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2017年10月24日 (火曜日)

スピリチュアル・ジャズの先駆け

最近のジャズを聴いていると、昔の「スピリチュアル・ジャズ」が復権しているような気がする。「スピリチュアル・ジャズ」とは、ジャズの演奏ジャンルの1つで、精神的な高揚や深い安らぎを狙いに、アフリカ回帰や黒人独自の精神性などをさらに追求した演奏スタイル。

ちょっと宗教がかっている雰囲気がするが、教会のゴスペルなんかも、この「スピリチュアル」の範疇に入るので気にしない。1960年代から1970年代の「スピリチュアル・ジャズ」は、フリー・ジャズのバリエーションで、自由に個々の趣くままに演奏し、その高揚感やエモーショナルな雰囲気をメインに展開したものが大多数でした。

しかし、最近の「スピリチュアル・ジャズ」は、従来のエモーショナルな展開に穏やかで安らかな展開の要素を加味した、バリエーション豊かなものに進化しているように感じます。しかしながら、1960年代のジャズをよくよく聴き直してみると、エモーショナルな展開に穏やかで安らかな展開の要素を加味した最近の「スピリチュアル・ジャズ」の先駆けの様なアルバムがあります。

例えば、Donald Byrd『A New Perspective』(写真左)などは、当時は「スピリチュアル・ジャズ」とは呼ばれなかった様に思いますが、今の耳で聴くと、明確に「スピリチュアル・ジャズ」を感じます。
 

A_new_perspective1

 
改めて『A New Perspective』は、1963年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Hank Mobley (ts), Herbie Hancock (p), Kenny Burrell (g), Donald Best (vib, vo), Butch Warren (b), Lex Humphries (ds), Duke Pearson (arr)。フリー・ジャズ畑のジャズメンはいませんね。バリバリ中堅のブルーノート御用達のジャズメンばかりで固めています。

しかし、アルバムを聴いてみると、多用されるコーラス、印象的に挿入されるボーカル、印象的なヴァイブの響き。全編聴き通すと、柔らかなゴスペルっぽい響きが充満していて、これって、現代の「スピリチュアル・ジャズ」の雰囲気そのままでないかい?

決して、フリー・ジャズには走らない。それでいて、自由度の高いモーダルな演奏スタイルでアドリブを展開する。熱い展開ではあるが音的にはクール。そこに柔らかにアレンジされたコーラスとクールでエモーショナルなボーカル、そして冷たい熱気をはらんだヴァイブの音が絡んできて、演奏の雰囲気はグッとスピリチュアルなものになる。

昔、1990年代前半に『A New Perspective』を聴いた時には「スピリチュアル」な要素は感じ無かったなあ。ゴスペルの要素を取り入れた、ユニークなモード・ジャズという雰囲気だったのですが、今の耳で聴くと、現在の「スピリチュアル・ジャズ」の雰囲気満載です。うむむ、なるほど。この盤って、最近の「スピリチュアル・ジャズ」の先駆けだったんですね。脱帽です。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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