現在のジャズの「深化」を感じる
ジャズって確実に「深化」しているなあ、って感じることが多い。1950年代から1960年代、ハードバップからモード・ジャズとメインストリーム・ジャズは変遷していったが、このハードバップにしても、モード・ジャズにしても、21世紀の現在でも演奏されるジャズ・フォーマットである。
といって、1950年代から1960年代の演奏をそのまま「なぞっている」のでは無い。演奏のレベルは高くなっているし、演奏の展開にも様々な工夫が聴かれる。演奏の響きも明らかに純度が高くなっているし、アレンジの工夫も難度が高いが、とても考えられた音作りがなされている。つまり、ジャズは「深化」しているのだ。
Jack DeJohnette, Larry Grenadier, John Medeski & John Scofield『Hudson』(写真左)。今月の新盤なのだが、僕はこの新盤を聴いて、その「ジャズの深化」を強く感じた。参加メンバーが並列の関係で構成されたテンポラリー・バンドなので、パーソネルに連なる4人の名前がズラリと並ぶ。改めて、パーソネルは、Jack DeJohnette (ds), Larry Grenadier (b), John Medeski (key), John Scofield (g)。
デジョネットは1942年生まれなので、今年で75歳。ジョンスコは1951年生まれなので、今年で66歳。グレナディアは1966年生まれなので、今年で51歳。メデスキは1965年生まれなので、今年で52歳。大レジェンドのデジョネット、中レジェンドのジョンスコ、そして、中堅ベテランの2人がガッチリ組んだ、明らかに硬派な「コンテンポラリーな純ジャズ」である。
とりわけ、ジョンスコが凄い。弾きまくっている。デジョネットが心なしか、大人しいというか落ち着いたドラミングで終始している分、ジョンスコの弾け方が印象深い。メデスキのプログレッシブなオルガンも効いている。グレナディアが全体のビートをガッチリと押さえている。聴き始めると知らない間に一気に聴き切ってしまうほどの充実度。
Bob Dylan「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、The Band「Up on Cripple Creek」、Jimi Hendrix「Wait Until Tomorrow」、Joni Mitchell「Woodstock」のカバーが目を惹く。70年代ロック者からすると感動のカバー。出来も良い。他のメンバーの自作曲もなかなか。現在のジャズの「深化」がガッツリと感じられる好盤である。
東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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