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2017年7月の記事

2017年7月31日 (月曜日)

アーティスティックなビ・バップ

暑いですね〜。今年は特に蒸し暑い。これだけ蒸し暑いと体力を奪われて、もう音楽を聴くどころの騒ぎでは無い(笑)。でも、ジャズは聴きたい。これだけ蒸し暑いと、ジャズを聴くのにエアコンは欠かせません(笑)。

ということで、エアコンを効かせた涼しい部屋で聴くジャズ。ピアノ・トリオが良い。最近、この人のピアノ・トリオをちょくちょく選盤して聴いている。シンプルで聴き易い。でも、我が国ではとんと人気が無い。ジャズ雑誌やジャズ盤紹介本で、このピアニストの名前が挙がることは僅少。

それでも、この人のピアノは聴き易い。アーティスティックなビ・バップである。他のビ・バップなピアニストの様に、テクニックを最高レベルに見せつつ、アクロバティックにアドリブ展開し、拍手喝采を獲得するような、エネルギッシュに弾き倒すビ・バップなピアノでは無い。ちょっとアーティスティックに洒脱なビ・バップなフレーズを弾く、お洒落なビ・バッパーである。
 

Billy_taylor_at_the_london_house

 
そんな彼のピアノが堪能できる盤がこれ。Billy Taylor『At The London House』(写真左)。1956年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Percy Brice (b), Earl May (ds)。ビリー・テイラー以外、ベースもドラムも知らない名前。どうも、ビリー・テイラーは、僕達が聴いていたジャズとは少し外れたところに居た様に思う。

ビリー・テイラーは、1921年7月27日、ノース・キャロライナ生まれ。2010年に鬼籍に入っている。ジャズメンの中ではかなりの古手。年齢的に、ビリー・テイラーの身に染みたメインのスタイルは「ビ・バップ」。アメリカ国内では、数々の音楽的功績から「Dr. Taylor(テイラー博士)」と敬意を表され、逆に我が国では「うまい人だが、学者っぽくて何故かあまり面白みが無い」と揶揄された。

しかし、そんな我が国での揶揄は「聴かず嫌い」の典型的な例。まずは聴くこと。アーティスティックで粋なビ・バップ・ピアノが堪能できる。テクニックも確か、アーティスティックで洒脱なアドリブ展開が見事だ。加えて、演奏のアレンジが意外と洒落ている。黒人のコッテコテ、ファンキーなジャズとは対極にいるような、洒脱なビ・バップなフレーズ。なかなかの個性です。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年7月30日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・85

バイオリン。ジャズにおいて、数は少ないが「バイオリン・ジャズ」は存在する。ブルージーな雰囲気を醸し出し、オフビートを強調したフレーズを連発するには、バイオリンという楽器は「向いていない」。それと、それなりの音を出そうとすると、なんせ楽器の値段が高い。バイオリンを弾き回すには、それなりの基礎教育が必要。そんなこんなの理由から、バイオリン・ジャズは数が少ない。

それでも、年に何枚かはバイオリン・ジャズの好盤がリリースされる。絶滅危惧種的なリリース数の少なさだが、基本的にリリースされるアルバムのレベルは水準以上。聴き応えのあるアルバムが基本的にリリースされている。しかし、バイオリン・ジャズは基本的に黒く無い。クラシックっぽく流麗でメロディアス。

昨年、こんなバイオリン・ジャズのアルバムがリリースされた。Jerry Goodman『Violin Fantasy』(写真左)。Jerry Goodman=ジェリー・グッドマン。どっかで聞いたことのある名前なんだが....。この盤のバイオリンの音を聴いて、これって、1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの音。そうか、第一期マハヴィシュヌ・オーケストラのバイオリン奏者であった。
 

Jerry_goodman_violin_fantasy

 
このアルバムの演奏を聴いていると、これってジャズか、と感じる。ジャズ+ロックのクロスオーバー・ジャズ的な音ではあるが、どちらかと言えば、1970年代前半、ロック界を席巻した「プログレッシブ・ロック」の音世界に近い。調べてみたら、ゲストに、ドイツを拠点とするプログレ・バンドのNEKTARや、トニー・レヴィン、ビリー・シャーウッド、リック・ウェイクマンが参加している。

じっくり聴いていると、音の基本は「マハヴィシュヌ・オーケストラ」の音に近い。1970年代前半のクロスオーバー・ジャズのテイストが実に懐かしい。曲自体の構成力も確固たるものがあり、その構成力に応える演奏隊のテクニックも実に高いものがある。全編に渡って演奏充実。聴き始めたら一気に聴き切ってしまうほどの内容の濃さ。

この盤、ジェリー・グッドマンとして、1988年の『It's Alive』以来、約28年ぶりにリリースしたソロ名義でのアルバムとのこと。収録曲は新録曲とカバー曲が半々という構成で、今から思えば「企画盤」の色合いが強いのですが、なんせ28年ぶりのソロ名義のアルバムなので、全く気になりません。プログレ・テイストの濃い壮大なロック・シンフォニーがベースのクロスオーバー・ジャズ。僕には大好物です。

 
 

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2017年7月29日 (土曜日)

アフロビートなハードバップ

毎月毎月、途切れること無くジャズの新盤がリリースされる。若手のコンテンポラリーな純ジャズもあれば、アーバンでお洒落なスムース・ジャズもある。そして、ベテランの渋いネオ・ハードバップなジャズもある。そんな中、初顔のものもある。かなりのベテランの新盤でも「初顔」の場合もある。

Tony Allen『A Tribute To Art Blakey and the Jazz Messengers』(写真左)。今年の5月のリリース。収録曲は4曲。ミニアルバム、レコードの仕様からすると「10inch vinyl」である。ジャケットからして雰囲気がある。

しかし、僕は「Tony Allen(トニー・アレン)」の名を知らない。ジャケット写真から見ると「ドラマー」であることは判る。タイトルからすると「アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース(以降「JM」と略す)」のトリビュート作品だということは判る。この雰囲気あるジャケットが凄く気になる。さて、トニー・アレンとは。調べれば「ナイジェリア出身の伝説のドラマー」。1940年8月生まれなので、今年で77歳になる大ベテランである。
 

A_tribute_to_art_blakey_and_the_jaz

 
アフロビートの創始者、フェラ・クティの右腕として活動とある。僕がメインストリートなモダン・ジャズを中心に聴いてきて、アフロビートな音を聴き始めたのはつい10年前から。恐らく、出会う機会が無かったのだろう。そんなトニー・アレンが、ドラム叩くきっかけとなった若き頃からのアイドルがJM。なるほど、それでトリビュート盤なのね。

とても雰囲気のあるコンテンポラリーな純ジャズである。JMのトリビュート盤であるから、収録曲は全てJMの代表曲ばかりだが、この盤での演奏の雰囲気は決して「ハードバップ」では無い。さすがアフロビートがメインのドラマー、トニー・アレンである。アフロビートなジャズ・メッセンジャースがここにある。トニー・アレン含む8ピース・バンドが同じ部屋でライヴ一発録り。音も良い。でも、音の雰囲気は「アフロビート」。

むっちゃ魅力的なネオ・ハードバップである。アフロビートなネオ・ハードバップ。ミニアルバムでは無い、フルサイズの音が聴きたい。そんな思いを強く抱かせる秀作である。ブレイキーはビバップ、ハード・バップ、アレンはアフロ・ビートの創生者の一人。アレンはまだ現役である。

 
 

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2017年7月28日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・56

この2日ほど、ここ千葉県北西部地方はとても涼しい。天気は良くないのだが、最高気温が25度程度なので涼しく感じる筈だ。当然、夜寝る時もエアコンは不要。送風で十分。雰囲気は「戻り梅雨」状態である。今日も最高気温は32度まで上がったが、それでも夕方から夜にかけて、風が吹いてとりあえず涼しい。

これだけ涼しいと、スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズをゆったりと聴きたくなる。暑い夏には、どうにも朗々としたバラードチックなジャズは聴いていると、じんわりと汗ばんでくるようで、あんまし宜しくないんだが、この2〜3日の陽気はそうでも無い。で、そんな盤を物色する。

Dayna Stephens『Peace』(写真左)。2014年のリリース。僕は、この盤のジャケットに思いっきり惹かれた。明らかにこの盤は、スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズがぎっしり詰まっていますよ、って面構えをしている(笑)。実はこの盤は、そんな「ジャケ買い」。で、聴いてビックリ、そのイメージ通りの演奏がぎっしり詰まっている。
 

Dayna_stephens_peace

 
Dayna Stephens(デイナ・ステファンズ)。ブルックリン生まれのサックス奏者。1978年生まれなので、今年で39歳。バリバリ中堅のテナー奏者である。朗々とテナーを鳴らす。ブリリアントなテナー。ブラスがブルブルと心地良く鳴る。そんなテナーで全編、バラードチックな演奏でギッシリと埋め尽くす。こんなにテナーが素敵に鳴るアルバムはそうそう無い。

ちなみにパーソネルは、Dayna Stephens (ts,ss,bs), Brad Mehldau (p), Julian Lage (g), Larry Grenadier (b), Eric Harland (ds)。この盤、聴いていて、とっても印象的なピアノが鳴っているんだが、なんとブラッド・メルドーだったんですね。なるほどなるほど。伴奏上手なメルドー。フロントのデイナを鼓舞し、しっかりと支える。ほんと充実した密度の濃い演奏の数々。

ジャズ喫茶の昼下がりの「ノンビリとした静寂」にピッタリのバラード集。スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズ。そんなジャズを約50分間に渡って、聴き手を飽きさせずに聴かせるのだ。充実のバラード集。こんなに素敵に朗々となるテナー。そう言えば、今までに無いことに気が付いた。

 
 

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2017年7月27日 (木曜日)

ジョアンの個性を思い出した。

ジャズ・ピアニストの個性はバリエーションに富んでいる。「〜派」などと呼ばれるスタイルや個性の系列はあるけども、まず同じ個性は無い。個性は個性なので、僕はこのピアニストのそれぞれの個性を取り上げて、優劣を論じるのは好きでは無い。

個性に優劣は無い。また、自分のお気に入りの系列のピアニストだけを良しとして、その他は駄目出しするような、偏った贔屓を押し出すのも好きでは無い。出来るだけ多くのジャズ・ピアニストを聴いて、その無限に拡がる個性を愛でたい、と思うばかりである。と思いながら、この人のリーダー作についてはあまり聴いたことが無いことに気がついた。

Joanne Brackeen(ジョアン・ブラッキーン)である。米国出身。「ジャズ・ピアノのピカソ」と呼ばれ、ビー・バップからラテン、アバンギャルドなど、あらゆるジャンルに適応した、バリエーション豊かなピアノが個性。一風、チック・コリアの通じるところがあると僕は睨んでいる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「唯一の女性メンバー」としても有名。

実はこのリーダー作を聴いて、彼女の名前を思い出したのだ。Joanne Brackeen & Clint Houston『New True Illusion』(写真左)。1976年7月の録音。Joanne Brackeen (p), Clint Houston (b) のデュオ・パフォーマンス。むっちゃ乱暴で地味なジャケットなので、これがブレーキになって触手が伸びなかった。
 

New_true_illusion

 
が、今回、冒頭のチック作の「Steps - What Was」に強く惹かれた。ということで思わずゲット。そして、このデュオ盤で、ジョアンのピアノの個性をはっきりと思い出した。男勝りの豪快で力強いタッチ。切れ味良く極めて豪快。理論より感性で紡ぎ出す、捻れたリズムとメロディー&コード。

テクニック確かで骨太のクリント・ヒューストンのベースと組んず解れつ、ガップリと組んで、スリリングな展開を聴かせてくれる。ゴンゴンいう左手と、右手から出てくる出てくるシーツ・オブ・サウンド。マッコイ・タイナーか、とも思うが、それでいて流麗でスケールの大きなメロディアスな弾き回し。これはチック・コリア風。

しかし、である。そこに前衛音楽風のフリーでアブストラクトなフレーズが出てきたり、クラシック・ピアノの様な端正な弾きっぷりが顔を出したり。やはり、この人のピアノも唯一無二の個性の塊であり、ジャズ・ピアニストとして「一国一城の主」である。

そう言えば、暫く、ジョアンのピアノを聴くことが無かった。とにかく、豪快で力強い。それでいて流麗。このデュオ盤を聴いて、ジョアンのピアノをもっともっと聴きたいと思った。 

 
 

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2017年7月26日 (水曜日)

マイルス・ミュージックの再現

この人のトランペットは気になりながらも、あまり聴く機会が無かった。Nicholas Payton(ニコラス・ペイトン)。1973年、ニュー・オーリンズ生まれ。音楽一家に育ったサラブレット。力感溢れる、それでいて流麗でブリリアントなトランペットは、明らかに、ウィントン・マルサリスに次ぐ、次世代トランペッターの代表の一人である資格は十分。

そんなペイトンも今年で44歳、中堅の年頃に差し掛かり、ジャズメン人生の中で、一番充実した時間を過ごしつつあるのではないか。そして、今年リリースされた新盤が、Nicholas Payton『Afro-Caribbean Mixtape』(写真)。ちなみにパーソネルは、Nicholas Payton (tp, p, vo), Kevin Hays (key), Vicente Archer (b), Joe Dyson (ds), Daniel Sadownick (per), DJ Lady Fingaz (turntablist)。

本作は、タイトル通り、アフロ〜カリビアンなカリプソな雰囲気漂うサウンドから、アーバンかつクールなモード・ジャズから、硬派なアコ・ジャズから柔軟なエレ・ジャズまで、基本的に「クールでコンテンポラリーなジャズ」を収録していて、ミックステープのような曲間の無い作りになっている。
 

Afrocaribbean_mixtape

 
ペイトンは基本的にはトランペッターですが、マルチプレイヤーの側面も持ち合わせていて、キーボードやドラム・プログラミング等の楽器や、はたまたボーカルもこなす。そんなマルチな個性を活かして、R&Bやヒップホップ、ワールドミュージックといった要素も織り込んで、フュージョン寄りのコンテンポラリーな純ジャズを展開する。

こういう音を聴いていると、マイルス・デイヴィスを思い出す。マイルスも常にその時代時代のクールな「音楽のトレンド」を取り込み、当時として革新的な「クールでコンテンポラリーなジャズ」を誰よりもいち早く展開していた。ペイトンの音世界は革新的ではないにせよ、現代の「音楽のトレンド」を積極的に取り込み、マイルス・ミュージックの現代版を表現している様で、とても意欲的だ。

収録された演奏はどれもが充実していて聴き応えがある。が、CD2枚組、トータル時間2時間以上の収録時間の長さはさすがに「トゥー・マッチ」。それぞれの演奏のメインテーマを整理して、2枚の異なったアルバムに収斂した方が良かったと思う。プロデュースしきれなくて「ミックステープ」風にアルバム化してしまうにはあまりに惜しい。それほど、個々の演奏の内容は濃いものがある。「トゥー・マッチ」ではあるが好盤。

 
 

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2017年7月25日 (火曜日)

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」

この5年ほど前から気になるトラペッターがいる。Ambrose Akinmusire、片仮名表記すると「アンブローズ・アキンムシーレ」と書く。1982年生まれ。ナイジェリアの血を引き、カリフォルニア州オークランド育ち。今年31歳になる若き中堅ジャズ・トランペッター。今年で35歳。中堅に差し掛かる年頃である。

アンブローズ・アキンムシーレのトランペットは知的。乾いてはいるが、重心が低く、ぶ厚く骨太な音色。緩やかにウネウネと不思議な抑揚を伴った思索的なフレーズ。ちょっとくすんだような、夕暮れ時の様な、やや薄暗い雰囲気のトランペットはとっても個性的。そんなアキンムシーレが、NYの老舗ライブハウス、ビレッジ・バンガードでライブ録音をした。

Ambrose Akinmusire『A Rift In Decorum : Live At the Village Vanguard』(写真左)。CD2枚組のボリューム。4晩に渡り録音し、その中から厳選した16曲を収録。ちなみにパーソネルは、Ambrose Akinmusire (tp), Sam Harris (p), Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds)。今年の6月のリリースになる。
 

A_rift_in_decorum

 
アキンムシーレのトランペットは「スピリチュアルな」ブロウが個性と思っていたが、このライブ盤を聴けば、その印象は脆くも崩れる。基本は限りなく自由度の高いモード・ジャズなんだが、かなりの割合でフリー・ジャズの演奏が入っている。かなり高度なテクニックを前提とした、限りなく現代音楽的なフリー・ジャズ。アーティスティックな響きをビンビンに感じる。

このフリーな演奏は明らかに以前の「フリー・ジャズ」の焼き直しである。決して、最近流行のスピリチュアルな演奏では無い。本当に「フリー」なのだ。このフリー・ジャズな演奏をどう聴くか、によって、このライブ盤の評価は変わるだろう。しかし、無手勝流のフリー・ジャズでは無い。しっかりと練られた、思索に溢れる、現代的なフリー・ジャズである。

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」。ジャズを「アート」と捉え、現代音楽の一種と捉えることが出来る人のみが、このライブ盤を観賞可能な盤にすることが出来る。決してポップでは無い。聴いて楽しむ演奏では無い。この自由度の高い演奏を「アート」として捉えてのみ、このライブ盤の楽しさは倍増する。

 
 

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2017年7月23日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・23

今日は一日中曇り空。こういう日は気温が30度程度に抑えられて、猛暑日になることは無い。風も適度に吹いて、今日は午前中はエアコン要らず。しかし、午後からは気温は30度程度で昨日よりは遙かに過ごしやすいのだが湿度が高い。湿度の高さは苦手で、遂に夕方、エアコンに手を出した。もう高い湿度にへとへとである(笑)。

エアコンを入れたことによって、湿度がグッと下がる。ちょっと爽やかさが帰って来たので、なんか爽快感溢れるフュージョン・ジャズは無いのか、と物色する。すると、トランペット片手に、波打ち際で波を蹴って戯れるおっちゃんのジャケットが目にとまる。なんか波打ち際で涼しげではないか(笑)。

Rick Braun『Around The Horn』(写真左)。今年2月の新作になる。Rick Braun(リック・ブラウン)は、1955年生まれの米国のトランペット奏者である。活躍の中心は「スムース・ジャズ」。今年62歳の大ベテラン。スムース・ジャズが主戦場であるが故、我が国では全く無名に近い。
 

Around_the_horn

 
でも、聴けば判るんだが、ちょっとハープ・アルパートを想起させる様な、ブリリアントで躍動感溢れる、ストレートで判り易いトラペットを吹く。いわゆる「スムース・ジャズ向け」のトランペットで、聴いていると、耳の中が爽快感で満たされていくのが良く判る。この説得力のあるトランペットの音を聴けば、米国スムース・ジャズのビック・ネームの一人ということが心底納得できる。

加えて、このアルバムは全編に渡ってアレンジが秀逸で、アーバンなムードで落ち着いた雰囲気の、大人のコンテンポラリーなジャズを聴かせてくれる。とりわけ、カヴァー曲の3曲、4曲目の「We Don’t Talk Anymore」はチャーリー・プース、6曲目「In Common」はアリシア・キーズ、10曲目の「Yellow」はコールドプレイと、最近の新進のポップ・アーティストの秀曲を選曲しているセンスは隅に置けない。

アーバンなムードで落ち着いた雰囲気が魅力の好盤のジャケットが、トランペット片手に、波打ち際で波を蹴って戯れるおっちゃんのジャケットなのか理解に苦しむが、最近の米国ジャズ界の出来事なので、特に驚くことも無い。まずはこのジャケットの先入観を断ち切って、この盤に詰まっている上質なスムース・ジャズなトランペットに耳を傾けて欲しい。ながら聴きに最適。良い音出してます。

 
 

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2017年7月22日 (土曜日)

底抜けに明るいソウル・ジャズ

暑いですね〜。最近の夏はいつも「猛暑モード」。予報で「冷夏かも」という年もあったが、すべて「猛暑」。もう猛暑日と聞いてもビックリしなくなって久しい。ここ千葉県北西部地方では、特に今年は空梅雨状態で大した雨も無く(台風が来た時、結構降った位かなあ)いきなり夏空に突入したので、とにかく暑い。

暑い時は難しいジャズは絶対に回避。音楽を聴く心が「バテる」。聴いていて心がウキウキするようなジャズが良い。ノリの良いブルージーでリズミックなジャズが良い。そんなジャズをエアコンの効いた部屋の中で、好きな本でも読みながらゆったり過ごす。暑い夏でも「至福の時」である。

そんなこんなで選んだアルバムが、George Benson『It's Uptown』(写真左)。1966年の作品。ちなみにパーソネルは、George Benson (g, vo), Ronnie Cuber (bs), Bennie Green (tb), Lonnie Smith (org), Jimmy Lovelace (ds), Ray Lucas (ds, tracks 2, 3)。渋い、渋いパーソネルである。
 

Its_uptown

 
ロニー・キューバのバリサク、ベニー・グリーンのボーン、そしてなんと、ロニー・スミスのプログレッシブなオルガンがバックに控えている。明らかにファンキーでソウルフルな、聴いていて心がウキウキするようなジャズが聞こえてきそうなメンバー構成である。R&B基調のとびきり楽しいジャズが展開される。

当時のベンソンの紹介文に「The Most Exciting New Guitarist on the Jazz Scene Today(今日のジャズシーンで最もエキサイティングな新進ギタリスト)」と書かれていた様に、その期待に違わず、ベンソンはソウルフルにブルージーに、R&Bっぽいギターを弾きまくる。少しだけ披露するボーカルも良い感じ。後の「唄って弾きまくるジャズギタリスト」の片鱗を見せてくれる。

後のソフト&メロウなフュージョン・ギタリスト兼ボーカリストのベンソンとは雰囲気が異なるが、このあっけらかんとした、明るいキャラクターの方がベンソンの本質なんだろう。アルバム全編に渡って、底抜けに明るいソウルフルなジャズが聴ける。こういう、あっけらかんとしたジャズは、難しいこと考えずに楽しく聴ける。この猛暑の夏にピッタリである。

 
 

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2017年7月21日 (金曜日)

プレスティッジには気を付けろ

プレスティッジ・レーベルほど、いい加減なジャズ・レーベルはないのではないか。手当たり次第、暇なジャズメンに声をかけて、スタジオで繰り広げるジャム・セッション。リハーサル無しの一発勝負の録音。録音時期の整合性を無視したフィーリングだけを頼りにした「寄せ集め的なアルバム編集」。しかも、LPを大量生産する為に、LP両面合わせて、収録時間が30〜40分までの短いトータル時間。

Miles Davis & Lee Konitz『Conception』(写真左)。PRLPの7013番。この盤ほど、プレスティッジ・レーベルらしい盤は無いのではないか。やっつけの一発勝負の録音、フィーリングだけの録音時期の整合性を無視した「寄せ集めなアルバム編集」。この盤はそういう意味では「凄い内容」である(笑)。

まず、このアルバムのリーダーがあのマイルス・デイヴィスとリー・コニッツである。クール・ジャズの双璧、マイルスとコニッツ。この二人がガップリ組んでセッションを繰り広げる、そんな期待を十分に持たせてくれる、そんな二人の名前が並んでいるのだ。で、聴き始めると激しい違和感に襲われる。

冒頭から「Odjenar」「Hibeck」「Yesterdays」「Ezz-Thetic」までは、マイルス・デイヴィスとリー・コニッツとがガップリ組んだセッションが繰り広げられる。だけど、5曲目からの「Indian Summer」「Duet for Saxophone and Guitar」になると、あれれ、という感じになる。コニッツのアルトとバウアーのギターのデュオ。あれれ、マイルスは何処へ行った(笑)。
 

Miles_konitz_conception  

 
しかも、だ。7曲目のタイトル曲「Conception」と続く「My Old Flame」、マイルスはいるんですが、コニッツ、どこにもいないんですが(笑)。しかも特徴のあるテナーって誰だっけ、どっかで聴いたことあるなあと思ったら、ロリンズやないですか。でも、コニッツ、アルトのコニッツ、どこに行ったんですか。

しかも、だ。続く9曲目の「Intoit」そして「Prezervation」に至っては、なんとマイルスもコニッツもいなくなる(笑)。テナーはスタン・ゲッツ、バックのリズム・セクションは西海岸中心。もはや音の雰囲気が全く異なっている。凄い凄いぞ、プレスティッジ・レーベル。

そして、ラスト前の「I May Be Wrong」からラストの「So What」は、西海岸中心のスモール・コンボな演奏。もはや、マイルスとコニッツの影なんぞ全く無い。ラストに至っては、そもそも最初の頃は何を聴いていたんだっけ、という感じに襲われる。最初の4曲だけが、アルバムの額面通り。5曲目以降は、完全な寄せ集め。どう思うと、こういう究極いい加減なアルバム編集になるのか、不思議である。

プレスティッジ・レーベルには気を付けろ。時々、こういうアルバムが混じっている。リーダー名やタイトルに惑わされることなかれ。プレスティッジ・レーベルを聴き進めるには、カタログを手にして、どういうアルバムなのか、事前調査が必須だろう。でないと、時々、とんでもない「駄盤」を掴まされることになる。でも、それがまた楽しいんだけど、プレスティッジ・レーベルって(笑)。

 
 

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2017年7月20日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・84

ジャズはビートルズをカヴァーするのが好きである。ジャズの世界では、ビートルズの楽曲のカヴァー盤が大量に存在する。ビートルズの楽曲をカヴァーするだけで「売れる」と思ったんだろうなあ。実に安直なアプローチ(笑)。結局、今の耳で振り返って、アレンジと演奏のレベルが高かったものだけが残った。まあ、カヴァー盤なんてそんなもんである。

Bill Frisell『All We Are Saying...』(写真左)。2011年6〜7月の録音。捻れギタリストの最右翼、ジャズというジャンルを超えた、聴いたことも無い不思議な怪しげな捻れフレーズを連発する「変体ギタリスト」、ビル・フリゼールのアルバムである。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g), Greg Leisz (g), Jenny Scheinman (vln), Tony Scherr (b), Kenny Wollesen (ds)。フリーゼル以外、知らない人ばかり(笑)。

ジャケットを見れば「おやっ」と思う。このイラストって「ジョン・レノン」じゃないのか。で、収録された曲名を見渡すと、おお、なんと、このアルバム、ジョン・レノンの楽曲のカヴァー盤ではないか。ジャズの世界では、ビートルズのカヴァー盤って山ほどアルのだが、アフター・ビートルズ、いわゆるビートルズ・メンバーのソロ時代の楽曲のカヴァー盤ってあまり無い。
 

All_we_are_saying

 
ジョンの楽曲の特徴と個性を良く理解した、とっても良い選曲ですよね。「You've Got Hide Your Love Away」「Hold On」「Julia」「Mother」は、ジャズでカヴァーがあまりされていない曲だと思うんだが、これがまあ、優れたアレンジで、きっちり、コンテンポラリーなジャズの演奏に仕上がっている。やっぱり、カヴァー盤って、アレンジが大事だよね。

こうやって、ジョンの楽曲のジャズ・カヴァーの演奏を聴いていると、ジョンの楽曲の旋律って、ジャズに向いているなあ、と思う。ジャズをやる方として、アドリブへの展開が面白くなるようなコード進行をしている、ということ。フリゼール、目の付けどころが違う。そう言えば、ジョンと並んで、ジョージの楽曲もジャズでカヴァーされることがある。やっぱり、ジョージの楽曲の旋律もジャズに向いているんだよね。

フリゼールのギター、思い切り捻れた「変体ギター」なので、ジョンの楽曲をどれだけ捻ってくるのか、と最初は構えて聴き始めるのだが、以外と素直なトーンで弾き進めているところが印象的。米国ルーツ・ジャズな雰囲気がとっても素朴で良い。楽曲も持つ特徴的なフレーズはしっかりシンプルに弾き進め、アドリブで捻れに捻る。メリハリの効いた展開で、ジョンの楽曲のカヴァー盤としては秀逸な出来です。

 
 

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2017年7月19日 (水曜日)

The New Miles Davis Quintet

Prestigeレーベルの7000番台を順番に聴き直していると、いろいろ面白い事に気がついたり、新しい発見があったりで、とにかく楽しい。とにかく手当たり次第、リハーサルも無しの一発録り。録音時期という統一感を無視した、感覚だけのアルバム編集が、他のレーベルに比べて多く、「やっつけのプレスティッジ」と僕は呼んでいる。

しかし手当たり次第、一発録りでガンガン録音して、適当に編集して適当なジャケットでどんどんリリースするので、アルバムの数としてもまとまったボリュームがある。リハーサル無しの一発録りがほとんどなので、アルバムの出来は玉石混交としている。しかしながら、音源が豊富な故に、その時代の演奏のトレンドやジャズメン毎の個性が意外と良く判って面白い。

例えば『The New Miles Davis Quintet』(写真)。PRLP7014番。Prestigeレーベル初期のシリーズ。1955年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。タイトル通り、マイルス・デイヴィスの新しいクインテットの旗揚げ盤である。

この盤単体で聴くと良く判らないんだが、他の同時期、1950年代前半から中盤にかけて録音されたアルバムと聴き比べると、このマイルスのクインテットの演奏が、如何に新しい雰囲気を醸し出していたかが良く判る。アレンジも新しい、イントロの入り方も新しい。アドリブの展開の仕方も新しい。今の耳で聴いても新しいと感じるのだ。リリース当時は逆に違和感を感じた評論家も多かったのではないか、と推察する。
 

The_new_miles_davis_quintet

 
この盤でのコルトレーンは評論家筋から「いもテナー」とバッサリ切り捨てられているのだが、新しい雰囲気、新しい音色、新しいアプローチは十分に感じることが出来る。テクニック的には確かにイマイチなんだが、それまでにない、新しい雰囲気が十分に漂っている。これも今の耳から振り返るから、その「新しい雰囲気」が判るのだが、リリース当時は判らなかっただろうなあ。

ピアノのガーランドは明らかに「発展途上」。まだ、マイルスの薫陶を受けたスタイルに確信を持てていない。しかし、ベースのポール・チェンバースとドラムのフィリー・ジョーは既に「出来上がっている」。完成されたベースとドラム。素晴らしい演奏が繰り広げられている。後はテナーの正調とピアノの確信を待つのみ、のマイルス・クインテットである。

マイルスは、といえば、そりゃ〜勿論、素晴らしいに決まってるでしょう。ただ、このアルバムでは、自らの新しいクインテットへの教育と鍛錬に注力している様で、マイルスのプレイに「新しさ」は無い。しかし、若い溌剌として「成熟」は十分に感じられて、さすがマイルス、と感心してしまう。

しかしなあ、ジャケットがなあ。これは全く以てPrestigeレーベルの仕業である。なんて酷いジャケットなんだ。色は緑と青の2色ある。緑の方がオリジナルだそう。しかし、どうしてこんな酷いデザインになるんだ。タイポグラフィーも劣悪。まあ、Prestigeレーベルは、ジャケット・デザインなんて興味の範疇外だからなあ。しかし、この盤のマイルス・クインテット、聴いていると意外な発見があって意外と面白い。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年7月18日 (火曜日)

ジェームス・ムーディーを知る

ジャズはマイナーな音楽ジャンルだ、と言われるようになって久しいが、マイナーマイナーと言われながら、ジャズメンの全体数は相当数にのぼる。ジャズを聴き始めて40年、結構数のジャズメンを知るようになったが、それでも「これって誰」と言いたくなるジャズメンもまだまだいる。

ジェームス・ムーディー(James Moody)がそういう「これって誰」と言いたくなるミュージシャンだった。そもそも、ムーディーの名前を初めて見たのが、Prestigeレーベルのカタログを入手した頃だから、2000年辺りではないか。ジェームス・ムーディーのリーダー作って、Prestigeレーベルのカタログの中である一定数あって、当時、それなりにメジャーな存在だったことが窺い知れる。

でも、僕は知らなかった。ムーディーは、ジャズ界の巨匠、ジャズ・テナーのマスターと呼ばれるが、僕は全く知らなかった。1925年生まれ、2010年、85歳で逝去。1950年代は、30歳を超えたくらいの年齢なので、ハードバップ時代は中堅ジャズメンの位置づけ。それでも親しみが無かったのだから、よっぽど縁が無かったのだろう。
 

James_moody_hifi_sax_and_flute

 
Prestigeレーベルの7011番は、James Moody『Hi Fi Party』(写真左)。1955年8月の録音。ハードバップ時代前期の終わり。パーソネルは今から見れば無名のジャズメンがほとんど。ムーディーの気心知れたジャズメン達と推察する。ハードバップ前期のクラシカルなコンボの好盤と評価される向きもある盤である。アンサンブルの良さはあるが、ムーディーのテナーを愛でるには、ちょっと地味なパフォーマンスである。

逆に、James Moody『Sax & Flute Man』(写真右)は、タイトル通り、ムーディーのテナー・サックスとフルートを十分に堪能出来る好盤。全編に渡ってムーディーのブロウがフィーチャーされている。バックを務めるオルガンの音もファンクネスだだ漏れ。1973年PAULAに残したマイナー作品ではあるが、実に雰囲気のあるグルーヴィーなソウル・ジャズの好盤に仕上がっていて立派。こちらの盤の方がムーディーを体験するのには良いと思います。

21世紀になってその存在とそのプレイの個性を知った「ジェームス・ムーディー」。Prestigeレーベルの他のリーダー作を中心に、もっともっと掘り下げている所存。ジャズの裾野は広く奥が深い。今回、ジェームス・ムーディーのリーダー作を聴いて、改めて思った。

 
 

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2017年7月17日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・42

今を去ること40年前、本格的にジャズを聴き始めてから今に至るまで、ビッグバンドの基本と評される2大ビッグバンド、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団の演奏に馴染めなくて困っている。どうにもこうにも、音の響き、音の重ね方が古い感じがして、勉強の為に聴き込むことはするが、楽しんで聴くことは、2〜3枚の例外を除いてあまり無い。

恐らく、ビッグバンドの何たるかを僕は理解していないんだろうな、と劣等感を覚えたこともあるが、今では完全に開き直って、好きなものは好きだし、苦手なものは苦手、趣味でジャズを聴いているのだから、苦手なものを我慢して聴くことは無い、と思うことにしている。但し、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団はビッグバンドの基本中の基本である、ということは頭では理解している。

では、ビッグバンドの音は嫌いか、と問われると否であって、ビッグバンドの音は大好きだ。ジャズ盤を聴き込む中で、ビッグバンドは、ある一定のスパンで必ず聴く。大体、聴くことの多いビッグバンドは、ノリの良いアレンジが新しい雰囲気のものやソロイストの自由度の高いもの、演奏の切れ味の良いもの、疾走感、爽快感を感じられるもの、大体がマニアックな存在のアルバムを好んで聴く傾向にある。
 

Oliver_nelson_bb_live_from_los_ange

 
Oliver Nelson Big band『Live from Los Angeles』(写真左)。1967年6月の録音。テナー奏者&アレンジャーのオリバー・ネルソン(写真右)が率いるビッグバンドのライブ演奏である。パーソネルを見渡すと、米国西海岸ジャズの中堅どころを中心に選んだ、メインストリーム・ジャズがメインのビッグバンドである。

リーダーがオリバー・ネルソンであるが故、アレンジが当時として新しい雰囲気であることが感じ取れる。音の重ね方が特に新しく感じる。ソロイストのアドリブ・スペースも従来より自由度が高く、1967年の演奏ということもあって、1940年代から培われてきたビッグバンドのアレンジの集大成的な形式美を感じる。

ソロイストの自由度を従来のものより多めにとることで、バンド全体の演奏の躍動感が増していて、とってもノリの良いビッグバンド演奏になっている。ぐいぐいスイングし、切れ味抜群、爽快感抜群のとってもポジティブな演奏で、聴いていてとっても楽しい。そう、このビッグバンドの演奏はポジティブで楽しい。とっても現代的なビッグバンドのノリである。

 
 

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2017年7月16日 (日曜日)

晩年ゲッツの優れたライブ盤

晩年のスタン・ゲッツは、メインストリーム・ジャズに回帰して、ストレート・アヘッドなジャズを吹きまくっていた記憶がある。1960年代前半、ボサノバ・ジャズのブームに乗って、ボサノバ・ジャズと言えば「スタン・ゲッツ」という定番図式が出来上がっていたが、1980年代半ば頃から、純ジャズ復古のムーブメントが押し寄せた頃、ゲッツはメインストリーム・ジャズに回帰した。

そういう意味では「機を見て敏なる」ところがゲッツの特徴だろう。ただ、メインストリーム・ジャズに回帰してことは、ゲッツにとって喜ばしいことで、もともとゲッツのテナーはストレートアヘッドなもので、決してボサノバ・ジャズなど、クロスオーバー志向の柔軟性のあるテナーでは無い。たまたま、ゲッツのテナーの個性がボサノバの雰囲気にピッタリ合っただけのことだ。

Stan Getz『Anniversary!』(写真左)を聴けば、ストレートアヘッドなジャズに回帰したゲッツのテナーのプレイが如何に優れているかが良く判る。1987年7月6日、デンマークはコペンハーゲンの「モンマルトル」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Kenny Barron (p), Rufus Reid (b). Victor Lewis (ds)。
 

Anniversary

 
パーソネルを見れば、当時、中堅の優れどころをリズム・セクションとして迎え入れている。晩年の無二のパートナーであったピアノのケニー・バロン。バロンの総合力勝負のピアノとゲッツの正統派テナーとの相性は抜群。ルーファス・リードとビクター・ルイスのリズム隊は安定感抜群。ゲッツのテナーをしっかりと支える。

やっぱりゲッツのテナーはメインストリーム・ジャズが良く似合う。速いフレーズもゆったりとしたフレーズも悠然と朗々と吹き上げるところが、ジャズ・テナーのレジェンドである所以だろう。排気量の大きいスポーツカーがゆったりとしたスピートで悠然と走って行く様な雰囲気。ゲッツのテナーには「抑制の美」が溢れている。

邦題が「ステラ・バイ・スターライト」。「ど・スタンダード曲」をタイトルにしていて、ジャズ者初心者向けのスタンダード大会な企画ライブ盤な印象がする。しかも女性の横顔をあしらった、ちょっと「胡散臭い」ジャケットと相まって、ジャズ者ベテランの方々を中心に敬遠される向きのあるライブ盤ですが、どうして意外と硬派で芯のある純ジャズ・ライブ盤な内容で、意外と好盤です。

 
 

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2017年7月15日 (土曜日)

チャールズ・ロイド・リターンズ

ジャズを聴き始めた頃、ジャズ盤紹介本で「チャールズ・ロイドは良い」とあちらこちらで書かれていて、どうかな〜、と思っていたんだが、評論を書いている人は皆、バックのキース、デジョネット、マクビーのリズム隊を絶賛しているついでに、ロイドのテナーを「判り易いコルトレーン」風に評価している。なんだか胡散臭いので長年聴くことは無かった。

そもそも、ロイドの人気が高かったのは、1960年代後半、Atlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗って、ロイドのテナーは人気があった。しかし、その人気は、ロイドのしたたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナの成果。ポスト・コルトレーンとしては荷が重すぎたのか、1970年代、フュージョン・ジャズのブームの中、その名は徐々にマイナーな存在になった。

が、1966年録音の人気ライブ盤『Forest Flower』(写真右)を聴いてみると、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏全体の雰囲気が実に印象的です。僕はこの『Forest Flower』を初めて聴いたのは、2000年になってから。聴いてみて、確かにバックのリズム隊の凄まじさが前面に押し出ているんですが、ロイドのテナーも爽やかでシンプルで聴き易いもので、これはこれで一つの個性です。
 

Charles_lloyd_i_long_to_see_you

 
そんなロイドですが、2015年からブルーノート・レーベルに転籍したのですが、このAtlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗っていた頃の、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏に戻った様な感じがします。逆に「したたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナ」が不要になった今の時代、ロイドの爽やかでシンプルで聴き易いテナーが意外とマッチします。

Charles Lloyd & Marvels『I Long To See You』(写真左)。2015年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts,fl), Bill Frisell (g), Greg Leisz (pedal steel), Reuben Rogers (b), Eric Harland (ds)。捻れ不思議ギターのビル・フリーゼルの参加が目を惹く。グレッグ・レイズのスチール・ギターも目新しい。どんなジャズになるんや?

ロイドという人はつくづく、バック・ミュージシャンに恵まれてこそ、この個性を発揮できる人なんやなあ、と思う。フリーゼルとレイズの参加で、米国ルーツ・ミュージックをベースにした、フォーキーでカントリーな雰囲気が見え隠れする、コンテンポラリーな純ジャズな展開になっている。これが実に心地良い響きで、安らぎの雰囲気満載なのだ。

 
 

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2017年7月14日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・55

暑い。雨が降らない。完全に空梅雨状態の我が千葉県北西部地方。とにかく暑い。昼は猛暑日、夜は熱帯夜。まだ今日は7月は14日。通常なら梅雨空真っ只中。梅雨後期で、まとまった大雨なんかが降る時期である。が、空は雲はあれど晴れ渡り、とにかく蒸し暑い。

こんな猛暑の時には、ハードな純ジャズなんて以ての外である。暑くてバテる。確かに逆療法的に、思いっきりハードなバップ演奏を聴いて汗をダラダラ流してスッキリする、ってことも考えられなくもないが、もうすぐ還暦のこの歳でそのチャレンジは危険すぎる。加えてフリー・ジャスやスピリチュアル・ジャズも絶対駄目。バテて立ち上がれなくなる(笑)。

こういう猛暑の昼下がりは、エアコンの効いた部屋の中で、クールで洒脱なジャズを聴くのが良い。クールで洒脱とくれば「The Modern Jazz Quartet(以降略してMJQ)」。メンバーは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。伝説の4人。4人全員、鬼籍に入っている。恐らく、あの世でやっぱりMJQを結成している様な気がする。
 

Mjq_the_complete_last_concert

 
室内楽的な雰囲気が個性の「お洒落な」純ジャズなカルテットである。クラシックの手法を用いたアレンジや演奏時の衣装がタキシードであったり、ちょっとハイソサエティなジャズ・バンドである。それでいて、気取ったところは全く無く、クールにスイングするところや、そこはかとなく醸し出すファンクネスが、それはもう「お洒落」なジャズ・カルテットである。

そんなMJQの実力のほどはこのライブ盤で堪能出来る。The Modern Jazz Quartet『The Complete Last Concert』(写真左)。1974年11月25日、NYはエイヴリー・フィッシャー・ホールでの、タイトル通り、MJQの解散コンサートのライブ録音になる。これがもう圧巻な内容。4人の名手それぞれが弾きまくる叩きまくる。テンション高く、ラストに行くに従い、ブンブン思いっきり振れるが如くスイングしまくる。

熱いホットな演奏がてんこ盛りなんだが、決して汗はかかない。抑制の美、とでも形容したらよいのだろうか、途方も無くクールな演奏なのだ。とにかく演奏の質は途方も無く高い。爽やかさが半端ない。こんな猛暑の夏の昼下がり、エアコンの効いた涼しい部屋の中で聴くMJQ。至福の時、とっておきの「夏バテ防止法」である。

 
 

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2017年7月13日 (木曜日)

CTIレーベルの純ジャズ盤

CTIレーベルって、1960年代の終わりから1980年代前半まで、初期はイージーリスニング・ジャズから始まって、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズまでがメインの老舗レーベルなんだが、そんな中に、上質な「メインストリーム・ジャズ」が混じっているのだから不思議。そして、これがまた、内容的に素晴らしいものなのだから隅に置けない。

Gerry Mulligan & Chet Baker『Carnegie Hall Concert』(写真左)。1974年11月24日、ニューヨークのカーネギー・ホールでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Chet Baker (tp), Ed Byrne (tb), Bob James (p, el-p), Dave Samuels (vib, per), John Scofield (g), Ron Carter (b), Harvey Mason (ds)。

このライブ盤、パーソネルは見渡せば、なかなかユニークな人選に思わずニヤリ。バリサクのマリガンとペットのチェットはハードバップ時代からの純ジャズ出身のベテラン。そこに、フュージョン・ジャズの仕掛け人、ボブ・ジェームスがキーボードを担当する。そして、若き日の捻れギタリスト、ジョンスコがいる。R&Bっぽいドラミングが小粋なメイソン、どう弾いても純ジャズの雰囲気を抜け出ないロンのベース。
 

Gerry_mulligan_chet_baker_carnegie_

 
この新旧ジャズメン入り乱れた、純ジャズ志向とフュージョン志向が入り乱れたパーソネルで、メインストリーム・ジャズをやるんだから堪らない。音世界は、いわゆる「1970年代のメインストリーム・ジャズ」。アコ楽器とエレ楽器を上手くブレンドし、それぞれの音の良さをしっかりとアピールする。これって、アレンジが良いからですよね。さりげないアレンジが実に見事。

CTIレーベルって不思議なレーベルで、確かにカタログを見渡すと、上質な「メインストリーム・ジャズ」盤がそこかしこに転がっていて、いずれも内容がとても良い。しかも、新旧ジャズメンが入り乱れた、ジャズメンの組合せの妙が絶妙なのだ。この組合せでこの音かあ、と聴いて感心する盤が多々あるから素晴らしい。

このライブ盤、まず、ハードバップ時代からの純ジャズ出身のベテランの二人、マリガンとチェットがとても元気。それでいて、吹き回す音の雰囲気は1970年代の音をしているから、この二人の力量たるや素晴らしいものがある。決して古くならない。その時代時代のトレンドにしっかりと追従する。よくよく考えれば、このライブ盤自体がそうである。

 
 

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2017年7月12日 (水曜日)

ライトハウスのグリーンです

ジャズはライブが一番と言うけど、日頃、ライブハウスにはなかなか通えません。そういう時、手っ取り早くライブハウスの雰囲気が味わえるのがライブ盤。今日も、ロサンゼルスのハモサビーチにある「ライトハウス」でのライブ録音盤をご紹介したい。

Grant Green『Live at the Lighthouse』(写真左)。1972年4月21日でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ss, ts), Gary Coleman (vib), Shelton Laster (org), Wilton Felder (el-b). Greg Williams (ds), Bobbye Porter Hall (per)。フロント楽器はギター、テナーに加えてヴァイブ。ピアノは無くて代わりにオルガン。ファンクネスの香りがプンプンするパーソネル。

もともと、グリーンは、エフェクターを介さないシンプルなシングル・トーンでグイグイ押してくるんだが、この盤では思い切りグイグイと押しまくってくる。シングルトーンはパッキパキで良く唄う。聴けばすぐ判るグリーンのギターの個性。スラスラと流麗なフレーズが出てくるタイプでは無い。木訥とした、訥々としたフレーズが癖になる。
 

Grant_green_live_at_the_lighthouse

 
しかも、このライブ盤でのグリーンは、ファンクネスだだ漏れ。圧倒的なファンク大会である。しかも「熱い」。パーソネルを見渡せば、ベーシストの名前に目がとまる。あのクルセイダーズのサックス奏者であるウィルトン・フェルダーがお得意のファンク・ベースでブイブイ言わせている。このファンク・エレベも凄い。

グリーンはインタビューで「自分の音楽はブラック・ミュージックだ」と語っているのだが、このライブ盤を聴けば、なるほどなあ、と納得してしまう。木訥に唄う様なアドリブ・フレーズはソウル・ミュージックそのもの。コッテコテのファンクネスはR&B仕込み。 このライブ盤では、ファンクとしてはテンポが速めのチューンが多く、そこがまたおっきな魅力なんですよね。

そうそう、このジャケット・デザインの酷さに「引いてはならない」(笑)。いや〜本当に酷いですね〜。ブルーノート・レーベルのアルバムとは到底思えない。この笑かそうとしているのか怖がらそうとしているのか、デザイナーのきもちがとんと分からない。いやはや、この世のものとは思えないジャケットで大損している秀逸なライブ盤です。

 
 

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2017年7月11日 (火曜日)

ライトハウスのエルヴィンです

ジャズのライブ録音で有名な「ライブハウス」がある。例えば、米国東海岸ニューヨークでは、ブルーノート、ヴィレッジヴァンガード、バードランドなどが有名。それでは、米国西海岸では、と問えば、まず、ロサンゼルスのハモサビーチにある「ライトハウス」が浮かぶ。「ライトハウス」かあ。

ライトハウス、と聴いて、まず思い浮かぶライブ盤が、Elvin Jones『Live at the Lighthouse』(写真左)。1972年9月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Steve Grossman (ts, ss), Dave Liebman (ts, ss, fl), Gene Perla (b)。ブルーノート・レーベルからのリリース。

リーダーのエルヴィンのドラムにフロントの2サックス、そしてベース。おや、ピアノがいない。そう、このライブ演奏、ピアノレスの変則トリオ。フロントにサックスが2本。当時、中堅に差し掛かった頃のスピリチュアルなブロウの担い手、スティーヴ・グロスマンとデイヴ・リーブマン。バックにポリリズムの権化、エルヴィン・ジョーンズが控える。
 

Elvin_jones_live_at_the_lighthouse

 
ピアノが無い。打楽器の役割も果たせるピアノが無い。ドラムのエルヴィンはより自由に叩きまくる。メロディー楽器の役割も果たせるピアノが無い。コードを規定するピアノが無い。フロントの2サックスは、思いっきり自由に吹きまくる。マイルス・バンドから抜けたばかりのグロスマンと、これからマイルス・バンドに参加するリーブマン。目眩く、凄い素晴らしい「吹きまくり」。

しかし、である。当然ながら、リーダーのエルヴィン・ジョーンズのドラミングがとても素晴らしい。フロントの2テナーを鼓舞するばかりか、巧みなドラミングでビートもしっかりと供給しており、これではベースは不要ではないか。確かにベースのジーン・パーラは「しんどそう」。エルヴィンの盟友らしいのだが、このライブでのエルヴィンは手加減しない。何かに取り憑かれたが如く、バッシバッシと叩きまくる。

コンプリート盤も出ているが、まずはリリース時と同様のLP2枚組編成のCDをお勧めしたい。録音のトータル時間も適度で、飽きること無く、心地良いテンションの下、このライブ盤を愛でることが出来る。そうそう、このアルバムのジャケットのイラストには「引いてはいけない」。中身はホットで、吹きまくりテナー&叩きまくりドラムの好盤です。

 
 

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2017年7月10日 (月曜日)

ソウル・ジャズの人気ライブ盤

意外とソウル・ジャズが好きだ。結構、俗っぽいので「ソウル・ジャズなんてな〜」と思って控えようかと思うんだが、あの独特のノリとファンクネスが忘れられず、やっぱり聴いてしまう(笑)。肩肘張らずに笑顔で「ノリノリ」で聴けるところが良いよね。ソウル・ジャズって、ジャズのこと、何も知らなくても十分楽しめるから隅に置けない。

ソウル・ジャズの好盤と言えば、このアルバムが良く出てくる。僕も最初、ジャズ盤紹介本で読んで、誰か判らんなあ、と思いつつ、紹介本で絶賛されているもんだから、手に入れて聴いてみて、ありゃ〜これは、コッテコテのソウル・ジャズではないの。良い感じです。Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(写真)。

1969年6月。スイスはモントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。ソウルフルなテナー奏者エディ・ハリスとソウルフルなピアノ奏者レス・マッキャンが初共演。ジャズメンによる、コッテコテのR&B大会の様相。これが「ソウル・ジャズ」だ、と言わんばかりの独特のノリとファンクネス。
 

Swiss_movement

 
冒頭、ロバータ・フラックの名唱でも知られる、ソウルフルな「Compared To What」から、リズミカルな演奏が心地良い「Cold Duck Time」と1〜2曲目の流れを聴くだけで、これは本当のコッテコテの「ソウル・ジャズ」であることを確信する。聴いていて、自然と身体がスイングし、足でリズムを取りつつ、顔はいつの間にか笑顔でニコニコ、強調されたオフビートのリズムでクラップハンド。

我が国では「踊れるジャズ」は敬遠される傾向があって、どういう訳か全然人気のない2人、レス・マッキャンとエディ・ハリス。このライブ盤もなかなか表に出ることは無かった。つい10年位前からかなあ、このライブ盤がジャズ盤紹介本で取り上げられるようになったのは。ソウル・ジャズって俗っぽいという評価だが、そんなことは全く無い。とにかく聴いていて楽しい。それが一番ではないか。

このライブ盤に収録されたライブ演奏について面白いエピソードがある。このライブ演奏、レス・マッキャンとエディ・ハリスのスケジュールが合わず、なんとリハーサル無しの一発勝負でライブ録音されたらしい。いや〜リハ無しの一発勝負でこれだけノリの良い、コッテコテのソウル・ジャズが展開できるなんて、やはりジャズのフィールドで培われた「即興の底力」ですね〜。素晴らしい。

 
 

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2017年7月 9日 (日曜日)

発見!ラテンのブルーベック4

ジャズはライブが一番と言うけど、日頃、ライブハウスにはなかなか通えません。そういう時、手っ取り早くライブハウスの雰囲気が味わえるのがライブ盤。1970年代ロックのライブ盤はスタジオ録音に比べて「しょぼい」ものもありますが、ジャズはスタジオ盤と同等、若しくはそれ以上の「内容の充実度合い」。ジャズについては、ライブ盤を追いかけて、当時の演奏を追体験するのも楽しい。

我が国では「スイングしないピアニスト」として評判の良くない「ディブ・ブルーベック(Dave Brubeck)」。僕はそうは全く思わなくて、実はジャズを聴き始めた頃から(35年位前かな)、好きなピアニストの一人である。しかし、確かに当時は「変人」と言われたなあ。でも、ブルーベックの「スクエアなスイング感」が、完全にツボになって、今でも僕の好きなピアニストの一人である。

そんなブルーベックであるが、このアルバムは全くノーマークだった。つい最近、ライブ盤を特集したジャズ盤紹介本を読み返していて、このライブ盤の存在に気がついた。Dave Brubeck『Bravo! Brubeck!』(写真左)。1967年5月12〜14日、メキシコシティーでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Dave Brubeck (p), Paul Desmond (as), Gene Wright (b), Joe Morello (ds), Chamin Correa (g), Salvatore Agueros (bongo, conga)。
 

Bravo_brubeck

 
ブルーベックの黄金時代のカルテットに、メキシコ地元出身のギターとパーカッションが入って、彩りを添えている。選曲を見れば、結構、メキシコにゆかりの曲やメキシコにまつわる曲を選曲している。ふむふむ、ブルーベック・カルテットのエンタテインメント性の高さが窺える。これは地元は盛り上がるよな〜。

もともとノリの良いブルーベック・カルテットである。ラテン系の曲もかなり良い雰囲気である。ラテン系の曲に、ブルーベックのピアノのスクエアなスイング感がこんなにフィットするとは思わなかった。そこにデスモンドのアルトが少し怪しい妖気を漂わせつつ、熱気を帯びたブロウを繰り広げる。ラテンの雰囲気にドップリ染まったブルーベック・カルテット。なかなかの聴きものである。

解説を読むと、ポール・デスモンドとの約15年に渡るコンビネーションの締めくくりを記録した南米ツアーの記録とのこと。確かに成熟した、充実のブルーベック・カルテットのライブ演奏が聴ける。メキシコ地元出身のギターとパーカッションも熱演、ラテン系の選曲に彩りを添える。今まで全くノーマークのライブ盤。聴けば「好盤」。得した気分である。

 
 

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2017年7月 7日 (金曜日)

ドラムでモードをやっている

ドラマーがリーダーの作品って、録音されたその時代の最先端を行くジャズのパフォーマンスの「トレンド」を採用し、展開するケースが多い。自らも先進的なドラミングを披露しつつ、パーソネルの人選もそれを意識して、最先端を行くジャズのパフォーマンスを体現できるジャズメンをチョイスする。

例えば、Pete La Roca『Basra』(写真左)。1965年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Pete La Roca (ds), Joe Henderson (ts), Steve Kuhn (p), Steve Swallow (b)。録音年とパーソネルを見ただけで、このアルバムに詰まっている音が「只者では無い」ことが容易に想像出来る。

Pete La Roca=ピート・ラロカと読む。ラロカのドラミングは、一聴すると「あれ、ロイ・ヘインズかな」と思うんだが、聴き進めるにつけ、このドラマーの持つ、よりモダンで現代的な響きと、整然としているが重心が低く、ちょっと野太い音が「ロイ・ヘインズとは異なる」。叩き方がまるでドラムでモード・ジャズをやっている感じなのだ。
 

Basra1

 
ピート・ラロカの、ドラムでモードをやっている様な、限りなくフリーだが伝統的な枠内にギリギリ残ったドラミングが、今の耳にも新鮮に響く。この自由度の高いモダンなドラミングに鼓舞されて、これまた、モード・ジャズの申し子の様な、モーダル・テナーの第一人者、ジョーヘンがウネウネブララ〜と吹き上げる。

そこに不思議なラインとタイム感覚を持ったスワローのベースが底を支える。そして、耽美的な響きではあるが、切れ味良く妖気漂う様な、少し危険な響きが芳しいスティーヴ・キューンのピアノ。冒頭の「Malaguena」なんて、イスラムを感じさせる独特なメロディーラインにラテンな雰囲気を塗したような、妖艶な捻れが魅力のモード・ジャズの典型。

とにかく「アクの強い」ドラマーがリーダーの盤。こういう先進的な音をしっかりと捉えてアルバムとして後世に残しているなんて、さすがブルーノート・レーベルである。後にジャズ・ドラマーから弁護士に転職するという変わった遍歴を持つピート・ラロカ。しかし、こういう先進的なリーダー作を残し、後世に名を残している。たいしたものである。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年7月 6日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・61

ロイ・ヘインズのドラミングが個性的で面白い。どうも填まったようだ。バシャバシャとラフにディレイする様なスネア、粋に切れ味良く芯を貫いたようなシンバル、小粋におかずの様に合間合間に入るタムタム。曲の出だしのドラミングをちょっと聴くだけで「ロイ・ヘインズ」と判る様な「明確な個性」。

そんなロイ・ヘインズを心から愛でることが出来るピアノ・トリオ盤に出くわした。『The Roy Haynes Trio』(写真左)である。1999年9月〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Danilo Perez (p), John Patitucci (b)。パナマ出身の実力派ピアニスト、ダニーロ・ペレスの参加が目を惹く。そして、ベースは、ベーシスト界最高峰の一人、ジョン・パティトゥッチ。

冒頭、バド・パウエルの「Wail」の出だしを聴くだけで「おお、このドラムはヘインズだ」と判る。どんどん聴き進めて行くと、このピアノ・トリオのドラムは、明らかに「ロイ・ヘインズ」だと確信する。そう、このピアノ・トリオ盤、全編に渡って、ロイ・ヘインズの個性的なドラミングが溢れている。この盤を聴き通せば、ロイ・ヘインズの個性、手癖、タイム感覚が実感を通じて理解出来る。
 

The_roy_haynes_trio

 
ヘインズ御大、この盤の録音時は74歳。かなり高齢なので「大丈夫か」と思うのだが、大丈夫どころか「凄い」。これだけ、硬軟自在、縦横無尽、変幻自在に叩きまくるドラミングをあまり聴いたことが無い。しかも、切れ味良くスイングする。曲想によって、曲のテンポによって、タイム感覚を変化させ、間合いの取り方をダイナミックに変えていく。これだけ柔軟なジャズ・ドラムはそうそうに無い。繰り出す繰り出す変拍子。

ダニーロ・ペレスのピアノも個性的だ。今までにありそうで無かった、耽美的ではあるが硬質で切れ味の良い、活き活きしたフレーズ。線が細くならない、繊細な弾き回し。ロイ・ヘインズの柔軟度の高いドラミングにピッタリ合う。そして、ヘインズのドラム、ペレスのピアノをしっかりと繋ぎ止め支えるのが、パティトゥッチのベース。

なかなか内容の濃い、出来の良いピアノ・トリオ盤です。2000年以降にリリースされたピアノ・トリオ盤の中では屈指の出来だと思います。21世紀の、現代のコンテンポラリーな純ジャズ路線をしっかりと踏まえた『The Roy Haynes Trio』。選曲も実に趣味が良い。加えて録音も良い。21世紀のピアノ・トリオの好盤の一枚です。

 
 

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2017年7月 5日 (水曜日)

クルセイダーズ黄金期の音世界

昨日、ジャズ・クルセイダーズの話を書いた訳だが、後のザ・クルセイダーズのアルバムを久しく耳にしていないことに気がついた。では、ザ・クルセイダーズの最初のピークはどのアルバムの辺りなのか。うむむ、やはりパーソネルの充実度合いによるな。

The Crusaders『Those Southern Knights』(写真左)。邦題『南から来た十字軍』。すっごい邦題である(笑)。そう言えば、ジャケットもジャズらしからず、意外とすっごい(笑)。1976年のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Sample (key), Wilton Felder (sax), Wayne Henderson (tb), Stix Hooper (ds), Larry Carlton (g), Robert "pops" Popwell (b)。

クルセイダーズの黄金期、頂点のメンバー構成である。この盤で、ベーシストであるロバート "ポップス" パウエルが参入、ギターのラリー・カールトンも既にメンバーとして溶け込んでおり、加えて、オリジナル・メンバー4人揃い踏みの、クルセイダーズ史上、最高のメンバー構成。この盤の後、オリジナル・メンバーでトロンボーン担当のウエイン・ヘンダーソンが脱退してしまいます。
 

Those_southern_knights1

 
この盤に詰まっている音はと言えば、ファンクネスを湛えた「R&Bフュージョン」。R&Bなフレーズをベースにポップ・ロックの要素も積極的に取り込み、アーバンでソウルフルなフュージョン・ジャズに仕上がっている。インスト中心、テクニックも申し分無く、クルセイダーズ独特のグルーブ感溢れる演奏の数々。キャッチャーなフレーズも多く、聴いていて楽しいフュージョン盤である。

しかし、我が国では、R&Bと言えばボーカル中心であり、このクルセイダーズの様なインスト中心の「R&Bフュージョン」については実に「辛い」。この盤だって、今の耳で聴いても新鮮なファンクネス溢れる「R&Bフュージョン」なんだが、知る人ぞ知る、マニアな人向けの好盤に留まっているのがもどかしい。

この盤に詰まっている、クルセイダーズ独特の「うねり、ひねり、波打つ」グルーブ感が凄い。カールトンのエレギも切れ味抜群、新加入のロバート "ポップス" パウエルの躍動感溢れるエレベも素晴らしい。サンプルのキーボードは最高だし、フェルダーのサックスはファンクネスだだ漏れ、フーパーのノリの良いドラミングも見事。短期間ではあったが、クルセイダーズ黄金期の音がここにあります。

 
 

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2017年7月 4日 (火曜日)

熱気溢れるジャズ・ロックです

ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージック、と問われれば、もうひとつ、頭に浮かぶバンド名がある。「ザ・クルセイダーズ」。ウェイン・ヘンダーソン (tb), ウィルトン・フェルダー (ts), ジョー・サンプル (key), スティックス・フーパー (ds) の4人が結成したグループである。

1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」と改名するまで、ジャズ・クルセイダーズ(The Jazz Crusaders)の名前で活動。1960年代中盤から後半に渡り、ソウル・ジャズ+ロックのクロスオーバーなバンドとして活躍。軽快なファンクネスを伴った演奏は聴き応えがある。が、我が国ではあまりメジャーな存在では無いのが残念である。

そんなジャズ・クルセイダーズの好ライブ盤がこれ。The Jazz Crusaders『Lighthouse '68』(写真左)。1967年11月10〜13日、LAのハモサビーチのライトハウスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Henderson (tb), Wilton Felder (ts), Joe Sample (p), Buster Williams (b), Stix Hooper (ds)。うん、確かに後の「クルセイダーズ」のメンバーである。
 

The_jazz_crusaders_lighthouse_68

 
熱気溢れるジャズ・ロックである。バンド演奏全体の雰囲気は、R&B的なノリとフレーズを意識したソウル・ジャズをベースとしたもので、ソウル・ジャズ+ロックのクロスオーバーな「ジャズ・ロック」という感じ。ファンクネスを前面に押し出しているので、硬派な純ジャズとロックとのクロスオーバーを基調とした「ジャズ・ロック」とは一線を画する。

8ビートだけではなく、4ビートでもスイングするところが、この「ジャズ・クルセイダーズ」がメインストリーム・ジャズを発祥とする「ジャズ・ロック」なバンドである証で、1960年代中盤から後半の時代からすると、このジャズ・クルセイダーズの演奏内容は明らかに個性的である。今の耳で振り返ると、メンストリームなソウル・ジャズとして良い、意外と硬派なメインストリーム・ジャズ志向の演奏が心地良い。

後の「クルセイダーズ」のファンクでアーバンなフュージョン・ジャズをイメージするのでは無い、あくまでジャズに軸足を残したソウル・ジャズ+ロックのクロスオーバーな「ジャズ・ロック」を志向するバンドで、その志向がズバリ演奏に表れている。非常に優れたジャズ・バンドであった証がこのライブ盤に溢れています。好ライブ盤です。

 
 

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2017年7月 3日 (月曜日)

デジタルな千手観音ドラミング

ドラマーの個性。聴けば聴くほど面白い。叩き方度合いというか、間の取り方というか、叩く密度についてもドラマーは皆それぞれ異なる。間を取って叩く密度が粗いものもあれば、間が無く叩く密度が高いものがある。

この人のドラミングは「間が無く叩く密度が高い」ドラミングの最右翼に当たる。「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」である。1980年代、新しいメインストリーム・ジャズの世代から現れ出でた、新しいタイプのジャズ・ドラマーである。その名は「Dave Weckl(デイヴ・ウェックル)」。

そんなデイヴ・ウェックルの「千手観音ドラミング」は、このアルバムで堪能出来る。Dave Weckl『Master Plan』(写真左)。1990年の作品。当時のチック・コリア一派から(Chick Corea (p), Eric Marienthal (sax))、新しいメインストリーム・ジャズの担い手たち(Michael Brecker (ts), Steve Gadd (ds), Anthony Jackson (b))が全面的にバックアップした、ウェックルの初リーダー作である。
 

Dave_weckl_master_plan

 
この盤でのウェックルの手数の多さに「いったいどうやって叩いているのやら」全くのところ理解に苦しむ、圧倒的な「千手観音ドラミング」である。とにかく賑やかこの上無い。一聴すると「無駄な音もあるよな」なんて揶揄したくなるのだが、聴き込むにつれ「これはこれでありやなあ」なんて感心してしまうドラミング。ありそうでなかなか無い「千手観音ドラミング」である。

「千手観音ドラミング」と言えば、1970年代、ビリー・コブハムが初代「千手観音ドラミング」で一世を風靡した。このコブハムのドラミングに比べて、ウェックルのドラミングはデジタルっぽく切れ味が鋭い。コブハムの「千手観音ドラミング」はアナログっぽく、ウェックルの「千手観音ドラミング」はデジタルっぽい。

圧倒的に聴き応えのあるドラミング。コンテンポラリーな純ジャズ風の演奏の中で、「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」が映えに映える。喧しい、と怒るなかれ。これもジャズ・ドラミングの個性のひとつである。圧倒的な高テクニックの産物である。

 
 

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2017年7月 2日 (日曜日)

ヘインズ meets 怪人テナー

10年ぶりにCDプレイヤーを買い換えた。というか、前のプレイヤーはDVDとのコンパチだったので、純粋な単体CDプレイヤーとしては、23年ぶりの買い換えになる。今回はもしかしたら、生涯で最後のモデルになる可能性もあるので、アンプとのバランスを取りつつ、予算的には十分に考慮した。で、やはり良い音が鳴る。暫くは、手持ちのCDを全て聴き直せる。

聴き直しCDの中で、最近の僕のジャズCD鑑賞のトレンドである「ドラマーがリーダーのアルバム」が幾枚かがある。その中でも、その出来に一番感心したのが、Roy Haynes『Out of the Afternoon』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Roland Kirk (ts, manzello, stritch, C flute, nose flute), Tommy Flanagan (p), Henry Grimes (b)。

チャレンジのレーベル「Impulse!」からのリリース。百戦錬磨の強者ドラマー、ロイ・ヘインズが、怪人テナー、ローランド・カークを従えてのワンホーン・カルテット。怪人テナーのカークをヘインズがリーダーとして、どうコントロールするのか、聴きものである。バックのリズム・セクションの重要な相棒のピアノには、燻し銀ピアニスト、トミー・フラナガンが控える鉄壁の布陣である。

冒頭の「Moon Ray」の出だしから、ロイ・ヘインズ親分はドラムソロで一発かます。その豪快で柔軟なドラミングを聴きつつ、神妙にテナー・ソロに入るローランド・カークが可愛い。まずは無難な出だし。少し新しい響きを宿した純正なハードバップ風の演奏に終始する。まずは基本から、である。
 

Out_of_the_afernoon1  

 
続く「Fly Me to the Moon」でも、出だしヘインズ親分が一発かますが、後に出てくるカークのソロについては、最大限の自由を与えている。好きに吹き始めるローランド・カークが迫力満点。怪人テナーの面目躍如。フリーでは無い、限りなく自由度の高い、カーク独特のモーダルなテナーソロに思わず「のけぞる」。これが「ローランド・カーク」だ、と言わんばかりの迫力のブロー。ヘインズ親分はバッシバッシ鼓舞する。

軽やかで柔軟なヘインズのドラミングが秀逸。収録されたどの曲でもヘインズのドラミングは絶好調。ヘインズのドラミングを体験するだけでもこの盤は存在価値がある。加えて、ローランド・カークの素晴らしいパフォーマンス。もともとバップなピアニスト、トミフラも積極参戦して、3曲目を過ぎる辺りで、先進的で硬派なメインストリーム・ジャズと相成る。

ジャケット・デザインは「?」。森の中にそれぞれの楽器を持って佇んでいる訳だが、リーダーのロイ・ヘインズはシンバルだけを持って立っている。なんてジャケットなんだ。このジャケットだけは意味不明だが、内容的には先進的で硬派なメインストリーム・ジャズが詰まっているのだから、大目に見ようではないか。今の耳にも新鮮な響きが詰まった好盤である。

 
 

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2017年7月 1日 (土曜日)

R&Bを取り込んだフュージョン

昨日、キング・カーティスの「フィルモア・ウエスト」のライブ盤をご紹介した。音の雰囲気は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージック。インスト・ナンバーを聴いていて、どっかで聴いたことあるぞ〜、しかも僕の大好きな音の雰囲気。

そう「The Gadd Gang(ガッド・ギャング)」である。ドラムスがスティーブ・ガッド、キーボードがリチャード・ティー、ギターがコーネル・デュプリー。ふふっ、1970年代後半、伝説のフュージョン・バンドの「Stuff」の再来。加えて、ベースは純ジャズ畑でならした(あのビル・エバンスと長年トリオを組んだことでも有名な)エディ・ゴメスと、バリトン・サックスの雄、ロニー・キューバ。

演奏する曲は、ソウル・ミュージック(いわゆる「R&B」)の名曲が中心。コッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。フュージョン・ジャズのウリは「ソフト&メロウ」、それに加えて、ガッド・ギャングの個性は「ファンキー&ソウルフル」。往年のソウル・ミュージックのエッセンスをタップリと取り込んだ、上質なフュージョン・ジャズな演奏である。
 

The_gadd_gang

 
その個性は、デビュー盤(1986年)の『The Gadd Gang』(写真左)で存分に味わえる。冒頭の「Watching The River Flow」を聴くだけで、R&Bを取り込んだフュージョン・ジャズのご機嫌なノリが味わえる。ガッドの縦ノリ・ドラミングがソウル・ミュージックにこんなにフィットするとは思わなかったなあ。ラストの「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」には痺れっぱなし。

このガッド・ギャングの熱気溢れるライブ演奏の雰囲気は『Live at The Bottom Line』(写真右)で堪能出来る。1988年のNYのボトムラインでのライブ録音なんだが、熱気十分の充実ライブ盤である。ライブ音源なので、演奏の荒い部分や音の厚みが薄い部分が見え隠れするが、演奏の熱気とテンションは十分。こういうライブが日常から行われていたなんて、ほんと羨ましいなあ。

ありそうで意外と希少なコッテコテのR&Bを取り込んだフュージョン・ジャズ。このガッド・ギャング以外にはなかなか見当たらない。貴重な存在である。フュージョン・ジャズの良いところもしっかりと取り込んで、個性的な演奏が今の耳にも心地良い。

 
 

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