ジャキー・マクリーンは進化の人
ジャキー・マクリーンは進化の人であった。デビューはハードバップ前半期。ちょっとピッチの外れたストレートなブロウが個性で、クラシックの世界であれば、絶対にあり得ない「アルト・サックス」であった。しかし、ちょっとピッチの外れたストレートなブロウを個性と捉えて愛でるのが「ジャズ」である。懐が深いというか、柔軟性が高いというか(笑)。
そんなマクリーン、ハードバップから端を発しているが、そこに留まらなかった。ハードバップからモーダルなジャズへ、そして、フリーキーでアブストラクトなジャズに世界にスタイルを広げる。1960年代後半の諸作は「決して成功作とは言えない」などど揶揄されたが、この1970年代前半の録音成果を聴くと、マクリーンのスタイルの拡大は意外と成功を収めていたのでは無いか、と感じている。
Jackie Mclean & The Cosmic Brotherhood『New York Calling』(写真左)。1974年10月の録音。SteepleChaseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (ts), Billy Skinner (tp), René McLean (ss, as, ts), Billy Gault (p, arr), James Benjamin (b), Michael Carvin (ds)。フロントが3管のセクステット構成である。
René McLeanは、リーダーJackie Mclean =ジャッキー・マクリーンの息子(ジャッキー・マクリーンは継父)。それ以外のメンバーは実は知らない。しかし、この盤を聴けば判るが、それなりの実力を持った、ハードバッパーなジャズメン達である。演奏を聴いていても安心感があるし、抑揚もよく効いていて、聴いていてダレるところが無い。
演奏全体の雰囲気は、モーダルなコルトレーンである。フリーに手を染める前、モード・ジャズを追求していたコルトレーンから、シーツ・オブ・サウンドを引いた雰囲気と形容したら良いだろうか。徹頭徹尾、自由度の高いモード・ジャズの嵐である。適度に勢いも有り、爽快感もある。コルトレーンに比べれば、ちょっと迫力不足ではあるが、アンサンブルなどはカッチリとまとまっていて清々しい。
コルトレーンのモード・ジャズよりは、シンプルで難しく無く聴き易い。1950年代のハードバップ時代のジャキー・マクリーンのアルトをイメージするとかなり戸惑うが、単純にコルトレーンのモード・ジャズを踏襲していることを意識しながら聴くと、意外と聴き易く親しみ易い演奏であることに気付く。コルトレーンのモード・ジャズを踏襲したマクリーンもなかなかのもの。好盤です。
★東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ピアノ・トリオの代表的名盤・62 | トップページ | チャールズ・ロイドの新作に想う »
コメント