こんなアルバムあったんや・90
涼しくなった。というか今日は夕方から少し寒い。一気に季節が動いたようで、もう晩秋の様な雰囲気である。この極端に涼しくなるのも、あと2日くらいだそうなので、まあええか、という感じである。まあ、ここまで涼しくなると、トランペット盤も抵抗なく聴けるようになる。暑いと、特に蒸し暑いと、どうにもトランペット盤は敬遠してしまいがちである。
ということで選んだ盤が、Kenny Dorham『Short Story』(写真左)。1963年12月19日、コペンハーゲンのMontmatre Jazzhusでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds), Allan Botschinsky (flh)。スティープルチェイス・レーベルからのリリースである。
まず、パーソネルを見れば触手が伸びる。「北欧のジャズの殿堂」、コペンハーゲンの老舗ジャズハウス「カフェ・モンマルトル」を支えた守護神の一人、ドラマーのアレックス・リエル、北欧ベースの巨人ペデルセン、そして、スペインの哀愁のピアニストであるテテ・モントリュー。そこに、ハードバップな哀愁トランペッターのケニー・ドーハムがリーダーとして、フロントに座るのだ。
そして、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、絶好調に吹きまくるドーハムにちょっとビックリする。もともと、ドーハムは好不調の波があるトランペッター。哀愁のトランペッターなどと喩えられることがあるが、単に不調で覇気が無かっただけ、という盤も時にはある。しかし、乗った時のドーハムは「ブリリアント」。トランペットの真鍮をブルブル震わせるが如く、ポジティブに吹き上げる。
そんな好調時のドーハムがこのライブ盤に「いる」。この盤、全編で50分程度なので、もしかしたら、1963年12月19日のカフェ・モンマルトルでのドーハムのパフォーマンスは全てが絶好調ではなかったかもしれない。それでも、この全編50分のアルバムに編集し収録されたドーハムのパフォーマンスは見事だ。当時、ドーハムは39歳。中堅のジャズメンで、一番、溌剌としていた頃だったのかもしれない。
ジャケットがあまりにシンプル過ぎて、かなり損をしているライブ盤だと思いますが、手に入れて損の無い、ジャズ・トランペットを十分に楽しめる「隠れ好盤」だと思います。何も『Quiet Kenny(静かなるケニー)』だけがドーハムの代表盤ではありません。哀愁のトランペッターと形容するよりは、バップでブリリアントなトランペッターと形容する方が、ドーハムの本質を突いているかもしれません。
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