« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・60 | トップページ | 高校時代の10cc盤の思い出 »

2017年9月29日 (金曜日)

これからの季節のトランペット盤

今朝からグッと涼しくなった千葉県北西部地方。もう空気は秋である。やっと秋である。今年の夏は天候不順で蒸し暑かったからなあ。お腹を切ってから、とにかく湿度の高いのに弱くなった。特に、夏の湿度の高い暑さは体力が取られて、すぐに疲れてバテてしまう。カラッとした暑さなら平気なのにね。でも、今朝の涼しさは「秋」である。

これだけ涼しくなって空気が澄んでくれば、トランペットの音が聴きたくなる。蒸し暑い夏には、トランペットの音はちょっと辛い。そう言えば、今年の夏は、トランペットの音を極力敬遠してきた。聴いたトランペットと言えば、禁断症状が出た時の「マイルス・デイヴィス」だけである。ということで、選んだトランペット盤がこれ。

Dizzy Reece『Star Bright』(写真左)。ブルーノートの4023盤。1959年11月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Hank Mobley (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。録音場所は「Van Gelder Studio, Englewood Cliffs」とあるので、米国はNYでの録音である。

Dizzy Reece=ディジー・リースは、ジャマイカ出身、ヨーロッパ在住のトランペッター。英・仏で活動。1958年、ドナルド・バードやアート・テイラーのレコーディング・セッションに加わり、マイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズなどから称賛されて、1959年に渡米。しかしながら、1960年代のニューヨークは苦闘の日々だったようだ。

この『Star Bright』は、渡米すぐの録音である。サイドメンは、ブルーノートのお抱え優れどころで固めている。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの意気込みがダイレクトに感じられる。それに応える様に、ディジー・リースは、ブリリアントで端正で流麗なトランペットを聴かせてくれる。
 

Star_bright

 

そして、面白いのは、テナーのハンク・モブレー。この盤でのモブレーのテナーは溌剌としていて、活き活きとしている。デジー・リースのトランペットなんて何するものぞ、って感じで、バリバリ吹きまくる。モブレーって、共演者が自分よりも格下、若しくは人気が無いだと、なぜか溌剌とテナーを吹きまくる傾向にあるみたいなんだよな〜。

逆に共演者が格上、若しくは実力が上となると、てきめん萎縮して、こぢんまりとした大人しいブロウで終始してしまう。実に愛すべき「人間らしい」テナーマンである。そんなモブレーが溌剌とテナーを吹きまくるところもこの盤の聴きどころ。

この盤を聴いていて、ディジー・リースのトランペットって、スーッと真っ直ぐな伸びの良い爽やか音。ちょっと引っ掛かりに欠け、印象に残りにくい。恐らく、そういうトランペットだからこそ、テクニックも申し分無く、演奏のレベルも高いにも関わらず、人気という面で割を食ったのではないか。とっても流麗でとってもブリリアントなんですけどね。

やはり、ジャズにとって「無臭」「端正」「クセが無い」というのは禁句なのかなあ。ディジー・リースのトランペットって聴き心地満点なんだけどなあ。でも、僕はこのディジー・リースのトランペット盤、結構、昔から気に入ってます。聴き心地の良いトランペットって、やっぱり良いよね。特にこの秋の季節に良く合います。秋のトランペット盤、これからの季節の愛聴盤です。

 
 

★東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・60 | トップページ | 高校時代の10cc盤の思い出 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: これからの季節のトランペット盤:

« 音楽喫茶『松和』の昼下がり・60 | トップページ | 高校時代の10cc盤の思い出 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

カテゴリー