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2017年9月25日 (月曜日)

サイドメン・コルトレーンの威力

ジャズメンの中でも、歴史に名を残すレジェンド級のジャズメンは「出す音の威力」が違う。ブリッと吹くだけで、プッと吹くだけで、ピロピロと弾くだけで、その演奏の雰囲気がガラッと変わり、そのレジェンドの個性にドバ〜ッと染まる。

しかも、サイドメンとは言え、ちょっと全面にでると、そのリーダーの個性を消してしまうことにもなりかねない。レジェンド級のジャズメンはそれも十分心得ていて、決して、そのリーダーの個性を消すようなパフォーマンスはしない。あくまでも、そのリーダーの個性を惹き立てるように、サイドメンとして振る舞うのだ。

例えば、Sonny Clark『Sonny's Crib』(写真左)というアルバムがある。1957年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Donald Byrd (tp), Curtis Fuller (tb), John Coltrane (ts), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。バードのトランペット、フラーのトロンボーン、そして、コルトレーンのテナーの3管フロントのセクステット構成。

リーダーはソニー・クラーク。哀愁感溢れるマイナーで端正なフレーズが特徴のピアニスト。加えて、作曲とアレンジの才に長ける。この盤はLPでいうA面の3曲がスタンダード曲でクラークのアレンジの才が、B面の2曲が自作曲で作曲の才が確認できる構成になっている。さすがはブルーノート。アルバム制作に確固たる思想と方針を持っている。
 

Sonnys_crib_2

 
この盤の演奏で「耳を惹く」のが、コルトレーンのテナー。サイドメンに回っても、さすがはレジェンド級、ブリッと吹くだけで、コルトレーンと判る。この盤を録音した頃はもうシーツ・オブ・サウンドに手を染め始めていた頃。しかし、コルトレーンは、ハードバップのマナーで、基本的にコードに忠実にアドリブ・ラインを紡いでいく。

LP時代のA面の3曲では、リーダーのソニー・クラークのアレンジを惹き立たせる様に、クラークのピアノの個性を踏まえつつ、流麗かつ端正にアドリブ・ラインを吹き上げる。LP時代のB面の2曲では、ソニー・クラークの自作曲の魅力を引き出すように、マイナーで端正な旋律をストレートに吹き上げる。この盤、コルトレーンが参加して吹くだけで、その内容と魅力は倍増している様に感じる。

そんなコルトレーンのブロウに呼応するように、ドナルド・バードが何時になく、破綻の無いブリリアントで端正なトランペットを響かせる。そして、ブラスの輝く様な響きを宿しつつウォームな音色でフラーのトロンボーンが寄り添い包んでいく。リーダーの個性を惹き立たせるコルトレーンのプレイの指針がフロント全体に行き渡る。

この『Sonny's Crib』では、コルトレーンのサイドメンとしての力量が良く判る。リーダーの個性を惹き立たせるコルトレーンのサイドメンとしてのパフォーマンスによって、リーダーのソニー・クラークのアレンジと作曲の才、そして、ピアニストとしての個性がとても良い方向に出ていて立派だ。とっても魅力的なハードバップ盤として、長年の愛聴盤です。
 
 
 
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Never_giveup_4

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