エバンス者のマストアイテム盤
ビル・エバンスの未発表音源って、エバンス逝去後37年が経っているのに、まだまだ出てくる、出てくる。昨年『Some Other Time : The Lost Session From The Black Forest』が出た。1968年6月15日にライヴ録音された名盤『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』の5日後、1968年6月20日、ドイツでのスタジオ録音だった。
そして、である。今年は、Bill Evans『Another Time : The Hilversum Concert』(写真左)が出た。これは『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』のちょうど一週間後、先の『Some Other Time』の僅か2日後の6月22日、オランダのヒルフェルスムで行われたコンサートの音源とのこと。ラジオ局のスタジオでのライブ音源。
ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Jack DeJohnette (ds)。つまり、歴代のエヴァンス・トリオの中で、一番、残された音源が少ない、とされた「伝説のトリオ」。このエバンス、ゴメス、ディジョネットによるトリオは活動期間がわずか6カ月だった。だから残された音源はほとんど無いとされた。が、昨年から未発表音源として、出てくる、出てくる(笑)。
しかも、約50年の年月を経て発掘された音源なんだが音が良い。特に、デジョネットのドラムの音が実に生々しい。これほど、デジョネットのドラミングのニュアンスやテクニックが生々しく聴けるアルバムはなかなか無いのではないか。ゴメスのベースが目立つアルバムは多いが、このライブ盤ではゴメスのベースよりもデジョネットのドラムである。
演奏内容については、どれもが充実している。ダレたところや抜けたところが全く無い。適度なテンション、漲る集中力。エバンス・トリオ十八番の、トリオの3者対等のインプロビゼーション。エバンスのバップなピアノが切れ味良く響き渡る。エバンスのピアノは、決して「耽美的」では無い。どちらかと言えば、ハード・バッパーなピアノ。その音の重ね方とアドリブの展開が思いっきり個性的でエバンスは数々のフォロワーを生んだ。
しかし、こういう未発表音源がいきなり発掘されるなんて、どうなってんでしょ(笑)。『Montreux』『Some Other Time』『Another Time』、この3枚のアルバムはビル・エバンス者にとってはマストアイテム。どれもが、このエバンス、ゴメス、ディジョネットによるトリオの特徴をしっかりと聴かせてくれます。恐らく、歴代のトリオの中で、一番「ハードで硬派」。良いライブ盤が出てきました。嬉しい限りです。
東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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