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2017年10月16日 (月曜日)

チャック・ローブを偲んで ・・・

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、フュージョン・ジャズも分け隔て無く聴く。特に、僕がジャズを聴き始めた頃は1970年代後半で、ジャズ界は「猫も杓子もフュージョン・ジャズ」の大ブームであった。アコースティック楽器メインの純ジャズなんて「古い」と言われて、片隅に追いやられていた。

それだけ、当時のフュージョン・ジャズは多くのファンを持っていた。1980年代に入って、さすがにマンネリ化して、飽きられ廃れたが、マンネリ化して飽きられただけである。フュージョン・ジャズの黄金期、1970年代後半から1980年代初頭にかけての、フュージョン・ジャズには好盤が多い。フュージョン・ジャズ自体のコンセプトに問題があった訳では無い。

それでも1980年代後半、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは、その音世界の洗練度合いを向上させて「スムース・ジャズ」というサブ・ジャンルを形成するに至り、これが一定の人気を維持している。しかし、21世紀になった今でも、フュージョン・ジャズの雰囲気をしっかりと維持した好盤がリリースされたりして、フュージョン者の耳を楽しませてくれる。
 

Unspoken

 
Chuck Loeb『Unspoken』。2016年のリリース。このアルバムは、聴けば判るのだが、しっかりと、1970年代後半のフュージョン・ジャズの雰囲気をキープしている。今でも、フュージョン・ジャズは生きている。このギター・フュージョン盤がそれを証明している。スムース・ジャズとは一線を引く、フュージョン・ジャズの雰囲気。

フュージョン独特の軽快・爽快なリズムに乗って、チャックの華麗なエレギのフレーズが煌めく様に乱舞する。チャックのギターは、目立つように、大ぶりな高速フレーズを弾きまくるのでは無い、音を選んで、シンプルなフレーズをメインに、短く印象的なアドリブ・フレーズを積み上げていく。そんな「粋」なフュージョン・ギターである。そして、アレンジが秀逸。

ボーカルをフィーチャーした、ソフト&メロウな曲もあり、アルバムとしてのバランスも良い。実は、今年7月31日、チャック・ローブは他界しました。享年61歳。ジャズメンとしては、まだまだ、これから成熟、老練の域に入る年頃だったのに実に残念です。このチャックのギターの個性が堪能出来る盤『Unspoken』が遺作になりました。合掌。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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