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2017年8月の記事

2017年8月31日 (木曜日)

チャールズ・ロイドの新作に想う

1960年代後半、60年代後半にサンフランシスコを中心として発生した「[
LOVE&PEACE 」の思想や動き、いわゆるフラワー・ムーブメントの波に乗って、この人のサックスは受けに受けた。判り易いコルトレーン、というか、まずまずの力量のテナーマンが、コルトレーンをパクったら、ちょうど聴き易いものになった、という感じのテナー。

コルトレーンが完全フリーに走る前、自由度の高いモード・ジャズを前提としたスピリチュアルなブロウ。これを聴き易く吹き、加えて、バックのリズム・セクションが、キースのピアノ、デジョネットのドラム、マクビーのベースという凄いもので、このスピリチュアルなテナーを鼓舞し、スピリチュアルな雰囲気を増幅する。それが、フラワー・ムーブメントの音楽的ニーズと合致して受けに受けた。

そのテナーマンとは、Charles Lloyd(チャールズ・ロイド)。僕は大学時代、1980年だったと思う。このチャールズ・ロイドのテナーを初めて聴いた。聴いた印象は確かに小粒なコルトレーンで、コルトレーンより平易で判り易い。僕はこの判り易さが好きでは無かった。それなら、コルトレーン本人の演奏を聴いた方が良い。

僕は、バックのリズム・セクションの瑞々しさを聴きたい時だけ、チャールズ・ロイドの当時の諸作を聴いた。しかし、である。1970年代、その人気がフェードアウトし、それに合わせてロイド本人も話題になることがほとんど無かった。もはや完全に過去の人になったかに思われていたが、2015年、ブルーノートに移籍しての第1弾『Wild Man Dance』から復活し始めた。
 

Passin_thru

 
折しも、モード・ジャズを基調とした、爽やかで判り易いスピリチュアル・ジャズがちょっとしたブームになりつつある頃。このブームに乗った所がある。ブームに乗るのが上手い人だ(笑)。

そんなロイドの今年の最新作が、Charles Lloyd『Passin' Thru』(写真左)。爽やかで判り易いスピリチュアル・ジャズの静かなブームの下、よいタイミングでのリリースである。ロイドって、普通に吹くだけで、演奏スタイルはモード一本(それ以外のバリエーションは無い)。昔取った杵柄、モードのコルトレーンをパクる様に吹くと、直ちに「爽やかで判り易いスピリチュアル・ジャズ」になるのだ。

この盤では、ロイドは無理して吹いていない。昔ながらに昔の様に吹く。小粒のコルトレーンの様に吹く。すると、演奏の雰囲気は「爽やかで判り易いスピリチュアル・ジャズ」。今の時代のニーズに合致して、この盤、意外に受けています。

1970年代以降、40年以上が経過して、コルトレーンのフォロワーは大量に存在する。もはやコルトレーンのパクリはパクリで無くなった。モードなコルトレーン・スタイルは、今やテナー吹きのスタンダードなスタイルの一つとなった。今の時代にまた受け始めたロイド。本人はほとんど意識していないと思うが、本当にブームに乗るのが上手い人だ(笑)。 

 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月30日 (水曜日)

ジャキー・マクリーンは進化の人

ジャキー・マクリーンは進化の人であった。デビューはハードバップ前半期。ちょっとピッチの外れたストレートなブロウが個性で、クラシックの世界であれば、絶対にあり得ない「アルト・サックス」であった。しかし、ちょっとピッチの外れたストレートなブロウを個性と捉えて愛でるのが「ジャズ」である。懐が深いというか、柔軟性が高いというか(笑)。

そんなマクリーン、ハードバップから端を発しているが、そこに留まらなかった。ハードバップからモーダルなジャズへ、そして、フリーキーでアブストラクトなジャズに世界にスタイルを広げる。1960年代後半の諸作は「決して成功作とは言えない」などど揶揄されたが、この1970年代前半の録音成果を聴くと、マクリーンのスタイルの拡大は意外と成功を収めていたのでは無いか、と感じている。

Jackie Mclean & The Cosmic Brotherhood『New York Calling』(写真左)。1974年10月の録音。SteepleChaseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (ts), Billy Skinner (tp), René McLean  (ss, as, ts), Billy Gault (p, arr),  James Benjamin (b), Michael Carvin (ds)。フロントが3管のセクステット構成である。
 

New_york_calling

 
René McLeanは、リーダーJackie Mclean =ジャッキー・マクリーンの息子(ジャッキー・マクリーンは継父)。それ以外のメンバーは実は知らない。しかし、この盤を聴けば判るが、それなりの実力を持った、ハードバッパーなジャズメン達である。演奏を聴いていても安心感があるし、抑揚もよく効いていて、聴いていてダレるところが無い。

演奏全体の雰囲気は、モーダルなコルトレーンである。フリーに手を染める前、モード・ジャズを追求していたコルトレーンから、シーツ・オブ・サウンドを引いた雰囲気と形容したら良いだろうか。徹頭徹尾、自由度の高いモード・ジャズの嵐である。適度に勢いも有り、爽快感もある。コルトレーンに比べれば、ちょっと迫力不足ではあるが、アンサンブルなどはカッチリとまとまっていて清々しい。

コルトレーンのモード・ジャズよりは、シンプルで難しく無く聴き易い。1950年代のハードバップ時代のジャキー・マクリーンのアルトをイメージするとかなり戸惑うが、単純にコルトレーンのモード・ジャズを踏襲していることを意識しながら聴くと、意外と聴き易く親しみ易い演奏であることに気付く。コルトレーンのモード・ジャズを踏襲したマクリーンもなかなかのもの。好盤です。

 
 

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2017年8月29日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・62

ジャズ者初心者の頃、このアルバムを初めて聴いた時は、そんなに凄いアルバムとは思わなかった。ピアノ・トリオなんだけど、何だかベースの音が多い。なんだかベースの音が多いなあ、というのが最初の印象(笑)。それでも、かのピアノ・トリオの雄、ビル・エバンス・トリオのライブ盤なので、有り難がって聴いていた。

なぜベースの音が多いのか。この盤が、ベースのスコット・ラファロの追悼盤の位置づけだということをその後、知った。なるほど、だからベースの音が多いのか。しかし、よくよくこのライブ盤を聴いていると、ピアノの音とベースの音とドラムの音が同じ割合を占めているのに気がついた。

このライブ盤とは、Bill Evans『Sunday at the Village Vanguard』(写真左)。1961年6月25日、NYのライブハウス、ビレッジ・バンガードでの伝説のライブ録音。改めて、ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Scott LaFaro (b), Paul Motian (ds)。かの伝説のピアノ・トリオである。

かのビル・エバンスの名ライブ盤『Waltz for Debby』と対をなすライブ盤である。今では、この1961年6月25日のビレバガでのライブ音源は、演奏順を忠実に守ったコンプリート・ボックス盤も出ているのだが、演奏の音の「密度」という点では、やはりこの『Sunday at the Village Vanguard』と『Waltz for Debby』の二枚構成が優れている。
 

Sunday_at_the_village_vanguard

 
この伝説のピアノ・トリオは、何が伝説かというと、それまではピアノ・トリオの場合、ピアノがメイン、ドラムとベースはバックでリズム&ビートを刻むというバランスが基本だった時代に、ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する、という今では当たり前のことを初めて実現し、レコーディングに残した、というのが伝説と呼ばれる所以である。

しかし、面白いのは、他の伝説のビル・エバンス・トリオのアルバムでは、なかなかこの「ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」が判り難い。逆に、このラファロの追悼盤の位置付けの『Sunday at the Village Vanguard』では、その「ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」がとっても判り易い。

ベースの音が他のアルバムと比べて多いからだろう。ベースの音は地味なので、ピアノの音やドラムの音と比べて、同じバランスに聴こえるには、このライブ盤くらい「なんだかベースの音が多いなあ」と感じる位のバランスが丁度良いのかもしれない。

そういう意味で、この『Sunday at the Village Vanguard』は、ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」を体感出来る格好のアルバムだと言える。

 
 

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2017年8月28日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・88

長年ジャズを聴いていると、勘が働くことがある。この盤って絶対良いよ、と言いたげなジャケット。よく「ジャケ買い」という言葉があるが、それに近い感覚かな。なんか良い音するぜ、とピピッと来る。そういう時は迷わず「ポチッ」として良いのだ(笑)。

最近のそんな一枚がこれ。Eric Ineke『Let There Be Life, Love and Laughter』(写真左)。まず、リーダーのEric Ineke=エリック・イネケとは誰か。オランダの正統派ベテラン・ドラマー。1947年4月生まれなので、今年で70歳になる。この盤はイネケの70歳の誕生日に作られた盤で、1968年から2014年のキャリアの中から8曲選んだもの、とのこと。

この8曲が面白い。Eddie“Lockjaw”Davis(ts), Dexter Gordon(ts), Johnny Griffin(ts), Grant Stewart(ts), David Liebman(ts), Clifford Jordan(ts), Lucky Thompson(ts), George Coleman(ts)、と8人の個性溢れるベテラン・テナーマンとのライブ演奏を集力しているのだ。名前を見るだけで、その癖のある、一筋縄ではいかない、実に魅力的なテナーマン達。キャリアが長く共演テナーマンが多いイネケだから出来る、実に面白い内容の企画盤である。
 

Let_there_be_life_love_and_laughter

 
これだけ個性あるテナーマンがフロントに入れ替わり立ち替わり立つのであるが、これが面白い事に、アルバム全体がしっかりと一定のトーン、演奏の雰囲気で統一されているのだ。聴き通してみると判るのだが、やはりリーダーのイネケのドラミングがそんな「統一感」の源なのだ。

ちょっとラフで半拍ほど遅れて入るオフビートなんだが、しっかりとグルーブ感を醸し出していて、細波のようにシンプルなビートがアルバム全編に渡って溢れている。このグルーブ感がフロントのテナーをしっかりとサポートし、しっかりと鼓舞する。テナー・ソロを惹き立てる、伴奏上手なドラミング。イネケのドラミングの実力の高さを思い知る。

リーブマンによるライナーノーツが書かれているが、そこには「エリック・イネケがドラムなら、必ずスイングする」と書かれている。う〜ん、この一言に尽きるなあ。細波の様にパルスの拡がりでスイングするイネケのドラミング。ハイハットの多用、呼応するように合いの手の様に入るラフなスネア。米国には無い、独特な個性の和蘭のドラミングである。

 
 

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2017年8月27日 (日曜日)

ブルー・アイド・ソウル系のAOR

昨日、我がバーチャル音楽喫茶『松和』はジャズ専門では無い。70年代ロック、70年代Jポップ」が裏専門。以前は、土日は「70年代ロック、70年代Jポップ」の記事にしていたなあ、ということで、そのルールを復活である。と宣言したので、今日もジャズの話題から離れて「70年代ロック、70年代Jポップ」に関する話題を。

70年代ロック&ポップスの範疇であるが、僕はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンルのアルバムが好きである。特にR&B寄りのAORはたまらない。特に1970年代後半から1980年代前半、大学時代〜社会人なりたての頃、ジャズの合間の耳休めに、このAORの世界にドップリ浸かっていた。

John Valenti『Anything You Want』(写真左)。1976年の作品。R&Bの範疇、ブルー・アイド・ソウル系のAORになる。ジョン・ヴァレンティは、当時、巷では「白いスティーヴィー・ワンダー」と呼ばれたが、どうして、聴けば判る。決して、単なるスティーヴィーのフォロワーでは無い。独特の爽快感と切れ味が備わった、実に魅力的なブルー・アイド・ソウル系のAOR盤である。
 

John_valentianything_you_want  

 
確かに1曲目のタイトル曲「Anyting You Want」を聴けば、確かに「スティーヴィー・ワンダーのフォロワー」と呼ばれても仕方が無いよな、と思われる位の徹底ぶりである。でも、内容的には実に充実していて、よくよく聴けば、ブルー・アイド・ソウル系なので、ファンクネスが軽い。確かにファンクネスが漂うのだが爽やかなのだ。これが「個性」で、僕はこの雰囲気に填まった。

曲作りも基本的にはギターがベースで、キーボードやブラスは脇役に回っているところが、他のコッテコテR&B〜ブラコン系のAORとは異なる。アコギの多用、メロディアスなエレギのソロ。これはこの盤独特の個性で、この部分だけでも「白いスティーヴィー・ワンダー」とは呼べない。似て非なるもの、と解釈して良いだろう。

AORってどんな音楽なの、って聴かれたら、結構、このヴァレンティの『Anything You Want』をかけることが多い。演奏の基本部分は「R&B」であり、ギター中心のアレンジは「フュージョン・ジャズ」の雰囲気を踏襲していて、とにかくAORの代表的名盤の一枚であることは間違い無い。そうそう、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ジャズの合間の耳休め盤」として活躍している。

 
 

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2017年8月26日 (土曜日)

ポール・サイモンの新作ライブ盤

我がバーチャル音楽喫茶『松和』はジャズ専門では無い。実は「70年代ロック、70年代Jポップ」を裏専門にしており、まずまずのマニアぶりであると自負している。が、松和のお客さんから、最近、ブログで「70年代ロック、70年代Jポップ」についての話が全く無いではないか、とのクレームを受けている。そう言えばそうで、以前は、土日は「70年代ロック、70年代Jポップ」の記事にしていたなあ。ということで、そのルールを復活である。

1970年代前半、英米のロック&ポップス界では「シンガー・ソングライター(略してSSW)」のブームが訪れる。自ら詩を書き、自らが作曲し、自らが唄う。それが「SSW」。僕は男性SSWでは、ポール・サイモンがお気に入りである。ポール・サイモンと言えば、1960年代後半、米国ポップス界を席巻したデュオ「Simon & Garfunkel(S&G)」の一人。

そのS&G、ガーファンクル(愛称アーティ)の歌声があまりに素晴らしく、ほとんど全曲に渡ってリードボーカルを取った為、アーティのデュオと印象が一般的。サイモンは付け足しみたいな位置付けだったが、S&Gの楽曲はほとんどがサイモンの作であり、僕はこのサイモンのSSWとしての才能に感じ入っていた。ソロになってから、その才能は全面開花し、それはそれは素晴らしい活躍。昨年の最新作『Stranger to Stranger』まで、素晴らしい内容のアルバムばかりである。

そんなポール・サイモンの、2012年7月にロンドンのハイドパークで行われたフェスティバル「Hard Rock Calling Festival」でのパフォーマンスは素晴らしかった、という噂はネットのあちこちで見ていた。サイモン健在ということは喜ばしいことやねえ、と思っていたら、そのライブ音源がCD化されるという話が今年の5月の持ち上がった。あれほど評判の良かったライブである。聴きたいなあ、ということで、リリース早々に「ポチッ」とな、である。
 

The_concert_in_hyde_park

 
Paul Simon『The Concert in Hyde Park』(写真左)。収録された曲を見渡すと、サイモンのS&G時代から現在までの、キャリア全般から良曲を偏り無くセレクトしていて、サイモンのキャリアと才能の全貌を掴むのに格好のライブ盤となっている。サイモン自身、そしてバックバンドであるグレイスバンド共にまずまず好調で、CD2枚組ではあるが、全く緩んだところの無い、濃密な心地良いテンションの演奏がギッシリと詰まっている。

もともと、アルバム『Graceland』の発売25周年を記念して行われたこの公演では、同作収録曲をほぼ全曲演奏されているところが聴き所。米国ルーツ・ミュージックの要素、アフリカン・ネイティブな音の要素、ワールド・ミュージック的な響き、単なるロック&ポップスに留まらない、様々な音の要素を取り入れ、ポール・サイモン独自の個性ある音世界を確立している。

またサイモンの人気ソロ曲「Kodachrome」「Mother and Child Reunion」「Still Crazy After All These Years」「50 Ways to Leave Your Lover」、サイモン&ガーファンクルの「The Sound of Silence」「The Boxer」「Slip Slidin’ Away」なども聴いていて懐かしく、そして楽しい。この昔の名曲の演奏も充実していて素晴らしい出来だ。

このライブ盤を聴いていて、S&Gの諸作が一気聴きしたくなった。最新リマスターを施されたボックス盤も手に入れて、ファースト盤『Wednesday Morning, 3 A.M. 』から聴き直しにかかっている。これがまた良い。またの機会にこのブログで語りたいと思います。とにかく、今回のサイモンのライブ盤、意外と良い出来に満足。ポール・サイモン、まだまだ健在ですね。

 
 

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2017年8月25日 (金曜日)

フュージョン・ジャズも奥が深い

「フュージョン・ジャズは時代の徒花だった。フュージョン・ジャズには中身が何も無かった」なんて言い放つ年配のジャズ評論家がいて、驚いたことがある。おいおい、あなた達、1970年代から1980年代前半にかけては「フュージョン・ジャズはジャズの最先端」とか「フュージョン・ジャズは良い」なんて、評論を書きまくっていたのではないの?(笑)。

しかし、当方にとっては「フュージョン・ジャズは時代の徒花」なんて思ったことは無い。その方法論、そのアレンジ、その演奏形態など、立派なジャズの一ジャンルを担っていると思う。21世紀になった今でも、スムース・ジャズでは無い、明らかにフュージョン・ジャズの雰囲気が色濃いアルバムがリリースされているのだから、フュージョン・ジャズもしっかりと市民権を得ているとして良いだろう。

David Benoit & Marc Antoine『So Nice』(写真左)。そんな「スムース・ジャズでは無い、明らかにフュージョン・ジャズの雰囲気が色濃い」アルバム。つい先月のリリース。GRP時代の盟友デヴィッド・ベノワとマーク・アントワンのコラボ盤。デヴィッド・ベノワと言えば、フュージョン初期より現在に至るまで、フュージョン〜スムース・ジャズのトップ・ピアニストとして活躍。マーク・アントワンは、ジプシーの血を引くフランス出身のフュージョン〜スムース・ジャズのギタリスト。
 

So_nice

 
余裕の熟練プレイヤーの再会セッション。ベノワのピアノ&キーボードは聴けば直ぐに判る個性が魅力。心地良いエコーがかかって独特の響きが良い。ベノワ独特の手癖というか、お決まりの節回しというのもあって、ベノワのピアノは填まったら最後、とことんまでである。アントワンのギターはアコギ中心。ちょっと聴くと「アール・クルーかな」なんて思うが、クルーより柔らかでエッジが丸い。アントワンの名前、ほんとに久し振りに聴いた。

このベノワとアントワンのコラボは「フュージョン・ジャズ」である。音の響き、アレンジ、アドリブ展開、どれをとっても、しっかりと「フュージョン・ジャズ」しているところが良い。そして、この盤、アントニオ・カルロス・ジョビン「Só Danço Samba」、マルコス・ヴァーリ「So Nice(Summer Samba)」といったボサノバ&サンバの名曲のカバーが散りばめられているところが面白い。

演奏のレベルも高く、アレンジも秀逸。聴き応え十分はフュージョン・ジャズ盤。こういうフュージョン・ジャズの好盤が、2017年に制作されリリースされるのだから、フュージョン・ジャズも奥が深い。二人の写真をあしらっただけの平凡なジャケットだけが玉に瑕かなあ。このジャケットだと、一般の人達は、なかなか触手が伸びないのではないか。でも、この盤はフュージョン・ジャズの好盤。安心して耳を傾ける事が出来ます。

 
 

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2017年8月24日 (木曜日)

現在のジャズの「深化」を感じる

ジャズって確実に「深化」しているなあ、って感じることが多い。1950年代から1960年代、ハードバップからモード・ジャズとメインストリーム・ジャズは変遷していったが、このハードバップにしても、モード・ジャズにしても、21世紀の現在でも演奏されるジャズ・フォーマットである。

といって、1950年代から1960年代の演奏をそのまま「なぞっている」のでは無い。演奏のレベルは高くなっているし、演奏の展開にも様々な工夫が聴かれる。演奏の響きも明らかに純度が高くなっているし、アレンジの工夫も難度が高いが、とても考えられた音作りがなされている。つまり、ジャズは「深化」しているのだ。

Jack DeJohnette, Larry Grenadier, John Medeski & John Scofield『Hudson』(写真左)。今月の新盤なのだが、僕はこの新盤を聴いて、その「ジャズの深化」を強く感じた。参加メンバーが並列の関係で構成されたテンポラリー・バンドなので、パーソネルに連なる4人の名前がズラリと並ぶ。改めて、パーソネルは、Jack DeJohnette (ds), Larry Grenadier (b), John Medeski (key), John Scofield (g)。
 

Hudson

 
デジョネットは1942年生まれなので、今年で75歳。ジョンスコは1951年生まれなので、今年で66歳。グレナディアは1966年生まれなので、今年で51歳。メデスキは1965年生まれなので、今年で52歳。大レジェンドのデジョネット、中レジェンドのジョンスコ、そして、中堅ベテランの2人がガッチリ組んだ、明らかに硬派な「コンテンポラリーな純ジャズ」である。

とりわけ、ジョンスコが凄い。弾きまくっている。デジョネットが心なしか、大人しいというか落ち着いたドラミングで終始している分、ジョンスコの弾け方が印象深い。メデスキのプログレッシブなオルガンも効いている。グレナディアが全体のビートをガッチリと押さえている。聴き始めると知らない間に一気に聴き切ってしまうほどの充実度。

Bob Dylan「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、The Band「Up on Cripple Creek」、Jimi Hendrix「Wait Until Tomorrow」、Joni Mitchell「Woodstock」のカバーが目を惹く。70年代ロック者からすると感動のカバー。出来も良い。他のメンバーの自作曲もなかなか。現在のジャズの「深化」がガッツリと感じられる好盤である。

 
 

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2017年8月23日 (水曜日)

Miles Reimaginedな好盤・2

マイルスの成果を振り返り再評価するジャズ本に『MILES : Reimagined 2010年代のマイルス・デイヴィス・ガイド』がある。このジャズ本って、今の時代を前提に、マイルスの音世界のフォロワーについて検討・検証しているところが実に参考になる。昔の盤のみならず、最近リリースされた盤にもスポットを当てているので、実に有り難い。

そんな「Miles Reimagined」なジャズ本で興味を持った盤の一つが、Perigeo『Abbiamo tutti un blues da piangere』(写真左)。この盤は1973年のリリース。イタリアのバンド、Perigeo=ペリジェオと読む。当時、ジャズ畑で活動していたメンバー達によって、1971年にローマで結成されたグループである。邦題は「感涙のブルース」だったらしい。酷いなあ。

聴いてみると実に面白い音世界である。マイルスのフォロワーというか、エレ・マイルスの影響をモロに受けている部分が聴いてとれる。というか、ブルージーなジャズ・ロックぽいフュージョン・プログレという雰囲気。リターン・トゥ・フォーエヴァーやマハヴィシュヌ・オーケストラをロック寄りにして俗っぽくしたフレーズが出てくる出てくる。
 

Abbiamo_tutti_un_blues_da_piangere

 
はたまた、中期ソフト・マシーンのシンプルではあるが、イマージネーション豊かなハイテクな演奏が出てきたり、どっしりとした重量感を感じさせながらの鬼気迫るスリリングな、ちょっとフリーキーな展開には、そこはかとなく「キング・クリムゾン」の様なイメージが漂ったりする。マイナー調のインプロで盛り上がる様は、ジャズロックというよりは「プログレ」。

プログレッシブ・ロックっぽいジャズ・ロック。リフと即興が印象的なハイテクかつ叙情的なエレジャズ。バンド全体の演奏力は高く、アルバム一枚を一気に聴き切ってしまう。アバンギャルドな展開も散りばめられていて、そういう面ではロックでは無く「ジャズ」寄り。こんな面白いエレ・ジャズロックな盤が、1973年にイタリアで生まれていたなんて、僕は知らなかった。

アルバム・ジャケットもプログレ風で秀逸。ジャケットだけみれば「プログレ」、出てくる音は「ジャズ・ロック」という落差が面白い。さすがはイタリア、欧州のジャズ〜ロックの音世界である。ジャズとロックの境界が実に曖昧。そんな「曖昧」ならではの音の成果。ロックでは「プログレ者」の方々、ジャズでは「エレジャズ者」の方々にお勧めの一枚です。

 
 

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2017年8月22日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・58

ジャズの世界は、何もビッグネームなレジェンド級のジャズメンだけが優れている訳では無い。たまたま、ビッグネームになる機会に恵まれなかった「玄人好み」のジャズメンも沢山いる。演奏するジャズは、レジェンド級にひけを取らない「優れもの」。そんな「玄人好み」のジャズ盤との出会いは格別なものがある。

Stanley Cowell『No Illusions』(写真左)。今年の新盤。最近の「玄人好み」のジャズ盤との出会いはこの盤である。録音は2015年12月。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p), Bruce Williams (as, fl), Jay Anderson (b), Billy Drummond (ds)。純ジャズの老舗レーベルであるSteepleChaseからのリリース。ジャケットも洒落ていて、内容に期待が持てる。

リーダーのピアニスト、スタンリー・カウエルのSteepleChaseでの15枚目のリーダー作となるとのこと。もうカウエルって、SteepleChaseのハウス・ピアニスト的存在やね。さて、この盤、コンテンポラリーな純ジャズな演奏がギッシリ詰まった、実に「硬派な」カルテット盤である。

ブルース・ウィリアムスのアルト・サックスとフルートが良い。スピリチュアルな雰囲気をガッツリと醸し出す優れたブロウ。カウエルの端正かつ「ちょっと危ない」ピアノと、このウィリアムスのアルトが聴きものである。
 

Stanley_cowell_no_illusions

 
スタンリー・カウエルは1941年生まれ。今年で76歳になる。クラシックばりの端正でカッチリしたピアノではあるが、ちょっとアヴァンギャルドな危険な香りのする、ちょっと「危ない」ピアニストである。1999年には、ヴィーナス・レコードの『恋のダンサー』で、魂を売ってしまったような、イージーな企画に寄り道したりもしたが、この新盤では、しっかりと硬派な純ジャズに返り咲いている。

この盤では、硬派でモーダルな純ジャズをベースにはしているが、そこかしこに、スピリチュアルな要素や、米国ルーツ・ミュージックな要素、ネイティヴ・アフリカンな要素などを織り込んでいて、昔のモーダルな純ジャズとはちょっと異なった響き、現代ジャズの先端のトレンディーな響きが芳しい。現在のジャズの「ええ感じ」な響きが良い。

決してポップでは無いし、決してコマーシャルでは無い。ジャズ界のビッグネームでも無ければ、レジェンドでも無い。それでも、この盤には「玄人好み」の心地良い、コンテンポラリーな純ジャズな演奏がギッシリ詰まっている。現在のジャズの「ええところ」を聴かせてくれる好盤である。

こういう「玄人好み」のジャズ盤は、昼下がりのジャズ喫茶の、人が引けた、閑散とした感じの静かな室内で、誰に聴かすでも無く、ゆったりと流しているのが良い。ちょっともの淋しい雰囲気を醸し出しながら、現在のジャズの「ええ感じ」な響き。好盤です。

 
 

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2017年8月21日 (月曜日)

1978年、ウエザーの日本公演

最近、ダウンロード・サイトを徘徊していると、何故だか判らないんだけど、一昔前、ブート(海賊盤)で出回っていた音源がアップされていて、お金を払ってダウンロードして聴くことが出来るのに気がついた。これ、ええの?。でも、普通のダウンロード・サイトで、ちゃんとお金を払って音源を入手するのだから良いのかな。

最近、見つけて狂喜乱舞した「ブートっぽい」ジャズ音源がこれ。Weather Report『Japan Live '78』(写真左)。僕の大好きなコンテンポラリーなエレ・ジャズ・バンド、ウエザー・リポート(以下WRと略)。このWRが2度目の来日を果たした時のライブ音源。新宿厚生年金会館でのパフォーマンスである。

サウンドボードからの音源だろうか、音質はまずまず。バランスもまずまずで、十分に鑑賞に耐える。WR者は持っていて損はない音源である。この1978年のWRの来日公演は、僕がちょうど本格的にジャズを聴き始めた頃で、この新宿厚生年金会館でのパフォーマンスの様子は、当時、ジャズ雑誌「スイングジャーナル」の記事で読んだ記憶がある。
 

Weather_report_japan_live_78

 
「Elegant People」(6thアルバム『Black Market』に収録)からスタートする。2曲目「Scarlet Woman」から「Teen Town」「A Remark You Made」と聴き進めて行くと、ウェイン・ショーターがテナーを吹きまくっていることに気がつく。当時、アルバムではイマイチのパフォーマンスだったショーター。双頭リーダーのザヴィヌルとの不和説も流れ、ショーターは脱退するのでは、なんて言われていて、この吹きまくりのショーターにはビックリ。

そして、ドラムのピーター・アースキンのドラミングの凄まじさにもビックリ。このライブ音源を聴いていて、なるほど、WR史上、最強のドラマーと言われるだけある。ドラム一人で、ショーターのテナー、ザヴィヌルのキーボード、ジャコのベースを一手に引き受けなければならないのだが、これがまあ、しっかりと応対し、WRのリズムを支配している。凄い。アースキンのドラミングがこんなに凄いとは思わなかった。

この『Japan Live '78』は本当に懐かしい音源だ。ジャズ雑誌「スイングジャーナル」の記事にあった「ライブ公演ラストの三本締め」も収録されている。音はまずますのレベルだが、当時のWRのライブ・パフォーマンスの様子がしっかりと聴き取れて、WR者にとってはなかなかの内容ではないだろうか。

 
 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月20日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・24

今年の新作の中にアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)の名前を見つけた。アーマッド・ジャマルと言えば、ハードバップ時代、あの帝王マイルスがメンバーに欲しがった伝説のピアニストである。幾つになるんだ。1930年7月生まれだから、今年で87歳になる。大ベテランというか、生きる「レジェンド」である。

そんな生きる「レジェンド」のジャマルであるが、21世紀になってからも(70歳を過ぎてからも)、リーダー作を2〜3年に1作はリリースしていて、その内容は十分に水準以上の内容を維持しているのだから凄い。ピアノのタッチは、マイルスの言う「間(スペース)のコンセプト、タッチの軽さ、控えめな表現、そして独特のリズム感」は全く1950年代から変わっていない。これも凄いこと。

Ahmad Jamal『Marseille』(写真左)。今年の新作である。本作は南仏の魅惑的な都市「マルセイユ」に捧げた一作。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), James Cammack (b), Herlin Riley (ds), Manolo Badrena (perc), Abd Al Malik, Mina Agossi (vo)。基本はピアノ・トリオ。リズムのアクセント付けにパーカッションを入れている。
 

Ahmad_jamal_marseille

 
このアルバムの特色はボーカルの存在だろう。このボーカルの存在で、現在のジャズのトレンドのひとつである「スピリチュアル」な表現を獲得している。ボーカルとは言え、朗々と唄うのでは無い、語りかける様な「ラップ」的表現であり、ゴスペル的な雰囲気も漂わせつつ、 このアルバムでも良いアクセントになっている。

主役のアーマッド・ジャマル・トリオの演奏は相変わらずのもので、特にジャマルのピアノについては、彼独特の「間(スペース)のコンセプト、タッチの軽さ、控えめな表現、そして独特のリズム感」は全く変わっていない。ジャマル独特の充実のピアノ・トリオのパフォーマンスが楽しめる。これで今年87歳なんだから、ジャマルって凄いなあ。

爽快感溢れる演奏がメイン、とりわけジャマルのピアノの、間を活かしたアドリブ展開が仄かに影を落としつつ、陰影のある墨絵の様な表現に思わず耳を奪われる。ベースとドラムのリズム・セクションもジャマルのピアノの特性に追従していて、軽快かつ控えめではあるが堅実なリズム&ビートを供給していて、これも聴き心地が実に良い。久々にながら聴きに最適なピアノ・トリオ盤。好盤です。

 
 

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2017年8月19日 (土曜日)

日本発モーダルなジャズユニット

日本出身の面白いユニットがある。DJ/音楽プロデューサー・ユニット、Kyoto Jazz Massiveの沖野修也が2015年に始動させたアコースティック・ジャズ・ユニット「KYOTO JAZZ SEXTET」。1960年代のブルーノートの新主流派モード・ジャズを核にしつつ、現在のジャズのトレンドをしっかり押さえた、コンテンポラリーな純ジャズ・ユニットである。

そんな「KYOTO JAZZ SEXTET」が、2年ぶりのセカンド・アルバムをリリースした。前回のファースト盤『Mission』は、全8曲中7曲目まで、ブルーノート・レーベルのモード・ジャズ中心の新主流派の名曲をカヴァーしていたが、今回は、全編書き下ろしの新曲で固め、モード・ジャズをメインに、スピリチュアル・ジャズとヒップ・ホップを加味している。

そのセカンド盤とは、KYOTO JAZZ SEXTET『UNITY』(写真左)。ちなみにパーソネルは、沖野修也(produce) 平戸祐介(p) 小泉P克人(b) 天倉正敬(ds) 類家心平(tp) 栗原健(ts)タブ・ゾンビ(tp) トモキ・サンダース(ts) ナヴァーシャ・デイヤ(vo)。
 

Kyoto_jazz_sextet_unity

 
オリジナル・メンバーに加え、タブ・ゾンビ(SOIL&"PIMP"SESSIONS)、ファラオ・サンダースの息子の新進気鋭のサックス奏者トモキ・サンダース、そして、 元ファータイル・グラウンドのソウル・ディーヴァであるナヴァーシャ・デイヤがゲスト参加。このゲスト参加で、スピリチュアル・ジャズとヒップ・ホップの味付けを加味している。

今回、加味された「スピリチュアル・ジャズとヒップ・ホップ」の要素についてはちょっと微妙かな。現代のモード・ジャズで勝負するユニットにボーカルは必要だったのか、とも思うし、ボーカルが入っている分、聴き易さが増した、とも言える。ジャズとヒップ・ホップの融合は難しいなあ、というのが本音かな。でも、スピリチュアル・ジャズの要素についてはプラスに働いているので、チャレンジとしては合格点かと。

演奏全体の雰囲気はファースト盤と同様「モード・ジャズ」がメイン。これだけ、今風にモード・ジャズをサクサクと演奏するユニットはなかなか無い。音の切れ味も良く、モードの展開も実にスムーズで爽快。1950年代後半、マイルスが中心になって始まった「モード・ジャズ」であるが、ここまで深化したのか、と感慨深くなる演奏ばかりである。

 
 

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2017年8月18日 (金曜日)

現代のソウル・ジャズを発見

1960年代初め、流行りだした「ファンキー・ジャズ」。1960年代後半、このファンキー・ジャズのファンクネスが爽やかに強調されて「ソウル・ジャズ」に昇華する。モータウン・ミュージックが一般的になって「ソウル・ミュージック」と呼ばれ、後に「R&B」という音楽ジャンルが確立する。ソウル・ジャズとソウル・ミュージック。切っても切れない仲である。

ということで、ソウル・ジャズと言えば、1960年代後半の産物。1970年前後からはクロスオーバー・ジャズが出現して、ソウル・ジャズの要素は「クロスオーバー」や「フュージョン」の名の下に収斂されていった。今や「ソウル・ジャズ」は絶滅種であって、改めて「ソウル・ジャズ」を看板に掲げて演奏するジャズは無いだろう、と思っていた。しかし、である。Apple Musicを徘徊していて「あった」。

Chris Hazelton's Boogaloo 7『Soul Jazz Fridays』(写真左)。2016年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Hazelton (Org), Nick Howell - (tp, tb), Nick Rowland (as, ts), Brett Jackson (bs), Matt Hopper (g), Danny Rojas (ds), Pat Conway (congas, perc)。オルガンあり、コンガあり、バリサクあり。ソウル・ジャズを構成するキーとなる楽器がしっかりと配置されている。
 

Soul_jazz_fridays  

 
そして、なんとタイトル自身が「ソウル・ジャズ」の看板を掲げている。もうジャズの世界では絶滅種としていた「ソウル・ジャズ」がリアルタイムで演奏されている。「ソウル・ジャズ」が現代のジャズの世界で生き存えているのだ。うへ〜、と喜びつつ、ついつい「ポチッ」とゲット。そして、この盤を聴くと、この盤に「今」のジャズをベースとして、「今」のソウル・ジャズがギッシリと詰まっている。

まさに「現代のソウル・ジャズ」が疾走する。そして、今時のジャズにしては珍しいのだが、バンド名にもあるブーガルーの曲調を強調したナンバーが意外と格好良い。漂うファンクネスも、1960年代後半の粘りのあるファンクネスでは無く、この盤に漂うファンクネスは爽快感抜群。爽やかなファンクネスを撒き散らして、ブーガルーが練り歩く。まったくクールでファンクな盤である。

Chris Hazelton's Boogaloo 7=クリス・ハザルトンズ・ブーガルー・セヴン、現代のジャズにおいて、ファンキー・ジャズの救世主的存在ですね。クールでダンサフル。聴いて楽しい、思わず身体が揺れ、思わず踊り出す。そんな楽しいソウル・ジャズな盤です。ジャケット・デザインもクール。意外とこの盤、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でヘビロテになってます (^_^)v。

 
 

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2017年8月17日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・87

昨日は「とあるバンドの武道館ライブ」に参戦していて、ブログを書くことができませんでした。でも、久し振りの「生の音」に触れることが出来て、実に有意義で楽しい夜でした。ライブには足を運ばないとね。活きた音を体感するからこそ、ステレオから出てくる音も楽しめるというもの。 

さて、ジャズの世界に戻ります。最近、1980年代の、フュージョン・ブームが下火になりつつある頃の「メインストリーム・ジャズ」に興味があって、アルバムを探し漁っています。個人的にはジャズを聴き初めて5〜10年経った頃。何と無く、ジャズが判ってきて、個人的な好き嫌いもハッキリしてきた頃かと思います。

Art Farmer『Maiden Voyage』(写真左)。1983年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Masahiko Satoh (key, arr), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds) のジャズ・カルテットをベースに、ストリングスがバックにつきます。日本ジャズの鬼才と言われる佐藤允彦のモダンなストリング・アレンジに乗って、ファーマーのフリューゲル・ホルンが飛翔する。そんな雰囲気が素敵な企画盤です。
 

Maiden_voyage_art_farmer

 
この盤を聴くと、ちょうど録音時期が1983年。フュージョン・ブームが下火になりつつあって、メインストリーム・ジャズに回帰しそうな、そんな雰囲気の強いアルバムがリリースされ始めた時期。それらの演奏には、フュージョン・ジャズの良いところを上手く伝統的なメインストリーム・ジャズに反映して、1980年代前半ならではの「新しい響き」を湛えた演奏内容になっているところが個性的です。

特に、佐藤允彦のストリング・アレンジが振るっている。特にタイトル曲「処女航海」のストリングス・アレンジは絶品。美しい、の一言。と言って、イージーリスニング風にはなっておらず、あくまでジャズの範疇に収まっているところが、この企画盤の優れたところ。僕は当時、この盤を聴いて、ジャズの新しい「伸びしろ」を感じて、まだまだジャズは深化するなあ、と明るい希望を持ったことを覚えています。

かつてデンオン(現デノン)から発売されていた日本制作の企画盤ですが、日本発の企画盤らしからぬ、内容はとても充実しています。フュージョン・ジャズのブームの後の、未来志向のメインストリーム・ジャズのひとつのプロトタイプを提示してくれた、なかなかの内容だと思います。なかなか入手するのが難しいのですが、一度は聴いて欲しい好盤です。

 
 

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2017年8月15日 (火曜日)

ジャズ・バイオリンの秀逸ライブ

ジャズ・バイオリンは稀少である。それなりの音を出すバイオリンとなるとちょっと高価なものになるし、バイオリンを弾きこなそうするなら、それなりにしっかりとした先生につく必要があるし、さすがにバイオリンは教えて貰わないと弾きこなせない。加えて、エモーショナルな表現やスピリチュアルな表現に向かないところがあって、そんなこんなでバイオリンはジャズの世界では稀少価値な存在である。

そんな稀少な存在なジャズ・バイオリンの第一人者が、ステファン・グラッペリ。1908年1月生まれ、1997年12月に逝去。享年89歳。ジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトの相方としても知られる。ジャズ・バイオリンの第一人者であるが、クラシックの世界でも評価は高い。そういうことから、グラッペリのバイオリンにおけるテクニックは相当に高いものがあったと確信している。

そんなグラッペリのジャズ・バイオリンについては、ジャズ者初心者の頃から、時ある毎に振れることが多く、意外と早くから、僕はグラッペリのジャズ・バイオリンに聴き親しんでいた。グラッペリのジャズ・バイオリンは、音にバイオリン独特の嫌味が希薄で、ストレートで美しい。ピッチはばっちり合っていて、躍動感も芳しい。
 

Stephane_grappelli_live_in_san_fran

 
Stéphane Grappelli『Live In San Francisco』(写真)。1982年7月7日、サンフランシスコは「The Great American Music Hall」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Stephane Grappelli (vln), Diz Disley (g), Martin Taylor (g), Jack Sewing (b) などなど。知らない顔ばかりですが、このライブ盤を聴く限り、なかなかのテクニックを持った強者揃いと感じます。

このライブ盤、選曲が良いですね〜。ジャズ・スタンダードの有名どころ、なかなか粋な選曲です。この有名どころのジャズ・スタンダード曲をベースにジャズ・バイオリンしてくれるので、グラッペリのジャズ・バイオリンの個性がとっても良く判る。バイオリンでジャズをするという特徴も、ジャズにおけるバイオリンの効果についても良く判る。

聴いて楽しいジャズ・バイオリン。ステファン・グラッペリはその第一人者。そのグラッペリのバイオリンでジャズ・スタンダード曲を聴く。テーマの旋律を弾き進めるバイオリンの音は端正で凛としていてストレート。旋律の良さが際立ち、アドリブに入ると、バイオリン独特の躍動感に「バップ感」が増幅される。そして、聴いて楽しいアレンジと相まって、とても楽しいライブ盤に仕上がっています。お勧め。

 
 

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2017年8月14日 (月曜日)

デビュー40周年セルフカバー盤

夏風邪をひいたらしい。昨日は朝から喉が痛い。こういう時は風邪薬を飲んで安静にしているが一番。夏風邪やな〜これは、と思うのは、いつの季節も風邪をひいて安静にしていないといけない時、自然とブログを書く気が起こらないのだ。昨日もそうだった。ブログを書く気が起こらない。故に、昨日のブログは急遽、お休みと相成った。

しかし、子供の頃から静かな部屋の中でジッと寝ているのが好きでは無いので、ブログを書く気は起こらなくても、音楽はジャズは聴きたい気持ちは強くあって、昨日も音楽をジャズを聴きながらの安静である。しかし、そんな時はハードな硬派な純ジャズはいけない。耳当たりの良い、爽快なフュージョン・ジャズが良い。「爽快な」とくれば、まずはエレギ中心のフュージョンだろう。

そんなエレギ中心のフュージョン盤の中で、印象に残ったアルバムがこれ。PRISM『Celebrate』(写真左)。PRISM(プリズム)とは懐かしい。学生の頃から社会人の若かりし頃、随分、お世話になった和製フュージョン・バンドである。改めて「プリズム」は、和田アキラ(ギター)と渡辺建(ベース)を中心に1975年に結成されたフュージョン・バンドである。
 

Prism_celebrate

 
デビュー盤『PRISM』のリリースが1977年なので、今年で40周年。そう、この新作『Celebrate』は、「プリズム」のデビュー40周年記念セルフカバーBest盤なのである。そう言われれば「なるほど」と思う訳で、どの曲もどこかで聴いたことのある曲ばかりなのだ。とにかく、和田アキラのエレギを心ゆくまで楽しむ事が出来る。

もともと「バカテク」集団だった「プリズム」。セルフカバーということで、オリジナルと比較してどうか、ということになるが
、これはこれで良い出来では、と思います。オリジナルに比べて、細かいニュアンスなど、細部に渡る表現力がアップしているというか、非常に良く作り込まれ、弾き込まれた「セルフカバー」という気がします。

セルフカバー集だからといって、オリジナルと比較しすぎるのは「野暮」というもの。オリジナルと比べすぎると、聴いていてしんどいかも。「プリズム」デビューから40年。楽器も進歩し、録音技術も進歩し、演奏テクニックも年齢に応じて変化し、このデビュー40周年記念盤には「今」のプリズムがギッシリと詰まっていて、そのプリズム独特の「爽快感」は健在です。

 
 

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2017年8月12日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・111

日本のジャズ、演奏する方も以前からレベルが高い。さすがに1960年代は米国ジャズが世界の先端を走っていたので、遅れはとっていた。が、1970年代になって、情報の流通のスピードが上がってからは、米国ジャズと同等のレベルの演奏水準になり、日本ジャズ独特の個性を獲得していた。

我が国で、1970年代後半から1980年代前半に渡ってブームが続いた「フュージョン・ジャズ」についても同様で、日本のフュージョン・ジャズのレベルって世界レベルを実現していた。そんなジャズメンの中に「深町純」がいた。シンセを駆使したプログレ指向のクロスオーバー・ジャズからスタートして、フュージョン・ブームの中、幾枚かの好盤をリリースしている。そんな中の一枚がこれ。

深町純『On The Move』(写真左)。1978年のリリース。深町純が単身でニューヨークへ乗り込み、現地のミュージシャンたちと作り上げた好盤である。参加ミュージシャンは、当時、フュージョン・ジャズの第一線で活躍していた優れどころばかりがズラリと名を連ねる。
 

On_the_move

 
特に目立つのは、全編に渡ってドラムを担当したスティーヴ・ガッド、全8曲中6曲に参加した、サックスのマイケル・ブレッカー、ベースのアンソニー・ジャクソン。独特の低音の響きを4曲に渡って供給するバリサクのロニー・キューバー。2曲のみの参加だが、印象的なフレーズで記憶に残るヴァイブを担当したマイク・マイニエリ。他、フュージョン・ジャズのアルバムの中で、どっかで聴いたことのある音がてんこ盛り。

そんな中、やはり深町純のキーボードが一番、印象に残る。アナログ音源電子ピアノの Yamaha CP-30、恐らくミニ・ムーグ、そしてメロトロンまで使用して、実に趣味の良い、かつ当時として最高レベルのキーボードの選択&プレイが素晴らしい。使用楽器としては、今の時代から見るともはや骨董品レベルなんだが、音に古さを感じさせないところに、深町純のセンスの高さが感じられる。

当時、米国東海岸中心のミュージシャンをチョイスしてのフュージョン・ジャズなんだが、ファンクネスを全く感じ無いところに、日本フュージョン・ジャズの個性が漂っている。不思議ですよね。日本人はリーダーの深町純だけなのにね。それだけ、バックのミュージシャンのテクニックと表現力が超一流だということでしょう。この盤、明らかに日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。

 
 

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2017年8月11日 (金曜日)

コンテンポラリーなボーカルもの

我が故郷、大阪は最高気温35度と猛暑なんだが、こちら千葉県北西部地方は最高気温24度と思いっきり涼しい一日。東阪の間で10度の気温差がある夏というのは記憶が無い。大阪の友人は暑い暑いと呟くのだが、こちらは涼しすぎて、窓を開けっ放しにしていると、ちょっと肌寒くて、窓を少し閉めたりする。

涼しいということは、ジャズ鑑賞にとっては良いことで、様々なジャンルのジャズを聴くことが出来る。特に、熱いブロウを繰り広げるライブ盤やボーカルものをじっくり落ち着いて聴くことが出来るから良い。今日の様に一日涼しい日は、ジャズ鑑賞のアルバムの枚数が一気に増える。

実は、僕はジャズ・ボーカルが苦手。とりわけ正統なジャズ・ボーカルについては常に苦手意識がつきまとう。正統派なジャズ・ボーカルよりは、ライトなポップ系、フュージョン系のボーカルものが好みだったりする。ジャズ・ボーカルが専門のジャズ者ベテランの方々からお叱りをうけそうな話なんだが、好きなものは仕方が無い。そんなちょっと変わった好みのジャズ・ボーカル。今日はこの盤に舌鼓ならぬ「耳鼓」を打った。
 

Bop_city

 
Ben Sidran『Bop City』(写真左)。1983年の作品。マイルス、コルトレーン、モンクらの代表曲にオリジナルの歌詞を付けて歌い上げる意欲作。パーソネルもふるっていて、Ben Sidran (p, vo),  Phil Woods (sax), Mike Mainieri (vib), Steve Khan (g), Eddie Gomez (b), Peter Erskine (ds)。基本的にフュージョン・ジャズ畑の強者が名を連ねている。

第一印象は、コッテコテの「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズをバックにしたシドランのボーカルなんだろう、なんて思うんだが、いやいやちょっと待て、マイルス、コルトレーン、モンクらの代表曲が集浪曲にズラリと並んでいる。これはフュージョン・ジャズやないやろう。と思って、冒頭の「Solar」から「Big Nick」と聴き進めて感じる。これ、上質のコンテンポラリーな純ジャズのボーカル盤。

ベン・シドランの手なる歌詞をつけられ、コンテンポラリーな雰囲気のライトな純ジャズをバックに、シドランが爽やかに唄い上げていく。フュージョン・ジャズの雰囲気の良いところを踏襲した「コンテンポラリーな純ジャズ」と言った風情がとても素敵である。フュージョン・ブームのピークが過ぎた後だからこそ出来る「コンテンポラリーな純ジャズ」。素敵です。

 
 

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2017年8月10日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・86

昨日は「真夏の台風一過」で晴れ渡りはしたものの、思いっきり蒸し暑い一日になった。で、今日は朝はまだ蒸し暑かったが、夕方になって、涼しい乾いた東風が吹き始めて、一気に涼しくなった千葉県北西部地方。窓を開け放していると肌寒いくらい。これだけ涼しくなると、ジャズも聴きやすくなって、日頃あまり手にしないアルバムを聴いてみたくなったりする。

今日のそんなアルバムがこれ。Elements(MarkEgan & Danny Gottlieb)『Elements』(写真)。January, 1982年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Mark Egan (b), Danny Gottlieb (ds, perc), Clifford Carter (key), Bill Evans (sax)。フュージョン後期の「粋なメンバー」が集う。

バンド名は「Elements」。1982年、米国で結成されたフュージョン、若しくはジャズ・ロックがメインのバンドである。ベースのマーク・イーガン、ドラムのダニー・ゴットリーブが双頭リーダー。歴代メンバーとして、サックスのビル・エヴァンス、ギターのスティーヴ・カーン、ピアノのギル・ゴールドスタインがいる。いわゆる「伝説のフュージョン・バンド」である。
 

Markegan_danny_gottliebelements

 
しかし、このバンド(Elements)のファースト盤『Elements』を聴くと、それまでの「ソフト&メロウ」をウリにした聴き心地の良いフュージョン・ジャズの音世界では全く無く、フュージョン基調ではあるが、音のメインは「メインストリーム・ジャズ」。意外と硬派なコンテンポラリー・ジャズな内容に、今の耳でも「聴き惚れる」。

今で言う「スピリチュアル」な自由度の高いアドリブあり、フォーキーな「ネイチャー・ジャズ」っぽい展開あり、はたまた硬派な「モード・ジャズ」っぽい展開あり、そういう面では、このアルバムはもはや「フュージョン・ジャズ」では無い。ちょっと、パット・メセニー・グループ(PMG)を想起させる様な音の雰囲気もあり、あれれ、と思ったら、イーガンもゴットリーブもPMG出身でした。

このアルバムの存在、約30年もの間、ずっと忘れていた。PMGを集中して聴いていた1980年代は意識していたのだが、1990年代に入ってすっかり忘れてしまっていた。今回、30年ぶりに聴いて、疾走感と爽快感溢れるリズムと、浮遊感が半端無いフェンダー・ローズやキーボードの音色が心地良く、すっかりこのバンドの虜になりました。

 
 

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2017年8月 9日 (水曜日)

Jeff Lorber Fusionは良い感じ

長生きの迷走台風が去った後、台風一過。もの凄く蒸し暑い一日。夕立が来たりして、それでもって涼しくなるかと期待したが、蒸し暑さが倍増しただけで、思わず「ここは本当に日本なのか」と訝しく思うほどの蒸し暑さ。これだけ蒸し暑い、千葉県北西部地方もなかなか無い。とにかく今年の夏は「蒸し暑さが厳しい」。

蒸し暑さが昂じると、もはや純ジャズにじっくり腰を据えて耳を傾けるなんてこと、全く出来なくなる。暑いものは暑い。その蒸し暑さを増幅させるような、熱い純ジャズやフリージャズはもってのほか。気持ち的に熱中症になる。それでもジャズ者の性として、ジャズが聴きたい。そういう時は、爽やかなフュージョン・ジャズもしくはスムース・ジャズが良い。

Jeff Lorber Fusion『Prototype』(写真左)を聴く。今年2月リリース。フュージョン・ジャズのパイオニアの一人でありながら、現在も第一線で活躍するキーボード奏者、ジェフ・ローバー率いるフュージョン・ジャズ・ユニット「Jeff Lorber Fusion」の最新作である。1977年のデビューから40年にわたり活動を続ける老舗中の老舗バンド。日本ではやっと最近、認知度が高くなってきたが、まだまだマイナーな存在。
 

Jeff_lorber_fusion_prototype

 
しかし、このJeff Lorber Fusionの演奏って、聴けば良く判るんだが、凄く流麗で粋。特に、ジェフ・ローバーのキーボード・プレイがとっても格好良い。ローバーのエレピのフレーズは、その音色と雰囲気が「これぞフュージョン」と言えるもので、加えて、キーボード・ソロのアドリブ展開が、やはり「フュージョンかくあるべし」と思わせるに十分な、説得力のあるものなのである。

ちなみにパーソネルは、 Jeff Lorber (p, el-p, key, g), Jimmy Haslip (b), Andy Snitzer (ts, as, ss), Gary Novak (ds), Michael Thompson (g), Larry Koonse (g), Paul Jackson, Jr. (g), Chuck Loeb (g), Jarius Mozee (g), Dave Mann (horn)。うむむ、錚々たるメンバーでは無いか。今の「旬」のフュージョン・ジャズ畑の強者どもがズラリ名を連ねている。このパーソナルを見ただけで、この新作フュージョン盤の内容の確かさが理解出来るというもんだ。

とてもバランスの良い、安定感抜群。フュージョン・ジャズとスムース・ジャズの良いところをハイブリッドっぽく、上手くブレンドして、全く以て「今様」のコンテンポラリーなエレ・ジャズとして、なかなか隅に置けない内容になっている。このジェフ・ローバー・フュージョンが、何故、日本での人気がイマイチなのか、理解に苦しむ。ジェフ・ローバー・フュージョンの正統な評価って、意外とこれからかもしれない。

 
 

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2017年8月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・110

欧州の国々を旅行すると良く判るんだが、どの国にもジャズがある。その国独特のジャズが存在していて、ジャズのライブ・スポットもあるし、レストランなんかで、BGMでジャズが流れていたりする。もともと米国発祥のジャズが、この大西洋を渡った欧州で脈々とその歴史を継いでいるのだ。

今日は「フレンチ・ジャズ」。芸術の都「パリ」が控えるフランス。新しいアートについては、敏感に反応し、良いものについては、臆すること無く、積極的に取り込む。諸手を挙げて評価する。そんなフランスである。1940年代のビ・バップから1950年代のハードバップに敏感に反応し、米国から渡り住んできた、多くのジャズメンを暖かく迎えた。そんなフランスのジャズである。

Georges Arvanitas『Bird of Paradise』(写真左)。1988年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Georges Arvanitas (p), Jacky Samson (b), Charles Saundrais (ds)。ピアノ・トリオである。トリオのメンバーはオール・フランス。出てくる音は確かに「フランスやな〜」って感じの音だから、ジャズって面白い。
 

Georges_arvanitas_bird_of_paradise

 
感性のピアノ・トリオである。決して、理詰めでは無い。感覚最優先の力強いネオ・ハードバップな音作り。アレンジは最低限に留め、三者対等のインプロビゼーションを感性のおもむくまま、ちょっとラフなアンサンブルとアドリブ展開。ゆるゆるだけど決めるところはバシッと決める。品良く跳ねるようなオフビートを感じて、僕はこのトリオ演奏を「シャンパン・トリオ」と呼ぶ(笑)。

全16曲が収録されているが、6曲がアルヴァニタスのピアノ・ソロ。このソロがこれまた味わい深い。米国でもなければ、欧州の他の国のジャズ・ピアノの雰囲気とも全く違う雰囲気の、このフランス独特の(と言って良いだろう)ジャズ・ピアノの響きとフレーズ。力強いがどこかラフな雰囲気が漂いつつ、感性のおもむくまま、決めるところは決める。

ジョルジュ・アルヴァニタス (Georges Arvanitas)は、1931年6月生まれ。惜しくも2005年9月に逝去。享年74歳。フランスはマルセイユ生まれのジャズ・ピアノ奏者である。当初はクラシックのピアニストとして訓練を受けただけある、確かなテクニックに裏打ちされたバップなピアノは実に魅力的。もっともっと彼のピアノが聴きたい。そんな気持ちで一杯になりました。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月 7日 (月曜日)

台風に立ち向かう気合いを溜める

台風が近畿地方に上陸した。真夏の台風らしく、動きが遅く進路も定まらず迷走気味。それでいて、一人前の台風なので、湿った南風を大量に日本列島に供給して、全国のあちこちで集中豪雨である。明日、もしかしたら、この台風は現在の予報通りに、日本海側に抜けないかもしれない。関東地方は要注意である。

さて、ここ千葉県北西部地方は、しばしば台風直撃の被害を受ける。もうここ千葉県北西部地方に住んで既に35年になるが、幾度か台風直撃で怖い体験をしている。逆に、直撃でなければ、意外と台風慣れしてしまって、あんまり事前に不安になることもなくなった。ここ大阪から千葉県北西部地方に移り住んで、お陰様で台風と地震については随分慣れた(笑)。

台風が来るぞ、という時、不安がっても仕方が無いので、景気付けに「フリー・ジャズ」を聴いて、気持ちを鼓舞することにしている。フリー・ジャズで耳から脳髄をバッシバッシと刺激して、台風に立ち向かう気合いを溜めるのだ(笑)。そうやって、この35年、台風をやり過ごして来た。ということで、今回、選んだ盤がこれ。
  

Capricorn_rising

 
Don Pullen Featuring Sam Rivers『Capricorn Rising』(写真)。1975年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Don Pullen (p), Sam Rivers (ts, ss, fl), Alex Blake (b), Bobby Battle (ds, tambourine)。リーダーのピアノのドン・ピューレン、僕がジャズを本格的に聴き始めて3年位経った頃、ジョージ・アダムスとの双頭リーダーのバンドと出会っている。そのジョージ・アダムスがサム・リバースに代わった様な布陣。

当時はこの盤を聴いた時、これぞフリー・ジャズと思ったもんだが、今の耳で聴くと、フリー・ジャズというよりは、フリー・ジャズの雰囲気をメインに押しだした、限りなく自由度の高いメインストリーム・ジャズである。ピューレンのピアノをメインとして、アブストラクトではあるが、リズム&ビートが整然と流れていて、その上を自由度高く、リバースのサックスがフルートがモーダルなフレーズを吹き上げていく。

今の耳には、確実に限りなく自由度の高いメインストリーム・ジャズに響く好演で、即興演奏がメインのジャズとして、これぞジャズ、と感じ入るような、イマージネーションと自由度溢れるインプロビゼーションに耳をそばだてることしきり、である。さて、台風に立ち向かう気合いは溜まった。後は進路がどうなるか、である。

 
 

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2017年8月 6日 (日曜日)

意外とこのライブ盤が好きです

台風が近づいている。台風5号は、宮崎から、明日夕方には近畿直撃の予想。進路に当たる地域の方々は気をつけて下さいね。今回、関東地方、特にここ千葉県北西部地方からは台風の予想進路は離れているが、この辺りは台風の進路によく当たる地域で、台風の威力の怖さは身を持って知っている。ゆめゆめ甘くみることなかれ、である。

さて、今日の一枚は、ディブ・ブルーベックものをもう一枚。1950年代ハードバップ期のライブ盤。『Dave Brubeck and Jay and Kai : Live at the Newport Jazz Festival 1956』(写真)。1956年7月6日、ニューポート・ジャズフェスでのライブ録音。ブルーベック・カルテットの演奏と、ジェイ&カイの演奏とのカップリング。ブルーベック・カルテットの演奏は前半の4曲。

ブルーベック・カルテットのパーソネルは、Dave Brubeck (p), Paul Desmond (as), Norman Bates (b), Joe Dodge (ds)。盟友アルトのデスモンド迎えて、カルテットを立ち上げたのが1951年。それから、約5年が経過して、人気バンドとなったブルーベック・カルテットのライブ演奏が聴ける。
 

Dave_brubeck_and_jay_and_kai_live_a

 
あまり我が国のジャズ盤紹介本に挙がらないライブ盤なんだが、ブルーベック・カルテット初期の意外と硬派なハードバップ演奏が聴ける。ブルーベック・カルテットの演奏というと、デスモンドの流麗で優しいアルトの音がメインの流麗な演奏のイメージがあるが、もともとブルーベックのピアノがスクエアにスイングする骨太なものなんで、意外とアブストラクトで硬派な純ジャズ風に展開する。

特に、後半のジェイ&カイの演奏が、トロンボーンがメインの、明らかに流麗で優しいフレーズ満載のハードバップな演奏なんで、このジェイ&カイの演奏の対比からしても、このライブ盤でのブルーベック・カルテットは、当時のジャズとしては意外とアブストラクトで硬派な純ジャズ風。そんなイメージが強調されて、ブルーベック・カルテットの本質を理解するのに丁度良い塩梅なのだ。

1954年から始まったニューポート・ジャズフェス。それから2年後のまだ始まったばかりのジャズフェスでのライブ録音。聴衆の雰囲気も良好で、当時の良きジャズの環境と演奏をダイレクトに感じることが出来る。いわゆる「聴いて楽しむ為の鑑賞としてのジャズ」の良きサンプルがこのライブ盤に詰まっている。僕、意外とこのライブ盤が好きです。

 
 

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2017年8月 5日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・109

昨日の夕方から空気が入れ替わったのか、夜の間に降った雨が湿気をしっかり残して、朝から思いっきり蒸し暑い千葉県北西部地方。これだけ蒸し暑いと身体に堪える。というか、今の身体は以前の様な耐性が無く、気温の変化や湿度の高さについては「かなり辛い」。ちょっと伏せりながら、気を紛らしたくてジャズを聴いたりしている。

Dave Brubeck Quartet『Paper Moon』(写真左)。1981年9月の録音。ちなみにパーソナルは、Dave Brubeck (p), Jerry Bergonzi (ts), Chris Brubeck (b), Randy Jones (ds)。ディブ・ブルーベック・カルテットというと、アルトのポール・デスモンドが定番なんだが、ここでは、テナーにジェリー・バーガンジを迎えたカルテットで吹き込んだアルバムになる。

アルトのデスモンドは、柔らかで優しい音色の流麗なフレーズが個性のアルトなので、ブルーベックのスクエアに跳ねるようにカクカクとスイングするピアノとの対比が独特で素敵な雰囲気を醸し出していた。が、ここでのテナーのバーガンジはコルトレーン・スタイル(フリー・ジャズに走る前の)のテナーで、硬派で実直なフレーズが特徴。これって、ブルーベックのピアノにあうんかいな、とちょっと不安になる。
 

Paper_moon

 
冒頭の「Music, Maestro, Please!」を聴けば、そんな不安は杞憂だったことが判る。コルトレーン・スタイルの硬派で実直なテナーが、ブルーベックのスクエアに跳ねるようにカクカクとスイングするピアノに違和感無く、スッポリと収まる。デスモンドのアルトとは「正反対の対比の妙」だったが、バーガンジのテナーとは「融合と協調の妙」である。雰囲気の似通ったピアノとテナーの競演が見事である。

こうやって聴いていると、我が国でのブルーベックに対する酷評、スイングしないピアニストだとか、そもそもジャズ・ピアノじゃない、とか結構酷いこと言われてるんだけど、それらが如何に「お門違い」の評価なのかが良く判る。ブルーベックは伴奏上手だし、ブルーベックのピアノは、彼独特のスイング感があって、やはり素敵だ。スクエアに跳ねるようにカクカクするスイング感。

この盤、選曲がふるっていて、なかなか小粋なスタンダード曲が選曲されていて、これが実に良い。ブルーベックについては、何時の時代にも言えることなんだが、アレンジがとても良好。コンコード・レーベルからのリリースで、独特の録音の雰囲気とも相まって、このカルテットの醸し出す心地良いテンションと共に、聴き応えのあるスタンダード集になっています。好盤です。

 
 

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2017年8月 3日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・57

北欧ジャズは、昼下がりのジャズ喫茶に良く似合う。それも、昼ご飯時の喧噪が潮のように引いた、客も疎らになった静かな店内。そんな静かな店内に流れる北欧ジャズ。透明感のある音と独特な深いエコー。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。昼下がりもこの真夏の昼下がりが良い。エアコンの効いた客も疎らなジャズ喫茶の寂しさ漂う空間が良い。

Nikolaj Hess『Trio』(写真左)。2012年の作品。ちなみにパーソネルは、Nikolaj Hess (p), Tony Sherr (b), Kenny Wollensen (ds)。Nikolaj Hess=ニコライ・ヘスは、透明感のあるトーンとリリカルなフレーズが個性の北欧はデンマークのピアニスト。ロックやポップスの楽曲を積極的にカヴァーするのも特徴で、この盤でも、4曲目の「Masters At War」はボブ・ディランの作。

冒頭の「Make You Feel My Love」を聴くだけで、あ〜これは北欧ジャズやなあ、と判る。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。す〜っと余韻の伸びるピアノの音。切れ味の良い純度の高いシンバルの響き。リリカルでしっかりとビートの効いたドラム。3者対等なピアノ・トリオのインプロビゼーション。明らかにこの盤は「北欧ジャズ」。
 

Nikolaj_hess_trio

 
2曲目「Film」は打って変わって躍動感溢れるトリオ・インプロビゼーション。ダイナミックな展開ではあるが、それぞれの音は透明度の高い、切れ味の良い音。結構、自由度の高いアドリブ展開を繰り広げるが、決して破綻することは無い。ふらつくことも無い。整然と北欧ジャズらしい、スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。

自由度の高い、モーダルなインプロビゼーションではあるが、全編に渡ってリズム&ビートが整っているが故、非常に聴き易く、飽きが来ない。モーダルなアドリブフレーズを耳で追っているうちに、一気に聴き切ってしまう。テクニック確かな、端正なトリオ演奏。メリハリと抑揚、緩急が効いたバリエーション豊かな展開。

北欧ジャズは、エアコンの効いた客も疎らな、独特の寂しさ漂う「昼下がりのジャズ喫茶」に良く似合う。透明感のある音と独特な深いエコー。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。思わず「微睡み」を誘われ、ついつい至福の時に身を委ねる。そんな北欧ジャズが朗々と流れる、そんなジャズ喫茶の昼下がりが僕は大好きだ。

 
 

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2017年8月 2日 (水曜日)

懐かしのハーブ・アルパート

昨日の雨の後、空気がそっくり入れ替わったのか、とても涼しい千葉県北西部地方である。部屋の中に涼風が駆け抜ける。部屋の中でジッとしていると寒いくらいだ。あの〜8月2日なんですけど。もう9月中旬の陽気である。でも、この涼しさも明日くらいまで。徐々に暑くなってきて、来週の半ばには蒸し暑い夏に戻るんだろうなあ。

でも、これだけ涼しくなると、ジャズを聴くのも楽しくなる。これだけ涼しくなると、フュージョン・ジャズもど〜んと来い、である。で、ネットを徘徊していたら、このアルバムの存在に気がついた。Herb Alpert『Beyond』(写真)。1980年の作品。フュージョン・ブーム真っ只中の「思いっきりフュージョン」なアルバムである。

アーバンでクール。ハーブ・アルパートのトランペットがブリリアントで躍動感溢れ、バックのリズム隊が明確なリズム&ビートを叩き出す。エレクトリック楽器中心の演奏なんだが、決して耳触りにならない。メロディアスでメリハリが効いたフレーズの連発。ラテンな雰囲気を醸し出しつつ、コンテンポラリーな先取性溢れるトレンドの取り込み。
 

Beyond

 
演奏の底はしっかりとジャズなので、これぞフュージョン・ジャズ、と思わず感心してしまう内容。なんて表現したら良いのかなあ。このアルバム全体の流れが一番の個性なんですよね。1曲1曲の曲それぞれの出来が凄く良いのでは無くて、アルバムに収録されている曲がどんどん繋がっていって、そのアルバム全体の流れが凄く良い。あ〜っ、これがフュージョン・ジャズやな〜、って思うんですね。

それと、あまり指摘されていないようですが、このアルバム、アレンジが秀逸。今の耳にも古さは殆ど感じさせないほどの、普遍的なアレンジが素敵です。フュージョン・ジャズってこういうアレンジで攻めるよな、というアレンジのサンプルがどっさり詰め込まれているアルバムでもある、と感じています。

とにかく懐かしいフュージョン盤。1980年のリリース以来、学生時代の残り2年間、この盤は結構聴きまくりました。実は、このルバム、しばらく入手困難な状態で、忘れ去れてたアルバムになっていました。今までのビヨンドのCD化は日本のみ。昨年やっと米国でもCDリイシューされたそうで、その流れの中で僕もこの盤をゲット出来たということで、実に喜ばしい出来事でした。

 
 

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2017年8月 1日 (火曜日)

エアコンに「北欧ジャズ」である

午後から雨が降って、湿度は高いがちょっと涼しくなった我が千葉県北西部地方。ちょっと涼しくなったが、湿度の高さは相変わらずで、仕事帰りの疲れた体に良くないので、結局、部屋にはエアコンである。エアコンをかけると、当然、窓を閉めるので、室内は静かになる。エアコンで湿度が和らいで静かな室内。

そんな部屋には「北欧ジャズ」である(笑)。いや、冗談無しにエアコンで湿度が和らいだ部屋には「北欧ジャズ」が良く似合う。北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。思わず「北欧やな〜」と唸ってしまう(笑)。

今日選んだ「北欧ジャズ」盤は、Hans Ulrik & Lars Jansson『EQUILIBRIUM+』(写真左)。デンマークの人気サックス奏者ハンス・ウルリク(写真右)をフロントに迎えた、スウェーデンの抒情派ピアノ名手ラーシュ・ヤンソン率いるトリオの作品である。
 

Equilibrium

 
タイトルに「+」が付いているのは何故か。この盤は、収録曲をよくよく見ると判るのだが、2012年録音の新作『Equilibrium』全11曲から9曲をセレクト、更に、同じくウルリクとヤンソンの共演による1994年録音のウルリク名義の『Strange World』全12曲からの5曲をプラスした日本独自編集盤である。だから「+」が付くのか。なるほど。

冒頭の「Downward Dog」から、完璧な「北欧ジャズ」である。ところどころ、4ビートのゴスペルチックなフレーズが出てくるんだが、これが実に良い雰囲気。僕はこの展開が大好きだ。でも、決して「黒くならない」。ファンクネスも漂わない。それでも、思いっきりジャジーなビートが実にスインギー。フォーキーで牧歌的な寛ぎのフレーズが心地良い。

ウルリクの開放感溢れる、ストレートに伸びた大らかなサックスと、ほど良く抑制された躍動感&透明感溢れるヤンソンのピアノ。ウルリクとヤンソンの持つ「北欧ジャズ」特有のリリカルな美しさがこの盤に満載である。いや〜「北欧ジャズ」は素晴らしい。

 
 

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