。確かに、曲の質は良いもので、特に、クラプトンの「Presence of the Lord」は、クラプトン自身の愛演曲になっている。
 

Blind_faith

 
クリームのメンバーが2人いるにも関わらず、クリームの「攻撃的なブルース・ロック」な雰囲気を引き継いだ曲は全く無い。ウィンウッドの影響が強いのだろうか、どちらかと言えば、後のスワンプ・ロックに通じる、適度にリラックスしたブルース・ロック風に仕上がっている。そこをどう感じるか、によって、このアルバムの評価は変わるだろう。

クラプトンについては、このアルバムの中であまりエレギを弾いていない。グループ重視の姿勢からのことらしいが、クラプトンが参加しているにも関わらず、全編に渡ってクラプトンのエレギが楽しめないのは、やはり、プロデュースに問題があるとしか思えない。唯一、自作曲「Presence of the Lord」に限ってのみ、クラプトンのエレギを堪能出来る。

スーパーグループという触れ込み、邦題『スーパー・ジャイアンツ』と題する割に、スーパーな演奏が詰まっている訳では無い。ただ、当時のロック界の中では、この後のスワンプ・ロックに通じる、適度にリラックスしたブルース・ロック風な演奏は唯一で、そういう点では突出した存在だった。

しかし、このアルバムのリリースの2ヶ月後、1969年10月にはバンドは事実上の解散状態になる。実質半年という短命なスーパーグループだった。

 
 

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2017年11月 2日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・65

The Great Jazz Trio (略してGJT)は、ハンク・ジョーンズがリーダーのピアノ・トリオのバンド名。1976年に結成、2010年5月、ハンク・ジョーンズが91歳で亡くなるまで続いた。ドラムのトニー・ウィリアムスの発案だったそうだ。ベースがロン・カーターなのは良く判る。ロンはトニーの親代わりであり兄貴分だからだ。しかし、なんでピアノはハンク・ジョーンズだったんだろう。

ハンク・ジョーンズは、スイングの時代からピアニスト。1918年生まれであるから、トニー・ウィリアムスと比べたら、37歳も歳の開きがある。これはもはや「親子」である。トニーやロンは当時、新主流派のメイン・ジャズメンで、演奏のスタイルも感覚も、ハンクとは全く異なった筈である。ぱっと見、完全なミスマッチだと思ってしまう。

が、これが全く違った。GJTは、1975年、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードでデビュー。そして『At The Village Vanguard』(写真左)と『At The Village Vanguard Vol.2』(写真右)をリリースする。このライブ盤こそが、僕の「The Great Jazz Trio」との初めての出会いであった。1977年2月19-20日、NYの"Village Vanguard"でのライブ録音。

改めて、パーソネルは、Hank Jones (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。まずは、トニー・ウィリアムスの圧倒的迫力のドラミングに耳を奪われる。圧倒的な技術から生み出される高速ドラミング。バスドラを強調した力強い響き。そして、ロン・カーターの変幻自在、夢幻幽玄なベース・ワークがそれに絡む。新しい、時代の最先端を行くリズム&ビート。明らかに個性的。一度聴けば、これはトニーとロンと直ぐ判る。
 

At_the_village_vanguard

 
しかし、このライブ盤では、この二人が主役では無い。この若手の優秀な、ジャズの明日を担う人材は、自らの演奏力をリーダーのハンク・ジョーンズのピアノを惹き立たせる為に活用する。献身的なバッキング、献身的なリズム&ビート。そんな素晴らしいバックを得て、当時、ほぼ還暦を迎えつつあったハンク・ジョーンズが、彼の典雅で流麗で歌心満点、しっかりとしたタッチでのピアノが、当時、先端を行くモーダルなフレーズを叩き出して行くのだ。

爽快である。ファンクネス漂う、黒く典雅なハンクのピアノ。そこに、トニーとロンのリズム隊が当時の新しいジャズの息吹を吹き込む。このライブ音源では、完全に「良い方向での化学反応」が起きまくっている。それまでには全く無かったピアノ・トリオのパフォーマンスがこのライブ音源にぎっしりと詰まっている。聴いていて惚れ惚れする、新しい感覚のハンクのピアノ。

僕がこのライブ盤を手に入れたのは、ジャズを本格的に聴き始めて2年目。1980年のこと。LPに針を降ろした瞬間にスピーカーから出てくるトニーの攻撃的なドラミングに度肝を抜かれた。そして、変幻自在なロンのベースに耳を奪われる。しかし、最後には、ハンクのファンクネス漂う、黒く典雅なピアノに耳を持っていかれる。

改めて、今の耳で聴いてみると、1977年の時代に、これだけ先端を行く、思いっきり尖ったピアノ・トリオのパフォーマンスが存在したということに驚く。今の時代にでさえ、これだけテンション高く、ポジティブでアクティブなピアノ・トリオの演奏は、ほぼ見当たらない。それだけ、この時代のGJTは「良い方向での化学反応」を起こしまくっていた。好盤中の好盤である。

 
 

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2017年11月 1日 (水曜日)

晩年のハンク翁の秀作です。

今から思えば、ハンク・ジョーンズっていうピアニストは、鬼籍に入るまで、衰えをほとんど見せることなく、一定のレベルのパフォーマンスを維持し続けた、希有なジャズ・ピアニストであった。高テクニックで典雅、流麗で歌心満点、しっかりとしたタッチで、派手なパフォーマンスとは全く無縁。というところは、何時の時代も全く変わらなかった。

それとハンク翁の面白いところは、それぞれの時代の優秀な若手ジャズメンと共演すると、必ずと言って良いほど「化学反応」が起こって、実力プラスアルファの、普段のハンク翁には聴かれないパフォーマンスが展開されるのだ。若手ジャズメンと張り合うのでは無い。若手ジャズメンの良き個性に触発され、それを取り込み、自家薬籠中のものにして、自らのパフォーマンスに転化する。

1970年代後半の「The Great Jazz Trio」がそうだった。優秀な若手ドラマー、トニー・ウイリアムに触発されて、豪快なバップ・ピアニストに変身、ガンガンにモーダルなフレーズを弾きまくって、我々を驚かせた。僕は、ビ・バップ時代から活躍していたハンク翁がモードなフレーズを弾きまくるなんて、想像だにしなかった。ビックリである。
 

West_of_5th

 
そんな優秀な若手ジャズメンと共演すると「化学反応」が起きるハンク翁。このアルバムでも、実に好ましい「化学反応」が起こっている。Hank Jones, Christian McBride & Jimmy Cobb『West of 5th』。2006年1月に録音したトリオ作。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Christian McBride (b), Jimmy Cobb (ds)。ハンク翁は録音時87歳。

この盤での「優秀な若手ジャズメン」は、ベーシストのクリスチャン・マクブライド。現在のジャズ界におけるファースト・コールなベーシストである。マクブライドのベースは、重量感のある強靱な響きでありながら、ソリッドで爽快感抜群。そんなベースに触発されて、何時になく、切れ味の良い軽快なスイング感を撒き散らしながら、メリハリ感のあるソリッドなピアノを展開する。

そんな二人をベテラン・ドラマーのジミー・コブがしっかりと包み込む様に支える。決して、触発され合っている二人を鼓舞して刺激することは無い。シンプルに柔軟にリズム&ビートを叩き込み、二人をしっかりと支える。実に良い雰囲気のトリオ盤。当時87歳のパフォーマンスとは思えない若々しさ。好盤です。

 
 

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