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2017年7月25日 (火曜日)

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」

この5年ほど前から気になるトラペッターがいる。Ambrose Akinmusire、片仮名表記すると「アンブローズ・アキンムシーレ」と書く。1982年生まれ。ナイジェリアの血を引き、カリフォルニア州オークランド育ち。今年31歳になる若き中堅ジャズ・トランペッター。今年で35歳。中堅に差し掛かる年頃である。

アンブローズ・アキンムシーレのトランペットは知的。乾いてはいるが、重心が低く、ぶ厚く骨太な音色。緩やかにウネウネと不思議な抑揚を伴った思索的なフレーズ。ちょっとくすんだような、夕暮れ時の様な、やや薄暗い雰囲気のトランペットはとっても個性的。そんなアキンムシーレが、NYの老舗ライブハウス、ビレッジ・バンガードでライブ録音をした。

Ambrose Akinmusire『A Rift In Decorum : Live At the Village Vanguard』(写真左)。CD2枚組のボリューム。4晩に渡り録音し、その中から厳選した16曲を収録。ちなみにパーソネルは、Ambrose Akinmusire (tp), Sam Harris (p), Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds)。今年の6月のリリースになる。
 

A_rift_in_decorum

 
アキンムシーレのトランペットは「スピリチュアルな」ブロウが個性と思っていたが、このライブ盤を聴けば、その印象は脆くも崩れる。基本は限りなく自由度の高いモード・ジャズなんだが、かなりの割合でフリー・ジャズの演奏が入っている。かなり高度なテクニックを前提とした、限りなく現代音楽的なフリー・ジャズ。アーティスティックな響きをビンビンに感じる。

このフリーな演奏は明らかに以前の「フリー・ジャズ」の焼き直しである。決して、最近流行のスピリチュアルな演奏では無い。本当に「フリー」なのだ。このフリー・ジャズな演奏をどう聴くか、によって、このライブ盤の評価は変わるだろう。しかし、無手勝流のフリー・ジャズでは無い。しっかりと練られた、思索に溢れる、現代的なフリー・ジャズである。

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」。ジャズを「アート」と捉え、現代音楽の一種と捉えることが出来る人のみが、このライブ盤を観賞可能な盤にすることが出来る。決してポップでは無い。聴いて楽しむ演奏では無い。この自由度の高い演奏を「アート」として捉えてのみ、このライブ盤の楽しさは倍増する。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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